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- 会社を潰すの意味
- 会社を潰すメリットとデメリット
- 会社を潰す際の流れ
「メリットとデメリットを把握して会社を潰すかどうかの判断に役立てたい」
「会社を潰す際の流れを知りたい」
上記のような悩みを抱えている方もいらっしゃるでしょう。一般的に、会社を潰すことは破産手続きを進めて資産と負債を清算することです。また、破産だけではなく、売上や利益が順調に出ていても後継者がいないことなどを理由に事業をやめる廃業を意味するケースもあります。
本記事では、会社を潰すメリットとデメリットを解説しているので、手続きを進めるかどうかの判断にお役立てください。なお、会社を潰す際の流れについても8ステップに分けて説明しています。正しい流れを把握して、スムーズに会社を潰す手続きを進められるようにしましょう。
目次 ▼
1章 会社を潰す=破産手続きを進めて資産と負債を清算すること
冒頭でも述べたように、「会社を潰す=破産手続きを進めて資産と負債を清算すること」です。会社を潰すことを検討するのは、負債が資産を上回っている債務超過のケースが多くなっています。
なぜなら、破産手続きをして残りの資産で負債を返済した後、残りの負債は返済しなくて済むためです。法人の場合、個人の自己破産のような負債の免責がないため、返済義務が消滅するわけではありません。
しかし、破産手続きを終えると法人格を失うため、負債を返済する主体が存在しない扱いになります。そのため、結果的に残りの負債は支払わなくて済むのです。また、債務超過でなくても事業をやめるために会社を潰すケース(廃業)もあります。
2章 会社を潰す3つのメリット
会社を潰すメリットは以下の通りです。
- 借金返済に追われなくなる
- 経営のプレッシャーから解放される
- 生活を立て直して再出発できる
それぞれ詳しく解説しましょう。
2-1 借金返済に追われなくなる
破産手続きでは負債を返済しますが、資産状況によっては完済が難しいケースもあるでしょう。破産手続きが完了すると会社の債務は法的に整理されるため、借金の返済に追われなくなります。厳密には会社の負債自体が免責されるわけではありませんが、法人格の消失によって返済義務が消滅します。
また借金を抱えていると、借金取り立ての電話や督促状に悩まされることもあるでしょう。借金返済のプレッシャーは経営者にとって大きなストレスとなり、精神的に追い詰められる人が多いです。そこで会社を潰すことでストレスから解放され、精神的に余裕が生まれます。
2-2 経営のプレッシャーから解放される
経営者は日々の業務運営、長期的な戦略立案、従業員の管理など、多くの責任を背負っています。特に経営がうまくいっていない場合、経営者にかかるプレッシャーは計り知れません。
破産手続きを行うことによって、経営者は会社運営の責任から解放されます。これにより、精神的な負担が大幅に軽減され、次のステップを冷静に考えるための必要な時間と余裕を持てます。
また経営のプレッシャーから解放されることで、新たな挑戦やキャリアを見据えることも可能です。過去の経験を教訓に、新しいビジネスアイデアやキャリアパスを模索しましょう。
2-3 生活を立て直して再出発できる
破産手続きを通じて経営者は負債を清算できるため、生活を立て直して再出発できます。会社を潰す決断には大きな勇気が必要ですが、借金の返済義務や経営のプレッシャーから解放されることで、新しい生活基盤を築くためのチャンスを手にできるのです。
また、破産をすることで得られる経験は、将来の生活において非常に貴重です。過去の失敗から学んで教訓にすれば、同じ過ちを繰り返さずに済みます。新たなビジネスを立ち上げる際や、新しいキャリアに挑戦する際には、教訓を活かして新たなスタートを切りましょう。
3章 会社を潰す際のデメリット4選
会社を潰すことのメリットは多いですが、もちろん良い面ばかりではありません。会社を潰す際のデメリットは以下の通りです。
- 会社名義の資産を失う
- 個人の信用を失う恐れがある
- 日常生活の行動に制限がかかる
- 連帯保証人になっている場合は経営者が借金を背負う
それぞれについて詳しく解説しましょう。
3-1 会社名義の資産を失う
