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様々な面でグローバル化が進む中、外貨預金や海外不動産など、海外資産を有する方も多いのではないでしょうか。
その一方、不景気が進み、自己破産を検討している方も増えました。
海外資産を所有していると、自己破産でその資産がどのように取り扱われるのか気になりますよね。「国内にない資産だから、申告しなくてもよいのでは?」と思う方もいらっしゃるでしょう。
自己破産をすると一定以上の財産は処分されますが、海外資産であっても処分の対象になりますし、裁判所への申告も必要です。
この記事では、自己破産における海外資産の取り扱いや、海外資産がある方が自己破産をする際の注意点などについて解説します。
目次 ▼
1章 自己破産における海外資産の取り扱い
海外資産であっても、あなたが所有している財産に変わりはありません。そのため、自己破産をする際には、他の財産と同じように取り扱う必要があります。
ここでは、自己破産における海外資産の取り扱いについて解説します。
1−1 海外資産も破産の対象になる
日本の破産法では、日本国内で破産手続きをしても、その効力は海外資産にも及ぶとされています。
自己破産が認められるためには、債務(借金)の額が所有している財産を上回り、弁済できないことが最低条件となりますが、この「所有している財産」には海外資産も含まれるということです。
そのため、国内の債務であっても、海外資産をお金に替えたときに弁済が可能な範囲であれば自己破産は認められません。
また、自己破産が認められると、一定以上の財産は処分(お金に替えられる)された後に債権者へ分配されますが、同様の理由から海外資産も処分の対象になります。
つまり、自己破産の申し立てをする際には、海外資産であっても申告をする必要があるのです。
1−2 海外資産の処分方法
海外資産を処分する際には、日本円に替えられることとなります。
とはいえ、破産手続きで財産が処分されるような場合、破産管財人が財産の処分をまとめて行うので、破産者本人が気にすることではありません。
ただし、裁判所に財産に関する情報を提出する際に翻訳が必要になる可能性が高く、その分費用がかかることは留意しておきましょう。
なお、海外資産が少額であり、日本円に替えるための手数料などのほうが上回るケースでは、処分されないこともあります。
1−3 外国籍の人でも日本の破産法が適用される
日本に来た外国籍の方が、日本国内で借金をして、支払不能になってしまうケースもあるでしょう。
外国籍の方でも、日本に住所があるのであれば、日本で自己破産をすることは可能です。
その場合、当然日本の破産法に則って手続きがなされますので、海外に所有する財産(母国の持ち家や預貯金など)は当然ながら調査対象となります。
2章 海外資産がある方が自己破産をするときの注意点
海外資産がある方が自己破産をする際には、以下の点に注意しなければいけません。
- 海外資産であっても隠すことはできない
- 自己破産手続き直前に資産を海外に移してはいけない
- 翻訳などの作業が増え、手間と費用が余分にかかる
それぞれ詳しく解説します。
2−1 海外資産であっても隠すことはできない
「海外資産であれば、裁判所にばれないのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、裁判所は破産者の財産を徹底的に調査するため、例え海外資産であってもバレる可能性が高いでしょう。
万が一、財産の申告を怠った場合、財産隠しとして自己破産が認められなくなります。また、最悪の場合、破産詐欺罪として罪に問われることもあります。
なお、破産詐欺罪に科される刑罰は1ヶ月以上10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金です。
- 破産者が外国籍である
- 外国人の配偶者がいる
- 海外出張や居住歴がある
- 外交官など海外と交流の深い職業に就いた経歴がある
- 海外支店のある企業に勤めていた経歴がある
- 外国語の取引履歴が多い
- 通帳等にレート換算した形跡がある
- 航空券の購入履歴が多い
上記のように、少しでも海外資産があるような形跡がある場合、破産管財人は海外資産の存在を疑う可能性が高いでしょう。
些細なことでもヒントになり、徹底的に調査されます。
「海外資産ならバレない」と侮らず、正確に申告するようにしてください。
2−2 自己破産手続き直前に資産を海外に移してはいけない
ここまでお話したとおり、海外資産であっても自己破産の手続き上、処分の対象となります。
しかし「海外資産にすれば、処分を免れる」と、自己破産の手続き直前の資産を海外に移そうと考える方もいらっしゃいます。
海外資産であっても前述したように裁判所にバレてしまう可能性が高いですし、直前に資産を移したことが発覚すれば「財産隠し」として免責不許可事由に該当し、自己破産が認められなくなる可能性があります。
※免責不許可事由・・・借金の返済を免除することを認めないとする要件
自己破産直前に、自身の資産を動かすような行動は避けるべきでしょう。
2−3 翻訳などの作業が増え、手間と費用が余分にかかる
日本の裁判所では日本語を使います。当然のことのように思えますが、これは裁判所法で定められていることでもあります(裁判所法74条)。
海外資産の場合、契約書や明細などが外国語にて発行されることがあります。
それらの書類や資料を提出する際には、日本語に翻訳した上で提出しなければいけません。
翻訳をする分、余分に費用も時間もかかりますので、その点は留意しておく必要があります。
3章 自己破産手続きはグリーン司法書士法人にお任せください
海外資産がある場合、翻訳作業などが必要となるため、通常の自己破産手続きよりも複雑になるケースがあります。
そもそも、自己破産の手続きは一般の方がご自身で行うのは難しく、ほとんどの方が司法書士などの専門家に依頼しています。
グリーン司法書士法人では、これまで多くの自己破産手続きに対応してまいりました。
海外資産を保有する方の自己破産であっても、適切に対応することが可能です。
初回相談は無料。オンラインでのご相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。
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よくあるご質問
- 自己破産をしても海外に行ける?
- 自己破産中でも、「同時廃止」で手続を進めているのなら、海外への渡航の制限は受けず海外旅行に行くこともできます。
管財事件であれば、裁判所の許可が必要です。
自己破産手続き中の海外への移動について詳しくはコチラ
- 自己破産をするとパスポートはどうなる?
- パスポートは自己破産しても取得できます。
自己破産とパスポートの関係について詳しくはコチラ