債務整理をしたら自動車ローンはどうなる?車を残す方法と審査が通るポイント

   司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

借金返済の知識
債務整理をしたら自動車ローンはどうなる?車を残す方法と審査が通るポイント

この記事は約 14 分で読めます。

借金を減額したり免除することができる債務整理。専門的な手続きが必要になりますが、借金の苦しみから解放されるので支払いが難しくなった際に有効的な手段です。

債務整理できる借金は、クレジットカードの支払いや金融機関での借入、携帯の支払い、自動車ローンやショッピングローンなどがあります。

この記事では、債務整理での自動車ローンの扱いを解説いたします。

債務整理を検討しているけれど自動車は残したい方、自動車ローンが支払えずに困っている方はぜひ参考にしてくださいね。

1章 所有権留保がついている車は債務整理したら没収されてしまう!

自動車のような大きな買い物をする際は、自動車ローンを組んで分割で購入することがほとんどです。

購入後は毎月一定額のお金を返済していきますが、途中で自動車ローンが支払えずに債務整理の手続きを行う方も少なくありません。

しかし、中には債務整理を行うと車が没収されてしまうケースもあるので注意が必要です。

没収されてしまうケースとは、自動車ローンを組む際に支払いが終わるまで車を信販会社の名義にされる「所有権留保」という担保がついているケースです。

自動車ローンはディーラー系やクレジットカード系などの信販会社が債権者となるケースが多く、所有権留保をつけていると購入者がローンを滞納した場合に車を没収できるメリットがあります。

よって、所有権留保がついている車のローンを債務整理する場合は、車が没収されてしまうことを覚えておきましょう。

2章 債務整理をしても自動車を残せる?

債務整理をすると全ての車が没収されるかと言われたらそうではありません。

場合によっては債務整理をしても自動車を残せるケースもあります。

ここからは、債務整理の種類別に自動車を残せるか見ていきましょう。

【任意整理】自動車ローンを除いて手続きをすれば残せる

任意整理は、借金の利息や遅延延滞金などをカットして借金を減額することができる手続きです。

裁判所に行く必要がなく、司法書士や弁護士などの専門家と債権者(借金先)の話し合いのもと、借金の減額が可能なので債務整理の中でも手軽と言えます。

任意整理では、全ての借金を減額することもできますが一部の借金を除いて減額することも可能です。ですので、自動車ローン以外にも借金を抱えている場合は、自動車ローンを除いて任意整理を行えば車を没収されずに済みます。

他の借金の返済に追われて自動車ローンまで払えないという場合は有効的と言えます。

しかし、自動車ローンのみの返済が厳しい場合は任意整理をした場合、没収されてしまう可能性が高いので注意しましょう。

【個人再生】親族などの援助によっては残せる

2-2-1 原則論では自動車を残せない

個人再生は、財産を残した上で借金を大幅に減らすことができる手続きです。任意整理よりも借金の減額幅が大きいので任意整理でも完済できない額の場合は有効的です。

個人再生は、一部の債権者を除いての債務整理を行うことができないため、全ての借金をまとめて減額することになります。ですので、所有権留保がついている車は没収されてしまいます。

2-2-2 例外的に残せる場合はある

しかし、個人再生をしても100%没収されるわけではありません。

  • 所有権留保がついていない車
  • 既に自動車ローンを支払い終えている車
  • 一括払いで購入した車
  • 個人再生の手続き前に第三者に代わりにローンを完済してもらった車

この4つのケースであれば、車を残して個人再生することが可能です。

ポイントとしては、

  1. 所有権留保がついていないか
  2. 自動車ローンが支払い終えているか

の2点を確認しましょう。

自分の車に所有権留保がついているかどうかは車検証で確認することができます。

車検証には「所有者の氏名と住所」と「使用者の氏名と住所」が記載されており、チェックする部分は「所有者の氏名と住所」の部分です。

所有者が自分の場合は没収されませんが、信販会社やディーラーの名義になっていれば「所有権留保」がついているため、債務整理をする場合は残すことができないので覚えておきましょう。

