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最近、SNSや掲示板などWeb上で個人とやりとりしてお金の貸し借りをする「個人間融資」が話題になっています。成功例を紹介しているサイトなどもあり、インターネットでのやり取りやアプリだけで簡単に借入れできることに興味を持っている人もいるかもしれません。
しかし、個人間融資はほとんどが違法で行われており、中には闇金業者が紛れていることも少なくないのです。また、融資をするといっておきながらお金や個人情報だけを巻き上げて連絡を絶つという詐欺まがいのケースも多くみられます。
ここで結論からいえば、個人間融資は利用すべきではありません。生活のためにどうしてもお金が必要な場合は、まず家計を見直すことから始めましょう。
この記事では、個人間融資を利用するリスクについて詳しく解説します。
目次 ▼
1章 個人間融資とは
個人間融資とは、金融機関や貸金業者による営業としての融資ではなく、個人どうしでのお金の貸し借りを指します。例えば、親族や友人とお金を貸し借りするのも個人間融資です。
しかし、最近ニュースなどで話題になっている個人間融資はSNSやWeb掲示板で知り合った人同士で行われているものです。中には、個人をよそおって書き込みをしている闇金業者も数多く紛れ込んでいるため、安易に個人間融資を利用するのは避けましょう。
1-1 Web掲示板やSNSで募集する個人間融資の多くは違法
実は、Web掲示板やSNSで募集している個人間融資のほとんどが違法です。闇金業者が個人のふりをしているわけではなく、純粋に個人が行っているものでも以下の法律に抵触している可能性があります。
- 貸金業法
- 出資法
法律違反だと知らずに利用していた場合、借り手が罪に問われることはありません。しかし、最初から法律に違反していると知っていながら、そのために返済を反古にしようとしていた場合は逆に借り手が詐欺罪に問われます。
ここでは、個人間融資のそれぞれの法律に反している内容を解説します。
1-1-1 貸金業法の違反
融資を不特定多数に繰り返し行う意思がある場合、その融資は営業目的であるとみなされます。貸金業を行うには財務局長か都道府県の知事に登録申請をする必要があるため、営業目的でありながら申請せずにお金の貸し借りを繰り返し行うのは貸金業法の違反です。
1-1-2 出資法の違反
個人間融資では、高額な利息を要求されるケースがほとんどです。出資法において、個人が109.5%を超える金利を課した場合、貸付側に刑事処分が下されます。金利に関しては利息制限法という法律でも規定があり、元金によって上限となる金利が決まっています。
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元本 | 10万円未満 | 10万〜100万未満 | 100万円以上 |
---|---|---|---|
上限金利(年) | 20.0% | 18.0% | 15.0% |
利息制限法では、上限金利を超える分の利息に支払い義務はないとされています。しかしそもそも出資法に反する109.5%以上の金利が要求されている場合は、利息のみならず元本の返済義務もなくなる可能性があります。もちろん返さないつもりで借りてしまえば、借りた方が詐欺になりますので注意しましょう。
1-1-3 個人間融資は闇金に近い
個人間融資はただ親切な人がお金を貸してくれるというものではなく、その実態はほぼ闇金と同じです。実際に、個人を装って近づく闇金業者も多数紛れており、闇金の温床とも見なされています。
個人間融資は便利で安全な融資ではなく、闇金と同じ危険なものだという認識をもっておくことが大切です。
2章 個人間融資のリスク7つ
個人間融資は、甘い言葉にのせられて気軽に手を出すと危険です。闇金ではないから大丈夫だと思っていると、恐ろしいリスクを被ることになります。
この章では、個人間融資のリスクについて解説します。
リスク1 法外な利息を要求される
個人間融資では、法外な利息を要求されるケースがほとんどです。しかし募集文に載っている内容では、利息が高額だと気付かないように書かれていることが多いので注意しましょう。
例えば、「5万円お貸ししますので、1か月後に6万円にして返済してください」とあった場合を考えます。
この場合、元金は5万円で利息は1万円です。金利は元金に対する利息の割合なので、
1万円÷5万円✕100=20%
になります。
5万円で20%ならば利息制限法内だと思いそうになりますが、利息は基本的に年利での計算です。月利を年利に直すには、1年=12か月なので12倍します。
20%✕12=240%
となり、月利20%でも出資法の109.5%を大きく超える年利になるというわけです。
個人間融資では、個人のふりをした闇金が法外とわかっていて利率を設定していることもありますが、出資法や利息制限法をよく知らない個人が決めていることもあります。
リスク2 厳しく取り立てられる
貸金業法では、取り立てのガイドラインが細かく定められています。例えば、取り立てしても良い時間は決められており、勤務先に連絡する、自宅に張り紙するなどの行為は禁止されているのです。
しかし、貸金業法に準拠していない個人間融資では、これらを無視して厳しく取り立てられることがあります。
貸金業法で違法になる取り立て方については、こちらの記事も参考にしてください。
リスク3 お金をだまし取られる
お金を借りるのに逆にだまし取られるというのはおかしいようですが、実際には個人間融資でお金を巻き上げられるケースも少なくありません。
例えば、20万円借りる際に保証金として最初に3万円を請求され、支払ってからいざ融資を受けようとすると連絡がつかなくなったという事例もあります。
冷静に考えるとおかしい点に気が付きそうですが、お金が必要で切羽詰まっている時には判断力が鈍ってしまうことはめずらしくないのです。
リスク4 個人情報を悪用される
個人間融資のやり取りを続けていると、本人確認として運転免許証など身分証の写真を送付してほしいと言われることがあります。
