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借金の支払いを放置した末、裁判所から訴状や支払督促が届いた経験はありますか?
裁判になってしまうと、なす術もなく差し押さえられるのかと不安になる方も多いのではないでしょうか。
しかし、裁判が取り下げられるケースはないわけではありません。
この記事では、裁判を取り下げてもらうためにできることを解説します。また、訴状や支払督促が届いたときにはどのように対処すべきかについても説明していきます。
目次 ▼
1章 借金滞納の裁判を取り下げてもらう方法
この章では、起こされた裁判を取り下げてもらう方法について考えていきます。
結論から言えば、借金を延滞して裁判になってしまうと、取り下げてもらうのは難しい場合がほとんどです。裁判の中で債権者と和解し、お互いが納得できる返済額を決めれば差し押さえは回避できます。
しかし、裁判自体を取り下げてもらう方法も全くないわけではありません。その詳しい内容について見ていきましょう。
1−1 残金の一括支払い
裁判を取り下げてもらえる可能性が最も高い方法が、残金の一括払いです。
借金を延滞し、督促が始まっている時点で債権者は残金の一括払いを求めています。もし支払いができるのならば、すぐ取り下げてもらえるでしょう。
しかし、裁判を取り下げてもらうのを理由に他の金融機関から借り入れて返済に充てるのはおすすめできません。借金の根本的な解決にならず、さらに負担を継続させるだけだからです。もしなんとか一括で支払いたいのならば、信頼できる親類や友人などを頼るようにしましょう。
1−2 債務整理
残金を一括払いするのがベストな方法ですが、遅延損害金なども加わって膨れ上がった残金を用意するのは難しい人がほとんどではないでしょうか。こういった場合、裁判を取り下げてもらえる可能性が高い方法として、債務整理することが挙げられます。
債務整理には以下の3種類があり、裁判が始まってからでも行えます。
- 個人再生
- 自己破産
- 任意整理
それぞれの詳しい内容について解説していきます。
1−2−1 個人再生
個人再生とは、今の借金を5分の1から10分の1まで減額し、3〜5年で返済する方法です。裁判所に申し立て、裁判所から認可が降りれば借金の減額を認めてもらえます。
裁判中にも申立ては可能ですが、個人再生を申立てても借金延滞の裁判自体が中止になるわけではありません。さらに、手続き完了までに6か月から1年かかるため、その間に借金延滞の裁判は終わってしまう可能性があります。しかし判決が出たとしても、債権者からの差し押さえはできなくなるため、債務者から個人再生の申立てがなされた時点で差し押さえは難しいと判断されて取り下げてもらえる可能性があるのです。
1−2−2 自己破産
自己破産も個人再生と同様、裁判所に申し立てが必要な手続きであり、借金延滞の裁判中でも行えます。こちらは個人再生と異なり、認められれば借金は全額免除です。
自己破産には同時廃止と管財事件の2種類があり、同時廃止の場合は個人再生と同じく訴訟が中断されることはありません。一方で、管財事件になった場合は訴訟自体が中断します。
しかし、管財事件は主に会社や自営業者などに認可されるケースが多く、個人には同時廃止事件として処理されるのが一般的です。
自己破産は個人再生よりも手続きが多く完了までに時間がかかるため、こちらも申立てしている間に裁判が終わる可能性が高い方法です。しかし自己破産の手続きを始めた時点で、完了すれば借金は免除されるため、債権者側が裁判にかかる費用を考えると早めに取り下げてもらえることが期待できます。
1−2−3 任意整理
任意整理は、債権者と話し合い利息を減らしてもらうなどして借金を減額する方法です。しかし、訴訟を起こされると裁判の中で債権者と支払額などを話し合うことになるため、裁判外の任意整理だけで取り下げられることは実質的に難しいといえます。
とはいえ、任意整理の手続きを早めに行って裁判外で和解できれば、そのまま取り下げてもらえる可能性もあります。
2章 借金延滞の裁判を取り下げられなかった場合のリスク3つ
借金延滞の裁判が取り下げられず、そのまま債権者が求める判決が出てしまった場合、どのようなリスクを負うことになるのでしょうか。
考えられる主なリスクは次の3つです。
リスク①財産を差し押さえられる
リスク②借金問題が周りに知られる
リスク③偏頗弁済とみなされ個人再生・自己破産が難しくなる
