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- 債務整理のデメリット
- 債務整理の後でも変わらないこと
- 債務整理の後でも快適に過ごすためのポイント4選
借金問題の解決に役立つ債務整理ですが、「手続き完了後はクレジットカードやローンは使えなくなるのか」「信用情報はいつ回復するのか」などの不安がある人もいるのではないでしょうか。
債務整理をすると信用情報に事故情報が記録され、クレジットカードやローンの審査通過が難しくなるなど、一定期間は生活に悪影響が及びます。しかし、数年後には信用情報が回復するため、再び利用できるようになります。本記事では、債務整理後のデメリットや変わらないこと、生活を快適にするためのポイントを詳しく解説します。債務整理を検討している方や、手続きを終えた後の生活を知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
目次 ▼
1章 債務整理のその後に注意したい4つのデメリット
債務整理をすると、借金の負担が軽減される一方で、その後の生活に以下のような影響が及ぶというデメリットもあります。
- クレジットカードやローンを利用できなくなる
- 賃貸住宅の審査に通過しにくくなる
- スマートフォンの分割払いができなくなる
- 持ち家や車が処分される可能性がある
ここでは、債務整理後に気をつけたい4つのデメリットについて見ていきましょう。
1-1 クレジットカードやローンを利用できなくなる
債務整理をすると、信用情報に事故情報(いわゆるブラックリスト入り)が記録されるため、新規のクレジットカードやローンの審査通過は困難です。利用していたクレジットカードも、弁護士・司法書士が受任通知を送ると強制的に解約されます。そのため、現在持っているクレジットカードも、未払いでなくても手続きが開始されると利用できなくなります。
また任意整理の対象のクレジットカードは手続きと同時に利用できなくなりますが、任意整理の対象から外したクレジットカードは使い続けられます。ただし、クレジットカードの更新審査、クレジットカード会社が定期的に実施している審査によって事故情報が発覚すると、利用停止になる可能性が高いでしょう。
なお、信用情報機関に事故情報が登録される期間は、以下の表のように手続きの種類によって異なります。
債務整理方法 | 事故情報が登録される期間 |
---|---|
自己破産(クレジットカードはすべて解約) | 開始決定から7年 |
個人再生(クレジットカードはすべて解約) | 完済時点から5年 |
任意整理 | 完済時点から5年 |
この期間中は基本的に、クレジットカードの新規発行や、住宅ローン・自動車ローンなどの新規契約はできません。
1-2 賃貸住宅の審査に通過しにくくなる
債務整理をして信用情報に事故情報が記録されている間は、新たに賃貸住宅を借りる難易度が高くなります。なぜなら、保証会社との契約が必要な物件では、信用情報がチェックされるためです。保証会社とは、借主が家賃を滞納した際に代わりに立て替える会社です。
保証会社は借主の滞納リスクを評価するために、年収や勤務先などの情報と合わせて信用情報も確認しています。そのため、信用情報に事故情報が記録されていると、「家賃を滞納するリスクが高い」と判断され、審査通過が難しくなるのです。
ただし、すべての賃貸物件で信用情報が重視されるわけではありません。保証会社を利用しない場合や、連帯保証人を立てられる場合は、信用情報に関係なく契約できる可能性があります。
1-3 スマートフォンの分割払いができない
債務整理をすると、スマートフォンの分割購入ができなくなる可能性が高いです。なぜなら、新規契約や機種変更時に分割払いを希望すると、携帯電話会社は信用情報をチェックするためです。
信用情報に事故情報が記録されていると、返済が滞るリスクがあると判断され、分割払いの審査に落ちてしまいます。そのため、債務整理後にスマートフォンを購入する場合は、一括払いや、中古端末の活用を検討しましょう。
1-4 持ち家や車が処分される可能性がある
債務整理の方法によっては、持ち家や車を手放さなければならない可能性があります。
自己破産は基本的に20万円以上の価値がある財産は処分され、債権者への配当に充てられる仕組みです。そのため、持ち家は売却され、住宅ローンが残っている場合は競売にかけられます。また、車もローンが残っていれば所有権が債権者にあるため、引き上げられます。ただし、ローンを完済していて車の査定額が20万円以下の場合や、仕事で必要な場合は手元に残せる可能性があります。
個人再生では、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用することで、一定の条件を満たせば持ち家を手放さずに手続きを進めることが可能です。 また、ローンを完済している車も手元に残せます。
任意整理は債権者と交渉し、借金の返済条件を変更する手続きです。住宅ローンや自動車ローンを整理対象に含めなければ、持ち家や車は引き上げられません。
2章 債務整理の後でも変わらないこと