その他、融資するのに必要だからと氏名・年齢・住所・勤務先といった個人情報を聞かれる場合もありますが、個人間融資を装って個人情報をだまし取ろうとするケースも多いです。
個人情報を伝えたとたんに連絡がとれなくなり、知らない間に自分名義で借金されるような事案も発生していますし、返済が遅れたり支払えない場合に個人情報をインターネットで流すと脅される可能性もあります。
リスク5 性的関係を強要される
お金を借りる見返りとして性的関係を迫られたり、水着や裸の写真を要求されたという被害例もあります。相手からすぐにお金を振り込むと言われて写真を送ったのに、送ったらそれをネタにして脅してくるといった例もあり、身近な人に相談しにくい悪質なケースに発展する危険性も高いのです。
リスク6 犯罪に巻き込まれる
個人間融資でお金を借りたために、反社会的組織が関わる犯罪に巻き込まれる可能性もあります。
お金を貸すかわりに銀行口座を新規開設させられたり、スマートフォンを新規契約させられたりするなどの行為は、マネー・ロンダリングにつながる犯罪行為です。簡単な手続きだけで融資するという甘い言葉にそそのかされ、知らない間に犯罪に手を染めていることもあるのです。
リスク7 警察に対応してもらえない可能性がある
個人間融資は個人同士のやり取りなので、民事不介入として警察が介入しないこともあります。暴力や詐欺などはっきり刑事事件といえるトラブルが発生した場合は捜査が入りますが、取り立てなどの迷惑行為では警察が対応しない可能性は高いです。
さらに、相手が貸金業者として登録しておらず貸金業に違反している場合や、高額な利息を取って利息制限法に違反していたとしても、これらを立件するのには時間がかかります。
3章 個人間融資でトラブルに巻き込まれたときの相談先
もしも個人間融資を利用してトラブルに巻き込まれてしまった場合、どのように対処すればいいのでしょうか。
個人間融資は闇金につながっていることも多いため、自力でなんとかしようとしても逆に脅されるなど対処が難しいものです。
ここでは、個人間融資でトラブルとなった時の相談先について解説します。
3-1 司法書士・弁護士に相談する
個人間融資でトラブルになった場合、司法書士や弁護士などの専門家に相談して間に入ってもらうのが効果的です。
高圧的な態度に出たり脅されたりしていても、専門家へ相談すればその後の対応や法律に反するやり取りへの指摘を任せられます。
ただし、依頼には費用がかかるため、借入が少額だった場合はむしろ依頼費用の方が高額になるというデメリットもあります。
3-2 被害相談窓口へ相談する
専門家へ相談する費用がない場合は、公的な相談窓口へ相談するのも一つの方法です。
以下に、お金に関する相談先について挙げました。
電話番号:0570−016811
お金に対する相談を受けつけており、解決に適切な機関を紹介するほか、アドバイスがもらえます。ただし仲介やあっせん・調停などはしていません。
消費者ホットライン 188
具体的な解決方法や相手との交渉についてのアドバイスがもらえます。
電話番号:#9110(相談専用電話)
詐欺や暴行などの被害に合った場合の相談を受け付けています。
貸金業に関する苦情や相談を受け付けるほか、家計相談やカウンセリングも受け付けています。
4章 個人間融資に頼る前にできること
とにかく急いでまとまったお金が必要な時、「審査不要」「ブラックでもOK」と謳う個人間融資に頼りたくなるのも無理はないかもしれません。
しかし犯罪に巻き込まれる可能性が高く、危険な個人間融資に頼る前に、安全にお金を調達できる以下の方法をまず試してみてください。
4-1 親族・知人に借りる
どうしてもお金が必要な時は、まず信頼できる親族や知人に相談してみましょう。期間や利息の相談を比較的やりやすいため、安心してお金を借りられます。
ただし、無理な借金は信頼関係を損なう恐れがあります。借りる際には必ず借用書を作成するなど、相手に不信感を持たせないように配慮しなければいけません。
4-2 公的機関に相談する
お金の相談ができる人が身近にいない場合は、地域の社会福祉協議会で生活資金の融資を相談できます。
金融機関や貸金業者からの審査を断られている人でも、審査の内容が異なるため低金利で受けられる可能性があります。
4-3 債務整理する
すでに借金を抱えておりその返済に悩んでいるならば、債務整理を検討しましょう。
債務整理には、次の3つがあります。
債務整理は個人で手続きを進めるのが難しいため、専門家へ依頼しましょう。
グリーン司法書士法人では、相談料無料で債務整理のご相談を承っております。借金相談への豊富な経験から、お客様の状況に適した債務整理の方法をご提案いたします。
お電話やメールでも相談可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
債務整理について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
まとめ
SNSやWeb掲示板、アプリなどで募集している個人間融資は、違法である場合がほとんどです。中には個人をよそった闇金業者や、取得した個人情報の悪用や犯罪行為への加担を目的とした犯罪者も紛れ込んでいます。
一刻も早くお金が必要な場合や、信用情報がブラックでお金が借りられない場合には個人間融資に頼りたくなるかもしれませんが、起こり得るリスクやトラブルを考えると手を出すべきではありません。
借金しないと生活が苦しい、返済が多すぎて手が回らないなどでお困りの場合は、まずは家計を見直して生活を立て直すことが大切です。
グリーン司法書士法人事務所でも家計相談をしていただけます。借金問題でお困りの方は、ぜひご相談ください。
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よくあるご質問
- 個人間融資とは?
- 個人間融資とは、金融機関や消費者金融などから借りるのではなく、個人同士でお金の貸し借りをすることです。
- 個人間でお金の貸し借りはできる?
- 個人間でお金の貸し借りをすることは違法ではありません。
ただし、営業目的で貸し借りをする場合や上限利息を超える場合、違法になる可能性があります。