詳しい内容を見ていきましょう。
リスク①財産を差し押さえられる
考えられる中でも最大のリスクは、所有する財産の差し押さえです。具体的に財産とは、次の内容を指します。
- 給料
- 預金口座
- 有価証券(株式、債権など)
- 生命保険
- 住居
- 車
- 不動産
この中で最も差し押さえられるケースが多いのは給料です。とはいえ全額を返済に当てられるわけではなく、実際には4分の1が給料から天引きされます。あるいは、手取りが44万円以上の人は33万円を超過した分を差し押さえられることになるのです。
債権者に職場を知らせていない場合は、給料以外の財産が差し押さえられます。ただし、不動産は換金するのに時間がかかるため差し押さえの対象にはなりにくいです。
リスク②借金問題が家族や勤務先に知られる
裁判が取り下げられず給料が差押えになれば、裁判所や債権者から勤務先へ通知が届きます。勤務先の経理では給与の一部を取り分けて債権者に支払う手続きが必要になり、給与明細にもその旨を記載されるため、社内や家族にも知れ渡る可能性が高くなります。
給与明細を見られないとしても、例えば手取り額で30万もらっていたのが急に22万ほどに減額すれば、生活ぶりも変化せざるを得ないでしょう。周囲から怪しまれて気付かれやすくなります。
リスク③偏頗弁済とみなされ個人再生・自己破産が難しくなる
偏頗弁済とは、借金の返済ができない状態で特定の債権者だけに支払いを続けることです。仮に給料が差押えになれば、債務者にそのつもりはなくとも特定の債権者へ返済していることになるため、偏頗弁済とみなされる可能性が高くなります。
偏頗弁済をしているとなれば、個人再生では支払額が上乗せされたり、自己破産では借金の免責が認められなくなるなどのデメリットが生じます。
他の債権者からの借金もある場合には、特に気をつけなければなりません。
3章 裁判所から訴状や支払督促が届いた時の対処方法
裁判所から通知が届いた場合は、絶対に放置せずにすぐ開封して中身を確かめるようにしましょう。放置したまま何も対処しなければ、債権者と裁判所で勝手に裁判が進められ、債権者の差し押さえを認める判決が出てしまうためです。
裁判所からは届く通知は、普通の郵便とは異なり「特別送達」と記載された封筒で届きます。また、宛名人に手渡しで届けることが原則で、受け取りの際は署名か印鑑が必要です。
ここでは、訴状や支払督促が届いた場合の具体的な対処法について解説します。
3−1 訴状が送付された場合
借金延滞で訴訟された場合、裁判所からは訴状が送付されます。訴状と同封された延滞の証拠書類をよく確認し、答弁書に記入して必ず返信しましょう。
3−2 支払督促が送付された場合
支払督促が送付された場合は、2週間以内に同封された異議申立書を作成して送付する必要があります。証拠書類などを確認して間違いがなければ、分割支払いしたい旨を記載しましょう。
期間内に異議申立てを行わなければ、強制執行が認められてしまうためです。支払督促だけでは裁判は開かれませんが、異議申し立てすれば通常の裁判に移行します。
3−3 訴状・支払督促いずれの場合も司法書士に相談しよう
訴状と支払督促のどちらが届いたとしても、中身は必ず良く確認して今後の対応を専門家に相談しましょう。答弁書や異議申立書の書き方がわからなくても、詳しく教えてもらえます。
異議申立書を送ったあと、どのように債権者と和解すればいいのか、差し押さえにならないようにどうすればいいか不安になる方も多いでしょう。専門家に相談すれば、差し押さえにならない方法を一緒に模索してくれます。
グリーン司法書士法人では、年間4,700件以上の借金に関するご相談を承っております。経験豊富な司法書士が多数在籍しておりますので、あなたの借金に対するベストな対象方法をご提案いたします。
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4章 借金延滞〜裁判〜強制執行(差押え)までの流れ
借金の支払いが1、2回遅れても直ちに裁判になるわけではありません。ここでは、借金を延滞してから裁判になり、強制執行されるまでのよくある流れについて説明します。すべてのケースで当てはまるわけではありませんが、参考にしてください。
流れ | 借金延滞からの期間(目安) |
---|---|
1.債権者から督促される | 3か月後〜 |
2.代位弁済が行われる(保証会社がついている場合) | 7か月後〜 |
