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- 手形の不渡りの意味とその種類
- 手形が不渡りになるとどうなる
- 不渡りになるのを防ぐ方法
手形の支払期日が近づき、「資金が足りない」「不渡りになったらどうなるのか」と不安を感じている経営者の方もいるのではないでしょうか。手形の不渡りは、会社の信用や取引関係に大きな影響を与えるため、正しい知識を持ち、早めに対処することが重要です。
特に注意すべきなのは、6ヶ月以内に2回目の不渡りを出してしまった場合、銀行取引停止処分が科される点です。銀行取引が停止されると事実上の倒産状態に陥り、資金繰りは一気に厳しくなるでしょう。
しかし、手形不渡りには種類があり、状況によって取れる対応も異なります。また、不渡りを未然に防ぐための対策や、すでに資金繰りが厳しい場合の解決策も存在します。
この記事では、手形不渡りの基本的な仕組みから、種類ごとの違い、不渡りになった場合の影響、具体的な対処法までを分かりやすく解説します。
目次 ▼
1章 手形の不渡りとは?
手形の不渡りとは、支払期日に手形の振出人(発行した会社)の当座預金口座に十分な資金がなく、手形の支払いができない状態のことです。金融機関が支払いを行えない場合、その事実が手形交換所に通知され、不渡りとして扱われます。
手形とは、一定の期日に一定の金額を支払うことを約束する有価証券で、企業間の取引において代金の後払い手段として利用されます。代表的なものとしては約束手形があり、商品やサービスの代金を現金ではなく手形で決済することで、支払いを一定期間先延ばしにできる仕組みです。
手形を振り出した企業は、支払期日までに当座預金口座へ必要な資金を準備しておく必要があります。もし期日までに資金を用意できなかった場合、金融機関は支払いを行うことができず、その手形は不渡りとして扱われます。
2章 手形の不渡りには3つの種類がある
手形の不渡りは、原因や内容によって区分されており、全てが同じ扱いになるわけではありません。一般的には0号不渡り、1号不渡り、2号不渡りの3種類に分けられ、それぞれ企業への影響の大きさも異なります。ここでは、それぞれの違いを説明します。
2-1 0号不渡り
0号不渡りとは、資金不足が原因ではない形式的な理由によって手形の支払いができなかった場合を指します。
例えば、手形の記載内容の不備や押印ミス、期日や金額の誤記など、手続き上の問題によって決済ができなかったケースが該当します。資金が足りていないわけではなく、金融機関による不渡届の作成も行われないため、不渡りとしては扱われません。
2-2 1号不渡り
一般的に不渡りと呼ばれているのが1号不渡りです。支払期日に当座預金の残高が不足している場合や、口座が解約されている場合など、資金的な理由で決済ができないケースが該当します。
1号不渡りが発生すると、不渡届が作成され、金融機関や取引先にその事実が伝わります。そのため、1号不渡りを起こしてしまえば、会社の信用は大きく損なわれるでしょう。
2-3 2号不渡り
2号不渡りとは、0号不渡りにも1号不渡りにも相当しない不渡りのことです。例えば、手形の偽造や変造、盗難、詐欺によって振り出された場合、契約不履行(手形を振り出して商品を購入したが納入されない)などが原因となるケースが該当します。
2号不渡りでも不渡届は作成されますが、振出人は異議申し立てを行うことが可能です。異議申し立てが認められれば、振出人の信用に重大な影響が及ぶものではありません。ただし、適切に異議申し立てを行わなければ、1号不渡りと同様の扱いとなります。
3章 手形が不渡りになるとどうなる?
