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- 高齢者が借金を抱えてしまう主な理由
- 高齢者でもできる借金の解決方法
- 高齢者が借金を抱えるリスク
年金や貯金だけでは生活費をまかないきれず、借金に頼らざるを得なくなり、高齢者破産に追い込まれる方は少なくありません。物価高の影響もあり、通院費や薬代、介護費用などが積み重なって「お金がない」「病院に行けない」とお困りの方も多いでしょう。
本記事では、高齢者が借金を抱えてしまう原因や、放置した場合のリスクについて解説します。また、高齢者でも利用できる借金問題の解決方法も紹介しているので、金銭面でお困りの方はぜひ最後までご覧ください。年金暮らしでも実践できる具体的な対処法を知り、経済的な不安を少しずつ解消していきましょう。
目次 ▼
1章 高齢者が借金を抱えてしまう主な理由
高齢者が借金を抱えてしまう主な理由は以下の通りです。
- 物価高に年金だけでは対応できない
- 医療費や介護費用が重なった
- リボ払いやカードローンの返済が続いている
- 子供や孫への援助で無理をしてしまった
- バブル期のローンが残っている
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1-1 物価高に年金だけでは対応できない
近年の物価上昇により、年金だけでは生活費をまかなえない高齢者が増えています。食料品や光熱費、日用品の価格は上がり続けており、節約をしても支出を抑えきれない状況です。
総務省の発表によると2025年(令和7年)8月分の消費者物価指数は、2020年を100とすると112.1となっており、5年で約12%も物価が上昇しています。一方、日本年金機構の発表では令和7年4月分(6月支給分)からの年金額が原則1.9%引き上げに留まっており、物価の上昇には到底追いついていません。
こうした物価は上がるにもかかわらず、年金はあまり増えない状況が続き、生活費に困って借金を抱えてしまうのです。
1-2 医療費や介護費用が重なった
高齢になると、病気や体調不良で医療機関にかかる機会が増えます。通院や薬の費用に加え、入院費・検査費・交通費などが重なることで、大きな出費になるでしょう。介護サービスを利用する場合には、自己負担分の介護費用や介護用品の購入費も発生します。
たとえ高額療養費制度や介護保険があっても、年金収入だけでは支払いが難しいのが現実です。慢性疾患などで通院が長引けば、生活費の一部を医療費に充てざるを得なくなり、日々の出費が圧迫されていきます。
特に、夫婦のどちらかが介護を必要とするようになると、生活費と介護費が同時にかかるため、家計の負担は一気に増大します。貯金を切り崩して対応しても追いつかず、借金に頼らざるを得ない状況に陥ってしまいます。
1-3 リボ払いやカードローンの返済が続いている
現役時代に利用したリボ払いやカードローンの返済が今も続いている高齢者もいます。定年後に収入が減っても返済額は変わらないため、年金収入だけでは支払いが厳しくなる場合が多いでしょう。
特にリボ払いは、月々の支払い額が一定に見えても、実際には利息の割合が高く、元本がなかなか減らない仕組みです。その結果、返済期間が長引くほど総返済額が増え、支払っても支払っても終わらない悪循環に陥ってしまうケースもあります。
新たな借入を行うのは難しい年齢層であるため、過去の返済を続けながら生活費をやりくりするしかないという高齢者も少なくありません。こうした状態を放置すると、生活費を削るか、別の借入に頼るしかなくなり、家計がより苦しくなってしまいます。
1-4 子供や孫への援助で無理をしてしまった
子供や孫のためにお金を出しすぎてしまい、結果的に借金を抱える高齢者も少なくありません。進学や結婚、出産、住宅購入など、人生の節目で援助を求められることは珍しくなく、「助けてあげたい」という思いから貯金を取り崩したり、借金をしてしまったりするケースもあります。
しかし、年金生活に入ると収入は限られており、一度支出が増えると回復が難しいのが現実です。特に援助が一度きりではなく、「もう少しだけ」「今回だけ」と繰り返す間に、生活費を圧迫してしまう場合もあります。
また、子供や孫に心配をかけたくないという気持ちから、借金を隠してしまう人も多く、気づいた時には返済が困難になっているケースも見られます。
1-5 バブル期のローンが残っている
バブル期に住宅ローンや事業資金を借り入れたまま、返済が続いている高齢者も少なくありません。当時は金利が8%前後と現在よりもはるかに高く、長期にわたって返済を続けているうちに、金利負担だけで大きな金額になってしまったケースもあります。
債務整理などで解決を図ることもできますが、「マイホームを失いたくない」という思いから、返済を続けるしかない人も多いのが現実です。その結果、年金収入の大半をローン返済に充てることになり、家計がギリギリで借金に追われる生活になってしまいます。
2章 借金を放置するリスク
