株で借金をしたときの対処法まとめ|借金しない取引方法も紹介

司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

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株で借金をしたときの対処法まとめ|借金しない取引方法も紹介

この記事は約 13 分で読めます。

コロナ禍をきっかけに資産運用を始める方が増えています。

その中でも株式投資は、比較的ローリスクな上に株によってはお得な優待券が貰えたりと人気の資産運用です。

しかし、運用方法によっては株で借金に手を出してしまい、みるみるうちに借金地獄になってしまったケースも少なくありません。

この記事では、株で借金をしてしまう仕組みと借金をしてしまった場合の対処法を解説いたします。
なお、株式投資は自己破産の免責不許可事由に該当するケースもあります。
免責不許可事由については、下記の記事で詳しく解説していますので、ご参考にしてください。

1章 基本的に株で借金を抱えることはない

「株で借金ってあまり聞いたことがない」と思う方も多いと思います。

その認識通り、基本的に株で借金を抱えることはありません。

購入した株自体は、社会情勢などで1株あたりの価値が変動するため購入時より価値が下がってしまうことはあります。しかし、100万円で購入した株が大暴落して紙切れ同然の価値になったとしても、100万円より多く損することにはならないです。

ですので、目当ての株を購入して価値が上がったり下がったりの駆け引きを楽しむだけであれば、決して借金を抱える羽目にはなりません。

2章 株で借金を抱えてしまう4つのケース

では、なぜ株で借金を抱えてしまう方が後を絶たないのでしょうか。

株式投資は、パチスロやFXほどの博打性はありませんが、儲けが出るかどうかは投資した会社の景気に左右されるため多少ギャンブル性もあります。
ですので、自分で予想を立てて投資した株が上がった経験を味わったら「もっと大胆に儲けられる方法があるのでは?」とどんどん株にのめり込んでしまいます。

株で借金を作ってしまう理由は、主に下記の4つです。

  • 借金をして株式投資の資金を作った
  • 信用買いで損をしてしまった
  • 追加証拠金の支払いが発生した
  • 空売り(信用売り)で損をしてしまった

それぞれ解説していきます。

ケース① 借金をして株式投資の資金を作った

儲かると踏んで、多額の軍資金を投入するために借金をしたが、予想が大きく外れ大暴落し借金だけが残った。

市場が伸びると踏んで、手元の予算以上のお金を投入しようと借金をしたケースです。

特に、IPO株(新規上場株)では値上がりする確率が高く人気ですが、その分購入権を手に入れるのも一苦労です。

運よく購入権を手に入れたからと言って借金してまで投資する人も少なくありませんが、資産運用は「100%儲かる」ことはありません。

儲かった分で借金を返済しようと思ったものの、予想外に株が暴落してしまいたちまち借金地獄になることだってあります。

こうなると別の株で一発逆転を狙おうと思い、更に借金を増やしてしまい泥沼化する可能性もあります。

ケース② 信用買いで損をしてしまった

信用取引で手元以上のお金で株を購入したが、株価が下がってしまいマイナス分を借金で補填した。

株の取引には、手元のお金で株を購入するだけでなく信用取引という方法があります。

信用取引は、保証金(現金や保有している他の上場株式など)を証券会社に預けることで保証金の約3.3倍までの金額の取引をすることができます。ですので、手元のお金よりも多くのお金で取引ができるため、その分儲け額も大きくなる可能性も。

例えば、手元に100万円あれば最大で330万円分の取引ができるようになります。

一見メリットに見えますが、信用取引は上がっても下がっても「利息・手数料・管理費」がかかるので思ったよりも多くプラスにしないと儲けが出ません。更に、補償金を超えるマイナスになった場合は手元以上のお金で取引しているので負債にもなります。

ですので、信用取引で大損した場合は借金を抱えるリスクが発生します。

ケース③ 追加証拠金の支払いが発生した

信用取引していた株に追加証拠金の支払いが発生してしまったが、手持ちでは払えないので借金をして支払いをした。

信用取引では、損失額が発生すると保証金を追加で支払わなければならないケースがあります。

この追加のお金を「追加証拠金(追証)」といい、損失額が保証金の最低維持率を下回ってしまった場合に発生してしまいます。

例えば、他の上場株式を保証金にしていたもののその価値が下がった場合や、信用取引をしている銘柄に含み損が生じたりした場合は追加証拠金が必要となります。

もし、払えない場合は強制的に決済(損切り)されるためマイナスになってしまいます。

ですので、この追加証拠金の支払いができないと、損切りするか借金をして入金するしかなくなってきます。

この追加証拠金が原因で、多額の借金を抱えるケースは少なくありません。

ケース④ 空売り(信用売り)で損をしてしまった

証券会社の株を空売りしたが、その後にどんどん株が値上がりしてしまい借金をしなければ買い戻せなくなってしまった。

信用取引には、信用買いだけでなく空売り(信用売り)と呼ばれる方法もあります。

空売りとは、証券会社から借りた株式を売って株価が下がったところで買い戻して利益を得る方法です。

例えば、証券会社から借りた株式を100万で売った後に70万に値下がりしたら買い戻して証券会社に返すと30万のプラスになります。しかし、100万で売った後に150万に値上がりした場合は50万のマイナスになってしまいます。

