債務超過の意味とは?個人が債務超過になったときの3つの解消方法

司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

借金返済の知識
債務超過の意味とは?個人が債務超過になったときの3つの解消方法

この記事は約 10 分で読めます。

「債務超過」とは、資産よりも負債が上回る状態のことであり、今所有しているすべての資産を換金して借金返済に充てても、完済できない状態を意味します。

事業を営んでいる場合だけでなく、一般個人でも債務超過に悩むケースが増えていますが、その場合にはどのようなデメリットがあるのか、具体的に答えられる方は少ないと思います。

そこで、債務超過の意味やそれによるデメリット、解消するための方法を次の3つに分けて詳しく説明していきます。

  1. 債務超過とは
  2. 債務超過で起きる2つのデメリット
  3. 債務超過を解消する3つの方法

「もしかしたら債務超過かもしれない…」と悩む方、

「債務超過をどのように解消すればよいのかわからない」

という方は、ぜひ参考にしてください。
                       

1章 債務超過とは

「債務超過」とは、債務者が負担する「債務」の額が、所有する「資産」の額を上回っている状態のことです。

企業だけでなく個人でも債務超過に悩む人が増えていますが、次の2つの項目から債務超過について理解を深めていきましょう。

  1. 債務超過の意味
  2. 赤字との違い

それぞれ説明していきます。

1-1 債務超過の意味

一般的に「債務超過」とは、企業などの負債総額が資産総額を上回っている財務状況を意味します。

債務超過に陥っている場合、「貸借対照表」を見ると次のような状態になっています。

負債の合計(借入金や買掛金など)>資産の合計(売上や売掛金など)

これでは、法人なら「倒産」危機に直面しており、個人なら「自己破産」するしかないとイメージしてしまうでしょう。

しかし、企業が債務超過だったとしても、手元にある程度の現金があれば支払い自体はできるため、資産を売却しつつ財務状況を立て直すこともできる場合もあります。

個人についても、たとえば住宅ローンで3千万円借金をしているために債務超過になっている場合もありますが、毎月のローン返済が厳しい状態でなければ問題ないはずです。

そのため債務超過だからといってすぐに倒産や自己破産に至るとは限らないといえます。

1-2 赤字との違い

「赤字」とは、一定期間の収入よりも支出が多くなることで、「利益」が発生しない状態です。

「債務超過」はある時点での状態を示すのに対し、「赤字」は一定期間の収支がマイナス状態であるという違いがあります。

赤字も債務超過と同じく、たとえば創業したばかりで初期投資が多かったときや、設備投資などで支払いが多くなったときなど、一過性の赤字であるケースも見られます。

仮に設備投資などで赤字になったとしても、翌年度以降に売上を伸ばし収入を増やせば、一時的な赤字から黒字へと転換させることはできるでしょう。

ただし長期的に赤字状態が続けば手元の資金を確保することができなくなるため、企業であればいずれは「倒産」、個人であれば「自己破産」しなければならなくなる可能性が高まります

1-3 債務超過が発生する原因

債務超過になってしまう原因は、経営判断の誤りや予期せぬコストの発生など複数あり、主に下記の通りです。

  • 経済情勢の影響を受けてしまう
  • 経営判断を誤ってしまう
  • 予期せぬ費用が発生してしまう

上記により、資産が債務を上回る状態となってしまうと、債務超過になってしまいます。

2章 債務超過で起きる2つのデメリット

債務超過に陥ると、企業などはすぐに倒産してしまう状態ではないものの、経営上さまざまな不都合が生じることになります。

この記事では個人をメインに解説していきますが、企業などが債務超過に陥ることによるデメリットとして次の3つが挙げられます。

  • 銀行から融資を受けにくくなる
  • 取引先から信用を失いその後の取引に影響がでてしまう
  • 上場企業の場合には上場廃止になる恐れがある

企業の場合には、経営管理が甘く危うい会社と認識されてしまい、銀行から借入れできないなど資金調達にも影響を及ぼすこととなり、倒産してしまうリスクも高くなります。

そして、個人の場合には、次の2つのデメリットが発生すると考えられます。

  1. 融資を受けることができなくなる
  2. 自己破産が必要になる可能性が高くなる

それぞれのデメリットについて説明していきます。

2-1 融資を受けることができなくなる

債務超過に陥ると、銀行などから「融資」を受けることができなくなります。

保有する資産よりも借金のほうが多い状態であれば、新たにお金を借りても返済に充てる資金を捻出できないと考えられるからです。

仮に審査のハードルが低い貸金業者から融資を受けようとしても、貸金業者からの借入れは年収の3分の1までという「総量規制」の上限を超えた貸付けはしてもらえません。

そもそも借金返済のために新たに借金を増やす行為は、「自転車操業」で返済しているだけで根本的な解決にはつながらないため、別の返済方法を検討することが必要です。

2-2 自己破産が必要になる可能性が高くなる

債務超過であるからといってすぐに自己破産に直結するわけではありませんが、すでに資産をすべてお金に換えても借金を完済できない状態のため、いずれは自己破産が必要になる可能性が高くなります。

