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- 連帯保証人なしで住宅ローンを組めるかどうか
- 住宅ローンにおいて連帯保証人が必要になるケース
- 住宅ローンで連帯保証人を設定する際の注意点
住宅ローンを組む際、「連帯保証人が必要になるのでは?」「親族に頼れる人がいない」と不安に感じる方は少なくありません。
近年では、連帯保証人なしでも住宅ローンを組めるケースが増えています。ただし、金融機関の選び方や収入状況、物件の所有形態によっては、保証人を求められるケースもあるため注意が必要です。
本記事では、連帯保証人なしで住宅ローンを組むために大切なことや、連帯保証人が必要になる具体的なケースなどを解説します。連帯保証人なしで住宅ローンを組みたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次 ▼
1章 連帯保証人なしで住宅ローンを組むためにはどうすべき?
かつては、住宅ローン契約時に連帯保証人を立てるのが一般的でしたが、現在では連帯保証人なしで住宅ローンを組めるケースが多くなっています。なぜなら、多くの金融機関が保証会社を利用する形に移行しているためです。
保証会社とは、住宅ローンの契約者が返済できなくなった場合に、代わりにローン残債を金融機関へ支払ってくれる第三者機関です。返済リスクを保証会社が肩代わりすることで、金融機関側は連帯保証人がいなくても安心して融資を行えるという仕組みです。そのため、多くの銀行では保証会社の保証を前提とした住宅ローン商品が用意されており、連帯保証人を立てる必要がないケースが増えています。
ただし、全てのケースで連帯保証人が不要になるわけではありません。連帯保証人を立てずに住宅ローンを組みたい場合、以下のような対策が効果的です。
- 保証会社利用型の住宅ローンを取り扱う金融機関を選ぶ
- 頭金を増やして借入額を抑える
- 信用情報を確認し、延滞や未払いがある場合は改善しておく
これらの対策によって、金融機関や保証会社からの信頼性が高まり、連帯保証人を立てることを求められるリスクを抑えられます。
2章 住宅ローンにおいて連帯保証人が必要になる4つのケース
現在では、連帯保証人なしで住宅ローンを組めるケースが主流ですが、先述の通り状況によっては金融機関から連帯保証人を立てることを求められる場合があります。ここでは、代表的な4つのケースを詳しく見ていきましょう。
2-1 収入合算でローンを組む場合
住宅ローンの審査において、自分一人の収入では希望する借入額に届かない場合、配偶者や親の収入を合算する収入合算という方法があります。借入可能額を増やせるため、共働き世帯や親子で協力して住宅を取得する際などに多く利用されています。
ただし、収入合算を利用する際には、合算する相手が連帯保証人になるケースがほとんどです。連帯保証人には、普段の返済義務はないものの、主債務者の返済が滞った場合に代わりに支払う法的責任が生じます。金融機関としては「合算した収入に責任を持つ存在」を求めるため、連帯保証人という形での関与が前提となります。
なお、収入合算でローンを組む場合、連帯保証人は団体信用生命保険に加入できないうえ、住宅ローン控除も適用できない点には注意が必要です。
2-2 ペアローンを組む場合
夫婦やカップルがそれぞれの名義で住宅ローンを組むペアローンも、連帯保証人が必要となる代表的なケースの一つです。ペアローンは、二人の収入を活かしてそれぞれがローンを契約するため、合計でより大きな金額を借りられます。
ただし、ペアローンでは各自が自分の借入分を返済していく一方で、相手のローンに対して連帯保証人としての責任も負うのが一般的な仕組みです。つまり、どちらか一方が返済できなくなった場合には、もう一方が代わりに返済しなければならないというリスクを抱えることになります。
なお、ペアローンは収入合算と違ってそれぞれが主債務者となるため、団体信用生命保険への加入は可能です。また、それぞれが住宅ローン控除を適用し、節税メリットも享受できます。
2-3 金融機関から連帯保証人を求められる場合
