自己破産は恥ずかしいことですか?などと悩む必要がまったくない理由を解説

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 この記事を読んでわかること

  • 自己破産は恥ずかしいことではない理由
  • 自己破産のデメリットは少ないこと
  • 適切なタイミングで自己破産をすれば債権者の損失も抑えられること
  • 自己破産がどうしても恥ずかしい場合のほかの解決方法

多くの人たちが自己破産に対して、「恥ずかしい」「無責任」といったネガティブなイメージを抱きます。しかし、自己破産は法律で認められた正当な手続であり、経済的再生を図るための有効な手段です。

自己破産を検討する際、多くの方が「周囲に知られるのではないか」「すべての財産を失うのではないか」といった不安を抱えています。実際にはそのようなリスクは低く、生活に必要な財産は保護されるケースがほとんどです。

また、選挙権や年金受給権といった基本的な権利も維持されます。今回の記事では、自己破産に対する一部の誤解を解き、そのメリットやデメリット、さらにはほかの債務整理方法について見ていきましょう。

1章 自己破産は恥ずかしいことではない

自己破産は、多くの人が「借りたものは返すべき」という道徳観や社会的な偏見から、恥ずかしいと感じるケースが少なくありません。しかし、自己破産は法律で認められた正式な手続であり、経済的に立ち直るための大切な制度です。

自己破産は借金、とりわけ多重債務に苦しむ人たちに新しい生活のスタートを提供するための選択肢といえるでしょう。自己破産は、自身の責任だけでなく、予期せぬ出来事が原因で選択せざるを得ない場合もあります。

リストラ、病気、天災など、外的要因による経済的困難は、誰にでも起こり得るものです。そのため、自己破産は単なる「個人の失敗」ではなく、社会全体で支えるべき課題といえます。

さらに、自己破産は債権者側(貸主側)にとっても、デメリットだけではありません。破産手続によって債務者の資産が公平に清算されるため、債権者も部分的な回収が可能です。

1-1 「自己破産は恥ずかしいことですか?」と思う必要はまったくない!

自己破産を恥ずかしいと思って行動をためらうと、問題の解決をさらに遠ざける結果となります。借金問題を放置すれば、恥ずかしいどころの話では済まず、生活がより困難になり、精神的にも追い詰められるでしょう。

まずは生活の立て直しを、最優先に考える必要があります。自己破産は法律に基づいた正当な手続であり、不正行為とは一切無関係です。

法律に沿った自己破産などの、債務整理手続を利用するのは恥ずべき行動ではなく、法に守られた権利の行使です。現代社会では、自己破産に対する偏見が徐々に薄れつつあります。

多くの人たちが経済的な困難に直面する中で、自己破産を選択するのは特に珍しくないと広く認知されるようになってきました。この結果、自己破産は単なる再出発の手段として受け入れられるケースが増えています。

なお、自己破産とはどういうものかや、メリットおよびデメリット、手続およびその流れや事例などについては以下の記事でくわしく解説しています。

そちらもぜひ、参考にご覧ください。

2章 自己破産のデメリットは少ない

自己破産に関するデメリットは、一般的に考えられているほど多くはありません。特に、法律や制度が整備されている現代において、自己破産は再出発のための有効な手段とされています。

この章では、自己破産のデメリットは少ないという事実を、次に挙げる5つの観点から見ていきましょう。

  • 自己破産をしても会社や周囲にバレる可能性は低い
  • 自己破産をしても住民票や戸籍に記載されることはない
  • 自己破産をしてもすべての資産を失うわけではない
  • 自己破産をしてもパスポートは没収されない
  • 自己破産をしても将来年金を受け取れる

2-1 自己破産をしても会社や周囲にバレる可能性は低い

自己破産を検討する際、多くの方が「会社や周囲に知られてしまうのではないか」と心配されます。しかし、自己破産の手続は基本的に個人情報として扱われ、職場や周囲に知られる可能性は低いでしょう。

自己破産を理由とした解雇は不当解雇にあたるため、基本的に勤め先をクビになることはありません。自己破産の情報は官報に掲載されますが、官報を日常的に閲覧する人は、法律関係や不動産関係の一部の人たちだけです。

また、手続の代理人として司法書士などの専門家に依頼しても、本人が望まないかぎり職場に連絡がいくことはありません。このように、日常の生活や業務に支障をきたす心配はないと考えて差し支えないでしょう。

