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自己破産をすれば税金など一部の借金以外の返済義務をなくし、人生を再設計可能です。
しかし、闇金からの借金は自己破産による免除の対象外であり、自己破産の手続きが完了しても取り立てが続いてしまいます。
自己破産後に闇金からの取り立てが続く場合には、借金問題に強い弁護士に相談するのが良いでしょう。
本記事では、自己破産後の闇金への対処法について解説します。
目次 ▼
1章 自己破産で闇金は免除されない
自己破産は、税金などの公金や罰金、養育費などの一部を除き、全ての借金の返済が免除される手続きです。
闇金は、その「一部」の借金に該当するため免除されないのです。
税金や光熱費、養育費などは「払う必要のあるお金」にあたるため非免責債権となります。そのため、自己破産をしても免除の対象外になります。
逆に、闇金は「払う必要のないお金」のため免除の対象外になります。
では、なぜ闇金は払う必要のないお金なのでしょうか。
その理由は、闇金は法律上で認められている借金ではないからです。
- 闇金の性質
- 闇金は法律上認められていない契約です。つまり、法的には「無効」となります。
法的に存在しない借金を免責する、ということは理論上できないので、この意味で自己破産手続の対象にそもそも入っていないのです。
もっとも、実務的にはある債務が闇金かどうか明確に判断できるとも限らないので、全てまとめて裁判所に報告し、全てに対して免責決定をもらっておくことが一般的です。
1-1 闇金の借金は法律上で認められる借金ではない
自己破産の手続きによって借金返済を免除されるのは、法律で定められた範囲内の借金に限られます。
闇金はそもそも自己破産手続の対象外になるため、自己破産をしたからといってその効果が及ばないのです。
なぜ闇金は自己破産の効果が及ばないのか解説すると、違法な高金利で貸付を行なっているからです。
本来であれば利息制限法といって、法律で15%~20%の以上の金利を設定してはいけない決まりが設けられているため、正式な消費者金融はこの法律を守って金利を設定しています。
もしこの決まりを破ってしまった場合、貸金業法違反として行政処分の対象となります。
しかし、闇金は正式な貸金業者として登録されていないため、いくらでも金利を設定することができてしまいます。
「トイチ」という言葉を漫画やドラマで聞いたことがある方もいると思いますが、まさに闇金は10日で利子が1割増えるのが当たり前の世界です。たった10万円借りただけでも、10日後には1万円も上乗せされてしまいます。
このように、法外な貸付を水面下で行なっているため、闇金は自己破産で解決ができない事例になります。
1-2 闇金の借入があると自己破産できないケースも
注意したいのが、闇金で借金をしていると自己破産できないケースもあるという点です。
なぜなら、借金が闇金だけだった場合、自己破産しても意味がないという結論になるからです。
以下の自己破産をした場合の例を見てみましょう。
破産申請者 | 借金内容 | 自己破産の結果 |
---|---|---|
Aさん | ・消費者金融C:300万円 ・消費者金融D:50万円 ・知人E:10万円 | 全ての借金が免除 |
Bさん | ・住民税:15万円 ・奨学金:150万円 ・闇金F:100万円 | 奨学金しか免除されない |
一応、闇金でも借金は借金ですが、自己破産の対象外なので手続きを取っても免除されることはありません。
万が一、闇金ではなかったときのために、破産手続きの際に債権者リストには入れますが効力はありません。
そのため、裁判所が闇金は「無効なので払わなくても良い」という判断をしたとしても、闇金は関係なく取り立てを続けます。
闇金問題を解決するには、自己破産とは別の方法で対処しなければいけないのです。
その他の自己破産が認められないケースについては、以下の記事をチェックしましょう。
2章 自己破産をしても闇金から取り立てられる理由
結論、自己破産をしても闇金から取り立てられる理由は、元々法律上で認められない債務だからです。
正式な貸金業者は、自己破産をしたにもかかわらず取り立てを続ける場合「破産法」という法律で処罰される可能性があります。
そのため、自己破産するという通知を受けたら取り立てをストップさせなければいけません。
一方で、闇金はそもそも自己破産の免責の対象外にある債権なので、仮に裁判所に報告して免責決定をもらったとしても、その効果は闇金には及びません。し、そもそも闇金は免責決定など無視して取り立てを続けるでしょう。
このことから、自己破産をしても闇金からの取り立てがストップすることはないのです。
3章 闇金からの取り立ては弁護士に相談しよう
当然「自己破産したので取り立ては勘弁してください」と闇金業者に電話を入れたところで、解決するはずはありません。連絡したが最後、取り立てがより厳しくなるだけです。
闇金問題は到底、素人が個人の力だけで対処することのできないトラブルなので、1日でも早く弁護士に相談しましょう。
自己破産したのだからといって個人で解決しようとすると「他の借金を払わなくて良くなったのだから完済しろ」と余計に脅される可能性もあります。
また、闇金業者の取り立ては電話やメールだけでなく、家まで来て取り立てを行ったり実家や職場に突撃したり、近所に張り紙をしたりと多岐に渡ります。
ただでさえ自己破産で相当のダメージがある上に、闇金問題までのしかかっている状態は精神的にも限界なはずです。お金がかかってでもプロの力を借りて対応するのを強くおすすめします。
3-1 相談してもすぐに取り立てが止むわけではない
弁護士に相談したあと「これでようやく解放される…」と安心する方は多いかと思います。
しかし、残念ながら弁護士に相談したとしてもすぐに取り立てが止むわけではありません。
弁護士は法律のプロなので、法律に基づいて論理的に闇金対応をしてくれます。ですが、相手は法律外だと分かってやっているので当然一筋縄ではいきません。
中には、運良く諦めてすぐに手を引くこともありますが、大半は押し問答で泥沼化するケースが多いです。
弁護士が入ったことによって捕まるのも時間の問題になった以上、何としてでも返済させようと余計嫌がらせがエスカレートする場合もあります。
長期戦になることを見越して、とにかく一刻でも早く弁護士に相談しましょう。
3-2 根負けして支払うのは絶対にNG!
