会社からお金を借りるための理由は?従業員貸付制度の特徴を解説

   司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

借金返済の知識
会社からお金を借りるための理由は?従業員貸付制度の特徴を解説

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「どうしても必要なお金が出てきたけれど、給料だけでは支払いが難しい…」

そんな緊急事態に利用したい従業員貸付制度。

従業員貸付制度を利用すると会社からお金を借りることができますが、理由が通るのか心配な方も多いのではないでしょうか。

この記事では、会社からお金を借りることができる利用条件と貸付が認められる理由について解説いたします。

また、会社からお金を借りるメリットとデメリットも紹介するので、利用を迷っている方はぜひご確認ください。

現状、他で借金をしてお困りの方は以下の記事をご参考にしてください。

1章 会社からお金を借りることができる従業員貸付制度とは?

従業員貸付制度とは、会社が社員に対して一定の条件でお金を貸し付ける制度のことです。

従業員貸付制度は、社員が一時的に資金が必要な場合や緊急の出費がある場合に利用することができ、従業員の生活支援や福利厚生の一環として導入しています。

消費者金融や金融機関よりも低利率で貸付が行われることが一般的で、返済条件もある程度調整ができることから通常の借金よりも負担を軽減することができます。

一度に借りられる金額は、従業員の収入や勤続年数に応じて設定されることが多いため、各会社の担当者に相談してみましょう。

1-1 従業員貸付制度と給料の前借りの違い

従業員貸付制度と給料の前借りの違いは、お金の出どころになります。

前借りは働いた分の給料を早めに受け取る制度なので、その分次の給料では借りた分だけ減額されます。

前借りすればするほど、次に貰える給料が少なくなるため「前借りして給料が少ないからまた前借りする」という悪循環に陥る可能性があるため注意が必要です。

一方で、従業員貸付制度は会社の資本から捻出されるお金で融資をするため、次の給料は働いた分だけ受け取ることができます。

ただし、返済のために給料から借りた分を一部天引きするため注意が必要です。

2章 従業員貸付制度を利用できる条件

従業員貸付制度は、緊急のお金が必要になったときに利用できる便利な制度です。

しかし、誰でも簡単に利用できる制度ではありません。

従業員貸付制度を利用できる条件は、以下の3つです。

  1. 正社員であること
  2. 緊急性が高い理由であること
  3. 高額な金額ではないこと

この3つに当てはまる理由であれば、利用できる可能性が高いため相談しましょう。

①正社員であること

1つ目の条件は正社員であることです。

従業員貸付制度は、一般的に正社員に対して提供される制度のため、正規の雇用形態で会社に雇われていることが条件になります。

ただし、各企業や団体によって制度の運用や条件が異なる場合があるため、所属する会社や雇用主の方針やルールを確認しましょう。

②緊急性が高い理由であること

2つ目の条件は緊急性が高い理由であることです。

従業員貸付制度は、予期せぬ出費や緊急の支出を賄うための貸付が必要な場合に利用することができます。

例えば、

  • 病気やケガの治療費や医療費の突発的な支出
  • 家庭の急な経済的困窮や災害による被害への対応費用
  • 子供の教育費や進学費の急な必要性
  • 交通事故などの被害による修理費や損害賠償費用

といった理由が挙げられます。

こういった理由で従業員貸付制度を利用する場合は、緊急性が高い理由を適切に証明する必要があります。

医療診断書や被害の証拠写真、請求書や領収書、学校からの通知書など、関連する書類や証拠を提出することで緊急性を裏付けるようにしましょう。

③高額な金額ではないこと

3つ目は、高額な金額ではないことです。

緊急の支出や一時的な経済的困窮を解消するための制度なので、金額に制限があることが多く目的に応じた適切な金額の貸付が行われます。

具体的な貸付額の上限や制度の規定は、各企業や雇用主によって異なるので確認しておきましょう。

3章 会社からお金を借りるときの理由は?