3.連帯保証人へ督促される | 債権者によっては債務者への督促が始まったのと同時期 保証会社からの督促の場合、代位弁済後 |
4.裁判や支払督促が提起される | 早ければ3〜4か月後 2〜3年後訴訟される場合もある |
5.強制執行で財産が差し押さえられる | 支払督促、訴状が送付された後早ければ1〜2か月後 |
詳しい内容についてそれぞれ見ていきましょう。
STEP①債権者から督促される
借金の支払いが3か月以上遅れたら、債権者から債務者本人へ督促されます。
電話や郵便で本人宛に連絡されますが、無視していると自宅や職場に連絡されることもあるため、借金を周囲に隠している人は注意しなければいけません。
督促を受けた時点で真摯に対応し、支払いする意思があることを伝えれば、裁判は起こされない場合がほとんどです。
3か月以上滞納している場合、「期限の利益」を失っているため、督促では残金の一括請求を求められます。
期限の利益とは、一定の期日まで借金の返済を履行しなくてもよいという債務者の利益です。したがって、期限の利益を喪失すると、期日に関わらず残金の一括返済を求められます。
STEP②代位弁済が行われる(保証会社がついている場合)
借金の借入の際に保証会社がついている場合、借金を延滞すると保証会社から代位弁済されます。
代位弁済とは、保証会社が債務者の代わりに債権者へ返済することです。
債権者から一括請求されても支払えなかった場合、約7か月ほどで代位弁済が行われた旨の書類が債務者へ送付されます。
債務者本人にとっては借金が帳消しされたわけではなく、返済先が保証会社へ変わったにすぎません。その後は、保証会社からさらに激しく督促を受けることになります。
STEP③連帯保証人へ督促される
連帯保証人がついている借入の場合、代位弁済後はそちらにも督促されるようになります。
債権者によっては、債務者に督促し始めるのと同時に連帯保証人へも督促するケースもあるため気をつけましょう。
STEP④裁判や支払督促が提起される
ここまで事態が進んでいてもまだ借金を放置している場合、債権者から訴訟を起こされます。ただし、延滞してから比較的すぐの3〜4か月で訴えられる場合もあれば、2〜3年経ってから訴訟される場合もあります。
STEP⑤強制執行で財産が差し押さえられる
支払督促が送付されてから2週間以内に異議申立書を送らなければ、債権者は30日以内に仮執行宣言を行うことができます。
仮執行宣言が裁判所に認められれば直ちに強制執行が可能になるため、支払督促が送付された後、早ければ1〜2か月後には財産を差し押さえられることになるでしょう。
5章 借金から時間が経ってから裁判を起こされた場合
前章で、裁判は借金延滞後すぐに行われるとは限らないとお話しました。実際に、支払いを延滞して5年以上経ってから訴状を送付してくる場合があります。
5年以上経った借金延滞の訴訟には、時効を主張すれば支払わなくてもよくなる場合があります。
時効の制度は債務者本人から主張しなければ活用できません。同封された答弁書に「時効を援用する」という旨を記載して裁判で争うことになります。
このとき、答弁書に分割支払いを希望する旨を記載して送付してしまうと時効援用ができなくなってしまうため、注意が必要です。
5年以上前の借金についての訴状が届いたら、まずは内容をしっかりと確認し、心当たりがあるならばすぐ専門家に相談することをおすすめします。時効援用についてのサポートやその後の裁判に関しての手続きについてアドバイスをもらえるでしょう。
グリーン司法書士法人では、お電話やメールからお問い合わせいただけます。来所してのご相談が難しい方はオンラインでも受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
借金を放置して裁判を起こされてしまうと、取り下げてもらうのは困難です。訴状や支払督促が届いた時点で債権者の求める通り、残金を一括支払いするのが最も可能性の高い方法といえるでしょう。
あるいは、訴状や支払督促が届いた時点で司法書士に相談することで、現在の借金の状況を鑑みて債務整理するべきか、あるいは裁判で和解するべきかアドバイスをもらえます。最悪、強制執行で給料を差し押さえされるのを阻止する方法を一緒に考えてくれるでしょう。
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