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これから大学などの進学に向けて奨学金を申し込もうと考えている方もいらっしゃるでしょう。
その中には、自身やご家族が信用情報のブラックリストに載っていて、審査に不安を持つ方もいるかと思います。
奨学金を申し込む本人がブラックリストに載っていたとしても、ただちに審査に影響することはありません。
一方で、親がブラックリストに載っている場合審査に影響する可能性があります。奨学金では親が保証人になることが一般的ですが、通常ブラックリストに載っている人は保証人になることができないからです。
とはいえ、他の親族に保証人をお願いしたり、日本国際教育支援協会の機関保証制度を利用したりすることでその問題は解決できる可能性が高いでしょう。
この記事では、奨学金の審査とブラックリストの関係性や、奨学金の審査に落ちる原因などについて解説します。
- 奨学金利用者本人のブラックリストと審査の関係性
- 親がブラックリストに入っている場合のデメリット
- 奨学金の審査に落ちる原因
- ブラックリストによって奨学金を利用できないときの対処法
目次 ▼
1章 奨学金の利用者本人がブラックリストに載っていても審査にはほとんど影響しない
ブラックリストとは、信用情報機関に登録されている事故情報を指し、借金やクレジットカードの支払いを滞納したり、債務整理をしたりすると登録されます。
ブラックリストに登録されていると、情報が消えるまで新たな借入れやクレジットカードの利用などができなくなります。
しかし、奨学金の審査では奨学金機関は主に申請者の学業成績や家庭の経済状況を審査基準としてるため、ブラックリストに載っていることはあまり影響しません。(日本学生支援機構が公式に「個人信用情報機関に登録されている情報は、与信判断(採用時)には利用しません」と明記しています。)
奨学金機関は申請者の将来性や社会への貢献度を見極めるため、面接や推薦状などの要素に加え、学生のモチベーションや教育に対する熱意を踏まえて審査するのです。
そのため、利用者本人が金融のブラックリストに載っていても、奨学金の制度を利用できる可能性はあります。
2章 親がブラックリストに入っていると奨学金の利用に支障がでる
奨学金の申請者本人がブラックリストに入っていても、ただちに審査に落ちる原因にはなりません。
しかし、親がブラックリストに入っている場合は支障がでる可能性があります。以下では、その理由について解説します。
2−1 ブラックリストに載っている人は保証人になれない
奨学金を利用するには多くの場合、保証人が必要とされます。
保証人の要件には、安定した収入があることに加え、信用情報がクリーンであることなどが挙げられます。そのため、親がブラックリストに登録されている場合には、保証人としての役割を果たすことができません。
奨学金の保証人は親がなることがほとんどですから、親がブラックリストに載っていることは奨学金の審査に影響するでしょう。
そのため、親がブラックリストに載っている場合には、別の保証人を見つけるか、機関保証制度を利用する必要があります。
2−1−1 ブラックリストの確認方法
ブラックリストに載っているかどうかは、信用情報機関に情報開示請求を行うことで確認可能です。
開示請求は、オンラインや郵送で申請することができます。
なお、信用情報機関には「JICC」「CIC」「KSC」の3つがあり、それぞれ開示請求の方法が異なります
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信用情報機関 | 方法 | 手数料 |
---|---|---|
CIC | オンライン、郵送 | 郵送請求:1,000円 オンライン請求:500円 |
JICC | アプリ、郵送 | データ受け取り:1,000円 郵送請求:1,300円 |
KSC | オンライン、郵送 | 郵送請求:1,679~1,800円 オンライン請求:500円 |
なお、いずれも本人確認書類が必要ですので、用意しておきましょう。
3章 奨学金の審査に落ちる原因
奨学金の審査に落ちる原因はブラックリストに載っていること以外にも様々あります。むしろ、それ以外の理由が原因の可能性が高いでしょう。
具体的には、以下のことが考えられます。
- 世帯収入の条件を満たしていない
- 成績が芳しくない
- 保証人に問題がある
それぞれ詳しく解説します。
3−1 世帯収入の条件を満たしていない
