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- 時効の援用しても一定期間はローンを組めない理由
- 時効の援用と信用情報の関係
- 時効の援用後にローンを組むまでの年数
- 時効の援用後にローンを組むときの注意点
時効の援用後に一定期間を過ぎれば、ローンを組めます。
ただし、時効の援用を検討する方はすでに信用情報機関に事故情報が登録された状態です。
時効の援用で時効完成を主張すれば支払い義務は消滅しますが、すぐに事故情報が解消するとは限りません。
そのため、時効の援用ですぐにローンを組めると考えるのではなく、信用情報を確認することが必要です。
そこで、時効の援用でローンを組む上で、必要な年数や注意点などを解説します。
目次 ▼
1章 時効の援用しても一定期間はローンを組めない
借金の返済義務は、時効期間を過ぎれば自動的に消滅するわけではなく、時効の援用を行わなければ消滅しません。
- 時効の援用とは
- 時効の援用とは、債務者から債権者に対し、時効の完成により返済義務がなくなったことを主張する手続です。
時効の援用をすると、信用情報機関に事故情報が登録されますが、借金を滞納している時点ですでにブラックリスト扱いになっています。
ブラックリスト扱いではクレジットカードやカードローンの利用はできないため、滞納した借金を完済するか、時効の援用が必要です。
ただし、時効の援用をすればすぐにローン契約ができるわけではなく、一定期間は組めません。
時効の援用をしてから、信用情報機関の事故情報が解除されるまでの期間については、次の章で詳しく説明します。
2章 【信用情報機関別】時効の援用と信用情報の関係
時効の援用後に、登録された事故情報が解消されるまでの期間は、信用情報機関によって異なります。
信用情報機関は次の3か所であり、事故情報が登録される期間は以下のとおりです。
| 信用情報機関 | 加盟機関 | 完済解約から解除までの年数の目安 |
|---|---|---|
| JICC(株式会社日本信用情報機構) | 消費者金融・クレジットカード会社 | 5年以内 |
| CIC(株式会社シーアイシー) | 信販会社・クレジットカード会社 | 5年以内 |
| KSC(全国銀行個人信用情報センター) | 全国の銀行 | 5年以内(破産の場合7年以内) |
債務整理の開始(KSCの個人再生と自己破産の登録開始は開始決定)で事故情報に登録され、完済(任意整理・個人再生・特定調停)または免責確定(自己破産)のタイミングから上記の期間を経過後に解除されます。
以上を踏まえた上で、信用情報機関ごとの時効の援用後から事故情報の解除までの期間を解説します。
- JICC
- CIC
- KSC
2-1 JICC
JICCでは、借金滞納に関する事故情報は「延滞」として登録され、完済から5年経過まで解除されません。
時効の援用をした場合、債権者がその事実をJICCのデータベースに登録することで、時効の起算日である5年以上前にさかのぼって完済となるため、5年が経過した時効援用時に保有期間満了として情報が削除されます。
手続上、時効の援用から事故情報の削除までは1か月程度かかりますが、他の事故情報が登録されていなければ削除後すぐにローンの申し込みができます。
2-2 CIC
CICでは、借金滞納の事故情報は「返済状況」欄に「異動」として登録されています。
「異動」の事故情報は、完済から5年経過しなければ解除されません。
時効の援用をした場合は、「終了状況」欄に「完了」と登録され、5年経過後に削除されます。
ただし、借金滞納の事故情報が「支払遅延有無」や「遅延有無」欄に登録されている場合においては、時効の援用後1か月で削除される場合もあるようです。
そのため、CICでは時効の援用で事故情報が消えるまで、5年かかる場合もあればすぐに解除されるケースもあるといえます。
2-3 KSC
銀行カードローンなどの滞納があれば、保証会社が代位弁済するため、KSCでは「代位弁済」として事故情報が登録されます。
登録された事故情報は、時効の援用の有無に関係なく、5年経過するまで消えません。
そのため、代位弁済から5年経過前に時効の援用をした場合でも、すぐに事故情報が解除されることはないといえます。
ただし、代位弁済から5年経過後に時効の援用をすれば、すでに事故情報は消えているため、すぐにローンの申し込みができると考えられます。
3章 時効の援用後ローンを組めるまでにかかる年数
時効の援用をした場合、信用情報機関の事故情報が解除されるまで、新たにローンは組めません。
事故情報が解除される期間の目安は5年ですが、例外的に以下のケースではすぐにローンを組める可能性があります。
- CICで借金滞納の事故情報が「支払遅延有無」や「遅延有無」欄に登録されている場合
- KSCで代位弁済から5年経過後に時効の援用をした場合
- 中古車販売会社が独自に扱う自社ローンの時効の援用の場合
ただし、時効の援用でブラックリストが解消されても、ローンを組む金額や返済能力によって審査に通らない場合もあります。
申し込めば必ず契約できるとは限らないため、あくまでもローンを組めるまでの目安が5年であると理解しておきましょう。
4章 時効の援用後にローンを組むときの注意点
時効の援用後にローンを組む場合、以下の3つに注意しましょう。
- 事故情報を自分で抹消することはできない
- ローン審査に落ちた場合は信用情報機関で情報開示請求をする
- 時効の援用後は社内ブラックに登録される恐れがある
それぞれ説明します。
4-1 事故情報を自分で抹消することはできない
信用情報機関に登録されている事故情報は、本人が抹消することはできません。
ブラックリスト扱いのままでは、ローンを組むことはできないため、時効の援用後は信用情報が回復する5年を経過しているのか確認しましょう。
4-2 ローン審査に落ちた場合は信用情報機関で情報開示請求をする
時効の援用後にローンを申し込み、審査に落ちた場合には、信用情報機関で情報開示請求をしましょう。
500〜1,000円程度の手数料がかかりますが、本人が情報開示請求することで信用情報を確認できます。
ただし、信用情報機関ごとに請求方法や手数料は異なるため、事前に確認しておくと安心です。
4-3 時効の援用後は社内ブラックに登録される恐れがある
時効の援用後は、対象の金融会社で社内ブラックに登録される恐れがあります。
- 社内ブラックとは
- 社内ブラックとは、特定の金融会社やグループ内で独自保有する不良顧客の情報であり、主に金融事故を起こした対象者のネガティブな情報です。
時効の援用で信用情報機関の事故情報が解除されても、金融会社が独自で管理する社内ブラックは半永久的に残るため、ローンを組むことは難しいと考えられます。
社内ブラックリストに登録されている恐れがある場合は、他の金融会社やグループ会社でローンを申し込みましょう。
まとめ
消滅時効期間を過ぎた借金でも、時効の援用をしなければ時効は成立しません。
5年以上返済せず、消滅時効期間を過ぎた借金でも、ある日突然、裁判所から支払督促が届く場合もあります。
仮に支払督促を無視し、異議申立てもしなければ、強制執行で財産を差し押さえられます。
また、異議申立書にミスがあれば、返済する意思を示したと判断される恐れもあるため、正しく記載することが必要です。
そのような事態に陥る前に、時効の援用ができるのか確認することが望ましいため、早急に専門家へ問い合わせることをおすすめします。
時効の援用について、不明なことがある場合には、一度グリーン司法書士法人グループへご相談ください。
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