住宅ローンの申し込みにおいて、申込者本人の返済能力に不安があると判断された場合、金融機関から連帯保証人を求められることがあります。たとえ保証会社を利用するローンであっても、リスクが高いと見なされた場合は、保証会社の保証だけでは不十分とされ、保証人を条件に審査が進められるケースがあるのです。
例えば、他にもローンを組んでいて返済負担率が高い、勤続年数が短い、自営業やフリーランスで収入が不安定といった状況では、将来的な返済の見通しが立ちづらいと判断されやすくなります。
2-4 物件・土地を共有名義で保有する場合
住宅の購入にあたって、夫婦や親子で物件や土地を共有名義にするケースも少なくありません。このように複数人で不動産を所有する場合、金融機関から共有名義人に連帯保証人となるよう求められることが多くなっています。
例えば、夫婦で住宅を購入する際に、妻が自己資金を拠出し、夫が単独で住宅ローンを組むようなケースでは、物件は夫婦の共有名義になるのが一般的です。ところが、ローン契約者である夫の持ち分割合が低いと、その分、金融機関が設定する担保の価値が不足するリスクが生じます。そうした場合、もう一方の名義人を連帯保証人として加えるように求められるケースがあります。
3章 保証人・連帯債務者との違い
ローンに関わる契約上の立場として、保証人、連帯保証人、連帯債務者といった言葉が登場することがあります。いずれもローンの返済に関与する存在ではありますが、それぞれの責任の範囲や法的な扱いは異なります。違いを理解していないと契約後に不利益を被る可能性があるため、それぞれの意味を把握しておきましょう。
3-1 連帯保証人と保証人の違い
保証人と連帯保証人は、いずれも主債務者が住宅ローンを返済できなくなったときに代わりに返済する立場ですが、法的な扱いには違いがあります。保証人は、主債務者が返済できない場合に限って返済義務を負い、債権者に対して「まずは本人に請求してほしい」と主張できる催告の抗弁権や、「本人に財産があるのだから、そちらを優先してほしい」と主張できる検索の抗弁権が認められています。
一方、連帯保証人にはこれらの抗弁権が認められておらず、主債務者に返済能力があるかどうかにかかわらず、返済が滞った時点で代位返済を求められることになります。金融機関から返済を求められた場合、連帯保証人はこれを拒否できません。
なお、住宅ローンにおいては通常の保証人が求められることはなく、実際には連帯保証人としての契約になっているのが一般的です。
3-2 連帯保証人と連帯債務者の違い
連帯保証人は主債務者とは別の立場で契約に加わり、返済が滞った場合に備えて保証を行うものです。一方、連帯債務者は主債務者と同じくローン契約の当事者となり、複数の債務者がともに返済義務を負う形で契約が成立します。
連帯債務で住宅ローンを組んだ場合、債務者それぞれが住宅ローン控除の適用対象となり、商品によってはそれぞれが団体信用生命保険に加入することが可能です。契約形態によって税制や保障制度の扱いが変わるため、ローン契約時にはそれぞれの仕組みを正しく理解したうえで選択しましょう。
4章 住宅ローンで連帯保証人を設定する際の注意点
住宅ローンで連帯保証人を設定する際の注意点は以下の通りです。
- 離婚をした場合でも連帯保証人から外れられない
- 親族と金銭的なトラブルに発展するリスクがある
- 連帯保証人は住宅ローン控除を受けられない
それぞれ詳しく見ていきましょう。
4-1 離婚をした場合でも連帯保証人から外れられない
夫婦の一方が住宅ローンの主債務者となり、もう一方が連帯保証人になっていた場合、離婚によって婚姻関係が解消されても、連帯保証人としての義務は自動的に終了しません。連帯保証契約はあくまでも金融機関との間で結ばれたものであり、離婚という私的な事情だけでは契約内容に影響を及ぼさないためです。
連帯保証人から外れるには、返済能力のある人を代わりの保証人に立てたり、別の金融機関から住宅ローンを借り換えたりする必要があります。ただし、これには再審査が必要となり、主債務者の信用状況によっては認められないことも多く、現実的には難航するケースが少なくありません。