むしろ、自己破産をためらっている内に滞納が続いて、裁判、給与が差押えがされてしまうと、確実に会社にばれてしまうことになります。

自己破産などの債務整理が家族や会社にバレる原因やバレないための方法については、以下の記事で特集しています。

そちらも、ぜひ参考にしてください。

2-2 自己破産をしても住民票や戸籍に記載されることはない

自己破産をした場合、「住民票や戸籍に記載されるのではないか」と心配する人もいます。しかし、実際にはそのような記載はされません。自己破産は裁判所での手続であり、住民票や戸籍には何の影響も与えないのです。

住民票や戸籍は、公的な住所証明や家族関係を示すものであり、借金問題や破産に関する情報を記載する目的は持ち合わせておりません。

つまり、なんらかの機会に第三者が住民票や戸籍を取得しても、破産情報が知られる可能性はないでしょう。さらに、自己破産の手続中に役所から特別な通知が来ることも皆無です。

破産手続は基本的には裁判所と関係者のみで行われる、日常生活に影響を与えない仕組みです。多くの誤解は「破産」という言葉から連想されるイメージが原因と考えてよいでしょう。

2-3 自己破産をしてもすべての資産を失うわけではない

自己破産をすると、すべての財産を失うのではないかと心配される方も多いですが、実際には生活に必要な財産は手元に残せます。法律では、一定の基準を満たす財産は差し押さえの対象外となるからです。

たとえば、現金であれば99万円まで、生活必需品や仕事に必要な道具なども保有が認められています。

また、自己破産後に新たに得た収入や財産は、基本的に自由に使える「自由財産」です。そもそも自己破産は、多重債務者の再出発を支援するための制度設計となっています。

そのため、自己破産をしても生活の基盤を維持しながら再建を目指せるのです。ただし、高額な資産や贅沢品は処分の対象となり、債権者への弁済に充てられます。

なお、差押えの対象外となる財産の種類や、差押えが禁じられている財産について、以下の記事でくわしく取り上げています。

ぜひ、そちらも参考にしてください。

2-4 自己破産をしてもパスポートは没収されない

自己破産をすると、パスポートが没収されるのではないかと心配されるかたも多いでしょう。しかし実際には、自己破産を理由にパスポートが取り上げられることはありません。

自己破産後もパスポートの保有、新規取得や更新は通常どおりできます。ただし、自己破産手続中に海外渡航を希望する場合、注意が必要です。

自己破産のなかでも破産管財人が選任される「管財事件」の場合、旅行や引っ越しをするのに、破産管財人の同意を得た上で裁判所から許可を得る必要があります。これは、手続の進行に支障をきたさないようにするための措置です。

一方、財産が少なく破産管財人が選任されない「同時廃止事件」の場合、海外渡航に特別な許可は不要です。しかし、浪費などの免責不許可事由がある方については、免責がされなくなるおそれがあるため専門家に相談するのが賢明です。

なお、自己破産をすると旅行に行けなくなるのかどうかや、制限される旅行の範囲および期間について、以下の記事でくわしく取り上げています。

ぜひ、そちらも参考にしてください。

2-5 自己破産をしても選挙権を失うことはない

一部で誤解があるように、自己破産をすると選挙権や被選挙権などの公民権が制限されるのではないかと心配される方もいます。しかし、自己破産を理由にこれらの権利が制限されることはありません。

選挙権や被選挙権は、憲法で保障された基本的な権利であり、自己破産によって失われるものではないのです。

過去には、禁治産者(現在の成年被後見人)が選挙権を失うといった規定がありましたが、自己破産とは関係がありません。ちなみに現在では、成年被後見人も選挙権が認められています。

自己破産は、多重債務者の経済的再生を支援するための制度であり、罰則ではないのです。この点を理解しておけば、自己破産に対する過度な不安を解消できます。

自己破産を検討する際は、正確な情報を基に判断することが重要です。選挙権や被選挙権に関する誤解を解消し、安心して手続を進めるためにも、専門家への相談をおすすめします。

なお、自己破産後をしても選挙権はなくならない件や、自己破産の手続によるデメリットについて、以下の記事でくわしく取り上げています。

ぜひ、そちらも参考にしてください。

2-6 自己破産をしても将来年金を受け取れる

自己破産をすると、将来の年金受給に影響が出るのではないかと心配される方もいます。しかし、自己破産を理由に公的年金の受給資格が失われることはありません。

公的年金は法律で差押えが禁止されており、自己破産後も通常どおり受給できます。ただし、個人で契約した個人年金保険などの私的年金については、自己破産手続において解約返戻金が財産とみなされ、差押えの対象となる可能性があります。