ただし、自動車ローンが支払い終えていても価値が高い車を持っている場合は、相当の財産を持っていると見なされ個人再生の返済額が上がる可能性があります。没収こそされませんがこの点は注意が必要です。

なぜ財産額が返済額に影響するのかについてはこちらの記事をご覧ください。

また、自動車ローンが残っていたとしても、個人再生の手続き前に第三者に自動車ローンを完済してもらった場合でも車を残すことができます。

ただし、重要なのは「第三者に完済してもらうこと」です。個人再生や自己破産の手続き前に、債務者(借金をした本人)が一部の債権者だけに支払いをするのは平等ではないことから破産法で禁止されています。

「偏頗弁済(へんぱべんさい)」という免責不許可事由に該当するため、絶対に車を没収されたくない場合は必ず第三者に払ってもらいましょう。

【自己破産】原則難しいが場合によっては残せる

自己破産は、必要最低限のもの以外を失う代わりに全ての借金の支払い義務がなくなる手続きです。

もちろん「必要最低限のもの以外を失う」ため、当然車も没収の対象になってしまいます。

ただし、自動車ローンが完済されているかつ、売っても相当の価値がない車の場合は残しておけるケースもあります。

しかし、残念ながら財産と見なされる車や所有権留保がついている車を持っている場合は没収されてしまうので、今ある車は諦めなければいけません。

中には「そうは言っても地方在住で車がないと生きていけない」という方も多いと思います。

どうしても車が必要な場合は、個人再生と同様に第三者に協力してもらい一括で完済するか、今ある車を手放して自己破産の手続き後に新たに自動車を購入する方法を取りましょう。

いずれにせよ、事前に専門家としっかり相談してから進めることが非常に重要です。

3章 債務整理中に自動車ローンを組むのは難しい

任意整理や個人再生では手続きが完了すると、計画に基づいて支払いを開始していきます。

もちろん、購入額に上限もないため自動車を購入することも問題ありません。しかし、債務整理中に自動車ローンを組むのはほぼ不可能と言って良いでしょう。

特に、所有権留保がついている銀行や信販会社の自動車ローンは、信用情報機関に申し込んだ人の信用情報を照会して審査を行うので、債務整理した履歴を確認することができます。

直近で債務整理の経験があると「長期的に問題なく支払いし、完済できるか不安」と見なされ審査落ちする可能性が高いです。

3-1 債務整理完済後でも5〜10年は審査落ちする可能性大!

また、債務整理で残った借金を晴れて完済したとしても、その後5〜10年は審査落ちする可能性が高いので注意が必要です。

なぜなら、信用情報機関の信用情報は、借金を完済されるとすぐに消えるわけではないからです。

金融機関によっても異なりますが、完済したとしても5〜10年は債務整理の履歴が消えないので、その期間に自動車ローンを申し込んでも審査落ちしてしまいます。

特に、自己破産や個人再生は重く見ている金融機関も多いため最長の10年と考えて良いでしょう。

ですので、自己破産をして借金が免除になったとしてもそこから10年はローンを組むことができません。次に自動車ローンを組むことができるのは10年後になります。

4章 債務整理後はローンの審査前に金融事故情報を確認しよう

「そろそろ自動車ローンが組めそうだ」と思ったら信用情報機関に問い合わせて事故情報が載っているか確認しましょう。

信用情報機関では「信用情報開示制度」があり、自分の信用情報を確認することができるのでチェックしてみましょう。確認の際には本人確認用の身分証明書が必要なので併せて用意しておきましょう。

信用情報機関 方法手数料
CICパソコン
スマートフォン
窓口
1,000円
(窓口は500円)
JICCスマートフォン
窓口
1,000円
(窓口は500円)
KSC郵送1,000円

注意点として、事故情報を確認する際は必ず信用情報機関に問い合わせることです。

「ええい、一か八か」と賭けで自動車ローンに申し込んで審査落ちしてしまうと、その審査落ちした情報も信用情報機関に載ってしまうからです。こうなると、ますます審査の通過が遠のいてしまいます。