債務整理をすると、クレジットカードの利用制限や信用情報への悪影響などの不利益を被ります。一方で、債務整理をしても影響を受けないことも多くあります。ここからは、債務整理後でも変わらない4つのポイントを見ていきましょう。
2-1 給与は差し押さえられない
給与が差し押さえられるのは、裁判で債権者が差押えの申し立てを行い、裁判所が認めた場合です。債務整理をしても給与は差し押さえられないため、会社からの給与は通常どおり受け取れます。
また、すでに判決が出ている状態で自己破産や個人再生の手続きを申請した場合、破産手続きが完了すると差押えはできなくなります。そのため、給与の差し押さえを避けるためには、早めに弁護士・司法書士に相談し、適切な債務整理を進めることが大切です。ただし、判決後に債務整理を行うと破産手続きが完了するまでは、差押え相当分を勤務先が保管することになります。
2-2 職場にバレる可能性は低い
弁護士や司法書士、裁判所が勤務先に連絡するケースはないため、債務整理をしても職場にバレる可能性はほぼありません。自己破産や個人再生をすると官報に氏名が掲載されますが、官報を日常的にチェックする人はほとんどいません。そのため、債務整理をしても職場にバレる可能性は高くないのです。
ただし、勤務先からお金を借りている場合に自己破産や個人再生をすると、会社を債権者として裁判所に届け出る必要があります。会社に通知が届くため、債務整理をすることが職場にバレてしまいます。
整理先を選べる任意整理なら勤務先を外して交渉を進められますが、自己破産や個人再生でバレずに手続きを進めるのは困難です。したがって、会社からの借り入れがある場合は、自己破産する前に正直に報告しましょう。
2-3 銀行口座やデビットカードは使用できる
債務整理をしても、銀行口座の利用は基本的に制限されません。 そのため、口座への給与振込や預金の管理は通常通り行うことができます。
また、デビットカード(口座残高から即時引き落としされるカード)も、基本的に利用可能です。デビットカードは信用情報を審査しないため、クレジットカードの代わりとしてキャッシュレス決済を利用できます。
ただし、債務整理の対象に含めた銀行の口座は、一時的に凍結される可能性があります。自動車ローンやカードローンを利用していた場合は、債務整理後に口座が制限されるケースがあるため、給与振込先や公共料金の引き落とし口座は、お金を借りていない銀行口座に変更しておくと安心です。
2-4 家族はクレジットカードやローンを利用できる
債務整理の記録(事故情報)は、本人の信用情報にのみ登録され、同じ住所に住んでいる家族や親族の信用情報には反映されません。そのため、あなたが債務整理の手続きを始めた後でも、家族はクレジットカードを利用したり、ローンを組んだりできます。
ただし、家族カードを利用していた場合、本会員がクレジットカードを解約すると家族会員もクレジットカードを利用できません。また、夫婦でペアローンを組んでいる場合、片方が自己破産すると、配偶者が連帯保証人として住宅ローンの支払い義務を負うことになります。もし、負担に耐えられなければ、配偶者も自己破産を選択せざるを得なくなり、最終的に住宅を手放す必要があります。
家族が保証人になっていない限り、家族の信用情報には影響しませんが、共同名義のローンや連帯保証の契約がある場合は、債務整理の影響を受ける可能性があるため、専門家に相談するなどして慎重に対応しましょう。
3章 債務整理の後でも快適に過ごすためのポイント4選
債務整理をすると、クレジットカードが使えなくなったり、新たなローンを組めなくなったりするため、生活に一定の制約が生じます。また、債務整理をしたにもかかわらず、再び借金をしてしまうと、さらに深刻な状況に陥るかもしれません。しかし、以下のようなポイントを押さえておけば、債務整理後でも快適な生活を維持することは可能です。
- 固定費を見直して支出を削る
- プリペイドカードやスマホ決済を活用する
- 家族名義でのローンを検討する
- 副業や転職などで収入を増やす
ここでは、債務整理後の生活を安定させ、再び借金をしないためのポイントを4つ紹介します。
3-1 固定費を見直して支出を削る
債務整理後は、新たな借り入れが難しくなるため、支出を抑えて無理なく生活できる環境を整えましょう。特に毎月固定で発生する以下のような支出を見直すことで、大幅な節約につながります。
- スマホの通信費を格安SIMに変更する
- 不要なサブスクリプションサービスを解約する
- 電気・ガスなどの公共料金のプランを見直す
- 保険の補償内容を確認して不要な部分を削る
固定費は一度見直すだけで継続的に節約効果が得られるため、生活費の負担を減らすのに有効です。債務整理後の生活を安定させるためにも、固定費を削減して借金に頼らずに生活できる家計を整えましょう。
3-2 プリペイドカードやスマホ決済を活用する
債務整理後はクレジットカードが利用できなくなりますが、プリペイドカードやスマホ決済を活用することで、キャッシュレス決済を継続できます。
プリペイドカードは事前にチャージした分だけ利用できるため、使い過ぎを防げるのがメリットです。また、バンドルカードのように、クレジットカードと同様にオンラインショッピングでも使える種類もあります。
