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兄弟や家族の借金問題は、多くの人にとって深刻な悩みのひとつです。しかし、法律的には原則として他人の借金に対する返済義務は負いません。
とはいえ、特定の条件下では返済義務が生じるケースも存在します。今回の記事では、そうした状況と対処法について解説します。
目次 ▼
1章 原則として兄弟の借金を返済する義務はない
一般的に、兄弟または他の家族の借金に対する直接的な返済義務はありません。これは、法律上、他人の債務に対して責任を負うことは原則としてないためです。
ただし、保証人になっているなどの特別な状況を除きます。ここでは、その原則について見ていきましょう。
1-1 保証人以外の家族・親族以外に取り立てを行うことは違法である
家族や親族が借金をしても、法律上は他の家族に返済義務は及ばず、貸金業法により債務者以外の者への返済要求は禁止されています。このため、保証人ではない家族に対する取り立て行為は法律違反です。
つまり、現実に兄弟の借金を請求されているという場合でも、原則は払う必要がありません。しかし、例外となる特別な状況もあるります。それについては、次章でくわしく解説します。
2章 兄弟の借金の返済義務を負うケース
兄弟の借金に関する返済義務は、一般的には負わないものとされるものの、特定の条件下ではこの原則に例外が生じ、返済義務が発生することがあります。
具体的には以下の3つのケースです。これらのケースでは、法律的に返済を迫られる可能性があり、適切な対応が求められます。
- 兄弟の借金の連帯保証人・保証人になっているケース
- 兄弟に自分の名義を貸してしまったケース
- 兄弟の財産・借金を相続したケース
くわしく見ていきましょう。
2-1 兄弟の借金の連帯保証人・保証人になっているケース
連帯保証人や保証人になることは、主債務者が返済不能になった際に、その借金の全額または一部の返済責任を負うことを意味します。特に連帯保証人は債務者と同等の責任を負うため、債権者は主債務者を飛び越えて直接連帯保証人に返済を求めることが可能です。
また、連帯保証人は借金全額に対しての返済義務があり、保証人が複数いる場合でも全額を負担することになります。保証人は「検索の抗弁権」を持ち、主債務者の資産からの回収を先に求めることができますが、連帯保証人にはこの権利がありません。
ちなみに「検索の抗弁権」とは、債権者に対して保証人が、債務者が弁済可能な資産などを所有している場合に、保証債務の履行を拒否できる権利です。
ただし、この権利を行使するためには、債務者の返済可能な資産の所有及び、弁済の執行が容易である事を証明する必要があります。
連帯保証人になる前提は返済能力があることで、一般的には親や配偶者などの近親者がなるケースが多いです。このため、連帯保証人も自身の財産や生活に大きな影響を受けることがあり、債務整理を検討するケースも少なくありません。
なお、連帯保証人については以下の記事でくわしく取り上げています。そちらも、併せて参考にお読みください。
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2-2 兄弟に自分の名義を貸してしまったケース
自分の名義を兄弟に貸してしまった場合、実際に借金をしたのは兄弟であっても、法律的には名義を貸した本人に返済義務が発生します。
直接名義を貸していない場合でも、過去に借金の一部について契約の代理を頼んでいた場合には、契約の名義人に返済義務が生じる可能性があります。名義を貸した結果、自身が直接的な借金の責任を負うことになり、借金返済のために自己の財産や給与が差し押さえられるリスクが発生します。
このような状況は、契約内容を十分に理解せずに名義を貸した場合に特に起こりやすいです。名義貸しによるトラブルを防ぐため、借金をする際には必ず契約内容を確認し、名義貸しのリスクを理解することが重要です。
また、名義を貸す前に法律専門家に相談することで、不必要なリスクを避けることができます。もし名義を貸した結果、借金の返済義務を負うことになった場合は、債務整理や法的な手続を通じて解決を図ることが考えられます。
この際、弁護士や司法書士などの専門家に相談することが、解決への近道となります。
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2-3 兄弟の財産・借金を相続したケース
兄弟の財産や借金を相続する場合、相続人は財産だけでなく負債も引き継ぐことになります。つまり、兄弟が亡くなった後に残された借金の返済責任も引き継ぐことになるのです。
相続した財産が借金よりも多い場合は問題ありませんが、負債が財産を上回る場合、相続人は相続放棄や限定承認といった選択肢を考える必要があります。
それによって、負の遺産を引き継がずに済むからです。相続放棄はすべての遺産を相続しないという選択であり、相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。
相続問題は複雑で法律専門家によるアドバイスを得ることが推奨されます。専門家の助言を受けることで、相続における最適な選択を行い、不必要な負担を避けることができます。
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3章 兄弟が借金滞納をした場合に起きる影響
もし自分の兄弟が借金滞納をした場合に、兄弟の財産や給料が差し押さえられる可能性があります。ただし、自分の財産や給料が差し押さえられることはありません。
3-1 兄弟の財産や給料が差し押さえられる可能性がある
自分の兄弟が借金を滞納すると、その兄弟の給料や財産が差し押さえられる可能性があります。家族名義の財産は差し押さえられないため、家族の財産は安全です。
しかし、兄弟と同居している場合や、兄弟の持ち家に住んでいる場合には影響が考えられます。
3-2 自分の財産や給料が差し押さえられることはない
原則として、兄弟の借金による自分の財産や給料の差し押さえは、原則として発生しません。これは、債務の責任が個々の借り入れた人に限定されているためです。
前述の「兄弟の借金の連帯保証人・保証人になっているケース」「兄弟に自分の名義を貸してしまったケース」「兄弟の財産・借金を相続したケース」の3つを除けば、基本的に心配はありません。