従業員貸付制度は会社からの借金ということもあり、なかなか踏み切れないという方も多いかと思います。

しかし、従業員貸付制度は会社の福利厚生の一つのため、正当な理由があれば借りることに後ろめたさを感じる必要はありません。

この章では、会社からお金を借りる際の正当な理由を解説します。

3-1 冠婚葬祭など急な出費ができた

冠婚葬祭などは、予期せぬタイミングで大きな費用が必要になります。

例えば、急な結婚式の費用や葬儀の準備などは、ご祝儀や香典などのお金だけでなく服や交通費など大きな出費になるケースが多いです。

自身の現金や貯蓄だけではまかなえず、外部からの資金調達が必要な場合は従業員貸付制度を利用しましょう。

3-2 医療費や学費などまとまったお金が必要になった

突然の病気やケガなどの医療費も緊急性が高く、予期せぬ出費のため相当の理由になるでしょう。

特に高額な治療や手術、入院費用、検査費用などは、自己負担が必要な場合があります。

また、医療費だけでなく学費の支払いもまとまったお金が必要なケースが多いです。

教育を受けるための学費や授業料、大学や専門学校、資格取得などといった学費の支払いも従業員貸付制度を利用できる可能性が高いです。

3-3 ギャンブルや趣味など娯楽での借入は認められない

逆に、従業員貸付制度を利用できない理由としてはギャンブルや趣味などでお金が欲しい場合です。

生活や健康、子どもに関わる重要な支出の場合は、相当な理由になる可能性があるため従業員貸付制度を利用できます。

しかし、ギャンブルや趣味などといった娯楽目的での借入は、自己の欲望を満たすための行動のため認められるのは難しいでしょう。

緊急で必要なお金ではないことから、一度借りてしまうと癖になってしまい生活に支障をきたす可能性があります。借金地獄にならないためにも借金に手を出さないようにしましょう。

4章 会社からお金を借りるメリット

お金を借りることができる手段は、消費者金融や金融機関からの借入など様々です。

しかし、相当な理由があれば、通常の消費者金融や金融機関などの借入よりも会社からお金を借りる方がメリットが大きいケースもあります。

具体的には、以下の項目が会社からお金を借りるメリットになります。

  1. 消費者金融よりも低金利で借りられる
  2. 審査が会社内で完結するので通りやすい
  3. 返済は給料から天引きされるので滞納しない

①消費者金融よりも低金利で借りられる

会社が従業員のための福利厚生や支援策として提供している場合が多いことから、消費者金融よりも低金利で借りられるのがメリットでしょう。

低金利で借りられることで、返済時の利息負担が軽減されるため総返済額を抑えられる可能性があります。

まとまったお金を借りたい場合でも、低金利で分割払いや返済期限も融通が利きやすいことから、消費者金融よりも有利な条件で借りることができます。

②審査が会社内で完結するので通りやすい

正社員などの条件を満たしたとしても、貸付を行うには返済できるかどうかや、信用に値する人物かどうかの審査があります。

ただし、消費者金融などの審査と比較しても、会社からの借り入れは審査プロセスは簡素化されており貸付までスムーズに進められることができます。

審査内容は、会社は従業員の雇用状況や給与収入、勤続年数など、個別の内部情報を元に行うため、長期的な雇用関係や良好な勤務実績がある場合は審査の通過率が高くなるでしょう。

③返済は給料から天引きされるので滞納しない

会社からの借り入れでは、給与支払い時に借入金の返済額が天引きされるため、返済を忘れたり滞納するリスクが低くなるのがメリットと言えます。

自動的に借入金の返済をしてから給料が受け取れるため、返済を怠ることなく早期に借金を完済することができるのは大きな特徴です。

また、毎月の返済金額が一定であるため、毎月の予算管理や家計管理もしやすくなるのも嬉しいですね。

5章 会社からお金を借りるデメリット

一見、メリットばかりの従業員貸付制度ですが、一方でデメリットもあります。

緊急性が高い理由でしか借りられないという点や、会社での信頼関係が重要な制度のため、借入の自由度が低いのは理由によってはデメリットと言えるでしょう。

具体的には、以下の項目がデメリットとして挙げられます。

  1. 相当の理由がないと借りられない
  2. 返済中に会社を辞めると一括返済しなければならない
  3. 会社に気を使うようになる
  4. 給料から天引きされる分生活をやり繰りする必要がある