もちろん、値上がりした後にまた下がる可能性もありますが、値上がっていくとその分どんどんマイナスになっていきます。

空売りは強制決済がないため、自分でタイミングを見て買い戻さなければ損失は増える一方です。

損失が膨大になって手元のお金だけで買えなければ、借金をして買い戻しする必要があります。

3章 借金をしないで株式投資をする5つの方法

株式投資に限らず、ギャンブルや投資は一度借金をしてしまうと「どうにかして取り返さないと」と思い、どんどん過激な方法に手を出してしまう傾向にあります。

なるべく長い間株式投資を楽しむためにも、最初から借金をしないで取引をするのが一番です。

ここからは、借金をしないで株式投資をする5つの方法を解説いたします。

3-1 現物取引で投資をする

株で借金を抱えてしまう原因のほとんどが「信用取引」に手を出すことです。

株式投資のメジャーな方法である「現物取引」だけにすれば借金を抱える心配がありません。

現物取引は手元のお金で目当ての株を購入した後、株価の変動を見極めて売るかどうか決める従来の方法です。購入後に価値が下がって、購入したときよりも安く売らないといけない可能性はありますが、購入額よりも追加で払うことはありません。

現物取引で借金を作らない方法は「ムキになって手元のお金以上の株を買わない」ことだけなのでシンプルで分かりやすいと思います。

3-2 損切りルールを決める

株はあくまで投資なので、100%儲かる保証はありません。当たり前ですが、得することもあれば損することもあります。

せっかく買った株だし「少し下がったところでまた上がるかもしれない」と粘りたくなる気持ちは分かりますが、このまま放っておいてもどんどん下がる一方だと感じたら、損切りの決断をするのも投資では大切なことです。

自分の中で「買った時よりも◯%下がったら損切りする」など、損切りルールを決めることで大事故を防ぐことができます。

損切りが遅れてしまいほぼ0円の価値まで下がってしまったことで、その分を取り返そうとハイリスクハイリターンな方法に手を出してしまう方も少なくありません。

必要以上にヒートアップしないためにも、損切りルールを決めておくことをおすすめします。

3-3 分散して投資を行う

株式投資の銘柄を複数にして投資対象を増やすのも手です。

投資対象を分散させるメリットとしては、1つの株が値下がりしても他の株で補填できる可能性があります。

手元のお金全てを1つの銘柄に投資した場合、その株に全て左右されてしまいます。例えば、100万円分の株を購入した場合、50%値下がりしただけで資産は50万円になってしまいます。

こうなると、50万円の損切りをするか上がるまで持っているしかなくなります。

投資対象を増やすことによって、複数の株が上がったり下がったりするのでリスクを分散しながら株式投資を楽しむことができます。

株によっては優待券を貰えるものもあるので、株主優待券目当てで複数購入するのも楽しいですよ!

3-4 余裕資金で投資を始める

資産運用は誰しも最初は初心者です。

最初はコツが掴めず、損をしてしまうことだってあるかもしれません。

もし、お金が無く人生逆転のために株式投資を始めたのであれば、少しマイナスが続けばあっという間に一文なしになってしまいます。

まずは、余裕資金で投資を始めるのをおすすめします。極端に言えば、投資した分が0円になったとしても問題ないお金で始めましょう。

3-5 ミニ株などの定額投資サービスを利用する

投資と聞くとハードルが高く、元手がある程度必要とされてきました。

株は100株から購入可能なので、1株5,000円の株の場合は最低でも50万円用意しなくてはいけません。余裕のあるお金を50万円前後用意するのはなかなか厳しいのではないでしょうか。

ですが、最近はより少ない元手で株式投資を始められるサービスも出ており、ミニ株では1万円程度で購入することも可能になりました。

予算に応じて投資することもできるので「借金は絶対したくないけれど株式投資を始めてみたい」という方は検討してみるのが良いでしょう。

4章 株で借金をしてしまった場合の対処法

「ムキになってしまいお金を元手以上に投資してしまった」「追加証拠金の支払いや信用買いで膨大な損失を抱えた」など、投資に失敗をして借金をしてしまった場合は地道に返済していくしかありません。

ちなみに、追加証拠金が払えない場合は、取引業者によっては遅延損害金が発生してしまいます。未入金額によって日割りで加算されるので、額によっては借金をしてでもとにかく早めに返済するしかなくなってしまいます。