債務整理をした後に確実に自動車ローンを組みたいのであれば、手数料を払ってでも信用情報機関に問い合わせることをおすすめします。

5章 債務整理中に自動車ローンの審査に通る方法

3章で、債務整理中に自動車ローンを組むのはほぼ不可能と記載しましたが、例外として債務整理中でも自動車ローンの審査に通る方法もあります。

もちろん事故情報が載っている以上100%通るわけではなく、あくまで審査に通る可能性があるだけですがどうしても自動車ローンを組んで車を購入したい方は以下の方法を参考にしましょう。

5-1 保証人を立てて審査を行う

大きな買い物やローンを組む際は、購入する本人が万が一払えなくなったときのため代わりに払ってもらう人を立てる「保証人制度」があります。

この保証人制度を利用することによって、購入する本人に信用がなかったとしても保証人に信用があれば審査に通る可能性があります。

もちろん、保証人になれる相手なので安定した収入や支払い能力があるかは重要です。また、万が一の場合は保証人が肩代わりしなければならないため誰にでもお願いできるものでもありません。

もし、身内や信頼のおける相手で保証人になってくれそうな人がいればお願いしましょう。

5-2 審査に申し込む前に仮審査を利用する

仮審査とは、本審査前に受けられる簡易的な審査のことです。

簡易的なものということもあり、購入する本人の年収や勤続年数、職業などの情報のみの入力になりますが、審査落ちしても信用情報に履歴が残らないためデメリットなしで審査できます。

仮審査は審査時間が短く、AIなどで自動審査してくれる会社も増えているため即日で結果が分かる場合もあります。

仮審査の結果次第で借入額を見直したり頭金を設定したりと調整することもできるので、ぜひ活用しましょう。

5-3 自社ローンに申し込む

自動車ローンは、銀行系やクレジットカード系だけでなく販売店が独自に行なっている自社ローンもあります。

こちらも審査こそありますが信用情報機関の会員ではないため、信用情報機関に照会して信用情報をもとに審査することができません。

そのため、債務整理の履歴を見られることがないため比較的審査に通りやすいでしょう。万が一、審査落ちしても信用情報機関には審査落ちの情報が載らないため、安定した収入がある方はチャレンジするのをおすすめします。

また、自社ローンは独自で行なっており金融商品ではないので金利は0%です。その反面、銀行系やクレジットカード系の自動車ローンの金利分が自動車価格に上乗せされているので、月々の返済額が大きくなる可能性はあります。

任意整理や個人再生で借金を返済中の方は、自動車ローンの支払いが加わっても問題ないか必ずチェックしましょう。

5-4 家族名義で自動車ローンに申し込む

債務整理をした本人以外が申し込みをすることで、自動車ローンの審査に通過する方法もあります。

家族で使う車が欲しい場合や、家族が安定した収入がある場合はこの方法が有効的と言えるでしょう。

自分が債務整理をしたとしても身内に影響することはないため、それが原因で審査落ちすることはないのでご安心ください。

6章 債務整理中に自動車ローンの審査を行わずに車に乗る方法

「車がないと生活が成り立たない」という方は、とにかく今すぐ車に乗りたいことだと思います。

自動車ローンの審査を行わずに車に乗りたい場合は、周りの協力が必要不可欠です。

ここからは、債務整理中に自動車ローンの審査を行わずに車に乗る方法を解説いたします。

6-1 車を一括払いで購入する

自動車ローンは車を分割払いするためにあるサービスなので、車を一括払いで購入する分には審査が不要となります。

もし債務整理中にまとまったお金ができて返済にも支障がない場合は、一括払いで購入するのも手です。

ただし、個人再生や自己破産の手続き中に車を購入したい場合、豪華な車や資産になる車を購入すると管財事件の可能性が上がってしまうので注意が必要です。

管財事件とは、破産管財人(裁判所の代わりとなる人)が破産者の財産の調査や処分などを行なった上で、自己破産を認め借金を免除しても問題ないか調査をする手続きのことです。管財事件になると車が没収され破産管財人が売却額を債権者に配ります。

