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借金が返せず自己破産を検討しているものの、今飼っているペットを回収されるのでは?と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、自己破産をしてもペットを債権者に回収される可能性は低いです。
ペットは自動車や不動産のように破産者の財産ではあるものの債権者が回収しても世話などのコストがかかる上に、売却額も高くなりにくいからです。
一方で、債権者にペットが回収される可能性は、低いとはいえゼロではありません。
また、債権者にペットが回収されなかったとしても、自己破産をすると自宅を始め財産を手放す必要があるので、現実的にペットを飼い続けるのが難しいケースもあるでしょう。
本記事では、自己破産をした場合ペットは差し押さえられるのか、債務整理後もペットを飼い続ける方法はあるのかを紹介します。
自己破産については、下記記事で詳しく解説しています。
目次 ▼
1章 自己破産をしてもペットを差し押さえられる可能性は低い
結論から言うと、自己破産をしたとしてもペットを差し押さえられる可能性は低いです。
理由は、主に以下の通りです。
- ペットは債権者が回収しても世話が必要でコストがかかる
- 大きくなったペットは売却も難しく収益化しにくい
破産手続上、ペットは不動産や自動車と同じように破産者の財産として扱われますが、上記の理由により自己破産をしても差し押さえられるケースはまれです。
とはいえ、すべてのケースでペットが差し押さえられないわけではありません。
2章 自己破産後にペットを差し押さえられるケース
自己破産後にペットが破産者の財産として指し押さえられるケースは、主にペットが自己破産の原因になっている場合です。
それぞれ詳しく解説していきます。
なお、ここでいう「自己破産後」とは、自己破産の申立て後という意味です。
2-1 ペットが原因で自己破産をした場合
ペットの餌代やトリミング費用などが高額であり、自己破産した場合にはペットを手放す必要があると裁判所が判断する恐れがあります。
というのも、自己破産は借金の返済義務をなくし、破産者の生活の立て直しを目的とする制度です。
借金の根本的な原因となったペットに関する支出を解消しない限り、収支の見直しができないと考えられてしまいます。
また、ペット関係の支出が原因で自己破産にいたる場合には、裁判所に浪費と判断される場合もあるので注意が必要です。
浪費は自己破産の免責不許可事由に該当するので、反省の色が見えない場合は自己破産手続きそのものが認められなくなる可能性もゼロではありません。
自己破産の免責不許可事由については、下記の記事で詳しく解説しています。
2-2 ペットローンが残っていて自己破産した場合
ペットローンでペットを購入し完済せずに自己破産をした場合には、信販会社にペットを引き上げられる可能性があります。
ペットローンには自動車ローンなどと同様に、所有権留保がついているケースがほとんどだからです。
ローンの支払いが完了するまで所有権が信販会社に留保される決まりです。
ただし、ペットローンの支払いが残っていてペットの所有権を信販会社が持っている場合にも、ペットを回収される可能性は低いでしょう。
理由は、1章で解説したように信販会社がペットを回収したとしても、コストがかかる割に売却額が高くなりにくいからです。
本章で解説したように、自己破産をしてペットが回収される可能性はゼロではありませんが低いです。
とはいえ、仮に残せたとしても、免責決定後にペットを今の生活のまま飼い続けることは難しいでしょう。
理由を次の章で解説していきます。
3章 自己破産後にペットを飼い続けるのが難しい理由
1章、2章で解説したように、自己破産をしてもペットが回収される可能性は低いです。
ただし、自己破産は自身の生活に大きな影響を与えるので、ペットをそのまま飼い続けるのは場合によっては難しいでしょう。
なお、この章での「自己破産後」とは最終の免責決定が出た後のことを指します。
ペットを飼い続けるのが難しい理由は、主に以下の通りです。
- 自己破産では自宅も没収される
- 自己破産後は必要最低限以外の財産を没収される
それぞれ詳しく解説していきます。
3-1 自己破産では自宅も没収される
自己破産をすると、自宅などの財産が没収されてしまいます。破産後に実家や配偶者の持ち家などに住める場合は、家主の了解を得ればペットを飼い続けることもできるでしょう。しかし、そうでなければ賃貸物件を探すしかありません。
ペット可能の賃貸住宅が見つからなかった場合には、ペットを飼い続けることは難しいでしょう。
その場合には、ペットを債権者に回収されなかったとしても結局手放さなければならないかもしれません。
3-2 自己破産後は必要最低限以外の財産を没収される
自己破産をすると総額99万円以下の財産は没収されてしまいます。
評価額が99万円を超える自宅だけでなく、現金や預貯金なども没収されてしまいます。
そのため、自己破産後は自分や家族が生活していくことが精いっぱいでペットの餌代や病院代などの費用を捻出することが難しくなる恐れもあるでしょう。
本章で解説したように、自己破産手続きでペットを回収されなかったとしても、ペットと共に今の生活を続けるのが難しいケースもあります。
次の章では、借金があったとしてもペットを飼い続ける方法を見ていきましょう。
4章 借金があってもペットを飼い続ける方法
自己破産によってペットが債権者に回収される可能性は低いので、3章で解説した住まいの問題を解決できればペットを飼い続けられる確率は上がります。