奨学金の支給条件として、世帯収入が一定基準以下であることが挙げられます。収入がこの基準を超えると、経済的支援の必要がないと判断され、奨学金の支給対象外となってしまうのです。
この基準は、奨学金機関によって異なるため、申請前にはしっかりと確認しておきましょう。また、家庭の収入状況が変動する可能性もあるため、申請時には最新の収入証明書類をもとに検討する必要があります。
日本学生支援機構の収入基準は以下のようになっています。より詳しく知りたい方は、日本学生支援機構のホームページをご確認ください。
●給付型奨学金(予約採用)●
支援区分 | 収入基準 |
---|---|
第1区分 | あなたと生計維持者の市町村民税所得割が非課税であること 具体的には、あなたと生計維持者の支給額算定基準額の合計が100円未満であること |
第2区分 | あなたと生計維持者の支給額算定基準額の合計が100円以上25,600円未満であること |
第3区分 | あなたと生計維持者の支給額算定基準額の合計が25,600円以上51,300円未満であること |
第4区分 | あなたと生計維持者の支給額算定基準額の合計が51,300円以上154,500円未満であること |
※収入は、1月〜12月の収入の収入に基づく024年度住民税情報により算出された支給額算定基準額をもとに審査を行う
※支給額算定基準額(a)=課税標準額×6%-(市町村民税調整控除額+市町村民税調整額)(b)(100円未満切り捨て)
(a)市町村民税所得割が非課税の人は、(※2)の場合を除き、この計算式にかかわらず、支給額算定基準額が0円となります。
(b)政令指定都市に対して市民税を納税している場合は、(市町村民税調整控除額+市町村民税調整額)に4分の3を乗じた額となります。
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/kyufu/kakei/yoyaku.html
●第一種奨学金・第二種奨学金●
希望する奨学金 | 家計基準 |
---|---|
第一種・第二種併用貸与 | 生計維持者の貸与額算定基準額が164,600円以下であること |
第一種奨学金 | 生計維持者の貸与額算定基準額が189,400円以下であること |
第二種奨学金 | 生計維持者の貸与額算定基準額が381,500円以下であること |
※収入は、1月〜12月の収入の収入に基づく024年度住民税情報により算出された支給額算定基準額をもとに審査を行う
※貸与額算定基準額(a) =(課税標準額)×6%-(市町村民税調整控除額)(b) -(多子控除)(c)-(ひとり親控除)(d) -(私立自宅外控除)(e) (100円未満は切り捨て)
(a)市町村民税所得割が非課税の人は、 この計算式にかかわらず、貸与額算定基準額が0円となります。
(b)政令指定都市に対して市民税を納税している場合は、(市町村民税調整控除額)に3/4を乗じた額となります。
(c)生計維持者が2人を超える子どもを扶養している場合、2人を超える子ども1人につき40,000円を控除します。 扶養している子どもの人数は住民税情報またはスカラネット申告人数のうち、小さい人数を適用します。
(例)生計維持者が「申込者」と「中学生の弟」、「小学生の妹」の3人を扶養している場合の控除額は、(3-2)人 ×40,000円=40,000円となります。
(d)ひとり親世帯に該当する場合に40,000円を控除します。
(e)在学採用の審査において、あなたが私立の大学・短期大学・専修学校(専門課程)・高等専門学校に在籍し自宅外通学の場合に22,000円を控除します。予約採用の審査においては一律0円となります。
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/taiyo/taiyo_1shu/kakei/yoyaku.html
3−2 成績が芳しくない
奨学金の審査において、学業成績は重要な要素です。奨学金を提供する機関の基準を満たさない場合、奨学金の給付を受けられません。
特に返還の必要がない「給付型奨学金」や無金利で貸与される「第一種奨学金」は学業に優れた学生を支援する目的で設けられているため、成績要件は厳しく設けられています。
そのため、学業成績が低いとその他の要素を満たしていても奨学金を受けるチャンスが低くなります。
一方で、利息付きの奨学金である「第二種奨学金」の要件はそれほど厳しくないため、成績に不安がある方は第二種奨学金も検討しましょう。
