時効の援用後はフラット35の審査に通らなくなる?理由と共に解説

司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

時効の援用
時効の援用後はフラット35の審査に通らなくなる?理由と共に解説

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悩む男性
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時効の援用後はフラット35の審査に通らないのでしょうか。
司法書士
司法書士
時効の援用後は信用情報機関に登録されている情報によっては、フラット35の審査に通らない可能性があります。

消滅時効の援用に成功すれば借金の返済義務はなくなりますが、借金の存在自体は残り、信用情報機関に事故情報が残り続ける恐れがあります。
そして信用情報機関に事故情報が残っている場合、フラット35の借入審査に通らない可能性が高いです。

信用情報機関の登録情報は開示請求によって確認可能なので、不安であれば確認しておきましょう。
また、事故情報が残っている場合には削除されてからフラット35の審査に申し込むのがおすすめです。

なお、信用情報機関とは別に金融機関ごとに社内でブラックリストも作成しています。
そのため、過去に時効の援用をした金融機関でフラット35の申し込みをしても審査に落ちてしまう可能性が高いのでご注意ください。

本記事では、時効の援用後にフラット35の審査に通るのか、信用情報機関の開示請求方法を紹介していきます。


時効の援用について、詳しくはコチラ

1章 時効の援用後はフラット35の審査に通らない恐れがある

本記事冒頭で解説したように、時効の援用をするとフラット35の審査に通らない可能性があります。
時効の援用完了によって借金の返済義務はなくなっても、借金自体は残るという考えもあるからです。

司法書士
司法書士
請求はできないが借金自体は残り続けるという性質の債務を自然債務といいます。

債権者である貸金業者や金融機関が自然債務の考えを持っている場合、返済義務がなくなっても信用情報機関の事故情報を削除しない可能性があります。
時効の援用後もフラット35の審査に落ちてしまうケースを詳しく見ていきましょう。

1-1 時効の援用後は信用情報機関に事故情報が記録される

先ほど解説したように、債権者が自然債務の考えを持っていると時効の援用後も信用情報機関に事故情報が残り続けてしまう恐れがあります。
時効の援用完了時に事故情報を削除してくれるかは、債権者の判断に委ねられています。

事故情報を削除してもらえない場合、事故情報の登録後5年程度は記録が残り続けてしまうのでフラット35の審査に通らない可能性が高いです。
他にも、新たなクレジットカードの作成やローンの借入審査には通らない可能性が高いでしょう。

なお、登録されている情報を信用情報機関に開示してもらえば確認できます。
信用情報機関への開示請求方法は、2章で詳しく紹介していきます。

1-2 貸金業者の自社ブラックは半永久的に残る

信用情報機関に登録されている事故情報とは別に、貸金業者や金融機関は自社でブラックリストを管理しています。

  • 借金を延滞した
  • 時効の援用をした

上記のケースで自社ブラックに登録された場合、記録は半永久的に削除されません。
そのため、過去に時効の援用をした金融機関でフラット35の借入をしようとしても、ほぼ審査に通ることはないでしょう。

フラット35で住宅ローンを組みたいときには、過去に時効の援用をした金融機関以外に審査を申し込みましょう。

2章 時効の援用後に信用情報機関の情報開示をする方法

1章で解説したように、時効の援用をした後は5年程度はフラット35の審査に通らない可能性があります。審査に通すためには自分の事故情報が消えているかが重要になるので、不安な場合は信用情報機関に情報開示を依頼して確認するのがおすすめです。

信用情報機関にはいくつかありますが、フラット35の審査に影響する機関は以下の2つです。

名称特徴
日本信用情報機構(JICC)クレジットカード会社などが登録している
全国銀行個人信用情報センター(KSC)地方銀行やネット銀行が登録している

なお、信用情報機関には上記の他にCICもありますがフラット35を提供している住宅金融支援機構が加入しているのは上記の2社のみです。
そのため、本記事でも上記2社の開示請求方法を詳しく紹介していきます。

2-1 日本信用情報機構(JICC)

日本信用情報機構(JICC)では、以下の3つの方法で信用情報の開示請求を行えます。

請求方法手数料・支払い方法
インターネットクレジットカード払い
1,000円
郵送定額小為替もしくはクレジットカード払い
1,300円

なお、2023年1月時点では新型コロナウイルス感染症による影響で窓口での請求は休止となっています。
また、日本信用情報機構に事故情報が登録されていなかったとしても、開示請求の手数料は返還されません。

日本信用情報機構への開示請求でわかる情報は、主に以下の通りです。

  1. クレジット情報
  2. 申し込み情報
  3. 利用記録
  4. 参考情報

時効の援用をして信用情報機関に事故情報が残っていれば、上記の情報の中に異動記録が残っているはずです。

2-2 全国銀行個人信用情報センター(KSC)

全国銀行個人信用情報センター(KSC)は、郵送でのみ信用情報の開示請求を行えます。
支払い方法は定額小為替のみで、手数料は1,000円かかります。
信用情報の開示請求を行うと、以下の情報を確認可能です。

  1. 取引情報
  2. 不渡情報
  3. 官報情報
  4. 本人申告情報
  5. 照会記録情報

全国銀行個人信用情報センターは、地方銀行やメガバンク、ネット銀行が登録しています。
金融機関でのキャッシングや借入を時効援用した場合には、開示請求をして事故情報が削除されているかどうか確認しましょう。

まとめ

時効の援用後に信用情報機関の事故情報が削除されていない場合には、フラット35の借入審査に通らない可能性があります。
信用情報機関の事故情報は5年程度残ってしまうので、事故情報が残っているか確認したいときには信用情報機関で情報開示請求をするのがおすすめです。

また、信用情報機関とは別に貸金業者や金融機関は自社で事故情報を記録し、ブラックリストに登録しています。
自社で記録するブラックリストの情報は半永久的に残り続けるので、過去に時効の援用をした金融機関でフラット35の審査を通すことはできないと思っておいた方が良いでしょう。

時効の援用をすれば借金の返済義務をなくせる可能性がありますが、手続き完了後もローンの審査が通らないなどの影響があります。
時効の援用を行う際には専門家の指示に従い、慎重に行うのが良いでしょう。

グリーン司法書士法人では、時効の援用をはじめとした債務整理に関する相談をお受けしています。
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