4章 兄弟が借金をしているときの対処法
兄弟や家族が借金を抱えている状況は、精神的にも経済的にも大きな負担を感じさせます。しかし、適切な対応と冷静な判断が、この困難を乗り越えるためのポイントです。
兄弟が借金をしているときの主な対処法としては、以下の3つが挙げられます。
- 返済を肩代わりする
- 債務整理について司法書士・弁護士に相談する
- 相続放棄・限定承認を検討する
個別に見ていきましょう。
4-1 返済を肩代わりする
家計に余裕があれば、兄弟の借金を肩代わりすることもできるでしょう。しかし、一見問題を解決する近道のように思えるこの方法は、あまり推奨されません。
根本的な解決にはならず、再び同じ問題が起こる可能性があります。なぜなら、完済され債権者はその兄弟をきちんと返済した優良顧客として扱うからです。
つまり、借入れできる枠が増加し、「前よりもっとお貸ししますよ」という趣旨の勧誘DMなども来るでしょう。肩代わりしてもらった兄弟は味をしめているので、再度大きな借金をしやすい状態にあります。
兄弟の深刻な借金問題に対処するには、法律の専門家と相談することが最も確実な方法です。専門家は状況を正確に把握し、最適な解決策を提案してくれるため、一人で悩むよりも適切な対応が可能になります。
なお、親の借金の返済義務については、肩代わりしない方法と相続した場合の対処法も含めて、以下の記事でくわしく取り上げています。そちらも、併せて参考にお読みください。
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4-2 債務整理について司法書士・弁護士に相談する
兄弟の借金について本人のためや、保証人になった自分のために債務整理を検討している場合、専門的なアドバイスが必要です。司法書士または弁護士に相談することで、借金問題に対する適切な解決策を見つけることができます。
司法書士は費用も比較的安く、主に140万円以下の借金に関する債務整理を担当し、督促の停止や任意整理の書類作成、和解交渉などを引き受けることが可能です。
弁護士は高額になりますが、債務額に関わらず債務整理全般に対応可能で、地方裁判所の手続きであっても代理人として行えます。
債務整理にはいくつかの方法があり、個人の状況によって最適な解決策は異なります。そのため、まずは無料相談を行っている法律事務所に相談し、自分に合った専門家を見つけることが重要です。
債務整理の各方法の特徴やメリット、デメリット、向いているケースについては、以下の表を参考にしてください。
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種類 | 特徴 | メリット | デメリット | おすすめなケース |
---|---|---|---|---|
任意整理 | 債権者と直接交渉して、将来の利息をカットし、残りを分割返済する方法 | 借金の総額が減額され、月々の返済額が軽減される・周囲にバレにくい | 交渉が難航する可能性がある | 債務額が大きくなく、将来的に返済できる見込みがある場合 |
個人再生 | 裁判所の許可を得て、借金を減額し、残りを3年で分割返済する方法 | 借金の総額が大幅に減額される | 財産が多いと返済額が増える | 一定収入はあるが債務額が大きく、任意整理では難しい場合 |
自己破産 | 裁判所の許可を得て、借金を免除してもらう方法 | 借金の返済義務がなくなる | 官報に掲載され、主立った財産を失う | 債務額が非常に大きく、他の方法では返済が難しい場合 |
相談時には、自身の財務状況を正確に伝え、可能なかぎりの資料を準備しておきましょう。専門家は、提供された情報をもとにして、最も適切な債務整理の方法を提案してくれます。
なお、債務整理の種類と生活への影響に関しては、以下の記事でくわしく解説しています。ぜひ、そちらも参考にご覧ください。
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4-3 相続放棄・限定承認を検討する
相続放棄や限定承認は、亡くなった兄弟からの相続財産のなかで、借金などの負債を相続しないための手続です。この手続を行うことで、借金を引き継がずに済みます。
相続放棄とは、すべての遺産の相続を放棄することです。一方、限定承認とは相続人の借金などの負債を相続財産の範囲でしか負わない相続方法です。
いずれも家庭裁判所に申し立てる必要があり、手続には期限があります。「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内」がその期限です。
これらの手続には、複雑な法的判断が必要になる場合があります。したがって、弁護士や司法書士に相談することが推奨されます。
まとめ
兄弟や家族の借金問題は、特に相続の場面で重大な影響を及ぼす可能性があります。相続放棄や限定承認といった手段は、負債を引き継がないための法的な手続であり、適切な対応をすることで、借金の責任から逃れることが可能です。
相続に関する法律問題は、一般人にとっては非常に複雑で理解しにくいものです。特に、兄弟の借金を相続することになった場合、どのように対処すれば良いのか迷うこともあるでしょう。
このようなときには、専門家に相談することで、個別の状況に最適な解決策を見つけ出すことが可能です。相続放棄や限定承認は、一度決定すると取り消すことが難しいため、専門家の助言を得ながら慎重に進めることが求められます。
相談する専門家を選ぶ際には、グリーン司法書士法人のように、複数の法的問題に対応可能な事務所であれば、一貫したサポートを受けることができるでしょう。
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よくあるご質問
- 家族の借金の返済義務は負う必要がある?
- 一般的に、兄弟または他の家族の借金に対する直接的な返済義務はありません。これは、法律上、他人の債務に対して責任を負うことは原則としてないためです。
家族の借金の返済義務について詳しくはコチラ
- 借金を家族に取り立てするのは違法?
- 借金を本人以外に取り立てるのは、貸金業法で禁止されています。
違法の取り立てについて詳しくはコチラ