また、ペットローンが残っている場合には自己破産以外の債務整理を行えばペットを回収されない可能性もあります。
それぞれの方法を詳しくみていきましょう。
4-1 ペット可能な賃貸物件を探す
自己破産によって自宅を手放す場合には、次の住まいにペット可能な賃貸物件を探しましょう。
ペット可能な住まいを見つけられれば、自宅を差し押さえられたとしてもペットと生活を続けられるからです。
万が一、ペット可能な賃貸住宅がすぐに見つからない場合には、一時的に家族や友人などに預かってもらうこともご検討ください。
4-2 自己破産以外の債務整理を検討する
債務整理には自己破産以外の方法もあります。
自己破産でペットが回収されそうなどの問題がある場合には、他の債務整理を検討しても良いでしょう。
4-2-1 任意整理
任意整理は、債権者と交渉をして金利や返済期間の見直し、借金減額などを行ってもらう方法です。
任意整理では自己破産と異なり、債権者ごとに交渉できるのでペットローンを組んでいる金融機関を避けて交渉すればペットを残したまま借金の負担を減らせます。
4-2-2 個人再生
2章で解説したように、ペットに関する支出が浪費と判断されると自己破産の手続き自体が認めてもらえない場合もあります。
免責不許可事由により自己破産が難しい場合には、個人再生を検討しても良いでしょう。
個人再生は自己破産と異なり、浪費が原因でも再生計画案が不認可にならないとされているからです。
また、個人再生では住宅ローン特則が用意されており、住宅ローン以外の債務整理の対象から外せる場合もあります。
ただし、個人再生で住宅ローン特則を利用できるかの判断や手続きは難しいので、専門家に相談することをおすすめします。
5章 ペットを飼っている人が自己破産するときの注意点
最後に、ペットを飼っている人が自己破産するときに気を付けておきたいことを3つ紹介していきます。
- ペットではない家畜は処分される可能性が高い
- 自己破産手続き時にはペット情報も申告する
- 20万円を超えるペットは回収される可能性がある
それぞれ詳しく解説していきます。
5-1 ペットではない家畜は処分される可能性が高い
牛や豚などの家畜は処分、売却することを前提に育てているので自己破産時に処分される可能性が高いです。
ただし、家畜かペットかの判断は裁判所によるものなので、牛や豚を育てている場合でも必ずしも処分されるとは限りません。
5-2 自己破産手続き時にはペット情報も申告する
自己破産の手続き時には家計に関する情報や過去5年以内にした20万円を超える買い物などを報告する必要があります。
毎月支出しているペットの餌代や5年以内に購入したペットなどは隠さずに申告しましょう。
「自己破産をするとペットが回収されるかもしれない」と考えて、ペットに関する情報を隠しても以下の情報から裁判所にばれてしまいます。
- 家計簿でペットの餌代や病院代などの支出が記録されている
- 通帳にペット保険などの支出の記録が残る
裁判所や破産管財人にウソの情報を伝えると、最悪の場合、自己破産の手続きが認めらなくなってしまうのでご注意ください。
5-3 20万円を超えるペットは回収される可能性がある
市場価格が20万円を超えるペットは、自由財産として認められず破産管財人がペットを売却する必要が生じる場合があります。
飼っているペットの市場価格が高額な場合には、以下の手続きが必要です。
- 専門家に自由財産の拡張手続きを依頼する
- 破産管財人にペットの価格相当の金銭を支払う
とはいえ、大きくなった犬や猫は市場価格が安いので自己破産をしても回収される可能性は低いでしょう。
まとめ
自己破産をすると20万円を超える財産は没収される恐れがあります。
ただし、犬や猫などのペットは大きくなると市場価格が下がるので、自己破産をしても債権者に回収されない可能性が高いでしょう。
とはいえ、自己破産をすると自宅や自動車などが没収され、これまでの生活を維持することが難しくなります。
例えば、自宅を手放した場合、ペット可能な賃貸住宅を見つけられなければペットと住み続けるのは難しいでしょう。
また、ペットにかかる支出が浪費と判断された場合は免責不許可事由に該当するので、自己破産の手続きができなくなる恐れもあります。
自己破産をするとペットが差し押さえられるか、ペットが原因で自己破産できるかの判断は自分では難しい場合も多いです。
必要に応じて、債務整理に詳しい司法書士や弁護士などの専門家への相談もご検討ください。
グリーン司法書士法人は、自己破産を始めとした債務整理に関して相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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よくあるご質問
- 自己破産をするとペットはどうなりますか?
- 自己破産をしたとしてもペットを差し押さえられる可能性は低いです。
ペットは債権者が回収しても世話が必要でコストがかかるし、大きくなったペットは売却も難しく収益化しにくいからです。
自己破産時のペットについて詳しくはコチラ
- 自己破産をすると処分されるものは?
- 自己破産をすると自宅や生活に必要な最低限の財産以外は没収されてしまいます。
自己破産時に処分される財産について詳しくはコチラ
- 自己破産により差し押さえられたペットはどうなる?
- 自己破産により差し押さえられたペットは、競売にかけられる恐れがあります。
しかし、実際には差し押さえるのに手間や費用がかかることや成長したペットの市場価値が低いことから、ペットが差し押さえられるケースはほぼありません。