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なお、制限されたこと復活することを法律上「復権」と呼びます。
自己破産の手続き中は、一部の資格や職業が制限されてしまいます。
また、それらの制限を復活させることを「復権」といい、基本的に、自己破産手続きが終了すれば自然と復権します。
一方、一部のケースでは手続きが必要になることがあります。
この記事では、「復権」する条件や、「復権」したかどうかを確認する方法などについて解説します。
目次 ▼
1章 自己破産における復権とは
自己破産における復権とは、破産者の法的地位を回復させることを言います。具体的には、自己破産の手続き中に制限されている資格や職業の制限を解除することを指します。
自己破産では、破産手続きの開始決定が出ると、法律上、申立人は「破産者」として取り扱われ、「破産者」になると、一部の資格・職業が制限されてしまいます。
自己破産の手続きが終了しても「破産者」のままですと、日常生活で不便を強いられてしまうでしょう。そのため、法律では「破産者」を破産者でなくするための制度がきちんと設けられているのです。
制度と堅苦しく言いますが、実際には自己破産手続きが終了すれば(免責が下りれば)勝手に復権するのがほとんどですので、申立人(破産者)が難しく考える必要はありません。
とはいえ、例外的に自身で復権するよう申し立てなければいけないケースもあります。詳しくは2章にて解説します。
1−1 復権によって解除される制限
自己破産をすると、以下の資格・職業が制限されます。
- 自己破産手続き中制限される職業・資格の一例
-
- 証券外務員
- 商品投資販売業
- 商品投資顧問業
- 金融商品取引業
- 警備員
- 宅地建物取引士
- 生命保険外交員・募集人
- 貸金業
- 会社の取締役
- 不動産鑑定士
- 弁護士
- 司法書士
- 税理士
- 公認会計士
- 社会保険労務士
- 旅行業 など
この制限は、基本的に自己破産の手続きが終了(免責が下りる)すれば復権され、上記の制限も解除されます。
1−2 復権とブラックリストは関係がない
「復権」と聞くと、すべての制限が解除されると思われるかもしれません。しかし、復権することで解除されるのは前述した資格や職業だけです。
自己破産や借金の滞納をして信用情報機関に事故情報(ブラックリスト)が載ったことによる制限は(クレジットカードの利用・作成や新たな借り入れなど)解除されないので注意が必要です。
2章 自己破産で制限された資格が復権する条件
自己破産による制限は自己破産の終了とともに復権するのが基本です。これを「当然復権」と言います。
一方、一部のケースでは申し立てが必要なこともあります。
それぞれ詳しく解説します。
2−1 【手続き不要】当然復権
手続きの必要なく、自然と復権する(当然復権)ケースは以下のとおりです。
- 自己破産手続きで免責許可が確定した時
- 債権者全員の同意により破産手続き廃止が確定した時
- 個人再生の再生計画認可決定が確定した時
- 破産手続開始後から10年経過した時
それぞれ詳しく解説します。
2−1−1 自己破産手続きで免責許可が確定した時
自己破産の手続きが無事に終了したときです。自己破産をした人の多くがこのタイミングで復権することになります。
復権までの期間は、同時廃止であれば、自己破産の申立から3〜4ヶ月。管財事件であれば4〜6ヶ月程度です。
2−1−2 債権者全員の同意により破産手続き廃止が確定した時
何らかの事情で自己破産手続きが進められなくなり、債権者全員の同意の上で自己破産の手続きが廃止した場合には、そもそも「破産した」という事実がなくなるため、その時点で復権します。
とはいえ、破産手続きの廃止を債権者が認めるのは、破産者の返済目処が立った時だけです。そもそも自己破産は返済不能であることが認められなければ認められないため、廃止が認められるケースが非常に稀でしょう。
2−1−3 個人再生の再生計画認可決定が確定した時
免責不許可事由に該当し、自己破産で免責許可が下りなかった場合、個人再生の手続きに切り替えることもあるでしょう。その場合、再生計画の認可が下りた時点で復権します。
なお、個人再生の手続きは1年〜1年半程度の期間を要します。自己破産から個人再生に切り替えた場合、最初の自己破産の申し立てから再生計画の認可が下りるまで2年以上かかることもあるので留意しておきましょう。
2−1−4 破産手続開始後から10年経過した時
自己破産の手続開始後から10年が経過すれば、免責許可を得たかどうかにかかわらず自動的に復権します。
ただし、これは「詐欺破産罪」での有罪判決を受けていないことが条件となります。
自己破産をすると、破産者が所有している財産は処分され、債権者に分配されます。そのため、所有する財産を隠したり壊したりする行為は「詐欺破産罪」に該当し、有罪判決を受けると10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、もしくはこの両方が課されます。
2−2 【申立てが必要】申立による復権
以下のケースでは、復権するためには条件を満たしたときに自身で申立てする必要があります。(申立による復権)
- 全額返済後に復権申し立てをする
このケースは稀ですが、自己破産手続き中に相続や宝くじの当選などによって大きなお金を取得して、借金をすべて返済できたというケースが考えられます。
なお、裁判所へ復権を申し立ててから、復権の決定が下りるまで4〜6ヶ月程度かかります。
3章 自己破産後、復権したかを確認する方法
2章で解説した条件を満たし、復権したとしても、その事実が本人に直接知らされるわけではありません。
復権したかどうかを確実に知るためには、自身で確かめる必要があり、それば本籍地のある市区町村役場で「身分証明書」を取得することが確認できます。
なお、申立による復権の場合、復権が認められた時点で裁判所から判決書などが届くので、自身で調べる必要はありません。
4章 自己破産手続きでお困りならグリーン司法書士法人にご相談ください
自己破産によって、制限を受ける資格や職業に就いている方は、自己破産をすることに不安を感じるでしょう。
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よくあるご質問
- 自己破産後の復権とは?
- 自己破産における復権とは、破産者の法的地位を回復させることを言います。具体的には、自己破産の手続き中に制限されている資格や職業の制限を解除することを指します。
自己破産の復権について詳しくはコチラ
- 自己破産後の復活の条件とは?
- 自己破産の復活の条件には、手続き不要と必要なものがあります。
手続き不要の条件は、下記の通りです。
・自己破産手続きで免責許可が確定した時
・債権者全員の同意により破産手続き廃止が確定した時
・個人再生の再生計画認可決定が確定した時
・破産手続開始後から10年経過した時
自己破産の復権について詳しくはコチラ