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- 民事再生をしても社員は勤務し続けられる
- ただしスポンサー型はリストラされる可能性もある
- 民事再生後は減額した債務を返済しながら会社を再建する
- 破産や特別清算など会社が消滅する場合は社員は全員解雇になる
民事再生とは、会社を再建するための手続きのことです。債務超過や赤字で経営難に陥った会社が手続きをするので、社員は解雇になるのではと不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
しかし、民事再生をした場合でも社員は勤務を続けられるのでご安心ください。この記事では、民事再生をしたあとの社員の影響を解説します。民事再生のメリットも紹介するので、手続きに悩んでいる方は参考にしてください。
目次 ▼
1章 民事再生法とは?
民事再生法とは、再建型の倒産手続きのことです。倒産手続きとありますが、実際は会社を再建させるのを目的とした手続きで、債務を減額して債権者に返済しながら会社の経営を続けられます。
もともとの返済額から減額できるので、再建に充てられるのがメリットでしょう。ただし、減額できるのは銀行などから借入した融資や取引先への支払いなどです。
税金や社会保険料など支払いが義務とされているものは、滞納した分の全額を支払う必要があるので注意しましょう。
2章 民事再生をしたら社員はどうなる?
結論からいうと、民事再生をしても社員はそのまま働き続けることができます。民事再生は裁判所を通した法的手続きですが、民事再生をしたからといって社員が解雇されるわけではありません。
ただし、勤務し続けられるのは、民事再生で会社を再建するケースです。再生計画が認められず、破産や特別清算になると、会社自体が消滅するので社員は解雇されます。
2-1 社員は勤務し続けられる
民事再生の手続きは、会社を存続させる手続きなので、社員はそのまま勤務し続けられます。社員だけではなく経営陣もそのまま残ることができるので、メンバーを変えずに会社を建て直せるでしょう。
ただし、裁判所で管財人が必要だと判断された場合は、経営者は全員退陣しなくてはいけません。しかし、民事再生手続きでは、特殊な場合を除いて管財人が選任されることはないため気にしなくてよいでしょう。
また、民事再生は債務を減額する手続きをしますが、未払いになっている給料がある場合でも、給料が減額されることはありません。従業員の給料は「労働債権」にあたるので、優先して支払われるのでご安心ください。
2-2 スポンサー型は条件次第でリストラする場合も
通常の民事再生であれば、社員は勤務し続けられます。しかし、例外としてスポンサー型は条件次第でリストラする場合があるので注意しなくてはいけません。
スポンサー型とは、スポンサーから貸付や出資などの資金援助を受けて再建を目指す方法です。スポンサーの資金力やノウハウ、取引先などを活用できるため将来的にも期待できる方法といえます。
ただし、スポンサー側から社員のリストラを条件に出資するとの申し出があった場合は、やむを得ずリストラしなくてはいけなくなるでしょう。
そのため、スポンサー型に限り、社員がリストラされる可能性があると覚えておく必要があります。
3章 民事再生のメリット
民事再生は、会社を存続させたい場合に有効な手続きです。倒産や廃業を避けたいけれど、債務が膨らんでいて返済が厳しい場合は民事再生が向いています。
民事再生は、大きく分けて2つのメリットがあるので見ていきましょう。
3-1 会社を存続させられる
民事再生は、会社を存続させられる点が最大のメリットです。減額した債務を返済しながら会社を再建できるので、債務の返済が厳しくなった場合に向いているでしょう。
経営が苦しいと会社をたたもうと考える方も多いですが、民事再生であれば負担を減らしながら存続できるので諦めずに再建を目指せます。
3-2 経営陣や社員の雇用を守れる
民事再生は、会社を存続できるほか経営陣や社員を残すことができます。そのため、今までと同じメンバーで会社の再生を目指せるのがメリットです。
経験やノウハウがある経営陣や社員が会社に残ることで、会社を再建しやすくなるでしょう。ただし、経営陣が債務超過や赤字に陥った原因を把握していないと、同じように会社を破綻させるおそれがあります。
そのため、今まで以上に慎重な経営が求められるでしょう。
4章 民事再生のデメリット
民事再生は、立ち行かなくなった会社を再建できる手続きですが、デメリットも見逃してはいけません。債権者から債務を減額してもらう以上は、債権者に頭を下げる必要があるので、今後の取引も上手くいかなくなる可能性も考えられまう。
では、民事再生にはどのようなデメリットがあるのか見ていきましょう。
4-1 金融機関から信用がなくなる
民事再生は、倒産と同じように捉えられることも珍しくありません。そのため、金融機関から信用がなくなり、融資をなかなか受けられない状態が続く可能性があります。
民事再生手続きをした情報は、信用情報機関に登録されるので金融機関の審査がより厳しくなるでしょう。融資の条件が厳しくなるおそれが考えられるので注意が必要です。
4-2 担保権を実行される可能性がある
民事再生手続きでは、担保権を実行される可能性があります。担保権とは、貸したお金が返済されない場合、債務者の特定又は一定範囲の財産を、優先的に換価して返済に充てることができる権利です。
具体的には、不動産に設定する抵当権や、カーローン時の所有権留保、工場などでは動産譲渡担保などがあります。
民事再生でも、同じように債権者からの担保権の行使を防ぐことができません。そのため、今後の事業に影響を与える可能性があります。
ただし、担保権のある財産を引き上げることによって事業が継続できなくなる場合は、対価を支払うことで裁判所に担保権消滅を求めることができるので相談してみましょう。
5章 会社が立ち行かなくなったときに検討すべき手続きは?
民事再生以外にも、会社が立ち行かなくなったときに検討すべき手続きがあります。
いずれにしても「会社をたたむ」か「会社を存続させる」かの2択になりますが、債務の状況や社員の状況によっても選択肢が変わるでしょう。
では、ここからは民事再生以外の手続きを紹介します。
5-1 破産
破産手続きとは、会社を消滅させる手続きです。裁判所から破産管財人が選任され、法人の管理処分権は全て破産管財人に移ります。
民事再生とは異なり、破産手続きでは会社の財産を全て現金化して債権額に応じて配当するので、会社の財産は残りません。
手続きが終われば会社が消滅するので、社員は申立ての前に解雇されることがほとんどです。
5-2 特別清算
特別清算とは、破産と同様に会社を消滅させる手続きです。破産と比較して費用が少額で、手続きが簡易的なので短期間で手続きができます。
裁判所の監督下で行われ、株式会社であることとすでに解散していることが条件です。
特別清算も手続き後に会社が消滅するので、社員は申立ての前に解雇されることがほとんどです。
5-3 私的整理
私的整理とは、債権者と会社が交渉をして債務を減額してもらう手続きです。会社の再建計画や現在の財務状況を詳しく説明し、返済スケジュールの調整や債務の免除が可能か交渉していきます。
経営困難に陥っている企業の再建が目的で、破産や特別清算よりも債権を回収できる可能性があるため、私的整理に協力的な債権者も多いです。
任意整理は債務を減らす手続きのため、社員は強制的に解雇になることはありませんが、状況によっては、従業員の整理解雇などが行われることもあります。
6章 民事再生法なら社員を存続させられる!早めに検討しよう
民事再生は、社員や経営陣を存続させたまま会社を再建できる手続きです。そのため、長年貢献してくれた社員やノウハウのある社員を解雇する必要がありません。
ただし、債務を減額しても返済を続けなければいけないので注意しましょう。また、同時に税金や社会保険料、経費の支払いもあるので民事再生後も大変なのは間違いありません。
再建を目指すためにも、早めに民事再生を検討するのをおすすめします。
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