手形が不渡りになると、金融機関との関係や取引先との信用にも大きな影響が及びます。特に資金不足による1号不渡りの場合、会社の信用力低下や資金調達の難化に繋がるため注意が必要です。ここでは、手形が不渡りになった場合に想定される主な影響を解説します。
3-1 1回目の不渡りで金融機関は手形交換所に不渡届を提出
手形が支払期日に決済されなかった場合、金融機関は手形交換所へ不渡届を提出します。不渡届によって、不渡りの事実が金融機関の間で共有されます。
不渡届が提出された時点で直ちに銀行取引停止となるわけではありませんが、金融機関は資金繰りや返済能力について慎重な判断を行うようになります。その結果、新規融資の審査が厳しくなったり、既存の取引条件の見直しを求められたりする可能性があります。
また、不渡りの発生は取引先にも知られることがあり、支払い能力への不安から取引条件の変更や停止に繋がるリスクもあります。これ以上厳しい状況に陥るのを防ぐためには、1回目の不渡りが出た段階での早急な対応が大切です。
3-2 6ヶ月以内に2回目の不渡りがあると銀行取引停止処分が科される
資金不足による1号不渡りを6ヶ月以内に2回発生させた場合、手形交換所の規則に基づき銀行取引停止処分が科されます。銀行取引停止処分は、借入や当座預金を使った取引が2年間できなくなる措置です。
銀行取引停止処分を受けると、事実上、金融機関との通常の取引が困難になります。新たな融資を受けることはもちろん、既存の融資についても厳しい対応を取られる可能性があります。資金調達の手段が大きく制限されるため、事業の継続が難しくなるケースも少なくありません。
そのため、1回目の不渡りが発生した時点で、資金繰りの立て直しや専門家への相談を検討することが重要です。早期に対応することで、2回目の不渡りを防ぎ、最悪の事態を回避できる可能性があります。
3-3 借入金の一括請求を受ける可能性がある
手形が不渡りになると、金融機関や取引先との契約内容によっては、借入金の一括返済を求められる可能性があります。なぜなら、融資契約や取引契約には、不渡りの発生を期限の利益喪失事由として定めている場合があるためです。
期限の利益を喪失すると、本来は分割で返済する予定だった借入金についても、残額を一括で支払うよう求められます。資金繰りが悪化しているタイミングで一括請求を受けると、経営を続けることが難しくなるでしょう。
ただし、不渡りが発生したからといって必ず一括請求になるとは限らず、契約内容や金融機関の判断によって対応は異なります。不渡りが起きた場合は放置せず、早期に金融機関や取引先と協議することが重要です。
3-4 取引先からの信用を失う
手形が不渡りになると、金融機関だけでなく取引先からの信用にも大きな影響が及びます。なぜなら、不渡りは資金繰りの悪化を示すサインとして受け止められることが多く、今後の支払い能力に不安があると判断されやすいためです。
その結果、取引条件の見直しを求められたり、掛取引を停止されて現金決済へ変更されたりする可能性があります。また、新規取引を断られるなど、事業活動そのものに影響が出るケースも考えられるでしょう。
信用は一度失うと回復までに時間がかかります。不渡りが発生した場合は、関係先へ速やかに状況を説明し、今後の支払い計画や改善策を具体的に示すなど、誠実な対応を心がけることが重要です。
4章 手形不渡りを防ぐための対処法
手形の不渡りを起こせば、金融機関や取引先からの信用低下、銀行取引停止処分などに繋がってしまいます。会社の存続が厳しくなる事態を回避するためには、以下のような対処をすることが大切です。
- 取引先の与信管理を行う
- 余裕のある資金繰りを行う
- ファクタリングを利用する
- 手形の支払期日を延長してもらう
- 金融機関に過振りを依頼する
ここでは、それぞれの対応について詳しく見ていきましょう。
4-1 取引先の与信管理を行う
手形不渡りを防ぐためには、取引先の与信管理を徹底することが重要です。なぜなら、売掛金を予定通り回収できないと、自社の資金繰りが悪化し、その結果として自社が振り出した手形の決済ができなくなる可能性があるためです。
特に手形取引では、入金のタイミングと支払期日が連動しているケースも多く、1社の取引先の支払遅延が連鎖的に資金不足を引き起こすことがあります。そのため、「売上が増えているから安心」と考えるのではなく、取引先の信用力や支払実績を継続的に確認する姿勢が求められます。
新規取引を開始する際には、財務状況や業界情報を確認するほか、取引開始後も支払遅延の兆候や経営状況の変化に注意を払いましょう。また、与信限度額の設定や支払条件の見直しなどを行うことで、不測の資金トラブルを未然に防ぎやすくなります。信頼できる取引先と適切な条件で取引を行うことが、不渡りリスクの軽減に繋がります。
4-2 余裕のある資金繰りを行う
手形不渡りを防ぐためには、日常的に資金繰りを把握し、余裕を持った資金管理を行うことが重要です。なぜなら、売上が発生していても、入金のタイミングが遅れれば、手形の支払期日に資金が不足する可能性があるためです。
例えば、取引先からの入金までの期間が長く、自社の支払い期限がそれよりも早い場合、一時的に資金が不足しやすくなります。このような入金と支払いのタイミングのズレを見誤ると、黒字であっても資金ショートを起こす恐れがあります。
そのため、資金繰り表を作成し、数ヶ月先までの入出金予定を可視化しておくことが大切です。手形の決済日を基準に資金残高を確認し、不足が見込まれる場合は早めに融資相談や支払条件の調整などを検討することで、不渡りを未然に防げる可能性があります。
