借金の肩代わりへの贈与税|かかるケース・かからないケースを解説

司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

借金返済の知識
借金の肩代わりへの贈与税|かかるケース・かからないケースを解説

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悩む女性
悩む女性
借金が高額で毎月の返済が難しくなってしまい、親に相談したら肩代わりしてくれることになりました。しかし、これは贈与に当たるかもしれないという話になり…。実際のところどうなのでしょうか?
司法書士
司法書士
親に対して返済する予定なしに肩代わりしてもらった場合、贈与税がかかる可能性があります。
一方、親から借りたお金で借金を返済し、その後親に返済していくケースや、借金の返済ができないほど困窮しているケースでは贈与税がかからない可能性が高いでしょう。
悩む女性
悩む女性
親に返す予定があれば問題ないのですね。その場合の注意点はありますか?
司法書士
司法書士
借金を立て替えてもらう場合でも、借用書を作成し、返済期日や利息などもしっかりと決めるようにしましょう。

消費者金融などの貸金業者からの借入は利息が高額で返済が大変であるため、家族などに肩代わりしてもらうケースもあるでしょう。

数十万円程度であれば特に問題ないことがほとんどですが、100万円を超える借金を肩代わりしてもらった場合贈与税の対象になる可能性があります。

例えば、親から300万円をもらってそれで借金を返済したケースや、夫婦などの共有名義の住宅ローンを一方が払うケースでは贈与税がかかることも考えられます。

一方、親にお金を借りてそのお金で借金を返済するケースや、借金の返済ができないほど経済的に困窮しているケースでは贈与税の対象にならない可能性が高いでしょう。

この記事では、借金を肩代わりしてもらい、贈与税がかかるケース・かからないケースや、贈与税がかからないようにするための注意点などについて解説します。

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1章 借金返済の肩代わりに贈与税がかかるケース

借金の返済がままならず、家族などに借金を肩代わりしてもらうこともあるでしょう。

しかし、ケースによっては肩代わりしてもらったお金に贈与税がかかる可能性があります。

なお、前提として、贈与税がかかるのは年間に合計で110万円を超える贈与を受けた場合です。年間110万円以下であれば贈与税はかからりません。

それを踏まえて、贈与税がかかるケースについて解説します。

1−1 親が子供の借金を支払う

親が、子供の代わりに借金を支払うといったケースでは贈与税がかかる可能性があります。

これは、子供が親の借金を支払うケースや家族に関わらず友人などが支払うケースも同様です。

「代わりに借金を支払う」というのは、肩代わりしてくれた相手に返済しないことを前提に借りるケースです。

「借金を立て替えてもらい、その人に借金を返済する」というケースでは贈与税の対象にならない可能性が高いでしょう。

1−2 共有名義の住宅ローンを一方が支払う

夫婦や親子で住宅ローンを共有名義にしているという方もいらっしゃるでしょう。

その場合、住宅ローンの支払いは最初に設定した割合に応じてそれぞれ行わなければいけません。

一方が自分の持ち分よりも多く支払ったり、全額負担したりすると多く負担した部分は肩代わりしたことになり、贈与にあたる可能性があります。

1−3 親の土地に建てた家が競売にかけられた

親の土地に家を建てた場合、住宅ローン滞納などで競売されると、贈与税がかかる可能性があります。

というのも、住宅ローンの担保は家だけではなく、土地にもつけられ、土地ごと競売されるので、土地の価格分は親が住宅ローンを肩代わりしたことになるからです。

2章 借金返済の肩代わりをしても贈与税がかからないケース

前章では、贈与税がかかるケースについて解説しました。

ここでは、贈与税がかからないケースについて解説します。

2−1 経済的に支払いが難しい

借金をしている人が、明らかに債務超過状態で、経済的に自力で返済するのが難しい場合には借金を肩代わりしてもらったとしても贈与にあたりません。

例えば、子供に処分できる財産がなく、収入的にも借金を返済するのが困難なケースで、親が借金を肩代わりする場合には贈与税の対象にならない可能性が高いでしょう。

2−2 借金を立て替えてもらった場合

借金を肩代わりしてもらうのではなく立て替えてもらっただけれあれば贈与にはあたりません。

ここでいう「立て替え」とは、親が一度借金を一括で返済し、子供が親に対して返済を続けるようなケースです。

立て替えてもらうだけれあれば、借金を借り換えたのと同じだからです。

ただし、家族などに立て替えてもらうような場合には、贈与と判断されないよう注意する必要があります。次章にて、立て替えてもらう時の注意点について解説しますので参考にしてください。

