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破産手続の廃止とは、自己破産を申し立てた人に処分する財産がない場合に財産を清算することなく破産手続を終了することを指します。
自己破産では、申立人に一定以上の財産がある場合、それらの財産を処分(売却するなど)し、債権者へ配分することになります。
しかし、所有する財産が処分の対象となるラインに達さない場合には、処分する手続きが行われません。このような場合に「破産手続廃止」という形になるのです。
この記事では、破産手続廃止について解説します。
目次 ▼
1章 破産手続廃止とは
破産手続廃止とは、自己破産の申立人(破産者)に処分するほどの財産がなく、債権者に分配できないときに行われます。
そもそも「破産手続」とは、裁判所によって選任された破産管財人が申立人(破産者)の財産を調査し、一定以上の財産がある場合に換価処分(売却など)を行うことを指します。
自己破産の手続きでは一定以上の財産は、破産管財人によって処分され、債権者へと分配されますので、そのために行うのが(狭義の)「破産手続」です。
一方で、申立人が債権者に分配できるだけの財産を所有していない場合は、裁判所が破産手続廃止を決定します。
他にも、債権者が財産の処分をしないことに同意した場合も破産手続きが必要なくなり、破産手続廃止が決定されます。
2章 破産手続廃止の種類と手続きの流れ
破産手続廃止には大きく分けて以下のように3つの種類があります。
- 同時廃止
- 異時廃止
- 同意廃止
それぞれの概要と、手続きの流れについて詳しく見ていきましょう。
2−1 同時廃止
同時廃止とは、破産者に財産がなく、破産手続の開始決定と同時に破産手続が廃止される手続きです。
申し立て時点で処分する財産がないことが明らかであり、かつ、破産者が免責不許可事由(※)に該当していないケースでは同時廃止となります。
同時廃止では、破産管財人が選任されないため、要する費用も期間も大きく抑えることが可能です。
免責不許可事由とは、自己破産において裁判所が免責(借金返済の免除)を認めないとする要件です。
「免責を認めない」とは言いますが、実務上、この要件に該当したとしても裁判所の裁量によって免責が認められることがほとんどです。
免責不許可事由に該当する要件は以下のとおりです。
- 不当に財産を減少させる行為
- 不当に債務を負担する行為
- 債権者を平等に扱わない行為
- 収入に見合わない浪費やギャンブルなどにより借金をする行為
- 相手を騙して信用取引をする行為
- 帳簿など業務や財産に関する書類を隠す行為
- 虚偽の債権者名簿を提出する行為
- 説明の拒否や虚偽の発言をする行為
- 管財業務を妨害する行為
- 過去7年以内に免責を受けている
- 自己破産手続に協力しない
2−1−1 同時廃止の流れ
同時廃止となった場合の手続きの流れは以下のとおりです。
自己破産の申立て | 必要書類を裁判所に提出し、自己破産の申立てを行います。 |
---|---|
破産手続開始の決定・廃止 | 裁判所が申立てを受理し、財産の清算が必要ないと判断した場合には、破産手続が開始し、それと同時に廃止されます。 |
免責審尋 | 裁判所が必要と判断した場合に行われる、裁判官との面接です。免責審尋では、破産者本人が破産に至った事情や反省をしているかどうかなどを確認します。 |
免責決定 | 免責審尋で特に問題がないと判断されると、裁判所から免責の許可が下ります。つまり、借金の返済義務が免除されるということです。これで自己破産の手続きは終了です。 |
2−2 異時廃止
異時廃止とは、自己破産手続きの開始決定後に廃止が行われることを指します。この場合の自己破産は管財事件として扱われます。
破産者が免責不許可事由に該当する可能性があるケースや、財産が明確でない場合には一度破産開始決定が出て、破産管財人が選任され、財産の調査などが行われます。
その上で、破産者に処分する財産がないことが明らかになると、破産手続廃止となります。
異時廃止となる場合、同時廃止に比べ、手続き費用も期間もかかります。
2−2−1 異時廃止の流れ
自己破産の申立て | 必要書類を裁判所に提出し、自己破産の申立てを行います。 |
---|---|
破産手続開始の決定 | 裁判所が申立てを受理すると、破産手続開始の決定が下ります。 |
破産管財人との面接 | 裁判所によって選任された破産管財人と面接を行います。面接では借金の内容や借金をした原因、現在の収支、免責不許可事由に対する反省の有無、財産の内容などにいて確認されます。 |
破産手続の廃止 | 破産管財人の調査の結果、処分する財産がないと判断されると、破産手続が廃止されます。 |
免責決定 | 破産手続が廃止され、裁判所に特段問題がないと判断されると、免責の許可が下ります。つまり、借金の返済義務が免除されるということです。これで自己破産の手続きは終了です。 |
2−3 同意廃止
同意廃止とは、債権届の提出期間中に届出をした債権者の全員が破産手続廃止に同意した場合や、同意をしない債権者に相当の担保を提供した場合に、破産者の申立てを受けて裁判所が破産手続廃止することを指します。
もう少し分かりやすく説明しますと、債権者全員が「財産を処分してまで、お金をくれなくてもいいですよ」と申し出たことによって、破産手続をする必要がなくなるという状況です。
債権者が家族や知人のみというのであれば可能性はありますが、消費者金融などが債権者の場合には、同意を得ることはほとんど不可能です。
3章 自己破産手続きはグリーン司法書士法人にご相談を
自己破産の手続きは、例え破産手続廃止になるとしても、一般の方が自身で行うのは難しいのが現実です。
グリーン司法書士法人では、これまで多くの破産手続きのサポートをしてまいりました。
自己破産を検討されている方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
初回相談は無料です。オンラインでのご相談も受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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よくあるご質問
- 破産手続廃止をするとどうなる?
- 破産手続廃止をすれば、破産者が財産を処分せず破産手続きを終了させられます。
破産手続廃止について詳しくはコチラ
- 破産手続廃止の確定とは?
- 破産手続の廃止とは、自己破産を申し立てた人に処分する財産がない場合に財産を清算することなく破産手続を終了することです。
破産手続廃止の確定について詳しくはコチラ