借金の返済が難しくなっても、「そのうち何とかなる」「一度落ち着いてから考えよう」と放置してしまう人は少なくありません。しかし、借金を放置すればするほど利息が増え、返済がさらに厳しくなっていきます。
特に高齢者の場合、年金や預貯金など限られた資産で生活しているため、放置による影響は深刻です。ここからは、借金を放置した時に起こり得る主なリスクを見ていきましょう。
2-1 財産が差し押さえられる
借金を長期間放置すると、債権者(銀行やカード会社など)が裁判所を通じて強制執行の手続きを申し立て、財産を差し押さえることがあります。これは、債務者が強制的に回収を行う制度で、支払いを再三求めても応じない場合に実行されます。
差押えの対象となるのは、預貯金や自動車、不動産などです。特に高齢者の場合、年金が振り込まれた口座が差し押さえられると、全額返済に充てられるため、生活への影響は非常に大きくなります。
2-2 年金が振り込まれる銀行口座が凍結される
借金を長期間放置すると、銀行口座が差し押さえられ、預貯金が借金の返済に充てられます。年金自体は法律で差押えが禁止されていますが、口座に振り込まれた時点で預金として扱われるため、差押えの対象となってしまうのです。
2-3 借金問題を家族に知られてしまう
「家族に心配をかけたくない」「迷惑をかけたくない」と考え、借金のことを誰にも話さずに抱え込む高齢者もいます。しかし、借金を放置したままにしていると、家族に知られてしまう場面は少なくありません。
代表的なのが、裁判所や債権者からの郵送物です。差押えや督促に関する書類は本人宛てに届きますが、家族が代わりに受け取ることもあります。また、年金が振り込まれる口座が凍結されると、生活費の引き出しができず、家計の異変に家族が気づくこともあるでしょう。
さらに、債権者からの督促電話が自宅にかかってきたり、共有財産に関する通知が届いたりすることで、借金の存在が明らかになるケースもあります。借金を隠したままにしておくことは難しく、放置すればするほど発覚のリスクは高まります。
3章 高齢者でもできる借金の解決方法
借金の返済が難しくなっても、年齢を理由に諦める必要はありません。例えば、以下のような方法で借金問題の解決を目指すことが可能です。
- 過払い金の請求
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
- リースバック
- リバースモーゲージ
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
3-1 過払い金の請求
過払い金請求とは、これまでに支払いすぎた利息を返してもらう手続きのことです。かつてのカードローンやキャッシングでは、利息制限法の上限(年15〜20%)を超える高金利で貸付が行われていたため、長期間返済を続けた人ほど払いすぎが生じている可能性があります。
すでに取引を終えている人でも、払いすぎた利息が認められればお金が戻ってくる場合があります。また、まだ返済中であっても、支払い過ぎた分を元本に充当することで、残高を減らしたり、返済期間を短縮できるケースもあります。
ただし、最後の取引から一定期間が経過すると時効により請求できなくなるため、早めの確認が重要です。2000年代初期までにカードローンや消費者金融を利用していた場合、過払い金請求によって借金問題の解決に近づけるかもしれません。
3-2 任意整理
任意整理とは、裁判所を通さずに金融機関やクレジットカード会社などと直接交渉し、利息や将来の金利を減額・免除してもらうことで返済負担を軽くする手続きです。
利息や遅延損害金などをカットしてもらい、3年〜5年程度で完済できる範囲に毎月の返済額を調整します。利息の支払いがなくなることで、返済のほとんどを元本に充てることができるため、借金を確実に減らしていくことが可能です。
また、任意整理は、自宅や車などの財産を手放さずに進められるのも大きな特徴です。生活に必要な財産を守りながら、無理のない返済を目指せる点で、高齢者にも適した解決方法と言えるでしょう。
ただし、手続き後は和解成立から5年程度は信用情報に記録が残るため、新たなローンやクレジットカードの利用は難しくなる点には注意が必要です。
3-3 個人再生
個人再生とは、裁判所を通じて借金を大幅に減額し、原則3年(最長5年)で返済を続けることで残りの債務が免除される手続きです。自己破産のように全ての借金をゼロにすることはできませんが、元本を最大で5分の1程度まで減らせるため、返済の見通しを立てやすくなります。
大きな特徴は、住宅ローン特則を利用することで自宅を手放さずに手続きできる点です。住宅ローン以外の借金を減額しつつ、マイホームを守りながら生活の再建を目指すことが可能です。「長年住み慣れた家を残したい」「引っ越しが難しい」といった高齢者にとっても現実的な選択肢と言えるでしょう。
ただし、今後も安定した収入が見込めることが前提となります。返済計画の遂行が難しいと判断された場合は認可が下りない場合もあるため、手続き前に弁護士・司法書士へ相談して、無理のない再生計画を立てることが大切です。
