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- 出資法の上限金利
- 出資法の上限金利を超える違法業者からの借入で起きるトラブル
- 出資法の上限金利を超える借入をした際の対処法
公共料金や家賃、クレジット払いの請求で困ったときに頼りになるカードローン・キャッシング。滞納を防ぐために利用を検討しているものの、「高金利で適正な範囲に収まっていないかもしれない」「違法業者だったらどうしよう」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
借入をする際に知っておくべきなのが出資法です。出資法は、貸金業者や個人間の貸し借りにおける金利の上限を定めた法律です。出資法の上限金利を把握していれば、違法な金利でお金を借りずに済みます。
本記事では出資法の上限金利や利息制限法との違い、闇金業者の利用によるトラブルを解説します。闇金業者への対処法も記載しているので、「すでに違法業者からお金を借りてしまっている」という人もぜひチェックしてください。
目次 ▼
1章 出資法の上限金利
出資法の定める上限金利は、貸し手が金融機関と個人で異なります。金融機関の上限金利は年率20.0%と定められている一方で、知人間の貸し借りのような個人取引は年率109.5%(うるう年は109.8%)です。この基準を超える金利で貸付をおこなうと違法となり、貸し手は懲役や罰金といった刑事罰を受けます。
たとえば、金融機関から10万円を借りる場合、1日あたりの利息が54.8円(30日間で1,644円)を超えると違法です。また個人間の貸借では、10万円の借入で1日あたりの利息が300円(30日間で9,000円)を超えると違法取引になります。
つまり、知り合いに10万円を貸した人が翌月に利息として1万円の追加支払いを求めれば、年率120.0%の貸借になり出資法違反に該当します。金利が合法な範囲に収まっているか判断する際は、以下の計算式を使用しましょう。
(利息 ÷ 借入日数 × 365日) ÷ 借入金額 = 年利
10万円を1年間借りて2万円の利息が発生する場合、(20,000円 ÷ 365 日× 365日) ÷ 100,000円 = 年率20%となります。この金利なら、金融機関と個人の貸借のどちらでも出資法の上限金利に収まっています。ほとんどありませんが借入をする際に金利が記載されていなければ計算し、出資法の上限金利を超えていないか必ず確認しましょう。
2章 利息制限法の上限金利との違い
出資法と混同しやすい利息制限法ですが、金利の規制内容が異なっています。出資法は金融機関なら年率20.0%、個人なら年率109.5%を上限金利と定める法律で、基準を超える貸付は刑事罰の対象です。一方で、利息制限法は以下のように元本の金額に対して上限金利を定める法律です。
元本 | 上限金利 |
---|---|
10万円未満 | 年20.0% |
10万円以上~100万円未満 | 年18.0% |
100万円以上 | 年15.0% |
利息制限法は上限金利を超えても刑事罰はなく、超えること自体は許容していますが、超過分の利息は無効になります。つまり、出資法は超過そのものを禁止し、利息制限法は超過部分の無効を規定している点が大きな違いです。
また、貸金業者に対して利息制限法と同じ上限金利を定めているのが貸金業法です。貸金業者は利息制限法の定める上限金利を超える貸付をおこなうと、貸金業者登録の取り消しのような行政処分を受けます。
したがって、利用しているキャッシングサービスが違法なのかどうかは、業者が貸金業登録をしているかどうかで見極めることが可能です。
3章 出資法の上限金利を超える違法業者からの借入で起きる3つのトラブル
刑事罰の対象である出資法の上限金利を超える貸付をおこなうのは、貸金業者としての登録を受けていない違法業者です。もし違法業者からお金を借りると、以下のようなトラブルに巻き込まれる可能性があります。
- 違法な高金利で返済額がすぐに膨れ上がる
- 滞納すると電話や訪問によって厳しく取り立てられる
- 親族の家や勤務先にも取り立てが来る
それぞれ順番にチェックしていきましょう。
3-1 違法な高金利で返済額がすぐに膨れ上がる
違法業者が設定する金利は、正規の貸金業者では考えられないほど高額です。出資法の上限金利をはるかに超える年率100%や200%は珍しくなく、「トヨン(10日で4割)」(年率1,460%)や「トゴ(10日で5割)」(年率1,825%)と呼ばれる高金利が条件として提示されるケースもあります。