そのため、連帯保証人が必要な住宅ローンを組む際は、通常のローン以上に慎重な判断が求められるでしょう。
4-2 親族と金銭的なトラブルに発展するリスクがある
住宅ローンの連帯保証人として、親や兄弟姉妹などの親族に依頼するケースは珍しくありません。しかし、たとえ家族間であっても金銭の貸し借りが関わる契約には注意が必要です。連帯保証契約は、単なる形式ではなく、主債務者の返済が滞った場合には、保証人が代わりに返済義務を負う法的な責任を伴います。
実際には「名義だけ貸してほしい」「万が一なんてそうそう起きない」といった軽い気持ちで契約してしまうケースも見られますが、返済が滞った場合には保証人が多額の請求を受けます。そこから親族間で金銭トラブルに発展したり、人間関係が悪化したりすることも珍しくありません。
一度連帯保証人になってしまうと、途中で勝手に契約を解除することはできず、原則として金融機関の同意や新たな保証人の用意が必要となります。親族に保証人を依頼する場合は、契約内容や万が一のリスクについて十分に説明し、納得を得たうえで慎重に判断することが大切です。
4-3 連帯保証人は住宅ローン控除を受けられない
住宅ローン控除は、本来、住宅を取得し実際に居住している人が対象となる制度です。したがって、連帯保証人として住宅ローンに関与していたとしても、自らがローンの契約者ではない場合や、物件の所有権を持っていない場合には、住宅ローン控除を受けられません。
例えば、夫が主債務者として住宅ローンを契約し、妻が連帯保証人となったケースでは、物件の登記が夫名義であれば、妻は控除の対象にはなりません。連帯保証人は、返済義務を負う立場ではあっても、制度上は「借入を行っていない人」として扱われるためです。
控除を受けるためには、ローン契約者であることに加えて、物件の所有者であり、実際に居住していることが要件となります。連帯保証人であること自体に税制上のメリットはなく、反対に「もし主債務者が返済不能になれば、全額を返済しなければならない」というリスクを背負う形になります。
契約内容によっては、「収入合算で連帯保証人になったのに、控除は受けられない」といった事態も起こり得るため、契約前に税制上の扱いや控除の対象となる条件を十分に確認しておくことが重要です。
5章 住宅ローンにおける連帯保証人は慎重に検討することが大事
連帯保証人は、主債務者が住宅ローンの返済を滞らせた場合、金融機関から直接返済を請求される立場にあります。しかも、連帯保証人には「まずは本人に請求してほしい」と主張できる催告の抗弁権や、「本人に財産があるからそちらを優先してほしい」といった検索の抗弁権が認められていません。つまり、主債務者の状況にかかわらず、いきなり全額の返済を求められる可能性があります。
また、住宅ローン契約は長期間にわたるものであり、一度連帯保証人になると、簡単にその立場から外れることはできません。保証契約を見直すには金融機関の同意が必要であり、主債務者の信用状況によっては変更が認められないこともあります。
そのため、連帯保証人を頼む側も引き受ける側も、契約の意味やリスクを十分に理解したうえで判断することが大切です。
まとめ
現在では保証会社を利用する住宅ローンが主流となっており、連帯保証人なしで契約できるケースも増えています。一方で、収入合算やペアローン、物件の共有名義といった特定のケースでは、今もなお連帯保証人を求められることがあります。
ただし、連帯保証人は催告の抗弁権や検索の抗弁権といった保証人特有の主張も認められず、状況にかかわらず全額の返済を求められる可能性がある点には特に注意が必要です。そのため、もしペアローンや収入合算以外で連帯保証人を求められた場合は、別の金融機関にも相談することをおすすめします。
なお、連帯保証人になったことで多額の借金を背負ってしまった場合、自力での解決が難しいケースもあるでしょう。そのような場合は、借金の整理に強い弁護士・司法書士への相談がおすすめです。
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