そのため、私的年金に関しては注意が必要です。詳細については、専門家に相談するのが賢明です。また、自己破産後も年金保険料の支払い義務は継続します。経済的に困難な場合は、保険料の免除や納付の猶予などの制度を利用しましょう。

なお、年金保険料が払えない場合の制度の利用や、未納のまま放置するととやがて差押えになる件について、以下の記事でくわしく解説しています。

そちらもぜひ、参考にご覧ください。

3章 適切なタイミングで自己破産をすれば債権者の損失も抑えられる

自己破産は、債務者が経済的再生を図るための手続ですが、債権者にとっても重要な意味を持ちます。適切なタイミングでの自己破産の申立てにより、債権者の損失を最小限に抑えられます。

まず、債権者は貸し倒れた金額の損金処理により、税金の節税効果を得られます。また、破産者の財産が換価され、債権者に分配されると、一定の回収が見込めるでしょう。

これら2つの要素は、債権者の経済的負担を軽減する役割を果たします。それぞれを、くわしく見ていきましょう。

3-1 債権者は貸し倒れた金額を損金処理し税金を節税できる

債権者は、債務者が自己破産を申請した場合、貸し倒れた金額を損金として処理できます。これは、税法上の「貸倒損失」として認められており、課税所得を減少させる点で有効です。

その結果、法人税や所得税の負担が軽減され、債権者の経済的損失を緩和できます。具体的には、債務者が自己破産を申し立てた時点で、債権者は債権額の½の損金処理が可能です。

さらに、個人の同時廃止の場合、開始決定の時点で全額を貸倒処理する業者もあります。債権者は早期に損失を確定させ、税務上のメリットを享受できるわけです。

ただし、貸倒損失として損金処理を行うためには、税法上の要件を満たす必要があります。たとえば、債務者の資産状況や支払能力から全額が回収できないのが明らかである場合などが該当します。

このように、適切なタイミングでの自己破産申立ては、債権者の税務上の負担を軽減するためのひとつの要素といえるでしょう。

3-2 破産者の財産は換価され債権者に分配される

自己破産手続において、破産者の財産は破産管財人によって換価(現金化)され、その後、債権者に対して公平に分配されます。このプロセスは「配当」と呼ばれる、債権者が一定の回収を得るための重要な手続です。

配当の実施までには、まず債権の調査が行われ、次に破産者の財産が換価処分されます。その後、まずは優先的な債権から順に配当が行われます。

たとえば、滞納していた税金などは、一般の債権よりも優先的に配当を受けられます。

ただし、破産者の財産が少ない場合や、配当可能な金額が1,000万円未満の場合には、簡易配当と呼ばれる簡略化された手続が適用されるケースも珍しくありません。この場合でも、債権者は一定の配当を受けられます。

このように、破産者の財産が換価されて債権者に分配され、債権者は全額ではないものの、一定の回収を図れます。適切なタイミングでの自己破産の申立ては、債権者の損失を最小限に抑えるために重要です。

借金問題で自力返済ができなくなり、自己破産を検討しておられるみなさんは、ぜひグリーン司法書士法人にお気軽にご相談ください。当司法書士法人では自己破産を含め、借金問題に関する個々のケースに応じた解決方法をご提案し、その実行をサポートできます。

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4章 自己破産がどうしても恥ずかしいならほかの債務整理もある

自己破産に対して、抵抗感や恥ずかしさを感じるかたも少なくありません。実は、自己破産という究極の選択以外にも、借金問題を解決する手段があります。

債務の状況に応じて、任意整理や個人再生といったほかの債務整理の利用も可能です。これら2つの方法は、自己破産に比べて社会的影響が少ないといえるでしょう。それぞれの概要を見ていきましょう。

4-1 任意整理

任意整理は、裁判所を介さずに債権者と直接交渉し、返済条件の見直しを図る法的手続です。将来利息のカットと、返済期限の延長(1回の返済額の見直し)などを交渉し、毎月の返済負担を軽減できます。

任意整理の主なメリットは、家族にバレにくく、手続が比較的簡便であり、費用も抑えられる点です。また、その名のとおり整理する債権が任意で選べるので、保証人がついている債権を外して、迷惑をかけないようにもできます。

