自己破産申立てをすると強制執行や差押えは止まる?司法書士が解説

司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

自己破産
自己破産申立てをすると強制執行や差押えは止まる?司法書士が解説

この記事は約 7 分で読めます。

 この記事を読んでわかること
  • 自己破産で回避できる強制執行について
  • 管財事件と同時廃止の強制執行や差押えの停止について
  • 差し押さえられた給与の自己破産後の取り扱い
  • 自己破産の注意点

自己破産の申立て後、裁判所から破産の開始決定をもらうことで、強制執行による差押えや進行中の訴訟は停止します。

ただし問題になるのは、破産手続開始決定が出されるまでの強制執行による差押えです。

そこで、自己破産申立てによる強制執行について、破産準備中の財産の差押えの扱いを解説します。

1章 自己破産をすることで強制執行は回避できる

自己破産により、強制執行による差押えは回避できます

回避できる理由として、以下の2つが関係します。

  1. 自己破産の手続き中は強制執行が行われない
  2. 差し押さえられた給料・財産の取扱いは自己破産の種類によって決まる

それぞれ説明します。

1-1 自己破産の手続き中は強制執行が行われない

自己破産の申立てを行い、裁判所が破産手続開始決定をすると、開始されている強制執行手続は効力を失います

そのため財産の差押えは行われません。

1-2 差し押さえられた給料・財産の取扱いは自己破産の種類によって決まる

自己破産を申し立てた場合、管財事件と同時廃止事件のいずれかに振り分けられます

換価できる財産がないことが明確であれば同時廃止事件になることが多いのに対し、事案が複雑なときや一定規模の財産がある場合などは管財事件で手続が進みます。

どちらに振り分けられるかで給与や財産の扱いは異なるため、次章で詳しく説明します。

2章 自己破産申立てをすると強制執行や差押えは止まる?

自己破産の申立てで差押え等は停止するものの、次のどちらで手続が進むかによって、強制執行の扱いは異なります

  1. 管財事件の場合
  2. 同時廃止事件の場合

それぞれ説明します。

2-1 管財事件の場合

「管財事件」とは、破産者が一定の財産を所有しており、債権者への配当が見込まれるときに破産管財人が選任される自己破産の手続です。

破産管財人が、強制執行を許可した裁判所へ破産開始決定を上申する、または債権執行取消しを上申することで差押えが止まります

自己破産開始決定後の強制執行は効力を失うため、給与等が差し押さえられていた場合でも、全額受け取れます。

2-2 同時廃止事件の場合

「同時廃止事件」は、破産者に換価する財産がないことが明確なときの自己破産の手続です。

債権額の調査や換価が省略されるため、破産管財人は選任されずに破産の開始決定と破産手続廃止決定が同時に出されます。

同時廃止事件では、免責決定確定まですでに行われている強制執行は中止され、免責決定確定により強制執行は効力を失います

なお、中止後は一旦会社に留保され、免責後に受け取ることができます。

3章 差し押さえられた給与の自己破産後の取り扱い

給与が差し押さえられた場合の自己破産後の取り扱いも、次の2つのどちらで手続を進めるかによって異なります。

  1. 管財事件の場合
  2. 同時廃止事件の場合

それぞれ説明します。

3-1 管財事件の場合

管財事件の場合、管財人が否認権を行使することで給与を取り戻します

その後、給与は破産財団に組み入れられ、財団債権などの弁済に充てられることになり、余剰分は債権者へ平等に配当されます。

3-2 同時廃止事件の場合

同時廃止事件の場合、免責決定の確定で強制執行は効力を失います

ただし自己破産開始および廃止決定の段階では、給与の強制執行は中止されるものの、効力は失われません。

免責決定確定までの間、差押えに相当する金額は供託され、免責決定確定後に受け取りが可能です。

4章 自己破産をするときの注意点

自己破産を申立てれば、強制執行や差押えは停止します。

そもそも自己破産は借金をリセットできるため、返済しきれない多額の借入れがあるのなら、手続したほうがよいケースもあります。

ただし差押え中に自己破産を選択する場合は、以下の3つに注意しましょう。

  1. 司法書士・弁護士に依頼する費用を貯められない
  2. 財産がある場合は管財事件として扱われる
  3. 税金の滞納は自己破産しても返済義務がなくならない

それぞれ説明します。

4-1 司法書士・弁護士に依頼する費用を貯められない

自己破産を選択し、司法書士や弁護士に手続を依頼したくても、給与が差押えの対象になっていれば、専門家に支払う費用を貯めることができません。

給与の差押えの上限は手取り額の4分の1とされているものの、借金の督促が続く中で固定費等の支払いもあれば、専門家への費用にお金を充てにくいといえます。

自己破産手続きの費用でお悩みの方は、以下の記事をぜひ参考にしてください。

4-2 財産がある場合は管財事件として扱われる

相続した不動産などを所有している方の自己破産などは、管財事件で手続が進むことが多いといえます。

また、専門家に自己破産手続を依頼し、受任通知発送から破産手続開始決定までの間の給与の差押えは、否認権の対象です。

多額の給与が差し押さえられており、取り戻せば配当できる可能性があれば、管財事件へ移行することがあります

4-3 税金の滞納は自己破産しても返済義務がなくならない

税金・年金・健康保険料・下水道料金などは、非免責債権に該当するため、自己破産しても返済は免除されません。

自治体や国は、裁判所を通さずに強制執行できるため、短期間で財産を差し押さえられる恐れもあります。

支払いが難しいと感じた段階で、自治体などに分割払いでの対応や猶予を受けられないか相談することが必要です。

まとめ

自己破産で、強制執行による差押えは回避できます。

回避できる理由として、自己破産の申立てで差押え等は停止することが挙げられます。

ただし管財事件と同時廃止事件のどちらで手続が進むかによって、強制執行の扱いは異なります。

強制執行や差押えを回避すると同時に、借金問題解決の理由で自己破産を選択しても、税金など公租公課の滞納は返済免除されないことは理解しておきましょう。

財産の差押えや借金問題で悩んでいる方は、グリーン司法書士法人にご相談ください。

放置していても問題解決はできないため、個々のケースに応じた解決方法を提案させていただきます。

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