日本学生支援機構における学力基準は以下のように定められています。
●給付型奨学金●
高等学校等における全履修科目の認定平均値が、5段階評価で3.5以上であること(※1)
将来、社会で自立し、及び活躍する目標をもって、進学しようとする大学等における学修意欲を有すること(※2)
※1専修学校の高等課程の生徒等は、これに準ずる学修成績となります。
日本学生支援機構 https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/kyufu/gakuryoku/yoyaku.html
※2学修意欲等の確認は、高等学校等において面談の実施又はレポートの提出等により行います。
●第一種奨学金●
次の(1)または(2)のいずれかひとつに該当すること。
(1)高等学校等における申込時までの全履修科目の評定平均値が、5段階評価で3.5以上であること。
ただし、上記の基準を満たさない場合であっても、次のア~ウのいずれかに該当し、かつ、将来社会で自立し、及び活躍する目標をもって進学しようとする大学等における学修意欲(※1)がある者として学校から推薦されれば、第一種奨学金の学力基準を満たす者として取り扱うことができます。
ア.生計維持者(原則父母)の貸与額算定基準額が0円である。
日本学生支援機構構 https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/taiyo/taiyo_1shu/gakuryoku/yoyaku.html
イ.生計維持者(原則父母)が生活保護を受給している。
ウ.「社会的養護を必要とする人」(児童養護施設等入所者、里親による養育を受けている者等)である。
※学修意欲の確認は、高等学校等において、面談の実施又はレポートの提出等により行います。
●第二種奨学金●
以下の(1)~(4)のいずれかに該当すること。
(1)高等学校または専修学校(高等課程)における学業成績が平均水準以上と認められる者
(2)特定の分野において特に優れた資質能力を有すると認められる者
(3)進学先の学校における学修に意欲があり、学業を確実に修了できる見込みがあると認められる者
(4)高等学校卒業程度認定試験合格者であること。
日本学生支援機構 https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/taiyo/taiyo_2shu/gakuryoku/yoyaku.html
3−3 保証人に問題がある
前述したように、保証人の信用情報に問題がある場合、それが奨学金の審査に落ちる原因となることがあります。
原則として、ブラックリストに載っている人は保証人になれません。もし、親がブラックリストに載っている場合には他の親族にお願いするようにしましょう。
なお、保証人は4親等内の親族であることが要件となっています。4親等以内の親族とは以下が該当します。
- 父・母
- 祖父母
- 曽祖父母
- 高祖父母
- 兄弟姉妹
- 甥・姪
- 叔父・叔母
- いとこ
- 大おじ・大おば
もし、どうしても保証人が見つからない場合には、保証人不要の奨学金プログラムや、返済不要の助成金を探すことも検討しましょう。
4章 親がブラックリストに載っていて奨学金が利用できないときの対処法
親がブラックリストに載っていることで保証人になれない場合には、他の親族に保証人になってもらうか、日本国際教育支援協会の機関保証制度を利用することで対処できる可能性があります。
具体的に解説します。
4−1 他の親族に保証人になってもらう
奨学金の保証人は必ずしも親でなければいけないわけではなく、4親等以内の親族であれば認められます。
親族と相談しながら信用情報に問題のない方を保証人として立てることを検討してください。保証人を選ぶ際はできるだけ、信用情報に問題がなく、収入が安定している方を選ぶのが良いでしょう。
4−2 日本国際教育支援協会の機関保証制度を利用する
もし、保証人になってくれる親族が見つからない場合には、日本国際教育支援協会の機関保証制度を利用することも検討しましょう。
機関保証制度とは、日本学生支援機構の貸与奨学金を連帯保証人・保証人を立てることなく、申込みができる制度です。
一定の保証料を払うことで、奨学金の元金と利息、延滞金を貸与開始から返還完了まで保証してもらえます。
保証料は一般的な教育ローンよりも割安ですので、大きな負担なく利用することが可能です。
