借金があるのに妊娠したときの返済方法|出産費用を用意する方法とは

司法書士市川有美

監修者:グリーン司法書士法人   市川有美
【所属】大阪司法書士会 登録番号大阪第4555号 【保有資格】司法書士

借金返済の知識
借金があるのに妊娠したときの返済方法|出産費用を用意する方法とは

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 この記事を読んでわかること

  • 妊娠中だからと借金問題を放置すると大きなリスクがある
  • 妊娠中に借金を返済する方法
  • 妊娠中・出産後に利用できる制度について
  • 妊娠中の借金について相談できるところ

夫の借金を返済中に妊娠してしまったら、

「この先返済していけるのだろうか……」
「借金を抱えながら、出産費用も用意できるのか?」

と心配になりますね。現在仕事をしている女性の場合、妊娠・出産の期間は自分の収入が減ってしまうことへの不安があるでしょう。出産を機に仕事を辞めてしまった人の場合はさらに深刻かもしれません。

妊娠をしても借金の返済を続けていける方法や、出産費用を用意する方法を考えていきましょう。困った時の相談先窓口も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

1章 妊娠中に借金問題を放置するリスク・デメリット

妊娠を機に仕事を辞めた人はもちろん、一時的に休職する人も、収入が減ってしまうことでこれまでのように借金を返済することが難しくなる可能性があります。妊娠したことに加えて収入が減ってしまうという状況では、借金の返済を放置したくなるかもしれません。しかし、借金を放置し続けると、次のようなデメリットやリスクを負うことになります。

1-1 遅延損害金がかかり続ける

借金を放置していると、通常の利息よりも高い「遅延損害金」がかかります。遅延損害金とは、借金の返済が遅れた場合に課せられる利息のことです。遅延損害金は、次の式で計算することができます。

借入額×年率×滞納日数÷365日=遅延損害金

遅延損害金は支払期限の翌日から発生し、完済するまでかかり続けます。滞納期間が伸びるほど遅延損害金は高額になっていくため、借金を放置し続けることは絶対に避けましょう。

1-2 出産・育児費用を捻出できない恐れがある

妊娠期間から出産を経て育児を行うにはお金がかかるため、貯蓄がない場合は費用を捻出できなくなる恐れがあります。まずは、どのような費用がかかるのか確認しておきましょう。

妊婦定期検診費用妊娠期間中に受ける定期健診代10〜15万円
分娩入院費分娩時の入院費用50万円
マタニティ用品・ベビー用品妊娠中のマタニティ用品や生まれてくる子どものベビー用品の購入代10〜15万円

※費用は目安です

妊婦定期検診については、自治体の助成制度(補助券の配布等)を活用すると、自己負担額が3~7万円ほどまでに抑えられることが多いでしょう。分娩入院費については、平均約50万円(正常分娩のみ・室料差額等を除く)の費用がかかるとされています(出産費用 令和5年度|公益財団法人 生命保険文化センター URL:https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifeevent/797.html)。

上記以外にも、出産内祝いに対するお返し品の購入や、赤ちゃんのお七夜やお宮参り、お食い初めなどのお祝い行事を行う場合は、別途費用がかかります。

妊娠中〜出産後は、まとまった費用が必要になるため、自分の場合はいくらかかるのかを事前に確認しておきましょう。

1-3 クレジットカードの利用や新たな借入を行えない

借金の返済をせずに放置していると、早ければ返済期日の翌日からや新規借り入れやクレジットカードの利用ができなくなってしまいます。借り入れをして、定期検診代や出産費用に充てようと考えている場合、たちまち支払いに困る可能性があります。また、クレジットカードが使えないと、出産費用の支払いやベビー用品の購入方法が現金のみとなったり、インターネットショッピングが利用しづらいなどのデメリットがあります。

1-4 訴訟を起こされ財産が差し押さえられる恐れがある

借金を滞納し続けていると、最終的に給与や預金などの財産を差し押さえられる可能性があります。

滞納すると、債権者から督促・一括請求・裁判所への強制執行の申立といった手続きが踏まれ、裁判所から支払督促や訴状が送達されます。2週間以内に異議申立てをしないと、差押えを受ける可能性があります。

2章 借金があるのに妊娠したときの返済方法

夫や自分に借金があるのに妊娠してしまった場合、返済が難しくなる可能性は高くなります。今後必要になる妊婦健診や出産などの費用について頭を抱えたくなりますが、借金返済も継続していく必要があります。まずは、返済ができなくなることを避けるため、取れる解決方法を考えてみましょう。

