警備員は自己破産できないって本当?復職までの期間と注意点を解説

   司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

自己破産
警備員は自己破産できないって本当?復職までの期間と注意点を解説

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「自己破産をすると今の職を失うのではないか」と心配で自己破産に踏み切れない方は少なくありません。

特に、警備員の仕事をしている方は、ネットで検索すると「警備員は自己破産できない」との情報もあり、困っているのではないでしょうか。

結論から言うと、警備員でも自己破産ができます。ただし、一定期間は警備員として働けないため注意が必要です。

この記事では、警備員の自己破産について解説します。自己破産を検討している方や、借金にお困りの方はぜひご参考にしてください。

1章 警備員でも自己破産はできる!

自己破産は、税金や養育費などの「非免責債権」以外の借金を全てなくす手続きです。

自己破産は、債務整理のなかで最も効力が強いため、仕事に影響するのではないかと不安な方も多いですが、警備員でも自己破産はできるのでご安心ください。

警備員も他の職業と同じように、自己破産の手続きが完了すると借金がなくなり、ゼロから再スタートできます。

2章 警備員が自己破産をすると一定の期間働くことができない

では、なぜ「警備員は自己破産ができない」と言われているのでしょうか。

その理由は、自己破産をすると手続きが完了するまで警備員として働くことができないからです。

自己破産が裁判所に認められ、破産手続開始が決定すると破産者になります。

破産者になると、職業や資格によっては法律で制限が設けられるため働けません。

警備員は自己破産によって制限される職業に該当します。そのため、破産手続き自体はできるけれど、その間は警備員として働けないという意味で「自己破産ができない」と言われているケースがあるようです。

ちなみに、警備員以外では弁護士や税理士、司法書士や国家公務員などが、制限される職業や資格に挙げられます。

2-1 警備業法により破産手続き中は働けない

警備員が制限が設けられる理由は、警備業法という法律で規制されているからです。

警備業法の第三条では、警備の仕事ができない対象者として「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」と記載があります。

復権とは、失った権利や資格を回復させることです。つまり、破産手続きを終えて、破産者でなくなれば法律上で警備員の仕事ができないと定められています。

2-2 警備業務ではない業務で働くことは可能

警備員としての仕事はできませんが、オフィスでの事務作業や採用の面接官など、警備以外の業務で働くことは可能です。

自己破産の手続き中も、警備の会社に勤めていること自体は問題ありません。

そのため、自己破産を決断したら早めに会社に伝えて、警備業務ではないポジションで働かせてもらうとよいでしょう。

3章 警備員の復職まで約2ヶ月〜半年かかる

警備業務以外のポジションで働けたとしても、本業の警備の仕事に早く復職したいことだと思います。

警備員として働けない期間の目安は、約2ヶ月〜半年程度です。

自己破産申立てから免責決定までの期間目安

自己破産は「同時廃止」と「管財事件」の2種類があり、それぞれ復権までの期間が異なります。

「同時廃止」とは、破産手続きが開始されると同時に破産事件を廃止する手続きです。破産者に財産がなく、生活苦や借金の相続などやむを得ない理由で破産するケースが該当します。

「管財事件」とは、20万円以上の財産額を持っている場合や、破産理由がギャンブルや投資など免責不許可事由に該当した場合に該当するケースが多いです。

管財事件になると、破産管財人が選任されて債権者に対して財産の配当をするため、その分手続きに時間がかかるので注意しましょう。

3-1 自己破産が理由で解雇されることはない

自己破産の手続きが完了したあとは、再度警備員の仕事ができます。

いくら法律上は復権できるとはいえ、会社が解雇する可能性を考えると自己破産しにくいと考えるかもしれませんが、警備員が自己破産が理由で解雇されることはないためご安心ください。

ただし、アルバイトや請負で警備の仕事をしていた場合、契約内容によっては契約の非更新または解除される可能性があります。

例えば「自己破産をした場合は契約を継続しない」「資格が停止になった時点で解雇とする」などの契約が巻かれていた場合は、同意した時点で取引できなくなるケースがあるので注意が必要です。

もし、アルバイトや請負で自己破産を考えている方は、契約内容を再度確認しましょう。

4章 自己破産をしたら会社にバレる?

結論から言うと、会社にバレる可能性はあります。

破産手続開始が決定してから完了するまで、2ヶ月〜半年は絶対に警備の仕事ができないため、ずっと警備の仕事をしていた方が違うポジションについていればバレてしまうかもしれません。