4−3 新聞奨学生の制度を利用する
一部の新聞社では独自の奨学金制度を設けています。
新聞奨学生制度は、一般的に返還不要の奨学金ですので、ブラックリストに左右されることなく利用することが可能です。
ただし、日本学生支援機構の給付型奨学金のように完全に給付をしてもらえるわけではなく、新聞配達の仕事をしながら、その給与から奨学金を差し引く形となっています。(差し引かれるのは全額ではなく一部なので、働いた分は給与として受け取ることができます)
労働によって授業に出られなくなったり、体力的に負担になるというデメリットはあります。大学生は勉学などで忙しいものですので、支障が出ることもあるでしょう。
一方で、卒業後に返還する必要はありませんので、将来の負担は大きく軽減できるのはメリットと言えます。また、新聞社の奨学金制度を利用すると無料で寮に入れる他、食事もついてきますので、生活費を抑えることができます。
- 朝日奨学会
- 毎日育英会
- 読売育英奨学会
- 日本経済新聞育英奨学会
- 産経新聞奨学会 など
https://ad8.jp/shinbun/system/
5章 お子さんのためにも早い段階で借金トラブルを解決しよう
お子さんがこれから奨学金を利用する可能性がある親御さんで、現在借金を抱えているという方は早い段階で借金を解決することをおすすめします。
ブラックリストが消えるまでには、借金が完済されたときから5年はかかります。
早いうちに借金トラブルを解決しておくことで、お子さんが奨学金を利用する際に不利になるリスクを回避することができます。
借金トラブルを解決する手段としては「自己破産」「個人再生」「任意整理」の3つがあります。
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5−1 自己破産
自己破産とは、借金の返済能力がない方が裁判所に申し立てることで、借金の返済義務を免除してもらう手続きです。
住宅などの財産は、裁判所によって処分されるため失うことになってしまいますが、その分手続き完了とともに借金トラブルから解放されます。
自己破産をした時点でブラックリストに載りますが、その期間は裁判所における手続きが開始した時から7年ですのでブラックリストが消えるまでの時間も他の債務整理に比べて長くありません。
借金が高額な方や、収入がない・少ない方は自己破産が適しています。
5−2 個人再生
個人再生とは、借金の返済能力がないおそれのある方が裁判所に申し立てることで、借金を大幅に圧縮し、それを3〜5年で返済する再生計画を立てる手続きです。
自己破産とは違い、財産を処分されることはありませんが、借金自体は残るため手続き後も返済を続けなければいけません。
ブラックリストが消えるのは「完済してから」5年ですので、個人再生の場合時間時間がかかってしまいます。
5−3 任意整理
任意整理とは、債権者と交渉することで将来発生する利息をカットしてもらう手続きです。
元金は減りませんが、利息が軽減されることで毎月の返済負担を軽減することができます。
また、自己破産や個人再生とは違い裁判所を通すわけではないため、手続き自体はそれほど複雑でなはなく債務整理の中でも比較的簡単な手続きと言えます。
ただし、利息カットしたあとの債務は3~5年程度で返済しますので、ブラックリストが消えるまで時間がかかってしまいます。
5章 まとめ
奨学金を利用する本人がブラックリストに載っていることは奨学金の審査にそれほど影響はしません。一方で、親がブラックリストに載っている場合、親が保証人になることができず、審査に通らないことがあります。
もし、親が保証人になれない場合には4親等以内の親戚にお願いしてみましょう。それも難しい場合には日本国際教育支援協会の機関保証制度を利用するのも一つの手段です。
その他にも、新聞奨学生制度などもありますので、自身に適したものを利用するのがよいでしょう。
なお、お子さんがこれから奨学金を利用する可能性がある親御さんで、現在借金を抱えているという方は早い段階で債務整理をして借金を解決することをおすすめします。
グリーン司法書士法人ではこれまで多くの借金トラブルに関するご相談に対応してまいりました。ご相談者様の事情に寄り添い、最適な解決策を提案させていただきます。
初回相談は無料です。オンライン相談にも対応していますので、お気軽にご相談ください。
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