2-1 親や親族に援助してもらう

親や親族に援助を頼めそうな人がいる場合は、返済資金を出してもらえるよう相談してみましょう。話しづらい気持ちはわかりますが、借金の理由は正直に伝えます。出産後に、どのように返済をしていくのかについても必ず話しておくことが大切です。

2-2 夫に返済してもらう

借金を作ったのが夫ではなく自分の場合、夫に返済してもらえるよう相談してみます。たとえあなたが1人で借りた借金だとしても、夫婦であれば家計に影響することは避けられません。借金の理由をありのまま伝えて、夫に協力を仰ぎましょう。

2-3 在宅でできる仕事を見つける

自宅に居てもできる仕事を見つけて収入を増やし、返済に充てるという方法もあります。近年では、インターネットの発達に伴い在宅でできる仕事も豊富です。フリーランスサイトへ登録して収入を得るなどの方法も、検討してみましょう。

2-4 債務整理をする

どの方法も実行するのは難しい、あるいは実行できても返済ができそうにない場合は、「債務整理」がおすすめです。債務整理とは、自分の借金について減額や免除をしてもらったり、支払いに猶予を持たせたりすることで、借金の悩みを解決できる手続です。

債務整理には主に次の3つの手続きがあります。

2-4-1 任意整理

「任意整理」とは裁判所を通さずに、債権者と将来発生する利息のカットや長期分割払いなどについて直接交渉を行う手続きです。これにより、毎月の返済が今より楽になります。

裁判所を通さないため、債務整理の中では最も気軽に行える手続きといえるでしょう。自宅や車などを手放す必要はなく、手続きを行う債権者も自分で選ぶことができます。借金総額が大きく減る手続きではありませんが、かかる時間や費用面でも手軽にできる手続きです。

2-4-2 個人再生

「個人再生」とは、大幅に減額してもらった借金を原則3年間で完済する再生計画案を作成し、裁判所に認めてもらう手続きです。具体的には、借金の元本を5分の1から10分の1程度に減額できます。再生計画どおりに完済することで、減額した分の借金について支払義務がなくなります。

また、住宅ローン返済中の自宅がある人は、住宅資金特別条項を利用することで、自宅を手放すことなく手続きができます。ただし、安定した収入が利用要件であるため、出産を機に仕事を退職してしまった人が利用することは難しいかもしれません。

2-4-3 自己破産

「自己破産」とは、支払不能な状態であることを裁判所に認めてもらい免責許可を得ることで、借金の返済義務を免除してもらう手続きです。ただし、税金の滞納分などは免除の対象になりません。

原則的に返済義務がなくなるという大きなメリットのある手続きですが、その分自宅などの高価な財産は処分されてしまいます。しかし、収入がないなどの理由で借金返済の目処が立たない人にとって、借金をゼロにして新たな人生を踏み出すことができる自己破産は、まさに借金に苦しむ人の救済に繋がる制度といえるでしょう。

3章 妊娠・出産費用に不安があるときにすべきこと

妊娠・出産にかかる費用に不安があるときは、利用できる制度を知っておくことが重要です。

そのためにも、妊娠がわかったら、まずお住まいの自治体(市役所など)に妊娠届を出しましょう。母子健康手帳が交付される他、健診助成制度の補助券やマタニティキーホルダー、各種制度に関する情報が載っている冊子などがもらえます(配布されるものは自治体によって異なります)。母子手帳にも医療給付制度についての記載があります。また、マイナンバーカードを利用して、電子による届出ができる自治体もあります。

3-1 妊娠中・出産後に利用できる制度を理解しておく

次に、妊娠中・出産後別に利用できる補助制度をまとめました。利用できる制度は早めに確認しておきましょう。

また、国民年金第1号被保険者が出産した際に、出産前後の一定期間の国民年金保険料が免除される制度が平成31年(2019年)4月から始まっています。出産予定日又は出産日が属する月の前月から4か月間(多胎妊娠の場合は、出産予定日又は出産日が属する月の3か月前から6か月間)の国民年金保険料が免除されます。住民登録をしている市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口へ届書を提出してください。郵送でも手続きが可能です。

3-1-1 妊娠中に利用できる制度

妊娠中に利用できる制度の一覧です。自分が利用できる制度を確認しましょう。

制度内容申請先
妊婦健診費助成妊婦健診費用おおよそ14回分を自治体が助成する(助成内容は自治体によって異なる)お住まいの自治体(市役所・区役所など)
高額療養費医療費が一定額を超えた場合に超過した分が返金される加入している健康保険
失業保険妊娠・出産を機に退職した場合にもらえる手当ハローワーク
傷病手当金つわりや切迫早産などで休職するときに受け取れる手当勤務先の労務担当