4-3 ファクタリングを利用する
ファクタリングとは、売掛金をファクタリング会社へ売却し、入金期日よりも前に現金化する資金調達方法です。取引先からの入金を待たずに資金を確保できるため、一時的な資金不足を補い、手形の支払期日までの資金繰りを改善する手段として役立ちます。
例えば、売掛金の入金が数ヶ月後になる場合でも、ファクタリングを利用すれば早期に現金を受け取ることが可能です。不渡りのリスクが高まっている場面では、資金ショートを回避するための選択肢の一つとなるでしょう。
ただし、ファクタリングには手数料が発生するため、繰り返し利用すると資金繰りが悪化するリスクもあります。また、事業者によって契約条件や費用体系が異なるため、内容を十分に確認し、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
4-4 手形の支払期日を延長してもらう
資金繰りが厳しい場合には、手形の支払期日を延長してもらえないか取引先に相談してみましょう。支払期日を調整できれば、一時的な資金不足を回避できる可能性があります。
特に、入金予定が間近にある場合や、一時的な売上減少による資金不足の場合は、事情を誠実に説明することで理解を得やすいでしょう。早い段階で相談すれば、分割払いへの変更や、決済方法の見直しなど、柔軟な対応を検討してもらえるかもしれません。
ただし、支払期日の延長は取引先との信頼関係が前提となります。支払期日直前になってから相談すると、信用を大きく損なう恐れがあります。また、取引先側も資金計画を前提に事業を運営しているため、急な条件変更は相手の資金繰りに影響を及ぼし、取引関係そのものの継続が難しくなる可能性もあるでしょう。そのため、資金不足が見込まれた時点で速やかに連絡し、誠意ある対応を心がけることが重要です。
4-5 金融機関に過振りを依頼する
一時的な資金不足によって手形決済が難しい場合には、金融機関に過振りを相談する方法もあります。過振りとは、当座預金の残高や当座勘定貸越契約の限度額を超えて小切手や手形を振り出し、金融機関の判断によって一時的に決済を成立させる対応のことです。
日頃からの取引実績や信用状況、資金繰りの見通しなどが評価されれば、金融機関が短期的な資金不足と判断し、不渡りの発生を回避できる場合があります。特に、入金予定が近いなど、一時的な資金ギャップが原因である場合には認められやすいでしょう。
ただし、過振りは金融機関の裁量による対応であり、必ず認められるものではありません。また、決済後は速やかな資金補填が求められるため、根本的な資金繰り改善策と併せて検討することが重要です。資金不足が見込まれた段階で、早めに金融機関へ相談することが望ましいでしょう。
5章 資金繰りが厳しい場合は法人の債務整理を検討しよう
資金繰りが悪化し、手形の決済が難しい状況にある場合には、法人の債務整理を検討することが大切です。なぜなら、不渡りを回避するために一時的な資金調達を繰り返しても、根本的な収支構造が改善されなければ、再び資金不足に陥るリスクを秘めているためです。
法人の債務整理には、金融機関との交渉によって返済条件の見直しを行う私的整理や、裁判所を利用して再建を目指す民事再生、事業継続が困難な場合に行う破産手続きなど、状況に応じた複数の方法があります。どの手続きが適しているかは、会社の財務状況や今後の事業見通しによって大きく異なります。
資金繰りが厳しい段階で早めに専門家へ相談することで、不渡りや銀行取引停止といった最悪の事態を回避できる可能性もあります。一方で、問題を先送りにしてしまうと、選択できる手段が限られてしまうことも少なくありません。そのため、手形決済に不安がある場合や、資金繰りが厳しい場合は、早めに弁護士・司法書士などの専門家への相談を検討しましょう。
グリーン司法書士法人では、法人の債務整理に関するサポートを行っています。資金繰りの状況や事業の見通しを丁寧にヒアリングしたうえで、私的整理や法的手続きなど、状況に応じた適切な選択肢を提案しています。資金繰りの悪化や手形決済に不安を感じている場合でも、早めに対応することで取れる選択肢が広がる可能性があります。無料相談も承っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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まとめ
手形とは、将来の支払いを約束する決済手段ですが、不渡りが発生すると金融機関や取引先からの信用に大きな影響を及ぼします。特に資金不足による不渡りは、銀行取引や資金調達、取引関係など、企業経営全体に波及するリスクがあるため注意が必要です。
不渡りを予防するためには、取引先の与信管理や余裕を持った資金繰りが大切です。また、支払いが厳しい場合でも、ファクタリングの活用、支払条件の調整、金融機関への相談などの状況に応じた対策を講じることで、不渡りの発生を回避できる可能性があります。
なお、資金繰りの悪化が一時的なものではなく、根本的な経営課題が背景にある場合には、法人の債務整理も含めた抜本的な対応を検討することが重要です。問題を先送りにするほど選択肢が限られてしまうため、資金繰りに不安を感じた段階で専門家へ相談し、早期に対策を講じるのが望ましいでしょう。
グリーン司法書士法人では、法人の資金繰りや債務問題に関する相談を受け付けています。金融機関との交渉や手続きの進め方についてもサポートしていますので、まずはお気軽にご相談ください。
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