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- シングルマザーにお金がない理由
- シングルマザーがお金を得るためにとれる方法
- シングルマザーが利用できる公的支援
- シングルマザーが借金を解決する方法
離婚してシングルマザーになったものの、お金がなくて毎日困っているという人はめずらしくありません。同じひとり親でも、父親に比べて母親の方が収入が低いという厚生労働省の調査結果があることからも明らかです。
お金がない理由は、子どもが幼くて働きにくいなど人によってさまざまでしょう。もしもお金がないのが借金のためなら、専門家に相談して債務整理を検討するのをおすすめします。
この記事では、お金がないシングルマザーのために問題を少しでも軽減できる解決策を紹介します。
目次 ▼
1章 シングルマザーにお金がない理由
最近、シングルマザーの家庭の貧困が大きな社会問題になっています。同じひとり親でもシングルファーザーの貧困はあまり耳にしないのに、一体なぜシングルマザーにはお金がないのでしょうか。
解決策を考える前に、まずその理由について確認しておきましょう。
1−1 収入が少ない
シングルマザーにお金がない大きな理由の一つに、年間収入の低さが挙げられます。
厚生労働省による令和3年度全国ひとり親世帯等調査の結果によると、シングルマザーの平均年間収入は272万円でした。
一方シングルファーザーの場合は、収入の年間平均が約500万円。シングルマザーの収入のほぼ2倍であることがわかります。
シングルマザーの収入が低い傾向なのは、女性はひとり親になる前からの職務経歴が少ないことが多く、給与が高い職へ再就職しにくい状況があります。また、子どもが小さい時にひとり親になるケースも多いため、子どもが小さい間は思うようにフルタイムで働けないなどが原因のようです。
参考:参考資料4_令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果/厚生労働省
1-1-1 平均でかかる支出
総務省統計局が公表している「2023年度 家計調査 世帯類型別(表3-6)」によると、シングルマザーの家計で平均してかかる支出は以下の表の通りです。
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シングルマザーで 20歳未満の子どもがいる世帯 | シングルマザーで 18歳未満の子どもがいる世帯 | |
---|---|---|
食費 | 56,629円 | 56,574円 |
住居(持ち家含む) | 24,984円 | 24,414円 |
水道光熱費 | 18,481円 | 18,599円 |
家具・家事用品 | 11,965円 | 12,905円 |
被服代 | 9,191円 | 9,341円 |
保険医療代 | 6,196円 | 5,905円 |
交通費 | 33,760円 | 33,535円 |
通信費 | 12,560円 | 12,523円 |
教育費 | 15,481円 | 13,704円 |
娯楽費 | 20,648円 | 19,420円 |
その他雑貨 | 37,701円 | 37,681円 |
合計支出 | 247,596円 | 244,601円 |
この結果によると、生活費は平均で月に24〜25万円かかっている計算になります。
仮に毎月25万円の支出があるとすると、1年で300万円必要です。前述した平均年収272万円で考えると、社会保障費などで2割ほど引かれるため、手取りは約217万円でしょう。月の手取りでいえば18万円になるので、毎月70,000円近く赤字になっていてもおかしくありません。
さらに、この支出は子どもが1〜2人程度での結果なので、3人以上いる場合はさらに支出は多いことが予想できます。
このように、シングルマザーの収入と支出のバランスからみてもお金の余裕は全くないことが見て取れるのです。
1−2 頼れる親族が近くにいない
さらに、全国ひとり親世帯調査によれば、シングルマザーで親と同居しているのは全体の3割程度であり、親以外の兄弟姉妹、祖父母と同居しているケースでも1割程度です。親族と同居していない、遠方で暮らしているので頼れないという現状が多いのです。
子どもの急な高熱や怪我の場合、見てくれる人がいなければ仕事を休むしかありません。病院代などの出費が増えるのに反して、収入はさらに減ってしまうのでお金がない状況に陥ります。
1−3 借金がある
シングルマザーにお金がないのは、借金が原因であるケースもあります。
例えば、新しい生活を整えるための費用として借入れせざるを得なかったという場合もあります。また、支出に対して収入が少ないため、生活費を補うための借金もあるかもしれません。
毎月の返済が負担となって、生活するお金がますますないという悪循環になっていることもあるのです。
2章 お金がないシングルマザーが取るべき対処方法3つ
なかなか思うように働けず、頼れる先も身近にないシングルマザーがお金を工面するためには、次に挙げる3つの方法があります。
- 父親に養育費を請求する
- シングルマザーを対象にした公的支援を利用する
- 母子父子寡婦福祉資金貸付金・緊急小口資金など公的融資を利用する
それぞれ詳しく解説していきます。今すぐ取り組めそうな方法があれば、ぜひ参考にしてください。
【方法1】父親に養育費を請求する
