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双方の話し合いで取り決めた場合は5年、調停や裁判で取り決めた場合には10年です。
離婚時に養育費について取り決めたにもかかわらず、相手が養育費の支払いを怠るケースは多くあります。
養育費はお子さんを育てる上で欠かせないものですので、未払い分についてもしっかりと支払ってほしいと思いますよね。
実際、養育費の支払いは義務ですので、未払い分は法的に請求することができます。
しかし、養育費の支払いには時効があります。時効の期間は取り決め方によって異なり、話し合いで決定した場合には5年、調停や裁判で決定した場合には10年です。
この記事では、養育費の時効についてや、時効を迎えそうなときの対処法について解説します。
目次 ▼
1章 養育費の時効は原則5年または10年
養育費の時効は、原則5年または10年です。どちらが適用されるかどうかは、養育費の取り決め方によって異なります。
取り決め方 | 時効 |
---|---|
話し合い | 5年 |
調停や裁判 | 10年 |
それぞれ詳しく解説します。
なお、養育費の請求権は、時効である5年または10年たった時点の分から消滅していきます。つまり2023年1月に未払いだった分は2028年1月に消滅します(時効が5年の場合)。5年・10年経過したからといって、過去5年分・10年分が消滅するわけではありません。
1−1 話し合いで決定した場合は5年
離婚をする際、調停や裁判所などを通さず、両者の話し合いで養育費に関する取り決めをした場合には、時効は5年です。
話し合いで決定した内容を離婚協議書や公正証書にまとめているケースもありますが、その場合でも時効は5年となります。
1−2 調停や裁判で決定した場合は10年
離婚調停や、裁判にて養育費に関する取り決めをした場合の時効は10年です。
調停で取り決めた内容は「調停調書」、裁判の判決内容は「判決書」に記載され、発行されます。
理解しておかなければいけないのが「養育費に関する取り決め」を調停または裁判で行っていなければ、時効が10年にならないということです。
離婚では、養育費以外にも慰謝料や、財産分与、親権など様々なことを取り決めます。あまり考えにくいですが、調停や裁判で養育費について取り決めていない場合には時効は10年になりませんので注意して下さい。
離婚時に養育費について取り決めていないケースもあるでしょう。
その場合、相手が支払いに応じれば離婚時に遡って支払ってもらうことは可能です。
もし、相手が支払いに応じなかった場合には、調停や裁判を通して請求することになりますが、実務上過去に遡った養育費の請求は難しいとされています。
とはいえ、養育費の支払いは義務ですので、後からでも請求すればその時点から支払ってもらうことは十分可能です。
2章 養育費の時効を迎えそうな時の対処法
もし、養育費を請求しても支払ってもらえず、時効を迎えそうな場合でも、以下のような行為をすることで時効をストップすることができます。
- 相手に養育費の支払い義務があることを承認してもらう
- 裁判上の請求をする
- 差押えをする
それぞれ詳しく解説します。
2−1 相手に養育費の支払い義務があることを承認してもらう
相手に支払い義務があることを認めてもらうことで、時効はストップします。これを「債務の承認」と言います。
債務の承認があった場合、時効はリセットされ、その時点から新たに時効がスタートします。
口頭で「養育費支払っていません」と認めさせるだけでは、証拠として不十分になる可能性がありますので、念書を書いてもらったり、LINEなどで文面として残したりしておくのが良いでしょう。
その他、一度でも養育費を支払ってもらえれば、債務を承認したとみなされます。
2−2 裁判上の請求をする
相手方に対して、養育費の支払いを求める訴訟を起こした場合、その裁判中は時効の成立が猶予され、裁判確定時に新たに時効がスタートします。
この場合、新たな時効が成立するのは10年です。元々の時効が5年だったとしても、新たな時効は10年になります。
2−3 差押えをする
取り決めたはずの養育費が支払ってもらえない場合、訴訟を起こすことで強制執行として相手の財産を差し押さえることができます。また、訴訟を起こす前であっても、相手が財産を隠すことを防ぐために仮差押えを行うことも可能です。