このような高金利では、借入から短期間で返済額が膨れ上がります。たとえば10万円を年率1,825%で借りた場合、10日間で発生する利息は5万円です。さらに、返済が滞ると滞納分も複利計算され、返済額は雪だるま式に膨らみます。利息だけを返済する状況が続き、いくら返済しても元金が減らない無限ループに陥る危険性が高いのです。
3-2 滞納すると電話や訪問によって厳しく取り立てられる
違法業者からの借入を滞納してしまうと、強引かつ執拗な取り立てを受けます。たとえば、深夜や早朝といった睡眠を妨害する時間に頻繁に電話をかけてきます。電話の内容も脅迫的な言葉や大声での恫喝など、心理的に追い詰めるものが多いです。
また自宅に訪問する違法業者も多く、玄関先で大声を上げたり、ドアを叩き続けたりします。これらの取り立て行為は周囲にも聞こえるように行われるケースが多く、借主のプライバシーを侵害するだけではなく、近隣住民との関係にも悪影響を及ぼします。
そして取り立ての恐怖から電話を取れなくなったり、外出を避けたりするようになり、生活の自由が大きく制限されてしまうのです。
3-3 親族の家や勤務先にも取り立てが来る
違法業者の取り立て行為は借主本人に留まらず、親族や勤務先にまで及びます。親族に対しては、自宅に電話をかけたり訪問したりして「本人が借金を返済しない」と告げることで、親族に借金の肩代わりを迫るケースがあります。
また、勤務先への取り立てもよくある手口です。職場への電話や訪問によって同僚や上司に借金の事実が知られるだけでなく、信頼を損なって仕事を続けられなくなってしまいます。
そして周囲に迷惑をかけた罪悪感から、孤立してしまう人も少なくありません。違法業者による取り立て行為は、借主の精神的・社会的負担を増大させ、今までの日常を脅かしていくのです。
このように出資法の上限金利を超える違法業者の利用は、生活に大きな悪影響を及ぼします。そのため、たとえお金に困っていても闇金業者は絶対に利用してはいけません。
知らず知らずのうちに闇金業者を利用してしまうケースもあるため、借入をする際は金融庁の「貸金業者登録一覧」をチェックし、必ず正規の貸金業者であることを確認してください。
4章 出資法の上限金利を超える借入をした際の対処法4選
カードローンやキャッシングも審査落ちし、どうしようもなく違法業者からお金を借りてしまった人もいるのではないでしょうか。電話や訪問による厳しい取り立てによって疲弊しているかもしれませんが、出資法に違反している闇金業者からの借金に返済義務はありません。そのため、闇金業者からの電話や訪問には対応せず、以下の対処法を実行してください。
- 警察に被害届を提出する
- 弁護士・司法書士に相談する
- 親族や勤務先に事情を説明する
- 過払い金を請求する
それぞれの対処法を詳しく解説します。
4-1 警察に被害届を提出する
闇金業者による暴力的・脅迫的な取り立て行為に遭ったら、まずは警察に被害届を提出しましょう。闇金業者は出資法や貸金業法に違反しているので、刑事罰の対象になります。なお、警察に被害届を提出する際は以下のような情報を提供すると手続きがスムーズです。
- 闇金業者との契約がわかる書類やデータ
- 振込明細や返済の記録
- 電話や訪問の日時などの取り立ての記録
警察に相談すれば、捜査が進んで取り立てがおこなわれなくなるケースがあります。自分や家族の身を守ることにもつながるので、闇金業者を利用してしまったら警察に相談してください。
4-2 弁護士・司法書士に相談する
警察は捜査権限を持っていますが、借金額が少ない場合や暴力的・脅迫的な取り立てがおこなわれていない場合は、本格的に捜査してもらえない可能性が高いです。そのため、闇金業者の利用に気が付いたら弁護士・司法書士にも相談しましょう。
専門家に相談することで、闇金業者からの取り立てに対してどのように行動すべきか把握できます。また弁護士・司法書士が闇金業者とやり取りをしてくれるため、精神的な負担を大幅に軽減可能です。
そして、弁護士・司法書士に相談した借主に返済見込みがないことを闇金業者は理解しています。そのため、専門性からの連絡があった時点で取り立て行為はストップするでしょう。一人で抱え込まずに早めに専門家に頼ることで被害を最小限に抑えられるので、借入先が怪しいと思ったらすぐに弁護士・司法書士に相談してください。
4-3 親族や勤務先に事情を説明する