20万円以上の財産を保有している場合は管財事件の対象となるので、一括購入をする際は20万円以下の中古車にしましょう。

自分で購入しても問題ありませんが、親や配偶者など本人以外の人に出してもらえればより良いでしょう。この場合は金額の上限がないため、20万円以下でなくても購入が可能になります。

管財事件についての詳細は以下の記事で解説しています。

6-2 レンタカーやカーシェアリングを利用する

休日の買い物やお出かけに利用したいという方は、レンタカーやカーシェアリングなどのサービスを使用しましょう。

運転免許さえあれば審査なしでも利用できるため、債務整理中でも問題なく乗れます。

料金の支払いもクレジットカードだけでなく、現金支払いや交通系IC、電子マネー支払いなど様々用意しているところもあるのでクレジットカードが強制解約された方でも安心です。

ただし、日割りで計算すると費用が割高なため、高頻度で必要な場合は月額いくら必要なのか確認しておきましょう。

6-3 カーリースを利用する

カーリースは、毎月定額の利用料を払えばあらかじめ決められた年数まで車に乗ることができます。月額制ということもあり、車のサブスクとも呼ばれ最近人気のサービスです。

初期費用が不要で維持費も含まれており、なおかつ毎月定額の利用料さえ払えば利用することができるので自動車ローンを組むよりお手軽です。

レンタカーやカーシェアリングと違って審査はありますが「車両本体価格から契約満了時の車の価値を引いた金額」が価格になるため、審査対象となる金額を抑えることができます。よって、比較的自動車ローンよりも審査は通りやすいと言えるでしょう。

ただし、車は決められた年数になると返却する必要があるので注意が必要です。契約満了が近づいてきたら別のカーリースを利用しましょう。

毎日車を利用する方は、5〜10年の事故情報が消えるまでカーリースを利用するのがおすすめです。

6-4 家族や友人に車を貸してもらう

もし、周りに車を貸してくれそうな人がいれば車を貸してもらう方法もあります。

最も費用を抑えて車に乗ることができますが、自分の車ではないため気軽に乗れない場合や頻繁に借りられない可能性はあります。

また、相手が快く貸してくれるとも限らないので、できるだけ自分の力で車に乗れるように対処しましょう。

もし家族や友人の車を運転する時は、自動車保険に加入するのを忘れずに行いましょう。万が一の時に保険に入っていないと、債務整理の返済どころではない賠償金を背負うことになります。

最近ではコンビニなどで気軽に入れる1day保険もあるので、運転前に必ず加入しておきましょうね。

7章 車を残して債務整理をしたい場合はご相談を!

この記事では、債務整理での自動車ローンの扱いについて解説しました。

債務整理を行いたいけれど、車を残しておきたいという方は「自分の車に所有権留保がついているか」「自動車ローンを払い終えているか」の2点を確認しましょう。

自分の車が没収の対象だったからと言って債務整理を回避しようとしても、自動車ローンを滞納するようになったら早かれ遅かれ没収されてしまいます。今後も払えなさそうだとだと思ったら、早い段階で債務整理を検討するのも手です。

借金額が少ないうちは自動車ローンを除いた任意整理で完済できる可能性もあるので、まずはお気軽にご相談ください。

借金返済に関する記事を沢山公開していますので、合わせてご覧ください。

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よくあるご質問

債務整理をすると車はどうなる?
債務整理後に自動車を手元に残せるかは、債務整理の種類によって下記のように異なります。
【任意整理】自動車ローンを除いて手続きをすれば残せる
【個人再生】親族などの援助によっては残せる
【自己破産】原則難しいが場合によっては残せる
債務整理後の自動車について詳しくはコチラ
債務整理後は何年でローンが組めるようになる?
債務整理で残った借金を晴れて完済したとしても、その後5〜10年は審査落ちする可能性が高いので注意が必要です。
債務整理後の自動車ローンについて詳しくはコチラ
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