一時的にまとまった資金が手に入った場合でも、債務超過状態そのものが解消されなければ借金問題の解決にはならず、結局は自己破産を検討しなければならなくなるケースも見られます。 

いずれにしても、早急に専門家に相談するなどの対応が必要と言えるでしょう。

3章 債務超過を解消する3つの方法

もしも債務超過に陥ってしまったときには、払えなく借金から逃れたいと「夜逃げ」するしかないと考える方もいるでしょう。

しかし夜逃げすれば返済されない期間が続き、「遅延損害金」などが溜まって借金を増やすことになってしまいます。

借金を踏み倒したくても「時効」で消滅させるまで「5年」かかるため、夜逃げで解決できる問題ではありません。

そのため債務超過を解消し、どうすれば借金を返済できるか考えていくことが必要ですが、解決策として次の3つを検討しましょう。

  1. 親や親戚に支援してもらえないかお願いする
  2. 副業などで収入を増やす
  3. 債務整理をする

それぞれの方法について説明していきます。

こちらの記事も是非あわせて参考にしてみてください。

3-1 親や親戚に支援してもらえないかお願いする

債務超過で借金返済が厳しい状態にあるのなら、親や親戚などに資金援助してもらえないかお願いしてみましょう。

借金を「立て替え」てもらうことができれば、これまで金融会社に支払っていた利息分を返済に充て、債務超過を解消させやすくなります。

3-2 副業などで収入を増やす

収入よりも支出のほうが多くなり債務超過に陥っているのなら、「副業」などで収入を増やしましょう。

本業とは別にアルバイトなどで収入を増やすことができれば、その分、多く借金返済に充てることができるようになり、債務超過を解消することができます。

3-3 債務整理をする

債務超過を自力で解決できないときには、「債務整理」が必要になる場合もあります。

債務整理には、主に次の3つの方法があり、状況によってどれを選ぶべきか異なります。

  1. 任意整理
  2. 個人再生
  3. 自己破産

それぞれの内容や特徴について説明していきます。

任意整理

「任意整理」とは、金融会社と個別に「借金減額」などの交渉を行い、毎月無理のない返済計画で支払いをするための手続です。

手続の中で「過払い金」が発生していれば、その分を借金返済に充てることで、より早く債務超過を解消することができます。

「過払い金」とは
本来支払う必要がなかったのに、貸金業者に余分に支払っていたお金が「過払い金」です。過払い金が発生している場合、返還請求により戻してもらうことで、借金返済に充てることもできます。

個人再生

「個人再生」とは、事業や家を残しながら借金を大幅減額させる手続で、減額した借金は原則3年で返済していきます。

「任意整理」で減額できるのは「将来利息」であるのに対し、「個人再生」では利息だけでなく「元本」も減額させることができます。

住宅ローン以外の借金を整理することができるため、住宅ローンを返済中の「持ち家」を残したいときに選びたい方法です。

自己破産

「自己破産」とは、借金を支払うことができない状態と裁判所に認められたとき、借金返済が「免除」される制度です。

一定の価値がある財産はすべて「換価」し、金融会社など債権者に「分配」されることになりますが、借金が残っても返済する必要はなくなります。

債務超過ですでに借金返済が厳しい状態にあるとき、自己破産するしかないと考えがちですが、持ち家などは処分しなければならなくなるため、まずは任意整理などで解決できないか専門家に相談してみることをおススメします。

まとめ

資産よりも負債が上回り、所有しているすべての資産をお金に換えても借金を完済できなくなれば、債務超過と呼ばれる状態になってしまいます。

債務超過に陥ると、銀行などから融資を受けることができなくなったり自己破産しなければならなくなったりする可能性が高いため、解消するための対策が必要です。

しかし親や親戚に支援してもらえないときや、副業などで収入を増やすことも難しく、自力で解決できない場合もあるでしょう。

その場合には、債務整理という方法も検討できるため、もし債務超過かもしれないと悩んでいるときにはグリーン司法書士法人グループで気軽にご相談ください。

借金返済に関する記事を沢山公開していますので、合わせてご覧ください。

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よくあるご質問

債務超過になるとどうなる?
債務超過になると、借金を返済するための手段として倒産手続きや再生手続きなどをしなければならない場合があります。
また、債務整理をすれば借金の減額や返済期間の見直しを行えます。
債務超過について詳しくはコチラ
債務超過の意味とは?
債務超過とは、企業などの負債総額が資産総額を上回っている財務状況を意味します。
債務超過に陥っている場合、「貸借対照表」を見ると負債の合計額が資産の合計額を上回っています。
債務超過について詳しくはコチラ
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