3-4 自己破産
自己破産とは、裁判所に申立てを行い、返済が不可能な状況であることを認めてもらうことで、借金の支払い義務を免除してもらう手続きです。破産手続きが完了し、免責許可決定が下りると、全ての借金の支払い義務がなくなります。
生活に必要な一定の財産(99万円以下の現金や最低限の家財など)は手元に残せるため、全てを失うわけではありません。また、収入が少なくても問題ないため、年金受給者でも申立ては可能です。
ただし、破産手続き中は一部の資格・職業(保険募集人、警備員、宅地建物取引士など)に就けない期間があります。また、信用情報機関に登録されるため、5〜7年程度は新たなローンやクレジットカードの利用が難しくなる点にも注意が必要です。
それでも、返済の重圧から解放され、生活を立て直すための再スタートを切れるという点で、自己破産は有効な選択肢の一つです。長期にわたって返済に苦しむよりも、法的な手続きを経て早期に再出発を目指すことで、結果的に現実的な解決に繋がるケースも多く見られます。
3-5 リースバック
リースバックとは、自宅を不動産会社などにいったん売却し、売却後も家賃を支払うことで同じ家に住み続けられる仕組みです。売却代金を得ながらも住まいを失わずに済むため、住宅ローンの返済や生活費の補填に充てたい高齢者にとって現実的な選択肢の一つです。
リースバックを利用すれば、まとまった現金を手に入れられますが、引っ越しの必要はありません。また、売却後も賃貸契約として住み続けるため、固定資産税や修繕費などの負担も軽減されます。そのため、「自宅を残したいが、ローンの返済が厳しい」「老後資金を確保したい」といった場合に適しています。
ただし、売却価格は市場価格よりも低くなる傾向があり、家賃の支払いが滞ると住み続けることができなくなるリスクもあります。
3-6 リバースモーゲージ
リバースモーゲージとは、自宅を担保に金融機関からお金を借り、亡くなった後に自宅を売却して返済する仕組みです。主に高齢者を対象とした制度で、年金や預貯金だけでは生活が難しい人でも、自宅の資産を活用して老後資金を確保できる点が特徴です。
毎月の返済は利息分のみながら、自宅に住み続けながら資金を受け取れるという大きなメリットがあります。そのため、「家を残したいが、生活費や医療費が足りない」という場合に向いている方法です。
一方で、土地や建物の評価額が低い場合は希望額を借りられないことや、金利上昇によって将来の返済総額が増えるリスクがあります。また、対象となるのは原則として持ち家(戸建て・マンション)で、賃貸住宅では利用できません。
4章 認知症の場合は成年後見人が手続きを行う必要がある
認知症などにより判断能力が低下した場合、本人が自ら借金の手続きや債務整理を行うことはできません。そのような時には、家庭裁判所に申立てを行い、成年後見人を選任してもらう必要があります。
成年後見人とは、本人の代わりに財産管理や法律行為を行う人のことです。家族が後見人になる場合もあれば、司法書士や弁護士などの専門職が選任されることもあります。後見人が選ばれると、本人に代わって借金の内容を確認し、任意整理や自己破産などの手続きを進めることが可能です。
ただし、成年後見制度は本人の財産を守るための制度であり、後見人が勝手に借金を整理することはできません。家庭裁判所の監督のもとで、手続きの必要性や内容を丁寧に判断しながら進めていくことになります。
5章 早めに専門家に相談すれば高齢者でも借金問題の解決に向けた手段は多い
高齢者が借金を抱えてしまっても、状況に応じた解決方法は必ずあります。ただし、同じ内容の借金でも、相談の時期が遅れるほど選択肢は限られていくのが現実です。そのため、借金の返済に困ったら、早めに弁護士・司法書士に相談することが大切です。
早めに相談すれば、任意整理や個人再生など、生活を維持しながら返済を見直せる可能性があります。一方で、延滞や差押えが進んでしまうと、自己破産などのより重い手続きしか選べなくなる場合もあります。
借金問題は放置するほど複雑化しますが、早めに行動すれば負担を最小限に抑えられます。したがって、一人で悩まずに、早い段階で専門家に相談するのがおすすめです。
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まとめ
高齢者が借金を抱えてしまっても、解決の方法はあります。年金収入だけでは返済が難しい場合でも、過払い金請求や任意整理、個人再生、自己破産などの法的手続きを活用すれば、生活の立て直しは十分に可能です。さらに、自宅を手放したくない場合には、リースバックやリバースモーゲージなど、住まいを維持しながら資金を確保する方法もあります。
一方で、借金を放置すれば、利息や遅延損害金が増えるだけでなく、差押えや口座凍結など、生活に直接影響するリスクが高まります。状況を悪化させないためにも、早い段階で専門家へ相談し、現状を正確に把握することが重要です。
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