この記事は約 9 分で読めます。
「過払い金の返還で、借金を減額することができます」といった文言を、広告やCMで見聞きしたことがあるか方多いのではないでしょうか。
奨学金も借金の一種ですので、過払い金の返還を受けられるのではと思われる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、結論から述べますと、奨学金に対して過払い金を請求することはほとんど不可能です。
この記事では、なぜ奨学金が過払い金が請求できないのか、奨学金が払えないときの対処法などについて解説します。
目次 ▼
1章 奨学金には過払い金が発生しない
結論から述べますと、奨学金には過払い金が発生しないことがほとんどです。
過払い金とは、利息制限法を超えて課された利息、つまり法律で定められたよりも多く払いすぎた利息を指します。
原則、奨学金は利息制限法の範囲内で貸し付けられているため、そもそも過払い金が発生しないのです。
2章 奨学金が返済ないときの救済制度と対処法
奨学金は、大学などを卒業したあとから返済が開始されます。
思ったより収入が少なかったり、退職してしまったりすると返済ができなくなることもあるでしょう。
ここでは、奨学金は払えないときの対処法について解説します。
2−1 家族にお金を借りる
休職などで一時的に返済ができないだけなのであれば、家族などにお願いしてお金を借りて返済に充てるのがリスクを最も少ないでしょう。
奨学金を返済するために消費者金融等から借入れをするのはおすすめできません。
奨学金は消費者金融などに比べて金利が低くなっているため、奨学金の返済のために消費者金融からお金を借りるのは、ただただ借金を増やすだけの行為なのです。
可能であれば、消費者金融などに頼らず、家族など金利や返済時期に融通の利くところから借りるようにしましょう。
2−2 奨学金の救済制度を利用する
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金には、傷病や災害などの理由で返済が困難になった人に向け、以下のような救済制度が設けられています。
制度 | 概要 |
---|---|
減額返還制度 | 返還期間を延長し、月々の返還額を減額する |
返還期限猶予制度 | 返還期間の猶予期間を設ける |
返還免除 | 死亡または精神・身体障害によって返還できない場合に、返還額の一部または全部が免除される |
この制度を利用すれば、致命的な滞納は免れるでしょう。
2−2−1 減額返還制度
- 利用できる人:年収325万円以下
- 利用できない人:返還を延滞している、年収325万円超である
減額返還制度を利用することで、返還期間を延長し、に月々の返還額を減らすことができます。
- 月々の返還額を2分の1に減額
→6ヶ月分の返還額を12ヶ月で返還 - 月々の返還額を3分の1に減額
→4ヶ月分の返還額を12ヶ月で返還
1回の申請で1年間の減額が可能で、最長15年利用可能です。
また、返還期間が延長しても利息が上乗せされることはないため、返還総額は変わりません。
2−2−2 返還期限猶予制度
- 利用できる人:年収300万円以下
- 利用できない人:年収300万円超
返還期限猶予制度を利用することで、返還期限の猶予期間を設けることができます。
1回の申請で1年間猶予、通算10年まで返還期限を延長可能です。
すでに延滞している人でも、傷病や生活保護を受給しているなどの理由があれば、返還期限猶予が適用されることもあります。
なお、この制度も返還期間が延長したとしても利息が上乗せされることはなく、返還総額は変わりません。
2−2−3 返還免除制度
- 奨学金受給者本人が死亡した場合
- 奨学金受給者本人が精神・身体障害によって返還できない場合
奨学金受給者本人が死亡した場合や、精神・身体障害によって返還できなくなった場合には、未返還額の一部または全部が免除されます。
2−3 どうしても返済できないときは債務整理をする
前述した救済制度が利用できない、利用しても返済ができない場合には、債務整理を検討しましょう。
債務整理は主に「自己破産」「個人再生」「任意整理」の3つがありますが、奨学金の場合、任意整理は適していません。
任意整理は利息をカットする手続きであり、そもそも利息がほとんどない奨学金では効果がないですし、日本学生支援機構も応じてくれない可能性が高いからです。
なお、いずれの手法も奨学金しか借入がない場合にはあまり効果的ではなく、他の借金も多いという場合に有効なものであることは理解しておきましょう。
2−3−1 自己破産
自己破産とは、裁判所に申し立てることでほぼすべての借金の返済義務を免除してもらう手続きです。
借金はなくなりますが、その分家や車などの財産を失うリスクがあります。
奨学金以外にも借金があり、返済ができない方、収入がない、生活保護を受けている方には自己破産をおすすめしています。
2−3−2 個人再生
個人再生とは、裁判所に申し立てることで、借金を5分の1〜10分の1程度に減額し、3〜5年で完済する再生計画を立てる手続きです。
借金は残りますが、家などの財産を手元に残すことができます。
仕事はしているものの、収入が少なく返済が難しい方には個人再生をおすすめしています。
3章 奨学金の保証人が請求できる過払い金
奨学金には保証人がついていることがほとんどであり、主債務者(奨学金を借りている本人)が支払いに応じなかったり、債務整理をしたりすると、保証人に請求がいきます。
保証人が複数人いた場合、一人ひとりは人数で按分した分しか払う義務がありません。しかし、それを知らず義務以上の金額を支払ってしまうケースがあります。
そのようなケースでの支払い過ぎたお金も「過払い金」と言い、この過払い金については、債権者に対して請求することができます。
※ここでいう「過払い金」は、1章で解説したような、利息制限法の上限を超えて支払った利息のことではありませんので注意して下さい。
実際、半額以上を支払った保証人2人が、半額を超える部分を日本学生支援機構に返金を求める裁判を起こし、裁判所が日本学生支援機構の不当利得として返金を命じた判例もありました。
4章 まとめ
奨学金は、利息制限法を超えることはまずありませんので、過払い金を請求することはできません。
奨学金の返済が難しい状態で過払い金の広告等を見て検討していた方もいらっしゃるかもしれません。
もし、奨学金の返済が難しい場合には、日本学生支援機構が設けている救済制度を利用してみましょう。
それでもなお返済ができないときは債務整理を検討して下さい。
過払い金に関する記事を沢山公開していますので、合わせてご覧ください。
アクセス数が多いキーワード:過払い金請求 デメリット
過払い金の無料相談ならグリーンへ
お気軽にお問い合わせください!
よくあるご質問
- 奨学金に過払い金は発生しますか?
- 奨学金には過払い金が発生しないことがほとんどです。
奨学金は利息制限法の範囲内で貸し付けられているため、そもそも過払い金が発生しないのです。
奨学金の過払い金について詳しくはコチラ
- 奨学金を踏み倒すとどうなる?
- 奨学金を踏み倒すと、下記のリスクがあります。
【延滞2ヶ月】遅延損害金が発生する
【延滞3ヶ月】日本学生支援機構などから支払督促が来る
【延滞3ヶ月】ブラックリストに入る
【延滞3ヶ月】債権回収会社に委託され、取り立てなどが行われる
【延滞半年以上】裁判所によって差押えなどが行われる
【延滞半年以上】奨学金踏み倒すと、保証人が支払い義務を負うこととなる
奨学金の踏み倒しについて詳しくはコチラ