破産手続きによって会社を潰す際は残りの資産で負債を返済する必要があるため、会社名義の資産を失います。破産によって失う資産の一例は以下の通りです。
- 現預金
- 在庫
- 不動産
- 社用車
- 設備機器
法人格を失って借金返済が不要になりますが、負債と一緒に資産も手放すことになります。なお、破産ではなく廃業で会社を潰す際は、最後に残った資産は株主に配分される仕組みです。そのため、経営者が株式を保有していれば、廃業の手続きを終えると会社の資産が自身のものになります。
3-2 個人の信用を失う恐れがある
会社を潰す決断をすることで、経営者個人の信用が失われるリスクがあります。JICC(日本信用情報機構)には法人融資の信用情報が記録されていて、法人の信用情報には連帯保証人を特定する情報(氏名・生年月日・性別・住所・電話番号・運転免許証番号等)も掲載されているためです。社長の保証がほぼ必須の中小企業では、個人の信用スコアも落ちてしまいます。
さらに周囲から「会社を潰した人」として見られ、経営者としての能力や判断力に疑念を持たれるケースもあります。
また会社を潰した経営者としての評価されることになると、ビジネスパートナーや金融機関からの信頼も失ってしまうのです。これにより、新たな事業を立ち上げる際の資金調達が難しくなり、再起を図るためのハードルが高くなります。
3-3 日常生活の行動に制限がかかる
破産手続きを開始すると会社や代表者個人について隠している財産がないか、免責不許可事由がないかなどを調べられるため、調査期間中は日常生活で不自由を感じることが多いです。
また、財産の処理処分権を失い、郵便物は破産管財人に届くようになります。そのほかにも、以下のような行動が制限されます。
- 裁判所の許可を得ない引越し
- 裁判所の許可を得ない宿泊をともなう旅行・出張
- 弁護士や公認会計士などの一定の職業に就くこと
債務超過がある状態で会社を潰す場合、一定の制約を受けることを把握しておきましょう。
3-4 連帯保証人になっている場合は経営者が借金を背負う
会社が破産した場合でも、基本的に経営者個人の資産が失われることはありません。しかし、連帯保証人になっていると、残りの資産で返済できなかった分の負債を経営者が抱えることになります。そのため、経営者は会社の借金を肩代わりして、今後の生活で返済していく必要があります。
とはいえ、会社の負債は大きく膨らんでいるケースが多く、基本的に個人での返済が難しいです。返済困難な借金を抱えることになるため、経営者が連帯保証人になっている場合は会社の破産手続きと合わせて、個人の自己破産も行うのが一般的です。
4章 会社を潰す際の流れを8ステップで解説
「そもそも破産手続きはどのように進めれば良いかわからない」という方も多いのではないでしょうか。ここでは、会社を潰す際の流れを解説します。
8つのステップに分けて説明しているので、順番に進めて破産手続きをスムーズに進めましょう。
STEP① 弁護士に相談する
会社の破産手続きは非常に複雑で、専門家ではないと適切に進めるのが難しいです。そのため、会社の破産を検討している方は最初に弁護士に相談しましょう。弁護士に相談すれば、手続きのサポートだけではなく、そもそも会社破産が適切な選択肢なのかを一緒に判断してくれます。
また法律に関する手続きということもあって司法書士に問い合わせる方もいますが、債務超過のある会社破産は弁護士への相談がおすすめです。しかし、債務超過がなくて会社を畳む廃業の場合は、司法書士への相談も選択肢に入ります。
専門家に依頼することで手続きをスムーズに進められるので、会社を潰す理由に合わせて相談相手を選んでください。
STEP② 会社破産の申し立て準備をする
弁護士に相談して会社破産を行う決断をしたら、裁判所への申し立て準備を進めます。破産手続開始申立書や資産目録、代表者の陳述書などの記入書類を、弁護士と協力して用意しましょう。法人登記の全部事項証明書(3ヶ月以内のもの)や貸借対照表・損益計算書、預貯金通帳のコピーなども用意する必要があります。
また、会社破産に向けて動いていることを債権者に知られると申し立て手続きに混乱が生じる可能性があるため、迅速かつ内密な手続きの進行が重要です。そして、債権者に話す恐れがあるので、申し立ての準備段階では従業員にも破産手続きについては伝えないようにしましょう。
STEP③ 裁判所に破産手続き開始の申し立てを行う