(仮差押えとは、裁判所の命令によって相手方が財産を勝手に処分できないようにする手続きです。裁判で勝訴すれば、仮差押えをした財産を取得することができます。)
この仮差押え・差押えにも、時効をリセットする効力があります。
なお、養育費に関する内容を、公正証書や調停調書、審判書に記している場合には裁判所を通すことなく強制執行が可能です。
3章 未払いの養育費を支払ってもらう方法
何度養育費を請求しても支払ってもらえない場合、以下の方法を取ってみましょう。
- 内容証明を用いて請求する
- 裁判を起こす
- 差押えをする
養育費の支払いは親の義務です。そのため、相手に支払い能力さえあれば、支払ってもらえることがほとんどです。
相手が頑なに支払わない場合、手続きが大変かもしれませんが、生活に欠かせないお金かと思いますので、以下の方法で請求することも検討してみて下さい。
3−1 内容証明を用いて請求する
まずは内容証明郵便を用いて、相手に養育費を請求してみましょう。
内容証明郵便とは「いつ・誰が・どんな内容を送ったか」を郵便局が証明してくれるサービスです。内容証明を受け取った相手は「そんなもの受け取っていない」と言い逃れすることができません。
内容証明郵便に法的な効力はありませんが、口頭やLINEなどで請求するよりも相手に本気度が伝わり、支払いに応じてくれる可能性があります。
3−2 裁判を起こす
どうしても支払いに応じてもらえない場合には、裁判を通して請求することも検討しましょう。
離婚時に養育費の支払いに関する取り決めをしている場合には、裁判で負けることはほとんどありません。
裁判で勝訴すれば、未払い分が溜まっている場合には、過去の分も遡って支払ってもらうことが可能です。また、裁判後もなお支払ってもらえない場合には強制執行として財産を差し押さえることもできます。
ただし、養育費に関する取り決めが口約束のみで、証明が難しい場合裁判でも支払いを命じることが難しい可能性があるので注意しましょう。
3−3 差押えをする
前述したように、裁判に勝訴すれば財産を差し押さえることができます。
一方、公正証書や調停調書、審判書に養育費に関する記載がある場合、裁判を通すことなく財産を差押えをすることができます。
そのため、離婚をする際、養育費や慰謝料などの金銭の支払いに関する取り決めは公正証書にまとめておくことを強くおすすめします。
養育費の支払いは、親としての義務です。そのため、養育費を支払う側が支払いを拒否するのは難しいでしょう。
ここまで解説してきたように、裁判などを起こされたら勝つ見込みはほとんどありませんし、財産を差押えられる可能性もあります。
また、養育費は非免責債権とされていて、自己破産で支払いを免除してもらうことや、個人再生で減額してもらうことは不可能です。
どうしても支払いが難しい場合には、相手と協議をしたり、調停や裁判をしたりして、支払額を減額してもらうしかありません。収入が著しく減っている場合には、減額してもらう余地はあります。
4章 まとめ
養育費の時効は、協議によって取り決めた場合5年、調停・裁判で取り決めた場合は10年です。
一方、相手に養育費の支払い義務を認めさせたり、裁判を通して請求したりすることで時効をリセットすることができます。
どうしても、養育費を支払ってもらえない場合には、まず内容証明郵便を使って請求してみましょう。それでも応じてもらえないときには、裁判を起こして請求することも検討してみて下さい。
なお、公正証書や調停調書、審判書がある場合には裁判所を通すことなく財産を差押えられます。
養育費の支払いは義務です。受け取り側は何らかの形で支払ってもらうことができますので、お子さんのためにも諦めずに請求しましょう。
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よくあるご質問
- 未払いの養育費を支払ってもらう方法とは?
- 養育費が支払われないときは、下記の方法をお試しください。
・内容証明を用いて請求する
・裁判を起こす
・差押えをする
養育費の未払いについて詳しくはコチラ
- 養育費の時効は何年?
- 養育費の支払いには時効があります。時効の期間は取り決め方によって異なり、話し合いで決定した場合には5年、調停や裁判で決定した場合には10年です。
養育費の時効について詳しくはコチラ