またPayPayや楽天ペイ、d払いなどのスマホ決済は、銀行口座やATMからのチャージで簡単に利用でき、スムーズに決済を終えられます。債務整理後は再び借金しないことが重要なため、プリペイドカードやスマホ決済を上手に活用し、計画的な支払いを心がけましょう。
3-3 家族名義でのローンを検討する
債務整理をすると、信用情報に事故情報が記録されるため、一定期間は新たなローンを組むことができません。そのため、車や家電の購入、住宅ローンの利用を検討している場合、家族名義でローンを契約する方法も選択肢の一つです。
例えば自動車を購入したい場合は、家族が名義人となりローンを組めば、債務整理後でも車を所有可能です。また、住宅ローンについても、配偶者や親が契約者となることで購入を進められる可能性があります。
ただし、家族に大きな借金を負ってもらうことになるため、慎重な判断が求められます。家族の信用情報を利用する以上、事前にしっかり相談して無理のない返済計画を立てましょう。
3-4 副業や転職などで収入を増やす
固定費を削減して支出を抑えた後、収入を増やせば債務整理後の生活の安定感は増します。借金に頼らない生活を続けるためにも、副業や転職などで収入アップを目指してみましょう。
副業を始めて少しでも収入が増えれば、急な出費にも対応しやすくなります。例えば日払いアルバイトやフードデリバリーのようなスキマ時間に働ける仕事なら、本業に支障をきたさずに収入を得られるでしょう。また、これまでの経験を活かして、より収入の高い職場へ転職することも選択肢の一つです。
債務整理後に収入が増えると経済的な安定につながり、再び借金をするリスクを減らせます。無理のない範囲で収入を増やす方法を模索し、借金に頼らない生活を目指しましょう。
4章 債務整理のその後はあなたの借金はどうなる?
自己破産 | 裁判所の免責許可を受けることで、原則すべての借金が帳消しになる。 |
---|---|
個人再生 | 借金の元本が5分の1程度まで大幅に減る。減額後の借金を3〜5年で返済すれば完済。 |
任意整理 | 利息や遅延損害金がカットされ、元本のみを3〜5年の分割払いで返済。元本自体は減額されないが、無理のない返済計画を立てられる。 |
債務整理が完了すると、毎月の借金返済の負担が軽減され、家計の見直しがしやすくなります。自己破産では、すべての返済義務がなくなるため、手続きを終えた時点で借金問題から解放されます。ただし、一定の財産が処分されるため、生活の立て直しには計画的な資金管理が必要です。
個人再生や任意整理では、借金の減額や利息のカットによって毎月の返済額が下がるため、月々の支払いが楽になります。また、任意整理や個人再生が終われば、これまで借金返済に充てていた分を貯金に回せます。完済以降に生活水準を上げなければ、借金が必要ない暮らしを実現できるでしょう。
5章 債務整理をするかどうか迷っているなら弁護士・司法書士に相談しよう
借金の返済が厳しくなり、債務整理を考えているものの、「手続き後の生活が心配」「どの方法が自分に適しているのかわからない」と迷っている方も多いのではないでしょうか。債務整理にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、自分の状況に合った方法を選ぶことが重要です。
「このまま返済を続けるべきか」「債務整理をすればどのくらい負担が減るのか」といった疑問を解決するためにも、まずは弁護士・司法書士に相談してみましょう。専門家に相談すれば、借金の総額や収入・生活状況に応じて、最適な債務整理の方法を提案してもらえます。
また、弁護士・司法書士に依頼するとすぐに受任通知が送付され、債権者からの督促がストップするため、精神的な負担も軽減可能です。一人で悩み続けるよりも専門家のアドバイスを受けることで、借金問題の解決に向けてスムーズに動き出せます。
グリーン司法書士法人では、債務整理に関する無料相談を受け付けています。債務整理をするかどうか決めていない段階でも現状を整理し、最適な解決策を提案いたしますので、お気軽にご相談ください。
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まとめ
債務整理をすると借金の帳消しや減額、利息のカットなどによって家計の立て直しを図れます。一方で、以下のようなデメリットがある点には注意が必要です。
- クレジットカードやローンを利用できなくなる
- 賃貸住宅の審査に通過しにくくなる
- スマートフォンの分割払いができない
- 持ち家や車が処分される可能性がある
ただし、債務整理をしても影響を受けないことも多く、日常生活が大きく制限されるわけではありません。例えば、給与の差し押さえは原則として発生せず、職場に知られるリスクも低いため、仕事を続けながら生活を立て直せます。
また手続きが完了すれば、これまで返済に充てていた分を貯蓄に回せます。債務整理後の生活が不安で踏み切れない方も多いですが、適切な方法を選択して支出の見直しや収入を増やす工夫をすることで、借金に頼らない生活を送ることは十分可能です。債務整理をするかどうか迷っている場合は、一人で悩まずにまずは専門家に相談してみましょう。
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