3章 借金を立て替えてもらう時の注意点

借金を立て替えてもらう時には、税務署などからお金の動きを見て誤って贈与だと判断されないよう注意しなければいけません。

立て替えてもらう場合には以下の点に注意しましょう。

  • 必ず借用書を作成する
  • 返済は口座振込などに証拠が残るものする
  • 債権が残っていた場合、相続税の対象になる
  • 最低限の利息をつける

それぞれ詳しく解説します。

3−1 必ず借用書を作成し、支払期日をきちんと設定する

借金を立て替えてもらう場合には、必ず借用書を作成しましょう。借用書があることで贈与ではなく「貸付」である証拠となります。

また、ただ借用書を作成するだけでなく、支払期日を設定するようにしましょう。

親子や友人など親しい間柄だからといって有耶無耶にすると「贈与にならないよう、建前上借用書を作成しているのでは?」と思われる可能性があります。

支払期日を設定したら、借用書に明記しておきましょう。

3−2 返済は口座振込などに証拠が残るものする

立て替えてもらったお金の返済は、手渡しなどではなく口座振込など証拠が残る方法で行いましょう。

万が一贈与ではないかと疑われた場合に、毎月口座振込をしていた履歴があれば、貸付と返済である証拠となります。

3−3 最低限の利息をつける

親など親しい間柄が相手だからといって、最低限利息をつけるようにしましょう。

お金の貸し借りは、利息をつけるのが基本です。そのため、利息をつけずに貸付を行うと利息分が贈与にあたると判断される可能性があります。

利息は年利1%でも問題ありません。年利1%であれば、100万円の貸付でも年間の利息は1万円、月々830円程度です。

4章 借金の返済が難しいときは債務整理も検討しよう

もしも、借金の返済が難しい場合には債務整理も検討しましょう。債務整理で解決することができれば、贈与税は気にする必要がありません。

債務整理には「自己破産」「個人再生」「任意整理」の3種類があります。

それぞれの手続について詳しく解説します。

4−1 自己破産

自己破産とは、裁判所に申し立てることで、借金の返済義務を免除してもらう手続きです。

手続きが完了すれば、ほぼすべての借金がなくなります。その代わり、一定以上の所有財産は処分され、債権者に分配されます。

そのため、家などの大きな財産は手元に残すことは難しいでしょう。

個人再生や任意整理では借金が解決できない方、収入がない方、借金が高額な方には自己破産が適しています。

4−2 個人再生

個人再生とは、裁判所に申し立てることで、借金を5分の1〜10分の1程度に圧縮し、それを原則3年で完済する再生計画を立てる手続きです。

個人再生では手続き後も返済は続きますが、自己破産のように財産を処分されるリスクはありません。

ただし、圧縮後の返済を続けられるだけの安定した収入がなければ個人再生を認めてもらうのは難しいでしょう。

安定した収入があり、借金を減額することで返済が可能な方や家など手放したくない財産がある方には個人再生が適しています。

4−3 任意整理

任意整理とは、債権者と交渉することで将来発生する利息や遅延損害金をカットする手続きです。

自己破産や個人再生のように裁判所を通す手続きではないため、債務整理の中でも手軽でリスクが低いといえます。

ただし、あくまで利息や遅延損害金をカットするだけですので、借金の元金は減りません。

利息が高額で、利息さえカットすれば毎月無理なく返済ができるという方には任意整理がおすすめです。

5章 借金トラブルはグリーン司法書士にご相談ください

借金を肩代わりしてもらうことは、ケースによっては贈与税の対象になる可能性があります。

親が子供の代わりに借金を返済したり、共有名義の住宅ローンを一方が支払ったりすると贈与税の対象になる可能性があるので注意が必要です。

一方、借金をしている人が経済的に困窮していて借金の返済ができないケースや、お金を借りて借金を立て替えてもらうケースでは贈与に当たらない可能性が高いでしょう。

借金トラブルでお困りの方は、債務整理を検討してみるのも一つの手段です。

グリーン司法書士法人では、これまで多くの債務整理に関するご相談に対応してまいりました。

依頼者様のご状況にあわせて、最適な解決策を提案させていただきます。

初回のご相談は無料です。オンライン相談にも対応していますので、まずはお気軽にご相談ください。

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よくあるご質問

借金を肩代わりしてもらうとどうなる?
借金を肩代わりしてもらうと、下記のケースでは贈与税がかかる場合があります。
・親が子供の借金を支払う
・共有名義の住宅ローンを一方が支払う
・親の土地に建てた家が競売にかけられた
子供の借金は親が払うべき?
子供が借金をしても親が支払う義務はありません。
ただし、親が保証人や連帯保証人になっている場合は息子の借金を肩代わりしなければいけないので注意が必要です。
子供の借金について詳しくはコチラ
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