あくまで、業務内容の配置転換のため、上司の協力や自分の立ち回りによってはバレないケースも多いです。

では、ほかにはどのような場合にバレてしまうのか見ていきましょう。

4-1 自己破産をしたら官報に掲載される

官報とは、内閣府が発行している機関紙で、自己破産をすると氏名や住所が官報に掲載されます。

官報は、インターネットや図書館などで誰でも閲覧できるため、会社の人や知人が自分の名前を見つけた場合はバレてしまうでしょう。

ただし、官報は自己破産だけではなく、政府や省庁が発表する文書や告知、会社の決算報告など、数十ページに渡ってさまざまな情報が載っています。

さらに、行政機関の休日以外に官報が発行されるため、毎日のように官報をチェックしない限りは見つかることはほとんどありません。

そこまで官報からバレるケースは考えなくてよいでしょう。

4-2 勤務先から借入をしていたら100%バレる

自己破産は、全ての債権者から借りた借金をなくす手続きです。

もし勤務先で借入や給料の前借りをしていた場合は、会社も債権者になり、借金をなくさなくてはいけないため100%バレてしまいます。

そうなると、バレたくないからと別でお金を借りて「会社の分は完済してから自己破産をしよう」と考える方もいるかもしれませんが、絶対にやってはいけません。

返済する気のない借金と見なされる上に、偏頗弁済(へんぱべんさい)といって、一部の債権者に優先して返済したと見なされ債権者の間で不平等が発生するからです。

破産手続きで給料明細や通帳を出すので、借入や前借りがバレた場合は、自己破産ができなくなる可能性があるので注意しましょう。

5章 自己破産を隠して働くのは絶対にやめよう!

破産手続開始が決定したからといって、警備会社に直接通知が来ることはありません。

そのため、自己破産の手続きをしているかどうかは自己申告ですが、自己申告だからといって自己破産を隠して働くのは絶対におすすめしません。

では、自己破産を隠して働いていたことがバレるとどうなるのか見ていきましょう。

5-1 懲戒解雇される

1つ目は、懲戒解雇されるリスクです。

契約が問題なければ、自己破産が理由で解雇されることはありません。しかし、嘘をついて働いていたとなると話は別です。

業務資格に関わることを隠蔽したと見なされて、懲戒解雇される可能性が高いでしょう。

会社としても「資格が停止している状態で働いていてもバレなければいい」と思っている人物に、警備を任せられるとは思えません。

正直に自己破産したことを伝えて、別のポジションで頑張ることをおすすめします。

5-2 損害賠償を請求される

2つ目は、損害賠償を請求されるリスクです。

そもそも、警備員が一定期間働けないのは、警備業法という法律で規制されているからであって、会社が決めているわけではありません。

自分の判断で黙って働き続けていたとしても、世間には法律に違反している会社と判断されてもおかしくないでしょう。会社全体が法律違反になりかねないため、会社に損害を負わせたと損害賠償を請求される可能性があります。

自己破産で人生をやり直しできるはずが、損害賠償によってまた返済に追われなくてはいけません。

「黙って数ヶ月やり過ごせばバレないだろう」と思うかもしれませんが、バレた場合は職も今後の財産も失ってしまいます。絶対に自己破産を隠して働くのはやめましょう。

6章 警備員の職を続けながら借金問題を解決する方法

警備員の職を続けながら借金問題を解決したいのであれば、自己破産以外の方法も検討しましょう。

債務整理は、自己破産以外にも任意整理と個人再生があります。

どちらも借金を全てなくすことはできませんが、今ある借金の減額が可能です。完済できそうであれば、働き続けながら借金を返済し続けるのも一つの方法といえるでしょう。

ここからは、それぞれの手続きについて解説します。

6-1 任意整理

任意整理とは、債権者と直接交渉をして借金を減額する手続きのことです。

交渉では、利息や遅延損害金をカットしたり、分割払いの回数を増やしたりと、支払い内容を変更して借金の負担を軽減していきます。

基本的に大幅に減額することはないため、支払い能力がある方向けですが、債権者を選べて返済ができるのがメリットです。

もし勤務先から借入をしていた場合は、勤務先の借金を除いて任意整理ができるため、バレる可能性はほとんどないでしょう。

6-2 個人再生

個人再生とは、借金を5分の1〜10分の1に減額して完済を目指す手続きです。

原則3年で返済する必要があるため、完済が現実的な借金額である必要がありますが、自己破産と異なり家や車など対象の財産を手放すことなく手続きを進められます。

よって、自己破産を考えるほど借金額が大きいけれど、自分の財産を失いたくない方におすすめです。

ただし、個人再生も自己破産と同じく、債権者を選んで減額ができません。勤務先から借入をしていた場合は、勤務先の債権も債務整理の対象になるためバレてしまいます。

消費者金融のみの借金の場合や、警備の仕事は続けながら借金問題を解決したい方は検討してはいかがでしょうか。

7章 自己破産を検討しているならグリーン司法書士法人にご相談を!

警備員でも自己破産ができますが、破産手続き中の一定期間は警備員として働くことができません。

警備員の仕事を続けたいのであれば、別の債務整理を選ぶか、正直に勤務先に伝えて復権まで別のポジションに配置してもらう必要があります。

自己破産以外の債務整理は、借金を完済する必要があるため、現時点で借金が膨らんでいる方は早めの決断がおすすめです。これ以上借金を重ねないためにも、ぜひグリーン司法書士法人にご相談ください。

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