養育費を払えない場合どうなる?免除や減額は可能か対処法を解説

   司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

借金返済の知識
養育費を払えない場合どうなる?免除や減額は可能か対処法を解説

この記事は約 8 分で読めます。

養育費を払えない場合、公正証書や裁判所で取り決めた約束だったときには、強制執行により給与など財産を差し押さえられてしまう可能性があります。

離婚後に子どもと離れ、親権者や監護者でない場合でも、扶養義務は継続するため養育費は支払わなければなりません。

ただ、事情により払えないときや払えなくなった場合には、例外的に免除や減額されることもあります。

そこで、養育費を払えない場合どうなるのか、払えないときの対処法について次の3つの章に分けて詳しく解説していきます。

  1. 養育費とは
  2. 養育費が払えない場合どうなるか
  3. 養育費が払えない場合の対処法

養育費を払えない、または諸事情により支払いができなくなった場合には、ぜひこの記事を参考にしてください。

1章 養育費とは

「養育費」は、子どもの「監護」や「教育」のために必要な費用であり、経済的・社会的に自立するまでにかかるお金です。

子どもの衣食住・健康保持・教育のための費用などが該当しますが、次の3つについて簡単に説明していきます。

  1. 法律上の支払義務
  2. 支払いの取り決め方法
  3. 支払い不要なケース

1-1 法律上の支払義務

養育費の「支払い」は法律上の「義務」とされており、未婚でも認知しているなど法律上の父親として確定していれば、子に対し支払うことが必要です。

支払う「期間」は裁判所の実務において「20歳」までとされているものの、経済的に自立している子については不要であるため、「成人(18歳)」で終了することもありえます。

1-2 支払いの取り決め方法

養育費の支払いについて、「口約束」で取り決めたときでも成立します

ただ、口約束では合意した内容を後で確認できず、証拠として残すこともできません。

証拠を残すことや確実に養育費を請求する方法として、「離婚協議書」や「公正証書」による合意書が用いられます。

1-3 支払い不要なケース

養育費が「免除」または「減額」など、支払い不要となるのは以下の例外的なケースです。

養育費の支払いが不要となるケース

  • 収入がなく支払い能力がない場合
  • 養育者(親権者または監護者)の収入が多い場合
  • 払わない合意を得ている場合
  • 養育者が再婚・養子縁組した場合
  • 子が経済的に自立した場合

2章 養育費が払えない場合どうなるか

養育費を支払う約束をしたのにもかかわらず、払えないという場合には次の3つの「措置」が取られると考えられます。

  1. 遅延損害金を請求される
  2. 財産を差し押さえられる
  3. 調停を申立てられる

それぞれ説明していきます。

2-1 遅延損害金を請求される

養育費が払えない場合、「遅延損害金を請求される」可能性があります。

「遅延損害金」とは、支払い期限を守らなかったときの損害を「賠償」するための「ペナルティ」ともいえるお金です。

遅延損害金は、「離婚協議書」や「公正証書」などによる取り決めでは、利率を「利息制限法」の上限金利の範囲で設定できます。

取り決めをしていなければ、民法上の遅延損害金の上限年利「3%」で加算されます。

2-2 財産を差し押さえられる

養育費が払えない場合、「財産を差し押さえられる」可能性があります。

「公正証書」で養育費支払いの「合意書」を作成している場合において、支払いが遅れたときに「強制執行」する内容を盛り込んでいれば、給与や預貯金を差し押さえられてしまいます。

2-3 調停を申立てられる

養育費が払えない場合、「調停を申立てられる」可能性があります。

「口約束」でも養育費支払いに関する合意は成立するものの、公正証書のように「強制力」がないため、財産を差し押さえて回収することはできません。

そこで、家庭裁判所に「養育費請求調停」を申立て、裁判官や調停委員を交えて「話し合い」で解決を図ることになります。

調停への参加は強制ではないものの、欠席などで「不成立」になれば「審判」に移行し、裁判所が養育費の内容を決めます。

審判確定後に作成された「審判書」により強制執行が可能となるため、財産を差し押さえられてしまう可能性もあると留意しておきましょう。

3章 借金が原因で養育費が払えない場合の対処法

養育費が払えない事情は人それぞれですが、解決するための「対処法」として考えられるのは次の3つです。

  1. 養育者と話し合いをする
  2. 減額請求調停を申立てる
  3. 債務整理を検討する

それぞれの対処法について説明していきます。

3-1 養育者と話し合いをする

養育費が払えない場合の対処法として、「養育者と話し合いをする」ことが挙げられます。

支払いに関する取り決めは「自由」であるため、払えない状況にあるのなら事情を説明し、時期をずらしたり減額したりできないか話し合うとよいでしょう。

合意した内容は、後でトラブルにならないためにも「書面」などに残しておくようにしてください。

3-2 減額請求調停を申立てる

養育費が払えない場合の対処法として、「減額請求調停を申立てる」ことが挙げられます。

話し合いで決着がつかないときには、家庭裁判所に養育費の「減額請求調停」を申立て、調停委員に互いの「主張」をきいてもらいつつ解決を目指します

解決まで半年から1年はかかることが予想されますが、調停で互いが合意しなかったときには、裁判所の「審判」に委ねられることになります。

3-3 債務整理を検討する

養育費が払えない場合の対処法として、「債務整理を検討する」ことが挙げられます。

「債務整理」は、債権者との交渉や裁判所へ申立てることで借金負担を軽減する方法です。

そのため債務整理を検討するとよいのは、「借金返済」が厳しいことを理由に養育費が支払えないときといえるでしょう。

債務整理は主に次の3つの「種類」があり、それぞれ適しているケースは以下の通りです。

債務整理の種類適しているケース
任意整理  保証人に迷惑をかけず借金を整理したい・家や車を残したい
個人再生住宅ローン返済中の家を残して借金を大幅減額したい
自己破産多額の借金を抱えている・収入がなく返済不能状態である・残したい財産がほぼない

なお、債務整理により養育費が減額や免除されることはなく、支払い義務は「継続」するため、その点は留意しておきましょう。

まとめ

離婚後の生活状況の変化などで、養育費が払えないときには、事情を説明し話し合いをして今後について再度取り決めることが最善といえます。

公正証書などで約束しているのに無断で滞納を続ければ、給与など財産を差し押さえられる可能性があるため注意してください。

合意を得ることが難しい場合には調停などで解決を図る方法や、借金返済で払えないなら債務整理も検討できるものの、養育費そのものが債務整理で減額や免除されることはありません。

もしも養育費の支払いや借金返済に関して悩みを抱えているなら、問題を解決させるためにもグリーン司法書士法人グループへご相談いただければと思います。

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よくあるご質問

養育費が払えないときの対処法は?
養育費が払えないときの対処法は、主に下記の通りです。
・養育者と話し合いをする
・減額請求調停を申立てる
・債務整理を検討する
養育費が払えないときの対処法について詳しくはコチラ
養育費が払えないとどうなる?
養育費が払えないと、下記の事態が起きる可能性があります。
・遅延損害金を請求される
・財産を差し押さえられる
・調停を申立てられる
養育費が払えないとどうなるか詳しくはコチラ
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