①相当の理由がないと借りられない

2章でも解説した通り、会社からお金を借りる場合は相当の理由が必要になるのがデメリットと言えます。

通常の消費者金融での借入では、ギャンブルや浪費、趣味など様々な理由で簡単に借入することができるためお金の使い道の自由度が高くなります。

お金を借りることができる条件として、理由だけでなく必要経費の見積書や領収書が必要なケースも多いので隠すことは難しいでしょう。

このことから、一般的な消費目的や趣味、娯楽が理由で利用したい方にとっては残念ながら利用できない制度になります。

②返済中に会社を辞めると一括返済しなければならない

会社からの借入は、通常は給与天引きなどの形で返済が行われます。

そのため、もし借り手が返済期間中に会社を辞める場合、未返済の残金は一括で返済しなければならなくなります。

会社を辞めてしまうと、返済手段がなくなったり滞納される可能性があることから、一括で返済が決められている場合が多いのです。

もし、今の会社を辞めて転職を考えている方は、借入の返済方法や負担がかかってしまうケースが考えられます。

③会社に気を使うようになる

会社からお金を借りると、雇用関係において特殊な関係が生じます。

後ろめたい理由ではなくとも、会社に対して負債を抱えている状況となるため、自身の雇用状態や仕事への影響について気を使うようになるケースが多いです。

また、もし返済の期限の延長や支払いに困難が生じた場合、会社との関係や信頼性に悪影響を及ぼす可能性もあります。

貸した側と借りた側の関係になることから、会社に気を使うようになるのがデメリットでしょう。

④給料から天引きされる分生活をやり繰りする必要がある

会社から借りたお金の返済は、給料から天引きされる形で行われることから、毎月の給料が少し下がってしまいます。

このことから、日常生活の計画や予算編成に影響を与える可能性があるのがデメリットと言えます。

特に、毎月の返済額が大きい場合や他の支出が多い場合、生活費や必要経費のやり繰りを行わないといけないので厳しい月もあるでしょう。

日常の支出や節約計画を立てて、家計を圧迫しないように努める必要があります。

6章 従業員貸付制度を利用する際に必要な書類

従業員貸付制度は本当に困ったときに使う制度なことから、簡単に誰でも借りられるわけではありません。

従業員貸付制度を利用する際は、以下の書類が必要になります。

  • 貸付申請書
  • 必要経費の見積書または領収書
  • 本人の印鑑

貸付申請書は、従業員貸付制度を利用するために提出する申請書です。

基本的な個人情報や貸付金額、返済計画などが記入されている書類で、会社に用意されている場合もあれば自分自身で作成する場合もあります。

ネットでも貸付申請書のテンプレートがあるため、用意がない場合はダウンロードして作成しましょう。

また、不正利用防止に必要経費の見積書や領収書を提出する必要があります。本当に緊急性が高い理由で使ったのかを確認するために提出が求められます。

病院の明細書や冠婚葬祭の費用の見積書などは忘れずに取っておきましょう。

7章 他の借金で苦しんでいるなら債務整理も検討

元々、他の借金を重ねており、最後の手段として従業員貸付制度を利用したいという方は、債務整理で借金問題を解決するのがおすすめです。

現状の借金を返済できていないにもかかわらず、これからまた更に他の借金先を増やすのは得策ではありません。

また、他にも借金を抱えている上に従業員貸付制度を利用すると、借りた分が今後の給料から天引きされるため、借金の返済に充てられるお金が少なくなるデメリットもあります。

まずは現状の借金を精算してから、再度本当に従業員貸付制度の利用が必要なのか考えましょう。

債務整理は、大きく分けて3つの種類があります。

債務整理の種類内容
任意整理借金の利息や手数料をカットできる
長期化している借金におすすめ
個人再生借金の総額を大幅にカットできる
浪費やギャンブルなどの借金におすすめ
自己破産借金の総額を免除できる
支払い能力がない場合に利用できるため会社員は認められない可能性が高い

金額や借金している期間によって、どの債務整理が適切かも異なるのでまずはお気軽にご相談ください。

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7-1 会社からお金を借りた後の債務整理は会社にバレるので注意!

ここで注意したいのが、従業員貸付制度を利用した後に個人再生や自己破産を行う場合です。

個人再生や自己破産では全ての借金を対象に手続きを行うため、債務整理をすると決めた時点で支払いをストップしなくてはいけません。

そのため、自分から会社へ事情を話して従業員貸付制度の天引きをストップさせる必要があるため、個人再生や事故破産を隠すことはできません。

手続きをすると、従業員貸付制度もカットになったり免除になるので、会社に言い出しにくい内容だと思います。

しかし、黙っておいてそのまま手続きを進めても債務整理の調査で制度を利用していることが分かるので、いずれは会社に100%バレます。

法律上、自己破産が理由でクビになることはありませんが、信用を失ってしまうことから会社に居づらくなる可能性は高いと言えます。

​そのため、​債務整理を考えるタイミングとしては、従業員貸付制度を利用する前がおすすめです。

理由は、債務整理をしても会社にバレずに完済できる可能性が高いからです。

特に、任意整理の場合は官報に載ることもないので、新規で会社でローンを組んだりカードを作成しない限りはさほど心配する必要がないでしょう。

そのため、債務整理は従業員貸付制度を利用する前に踏み切るのが好ましいでしょう。

会社員の自己破産については、以下の記事をご参考にしてください。

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8章 相当な理由がある場合は会社からお金を借りるのも手

低金利で滞納リスクが低い従業員貸付制度は、相当な理由がある場合や緊急性が高い理由の場合はメリットが多い制度になります。

消費者金融よりも融通が効きやすいので、無理ない返済ができるのも見逃せません。

一方で、理由によっては借りられない点と、心理的な面でなかなか踏み切れない点はデメリットになるでしょう。

しかし、ギャンブルや浪費が理由だとしても、目先のお金欲しさに安易に消費者金融で借入するのは非常におすすめしません。

従業員貸付制度にしても消費者金融にしても、一度お金を借りてしまうとあっという間に借金地獄になるので、本当にお金が必要なのかどうかを見直すことが大切です。

借金返済に関する記事を沢山公開していますので、合わせてご覧ください。

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