もし払えずにそのまま放置している場合は、そのうち裁判所から一括請求が届き、差し押えに発展してしまいます。

自力での返済が現実的ではないと感じた時点で、債務整理を視野に入れるのをおすすめします。

この章では、債務整理の種類を紹介します。

4-1 個人再生で借金返済額を減らす

個人再生は、借金を5分の1から10分の1程度に減額することができる手続きです。

個人再生のメリットは、財産を残したまま借金の減額ができるので車や持ち家など大きな財産がある場合に有効的な手段です。

また、個人再生は投資関係の借金でも手続きができるので、自己破産よりも承認される確率が高いのもポイントです。

自己破産を選択すると、必要最低限の財産以外は全て失ってしまうので、株式投資の他に本業として職がある方など、少額でも支払いできるのであれば個人再生を選択するのがおすすめです。

ただし、個人再生は時間がかかり、手続きが複雑で専門的なので司法書士などの専門家の力を借りて行いましょう。

個人再生の続きの流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。

4-2 自己破産で借金を全て免除してもらう

自己破産は、全ての借金の返済を全て免除してもらう手続きです。

今までいくら株で借金を作っても、自己破産が承認されれば借金から逃れることができます。

ただし、その分失うものも多く、生活必需品(衣服・寝具・家具・電化製品など)や99万円以下の現金、価値が20万円未満の財産など、法律により差押えが禁止されている財産以外は全て手放すことになります。

注意点として自己破産は効力が大きい分、投資で作った借金はギャンブルでの浪費扱いとなりますので、よほど反省していないと承認されない可能性があります。しっかり反省文を書いて、これから真面目に再スタートする意思を表明しましょう。

もちろん、間違いなく自己破産後は株式投資を引退することになるでしょう。

自己破産はできたとしても管財になる可能性が高いので、通常よりも手続きが面倒になることは念頭に置いておきましょう。

自己破産が認められる条件については、以下の記事で詳しく解説しています。

4-3 任意整理で借金返済負担を減らす

任意整理は、債権者(金融会社)と交渉することで返済額を減額する手続きです。

司法書士や弁護士などの専門家と債権者で交渉を行い今後の返済について決めるため、債務整理の中でもライトな方法になります。

返済額の減額は、借金そのものの額ではなく遅延損害金や利息、手数料など借金以外でのお金を減額する交渉になります。ですので、元金を完済できる目処があることが条件となります。

3年〜5年で完済できるような額であれば、任意整理を選択するのも悪くないでしょう。

任意整理のメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。

5章 株の借金を別の借金で返すのは避けよう

借金がどんどん増えていくと、借金そのものだけでなく利息も増えていきます。また、返済が滞ると督促が厳しくなっていき裁判所沙汰にまで発展する可能性もあります。

そうなってくると、取り敢えず今ある借金は返そうと思い、別の金融機関で借金をして返済しようとします。

この負のループが借金地獄の始まりになります。督促が進んでは別の借金で返済…を繰り返してしまうので、一向に返済への道筋が見えなくなってしまいます。

一番悪手なのは、借金返済への一発逆転を狙おうと思って全額借金を株に突っ込んでしまい、更にマイナスを抱えてしまうパターンです。

このような余裕がなく焦っている時は、得てしてマイナスになるものです。投資は余裕資金で楽しむものであり、人生逆転のための方法ではないことを覚えておきましょう。

株の借金を別の借金で返すのは絶対に避けましょう。

6章 株で借金を抱えてしまったらまずはご相談を

株で借金を抱えないためにも大きく分けて、

  1. 手元のお金以上の株は買わない
  2. 信用取引に手を出さない

の2つを守るしかありません。

とは言っても、株式投資に慣れた方にとってはローリスクの投資というのは刺激が足りなくなってくるものです。

しかし、一度ハイリスクハイリターンな方法に手を出してしまうと、一気に借金地獄になる可能性もあります。

多額の借金を抱えてしまい、これからの人生設計を壊さないためにも無理のない範囲で株式投資を楽しみましょう。

もし、株式投資で借金を抱えてしまったら、早い段階でぜひグリーン司法書士法人へご相談ください。

借金返済に関する記事を沢山公開していますので、合わせてご覧ください。

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よくあるご質問

株で借金をしてしまうケースとは?
株で借金をするケースとは、下記の通りです。
・借金をして株式投資の資金を作った
・信用買いで損をしてしまった
・追加証拠金の支払いが発生した
・空売り(信用売り)で損をしてしまった
株の借金について詳しくはコチラ
株で借金しない方法とは?
借金しないで株取引する方法は、下記の通りです。
・現物取引で投資をする
・損切りルールを決める
・分散して投資を行う
・余裕資金で投資を始める
・ミニ株などの定額投資サービスを利用する
株取引の借金について詳しくはコチラ
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