3-1-2 出産後に利用できる制度

出産後に利用できる制度の一覧です。育児休業給付金と出産手当金については、自分が仕事に就き健康保険や雇用保険の加入者であることが条件になります。

制度内容申請先
出産育児一時金健康保険の被保険者・被扶養者が出産したとき1児につき50万円が支給される(出産育児一時金を病院に直接支払ってもらい退院時にその差額のみを支払う「直接支払制度(受取代理制度)」を利用できる場合がある)国保の場合:お住まいの自治体
健保の場合:健保組合や協会けんぽ
乳幼児等医療費助成制度(小児医療費助成)0歳からある一定の年齢まで、医療機関にかかった場合、窓口で支払う各種医療保険の自己負担額の一部あるいは全額が助成される制度お住まいの自治体
児童手当子どもが中学校を卒業するまで支給される手当お住まいの自治体
育児休業給付金雇用保険加入者が育児休業中に受給できる給付金ハローワーク
出産手当金健康保険の被保険者が、産休期間に給与の支給がない場合に健康保険から支給される手当加入している健康保険

3-2 妊娠・出産・育児にかかる費用を把握しておく

妊娠から出産・育児が始まるまでにかかる費用を、把握しておきましょう。第1章で解説した出産・育児費用の一覧を参考に、自分に必要な費用を書き出してみます。

3-3 出産後の収支バランスを確認する

出産前後にかかる費用や受けられる助成金を確認し、その上で子どもを育てながら借金を返済していけるかどうか計算してみます。たとえば、就業中の人は雇用保険から育児休業給付金をもらい、その中から返済可能であればやっていける可能性が高いと考えられます。

しかし、仕事を辞めていたり出産前後は収入がないなどの状況で、返済できる見込みが立ちそうにない場合は早めに対策を考えましょう。対処法として、妊娠中の借金の相談先を具体的にご紹介します。

4章 妊娠中の借金についての相談先 

夫や自分に借金がある状態で妊娠した場合に、相談できる窓口をご紹介します。いずれも電話やメールを利用して無料で相談ができます。ぜひ利用を検討してみましょう。

4-1 お住まいの地域の福祉保健センター

各地域の福祉保健センターでは、日常生活で起こるさまざまな困りごとの相談に対応しています。妊娠中に借金問題で悩んでいる場合にも相談に乗ってもらえるでしょう。専門の相談員が、解決に向けてサポートしてくれます。お住まいの地域の自治体に問い合わせてみましょう。

4-2 全国妊娠SOS相談窓口

全国妊娠SOS相談窓口は、予期せぬ妊娠をしてしまい悩んでいる、誰にも相談できないといった妊娠葛藤を抱える相談窓口です。借金があって生活がギリギリで病院にかかれないなどのお悩みについて、相談することができます。全国に相談窓口がありメールや電話で利用できますが、中にはLINEで相談できる窓口もあります。

4-3 法テラス

法テラス(日本司法支援センター)とは、国により設立された法的トラブル解決のための機関です。借金問題をはじめとするさまざまな法的トラブルについて相談でき、有効な解決策を示してくれます。同じ内容のトラブルについて3回まで無料で相談することができます。必要に応じて、民事法律扶助(無料の法律相談や弁護士・司法書士費用の立て替え)も行っています。

4-4 司法書士・弁護士

司法書士や弁護士の事務所では、第2章で解説した債務整理についての無料相談を、電話やメール、オンラインなどで受け付けています。中には、債務整理に対応していない事務所や無料相談を実施していない事務所もあるため、事前に確認しておきます。無料相談で納得できれば、司法書士や弁護士に債務整理手続きを依頼すると、借金問題解決の近道につながるでしょう。

まとめ

妊娠中や出産を控えた時期に借金を抱えていると、不安やプレッシャーで押しつぶされそうになることもあるでしょう。しかし、妊娠中だからといって、借金問題の解決を諦める必要はありません。
返済計画の見直しや債務整理の検討、各種公的制度の活用など、今できることを一つずつ実践することで、経済的にも精神的にも安定を取り戻すことができます。

大切なのは「一人で抱え込まないこと」です。家族や専門家に相談すれば、必ず現実的な解決策が見つかります。あなたとお子さんの未来を守るためにも、早めの行動を心がけましょう。

グリーン司法書士法人では、これまで7,000件以上の債務整理相談を受任・解決してきた実績があり、安心してご相談・ご依頼いただけます。初回のご相談は無料で、オンライン相談も可能です。借金問題は、ご相談が早ければ早いほど、解決のための選択肢が多く選びやすいといえます。お一人で悩まず、ぜひお気軽にご相談ください。

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