書類の準備が整い次第、裁判所に破産手続き開始の申し立てを行います。申し立ての際には、1000円の申立印紙代、15,000円程度の官報公告予納金を支払います。そして会社の規模にもよりますが、破産管財人の引継ぎ予納金として数十万円~数百万円の支払いも必要です。
また、経営者が連帯保証人になっている場合は個人の借金問題も解決する必要があるため、一緒に自己破産の申し立ても行いましょう。
STEP④ 債務者審尋が実施される
申し立てが受理されて破産手続きが開始すると、裁判所による債務者審尋が実施されます。債務者審尋とは、会社破産の手続きを開始する要件が備わっているかどうかを確認するために、債務者の財産状況や破産の原因などを詳しく調査する手続きです。
審尋には破産者本人が出席し、裁判官や破産管財人候補者からの質問に答える形式で進められます。
STEP⑤ 破産手続き開始が決定すると破産管財人が選定される
裁判所が破産手続きの開始を正式に決定すると、破産管財人が選定されます。破産管財人は、破産者の財産を管理・処分し、債権者への配当を行う存在です。
破産管財人が選定されると会社の財産を管理したり、処分したりする権利が破産管財人に移るため、会社や経営者は自らの判断で財産を処分することはできません。
STEP⑥ 債権者集会が開催される
破産手続きが開始されると、裁判所で債権者集会が開催されます。債権者集会は、破産者が破産に至った経緯や会社の資産状況を債権者や裁判所に説明する手続きです。
また、破産管財人による財産の処理状況についても、債権者集会で報告されます。債権者集会は1回で終わるケースもありますが、基本的には定期的に開催して破産手続きの進捗状況の確認がなされています。
なお、定期的に開催されている債権者集会ですが、出席する債権者は多くありません。そのため、破産する会社の経営者・破産管財人・弁護士・裁判官によって債権者集会が行われているケースが多いです。
STEP⑦ 債権者への配当が実施される
破産管財人による財産の売却が完了すると、債権者への配当が実施されます。なお、債権は財団債権・優先的破産債権・一般的破産債権・劣後的破産債権・約定劣後破産債権の順番で優先順位が定められています。
優先順位が高い債権から順に配当を受けられるため、劣後的破産債権や約定劣後破産債権は配当が実施される可能性が低いです。
STEP⑧ 破産手続きが完了する
債権者への配当が終わったり、そもそも配当に必要な財産がなかったりすると、破産手続きは終了します。破産する会社の状況や財産の内容によって大きく異なりますが、破産手続きに要する期間は半年~1年程度です。長期間にわたる手続きになるため、なるべく早めに弁護士に相談して借金問題の解決を目指しましょう。
5章 会社を潰す際は破産手続きに強い弁護士・司法書士に相談しよう
手続きが複雑で難しい会社破産にかかる費用は高額で、基本的に数百万円程度かかります。そのため、破産に必要な費用を用意できず、潰せないまま残っている会社も多いです。
相談時期が早ければ会社を潰すために必要な費用を用意しやすいため、もし会社破産を検討している場合は、なるべく早めに弁護士に相談しましょう。
なお、債務超過がない場合に会社を潰す手続きであれば、司法書士でも対応可能です。グリーン司法書士法人では廃業手続きのサポートが可能なので、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
「会社を潰す=破産手続きを進めて資産と負債を清算すること」を意味します。会社破産をすることで、借金問題やプレッシャーから解放されたり、生活を立て直して新たなスタートを切れたりするメリットがあります。
しかし、会社破産は非常に複雑なうえに、迅速かつ内密に進める必要がある難しい手続きです。そのため、会社破産を検討している方には弁護士への相談をおすすめしています。
弁護士に相談すれば、手続きだけではなく破産するかどうかの判断もサポートしてくれます。相談が遅くなって経営状況が悪化し、費用を用意できずに破産手続きをできていない会社もあるので、早めに動いて困らないようにしましょう。
なお、廃業→解散→清算という流れの場合は司法書士の専門分野です。債務超過のない会社を潰すケースでは、司法書士に相談するのも選択肢の一つです。
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