連日連夜嫌がらせが続くと、もういっそ全額支払って楽になりたいと考えるかもしれません。
また、自分は頑張れたとしても、家族が嫌がらせに耐えられなくなり「肩代わりしてやるから何とかしてくれ」とお願いされるケースも多いです。
確かに、借金を完済すると嫌がらせはなくなるかもしれませんよね。
しかし、根負けして支払ってしまうと、闇金業者が味をしめてしまい更にお金を要求される可能性が高いので絶対に支払うのはやめましょう。
脅せばお金を払う「カモ」だと思われてしまい、遅延損害金に迷惑料に手数料に、なんだかんだと理由をつけて追加で取り立てようとします。
それよりも、弁護士に依頼してなるべく闇金を遠ざける行動を取るのが先決です。
4章 自己破産後も闇金との関係が切れない4つの原因
自己破産前に闇金に手を出してしまった方はもちろんのこと、実は闇金に縁がない借金で自己破産をした方でも、闇金との関係を持ってしまう危険が潜んでいます。
「自分は闇金なんか絶対に手を出さない」と思っていても、ちょっとしたタイミングで闇金と接点を持ってしまい借金地獄に逆戻りする可能性は誰にでもあるのです。
ここからは、自己破産後も闇金との関係が切れない4つの原因を見ていきましょう。
①自己破産しても取り立ては続くから
この記事のメイントピックでもある、自己破産後も続く取り立てが闇金と関係が切れない最大の原因になります。
普通の借金であれば、自己破産をしたら借金の苦しみから解放され、新たに再スタートを切ることができるのですが、闇金は自己破産をしても苦しめられてしまいます。
自己破産後も解放されることなく、相手が折れるまで闇金との関係はまだまだ続きます。
そのため、闇金との関係を切りたくても切れないケースがほとんどです。
②自己破産の情報が官報に掲載されるから
自己破産をしたら、官報という内閣府が発行している機関紙に登録されてしまいます。
官報には破産者の名前や住所が掲載されるため、この情報を辿って闇金業者からコンタクトを取るケースがあります。
官報はインターネットや図書館で誰でも見ることが可能なので、闇金業者でも簡単に見ることができてしまうのです。
通常の人はわざわざ官報を詳細に調べることはしませんが、闇金は敢えて調べて「カモ」を見つけようとします。
一応、官報を使ってプライバシーを侵害する行為や名誉を傷つける行為は禁止されていますが、当然闇金業者が守るはずがありません。
官報を見て「自己破産してお金に困っていませんか?」「うちなら審査不要、ブラックでも借りられるよ」など甘い言葉をかけて勧誘してきます。
勧誘してきたとしても、絶対に誘いに乗らずに断りましょう。
官報については、以下の記事で詳しく解説しています。
③破産者リストを持っているから
破産者リストとは、闇金業者が自社で作成している「債務不履行者や破産者などをまとめたリスト」のことです。
闇金業者が他の業者と情報を共有し、債権者の信用力を調査したり借入可能額を決定するために利用されます。このリストと官報を見て、借入してくれそうな「カモ」を探して勧誘してきます。
また、債務不履行者や破産者は金銭的なリスクが高いと判断され、更に高金利で借入させるケースもあります。
例え、破産直後でお金に困っていたとしても、絶対に断りましょう。
④お金に困って債務者から連絡するから
最後は、債権者から闇金に連絡するケースです。
自己破産をすると、ブラックリストに自己破産をした履歴が残ってしまうため、消費者金融や銀行など正式な金融機関では借入をすることができません。
当然、ローンやクレカのような後払い制度も利用することができません。
借入できない期間は、自己破産の手続き終了後から約7年後といわれており、かなりの年月が必要になります。
自己破産は支払い能力がないと見なされた方が取れる手続きです。自己破産は必要最低限のお金と生活必需品以外は全て没収されてしまいます。
そのため、お金に余裕がなく困っている方が大半になります。
上手く生活を立て直せずに闇金でお金を借りてしまい、自ら関係を作ってしまうケースも少なくないのです。
5章 自己破産後にお金に困った場合の対処法
一番大切なのは、自己破産後にお金がなかったとしても闇金に頼らないことです。
しかし自己破産は、本人に支払い能力がない上に必要最低限以外の財産以外全て失うため、生活を立て直すのが難しいケースも珍しくありません。
もし、お金に困っても安易に闇金に手を出すのではなく、闇金以外の方法を取りましょう。