生活が回らないほどお金がないならば、子どもの父親へ養育費を請求することを検討しましょう。養育費は同居していない側の親の義務であり、お金の余裕がないから支払わないというものではないのです。
もし離婚する時に養育費について取り決めしていなくても、裁判所へ調停を申し立てすれば請求できます。
未婚の母で相手が子どもを認知していない場合は、養育費の支払い義務が法律上生じないため、まずは認知してもらう必要があります。
養育費の金額は、両親の年収や自営業かサラリーマンか、子どもの人数などで異なります。
養育費の相場として、裁判所が公開している養育費算定表に基づいて作成した下の図を参考にしてください。
例えば養育費を払う側の父親の年収が500万円でサラリーマン、養育費をもらう側の母親の年収が200万円の場合、14歳以下の子どもを1人養っているならば目安として月に4〜6万円養育費をもらえることになります。
もしも養育費を取り決めしていても支払わない場合、取り決め方によっては強制執行として給与を差し押さえることも可能です。
【方法2】シングルマザーを対象にした公的支援を利用する
ひとり親を対象にした公的支援は、申請するとお金がもらえる、あるいは借りられるものから税金や料金が減免になるものまで様々です。国による児童手当や児童扶養手当以外にも、各市区町村によってひとり親を対象にした独自の支援金制度もあるため、お住まいの自治体のホームページから一度調べてみると良いでしょう。
ここでは、お金がないシングルマザーが利用できる公的支援制度の一部を表にしてまとめました。
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制度 (問い合わせ先) | 内容 | |
---|---|---|
お金がもらえる制度 | 児童手当 (市区町村役場の福祉課など) | ひとり親に限らず、子が0〜18歳まで10,000〜15,000円/月受給できる |
児童扶養手当 (市区町村役場の福祉課など) | ひとり親を対象に、満額44,140円/月受給できる | |
母子家庭自立支援給付金 (市区町村役場の福祉課など) | 就業支援として、講座受講料や修行期間中の生活援助の費用をもらえる | |
遺族年金 (年金事務所、市区町村役場) | 年金を納付していた伴侶が亡くなり、子どものがいる場合受給できる | |
割引や補助がもらえる制度 | 母子家庭の住宅手当 (市区町村役場の福祉課など) | 市区町村によって有無や金額は異なるが、5,000〜15,000円の家賃援助などがある |
ひとり親家庭の医療費助成 (市区町村役場の福祉課など) | ひとり親と子どもの医療費負担が1回500円になる(市区町村によって月何回までかは異なる) | |
ひとり親家庭を対象にした料金割引・減免 (粗大ごみ受付センター、市区町村役場など) | 粗大ごみの引き取りや駐輪場の料金が減免になる |
それぞれ詳しく解説していきます。
①児童手当
ひとり親家庭かどうかは関係なく、所得が所得制限額内に入っていなければお金をもらえる制度です。
中学校卒業まで(15歳の誕生日後から最初の3月31日まで)の子どもがいる場合、子ども1人あたり10,000円(3歳未満の場合15,000円、第3子以降は0〜6才まで15,000円)普及されます。
参考:児童手当制度のご案内/こども家庭庁
②児童扶養手当
児童手当と異なり、児童扶養手当はシングルマザーやシングルファーザーなどのひとり親や障害を持つ親で、18歳までの子どもを持つ親が対象です。
全部支給で月額44,140円、一部支給で44,130〜10,410円もらえます。所得制限があり、母親だけでなく同居している祖父母にも収入がある場合は一部、あるいは全額もらえない場合もあります。
参考:児童扶養手当について/こども家庭庁
③母子家庭自立支援給付金
就業支援のためにもらえる給付金で、次の2種類があります。
- 自立支援教育訓練給付金
- 高等職業訓練促進給付金等事業
自立支援教育訓練給付金は雇用保険の教育訓練口座の補助金が支給される制度で、一方の高等職業訓練促進給付金は看護師や介護福祉士などの資格取得のために勉強する間の生活負担を軽減するためにお金が支給される制度です。
参考:母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業について/こども家庭庁
④遺族年金
夫と死別している場合、子どもがいれば遺族年金がもらえる可能性があります。亡くなった夫の年金納付状況や受給要件が満たされていれば、年金事務所に請求することで受給できます。
参考:遺族年金/日本年金機構
⑤母子家庭の住宅手当
お住まいの市区町村によって内容は異なりますが、ひとり親の場合家賃の補助や貸与を受けられる制度もあります。
5,000〜15,000円程度の補助を受けられ、公営住宅の申し込みに落選した、生活補助を受けていないなどの受給要件があります。
補助金給付ではなく貸与のみや、そもそもひとり親を対象にした住宅手当の制度がない場合もあるため、一度調べてみると良いでしょう。
参考:ひとり親世帯の家賃補助制度/神戸市
⑥ひとり親家庭の医療費助成
子どもの医療費だけでなく、養育している親の医療費の自己負担額も軽減される制度です。こちらも各市区町村によって届出先や内容に違いがありますが、医療機関ごとに1日500円の自己負担金で済みます。
参考:ひとり親家庭等医療費助成について/尾道市
ひとり親家庭等の医療費助成/大阪市