闇金業者は借主にプレッシャーをかけるために、親族や職場にも連絡することがあります。親族には代わりに返済を迫るケースが多いため、借入先が違法業者で返済義務がないこと、解決に向けて専門家や警察に相談していることを正直に伝えましょう。
特に高齢の親族や未成年の家族がいる場合は、突然の業者からの電話や訪問が心理的な負担にならないように、事前に状況を共有することが大切です。また勤務先にも同様に、「違法業者からの取り立てがあるかもしれないが、すでに専門家や警察に相談しているので問題ない」と説明してください。
報告をしていない状態で闇金業者による電話や訪問があると、周囲の人の不信感につながったり、親族が代わりに返済してしまったりするかもしれません。後ろめたい気持ちもわかりますが、親族や職場への影響を抑えらえるように闇金業者の被害者になってしまったことを正直に話しましょう。
4-4 過払い金を請求する
出資法の上限金利を超える貸付は、以下の利息制限法の上限金利も超えているため、支払い済みの利息は過払い金請求が可能です。
元本 | 上限金利 |
---|---|
10万円未満 | 年20.0% |
10万円以上~100万円未満 | 年18.0% |
100万円以上 | 年15.0% |
この上限金利を超える利息は法律上無効とされ、超過分が過払い金として扱われます。たとえば、年30%の金利で10万円を借りた場合、法定上限の年18%との差額の年12%分が返還請求の対象です。
過払い金請求は自身でも交渉できますが、相手が闇金業者の場合は難航する可能性が高いです。そのため、違法業者に過払い金の返還を求める際は弁護士・司法書士に依頼しましょう。
ただし、過払い金自体は発生しているのですが、相手は闇金なので、どこにいるかどうかも、本名も分かりません。実際にお金が返ってくるかというと、返ってこないと考えた方がいいでしょう。
5章 借金が原因で生活に困ったら債務整理を検討しよう
すでに多くの借金を抱えていて違法業者からしかお金を借りられない場合でも、絶対に闇金業者を利用してはいけません。自分自身の生活が不自由になるだけではなく、親族や勤務先の人もトラブルに巻き込んでしまうためです。もし借金が原因で生活に困っているなら、以下のような債務整理を検討してください。
- 自己破産:借金の返済義務がなくなる債務整理方法
- 個人再生:借金を大幅に減額して3~5年で分割して返済する債務整理方法
- 任意整理:利息や遅延損害金、返済条件などを見直して原則3年で完済を目指す債務整理方法
なお、債務整理の手続きは非常に複雑で専門家以外がおこなうと時間がかかるうえに、不備によって申し立てが認められない可能性が高いです。また、自身の状況に合った債務整理方法を選択しなければ、手続きを終えても状況が改善しない恐れもあります。そのため、債務整理を考えているなら、手続きのサポートや適切な債務整理方法のアドバイスができる弁護士・司法書士に相談しましょう。
グリーン司法書士法人では、豊富な経験と実績をもとにこれまでに多くの債務整理をサポートしてきました。無料相談も実施しておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
まとめ
出資法の上限金利は、貸し手が金融機関なら年率20.0%、個人なら年率109.5%(うるう年は109.8%)と定められています。そして、出資法の上限金利を超える金利での貸付は違法で、懲役や罰金といった刑事罰の対象です。
このように法律によって上限金利は定められていますが、出資法の上限金利を超える貸付をおこなっている違法業者もいます。もし出資法に違反する闇金業者からお金を借りてしまうと、以下のようなトラブルに巻き込まれるかもしれません。
- 違法な高金利で返済額がすぐに膨れ上がる
- 滞納すると電話や訪問によって厳しく取り立てられる
- 親族の家や勤務先にも取り立てが来る
すでに借金を抱えている人が返済できるはずのない利息がどんどん上乗せされるので、一度でも闇金業者を利用すると自力では取り返しがつかなくなります。そのため借金が原因で生活に困っているなら、違法業者からの借入で対応しようとするのではなく、弁護士・司法書士に相談しましょう。
またすでに闇金業者を利用している場合も、弁護士・司法書士への相談が効果的です。グリーン司法書士法人では、債務整理のサポートはもちろん、闇金業者への対応や過払い金請求もおこなっています。借金に関する悩みがある方は、ぜひ一度相談してみてはいかがでしょうか。
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