ただし、任意整理は債権者との合意が必要であり、すべての債権者が交渉に応じるとはかぎりません。また、元本の減額はできないので、借金総額が多くて3〜5年間で返済が難しい場合には、ほかの方法がよいでしょう。

なお、信用情報には事故情報が、完済から5年間は残ります。返済期間も含めて、8〜10年は新規の借入やクレジットカードの利用は困難です。

任意整理とはどういうものかや、任意整理が持つメリットとデメリット、向いている人や事例などについては、以下の記事でくわしく解説しています。

ぜひ、そちらも参考にしてください。

4-2 個人再生

個人再生は、裁判所を通じて借金を大幅に減額し、残額を3〜5年で分割返済する法的手続です。住宅ローンがある場合でも、マイホームを手放さずに手続を進められる住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を利用できる点も特徴といえるでしょう。

個人再生により、借金総額を通常は5分の1程度、最高で10分の1に減額できる可能性があります。減額幅は借金総額や、資産状況によって異なるものです。

また、手続には裁判所を介するため、任意整理に比べて手続きは煩雑であり、費用もかかります。個人再生のデメリットは、官報に氏名や住所が掲載される点です。

とはいえ、一般の人が官報を見る機会は少なく、周囲に知られるリスクは低いとされています。個人再生を検討する際は、安定した収入があり、継続的な返済が可能であるかどうかが重要です。

なお、信用情報には事故情報が少なくとも7年間は残ります。その間の新規借入やクレジットカードの利用は困難です。

個人再生とはどういうものかや、個人再生が持つメリットとデメリット、事例などについては、以下の記事でくわしく解説しています。

ぜひ、そちらも参考にしてください。

なお、債務整理の主な種類ごとの特徴やメリット、デメリットについては、以下の一覧表を参考にしてください。

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債務整理の種類任意整理個人再生自己破産
特徴裁判所を通さずに、債権者と直接交渉して借金の減額や返済計画の見直しを行う方法裁判所に申立てを行い、借金の減額と返済計画の認可を得る方法裁判所に申立てを行い、全ての借金を免除してもらう方法
メリット・手続が比較的簡単で費用が安い
・家族や勤務先に知られない
・厳しい取立てを止められる
・新たな借入が制限される
・借金を大幅に減額できる
・住宅や車などの財産を守れる
・将来、再び借金問題に陥る可能性が低い
・厳しい取立てを止められる
・新たな借入が制限される
・借金が全て免除される
・新しい生活をスタートできる
・厳しい取立てを止められる
・新たな借入が制限される
デメリット・減額できる金額は債権者との交渉次第
・一定期間、クレジットカードやローンを利用できない
・複雑な裁判所申立てが必要
・複雑な裁判所申立てが必要
・官報に掲載される
・一定期間、クレジットカードやローンを利用できない
・一定期間、職種制限を受ける
適したケース・債務額が大きくなく、将来的に返済できる見込みがある場合・一定収入はあるが債務額が大きく、任意整理では難しい場合・債務額が非常に大きく、他の方法では返済が難しい場合

債務整理の種類と生活への影響に関しては、以下の記事でくわしく解説しています。

ぜひ、そちらも参考にご覧ください。

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まとめ

自己破産は、借金問題に直面した際の有効な解決策であり、決して恥ずかしいことではありません。法律で認められた手続であり、経済的再生を図るための正当な手段です。

また、自己破産をしても会社や周囲に知られる可能性は低く、住民票や戸籍に記載されることもありません。さらに、自己破産をしてもすべての資産を失うわけではなく、一定の現金と生活に必要な財産は保護されます。

パスポートの没収や選挙権の喪失、年金受給権の剥奪といった心配も不要です。なお、適切なタイミングで自己破産を申立てると、債権者の損失も最小限に抑えられます。

自己破産に抵抗がある場合でも、任意整理や個人再生といったほかの債務整理方法を検討できます。自身の状況に合った最適な手段を選択し、経済的な再スタートを切りましょう。

自己破産をしたいが恥ずかしくて踏み切れないみなさんは、ひとりで悩む必要はありません。ぜひグリーン司法書士法人にお気軽にご相談ください。当司法書士法人では借金問題に関する個々のケースに応じた解決方法をご提案し、その実行をサポートできます。

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