⑦その他母子家庭を対象にした料金割引・減免など
その他、以下のような料金が母子家庭などのひとり親を対象にして割引・減免になる制度があります。
- 上下水道料金の割引(申請先:居住している市区町村の水道局)
- 粗大ゴミ処理手数料減免(申請先:環境事業センター、各市区町村)
- 公共交通機関の料金減免(申請先:各公共交通機関)
- 公営駐車場・駐輪場の使用料減免(申請先:各市区町村)
こちらも各市区町村によって制度の有無や内容が異なります。
【方法3】母子父子寡婦福祉資金貸付金、生活福祉資金など公的融資を利用する
子どもが急に入院してしまったなど、突然まとまったお金が必要になることがあります。そういった場合、すぐに借りられるからと安易に消費者金融やクレジットカードのキャッシングに頼らず、母子父子寡婦福祉資金貸付金や生活福祉資金などの公的融資を検討しましょう。
年利が1.0%〜と低金利で借りられるうえ、保証人は不要ですが保証人が付けば無利子で借りられます。
申込みは、各自治体の福祉担当窓口で相談できます。
参考:母子父子寡婦福祉資金貸付金制度/男女共同参画局
生活福祉資金/全国社会福祉協議会
3章 お金がない理由が借金なら債務整理を検討しよう
そもそもお金がない、貯まらないのは毎月の借金返済が苦しいという理由から来ているのなら、まずは借金問題を解決しなければなりません。
借金完済までまだまだかかる、利息が苦しいといった場合には、司法書士や弁護士などの専門家に相談して債務整理を検討しましょう。
債務整理すると、児童扶養手当などの公的支援が受けられなくなるのではないかと心配している方もいるかもしれません。しかし、債務整理しても公的支援を受けることは可能です。
この章では、3種類ある債務整理について解説します。また、シングルマザーが債務整理することで、どのようなデメリットがあるのかについても説明しますので、ぜひ参考にしてください。
3−1 任意整理
任意整理は、債権者と債務者間の話し合いによって利息や月の支払額を見直したうえで借金を減額する手続きになります。裁判所を通さないので、3種類のうちでは最も簡易的にできる方法です。
しかし、安定した収入がなければそもそも債権者に応じてもらえない場合もあります。また、カットできるのは利息部分だけなので、支払いが予定より早く終わりそうでも月々の支払い額が増える可能性もあります。
任意整理についてメリット・デメリットなどをもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
3−2 個人再生
個人再生は、裁判所から認可してもらった上で借金を5分の1〜10分の1へ減額し、原則3年で完済できるように計画を立てる手続きです。
裁判所への手続きが必要で準備する書類も多いため、個人で行うのは大変な方法です。債務整理が得意な司法書士や弁護士に依頼して進めると良いでしょう。
個人再生について向いている人を知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
3−3 自己破産
借金をすべて帳消しにできる手続きが自己破産です。借金をゼロにして新しく生活を立て直すことはできますが、車や家などの財産を手放さなければならないでしょう。さらに、自己破産中は就業制限があって就けない仕事があるため、制限のある資格を持っていたり職業についている場合はその間収入が途絶えることもあります。
自己破産も個人再生と同様、裁判所への手続きが必要なので個人で準備するのは難しい方法です。まずは司法書士や弁護士へ相談したうえで、状況にあった債務整理を選びましょう。
自己破産についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
3−4 【デメリット】債務整理すると信用情報機関に事故情報として残る
債務整理をする最大のデメリットとしては、どの方法を選んだとしてもCICやJICCなどの信用情報機関へ事故情報が載る、いわゆるブラックリストに載った状態になることです。
そのことによって被る具体的なデメリットとして、次に例を挙げます。
- クレジットカードの利用ができない
- 賃貸住宅の審査が厳しくなる
- 新しくローン・キャッシングができない
- スマートフォンを分割で購入できない
- 子どもの奨学金の保証人になれない
ブラックリストに載ると、クレジットカードは使用できなくなるだけでなく、新しく申し込んでも審査に通らず作ることができなくなります。
さらに新しくローンやキャッシングが使えなくなるため、スマートフォンの分割払いもできなくなることを覚えておきましょう。
さらに、子どもがもしも奨学金を申し込むことになってもブラックリストに載った状態では保証人になれません。ただし、保証人がつけられなくても代わりに機関保証を利用できる場合があります。
まとめ
シングルマザーは、子どもが幼かったり就業経験が少なく収入の高い職業に付きにくかったりするため、生活に十分なお金がないと感じている人が多いでしょう。
お金がなくて困っているならば、まずは父親にあたる人物から養育費をもらえるように交渉することや、使える公的支援は最大限利用することが大切です。
もしもお金がないのは借金が原因ならば、借金問題を解決するために債務整理の手続きをするのをおすすめします。
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