自己破産後にお金に困った場合、破産者が本当に頼るべき場所をご紹介します。
5-1 公的機関で融資を受ける
就職活動中や病気で通院中など、どうしてもお金が足りない…。そういう場合は、厚生労働省や財務省が運営している公的機関で融資を受けましょう。
公的融資制度は、生活困窮者の生活を支援する目的があるため消費者金融や銀行で借入ができない方でも利用することが可能です。
つまり、闇金の「自己破産しても借りられるところなんてうちしかないよ」という言葉は嘘です。ちゃんと然るべき機関が、自己破産後の生活をサポートしてくれるのでご安心ください。
公的融資制度では生活に困っている方だけでなく、年金受給者やハローワークの職業訓練を受けている方、20歳未満の子供を持つひとり親なども融資を受けることができます。
また、緊急でお金が必要になった場合は、緊急小口資金も利用可能です。申し込みから1週間で、最大10万円を無利子で借りることができます。
ただし公的融資制度は使い道が限られているので、本当に生きていくのに困った場合に利用しましょう。
5-2 生活保護を検討する
今後も収入が見込めず、生活が困難な場合は生活保護を申請するのも一つの方法です。
自己破産した上に生活保護と聞くと、抵抗を持つ方も少なくないと思いますが生活保護は国民の権利です。一時的な融資では到底カバーできない場合は、ためらわずに申請しましょう。
元々生活保護は審査が厳しく、持ち家や車がなく、年金や保険金など貰えるお金をすべて活用しても生活が厳しいことが条件になります。
しかし、自己破産をしている時点でお金にできる財産もなく、生活に困っている方がほとんどだと思いますので、比較的審査が通りやすい傾向にあります。
生活保護はお近くの福祉事務所で申請することができます。厚生労働省のホームページに掲載されている福祉事務所一覧をダウンロードして調べてみましょう。
5-3 寮付きの仕事を探す
しっかり働いて一刻も早く生活を立て直したいという方は、寮付きの仕事に就くのもおすすめです。
寮付きの仕事では職場が住む場所を提供してくれます。格安で利用できる場合もあれば、中には寮費も水光熱費無料のところもあります。
人材不足が理由で高待遇をしていることもあって仕事はハードな内容が多いですが、生きていく上で大きなお金がかかる家賃や光熱費が抑えられるのは大きいでしょう。
何よりも最大のメリットは、生活費を大幅に抑えながら生活に十分なお金を得ることができる点です。仕事によっては日払い対応をしている場合もあるので、その日の生活に困っていたとしても安心です。
住む場所にこだわらない方、独身でライフスタイルをガラリと変えても問題がない方、とにかく今すぐに生活を立て直したいという方にとっては最も効率が良い方法と言っても良いかもしれません。
6章 闇金で借りてしまったらすぐに弁護士に相談しよう
闇金は、一度借りてしまったら個人では解決が難しいほど拗れてしまいます。
一番良いのは闇金に絶対手を出さないことですが、自己破産をするほどお金に困っている状況では正常な判断ができずについ借りてしまったという場合もあるでしょう。
もし、闇金に手を出してしまったら、一刻も早く弁護士に相談してプロに対応を任せましょう。
自己破産に関する記事を沢山公開していますので、合わせてご覧ください。
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よくあるご質問
- 自己破産したらどこまで調べられる?
- 自己破産の手続きを進めるにあたって調べられるのは、「所有財産」「借金の内容」「免責に関すること」の3点です。詳細を細かく調べられるので、財産を隠すなどはやめておきましょう。
財産を隠していた事実が発覚すれば、自己破産で借金を0にすることができなくなる可能性があり、破産詐欺罪となった場合は厳しい処罰を受けることになります。
自己破産について詳しくはコチラ
- 自己破産をすると闇金の借金はどうなる?
- 闇金の借金は法律上で認められる借金ではないので、自己破産をしても免責になりません。
ただし、闇金は法律で認められていないため、そもそも払う必要はありません。
自己破産と闇金について詳しくはコチラ
- 闇金の借金は返す必要がない?
- 闇金のように違法な金利で貸付を行っている業者に対しては、返済をする必要(義務)はないというのが法律上の結論です。
闇金について詳しくはコチラ