事業閉鎖で残った借金を整理する方法|どうしても返済できないなら?

司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

借金返済の知識
事業閉鎖で残った借金を整理する方法|どうしても返済できないなら?

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 この記事を読んでわかること

  • 事業閉鎖で整理しなければならない負債の種類
  • 事業閉鎖で残った借金を整理する方法(債務整理)
  • 事業閉鎖の流れ
  • 事業閉鎖でも借金が残る場合の対処方法

事業を閉鎖する際には、資産を売却して借入金や未払いの請求書などの借金をすべて整理します。

資産が多ければ、もちろん借金は残りません。しかし、残る借金をどう返済すればいいのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

今回は、事業閉鎖で残った借金問題を解決する方法について詳しく解説します。事業閉鎖を検討している方は、ぜひ最後までご一読ください。

1章 事業閉鎖する際には残った借金を整理しなければならない

事業閉鎖を決定したとしても、借金は自然消滅するわけではありません。

事業を閉鎖する際には、まず残った借金の整理が必要です。会社の資産と負債を洗い出し、清算手続きを行わなければなりません。

もし資産が負債より多ければ、売却して借金を完済できます。しかし負債の方が多く資産を売却しても残債が生じる場合は、債務整理や破産手続きが必要です。

会社に借入金や債務が残った状態では解散や清算ができないため、速やかに破産手続きを取らなければならないのです。

1-1 整理が必要な借金(負債)

事業閉鎖する際に整理しなければならない負債には主に以下のものがあります。

  • 金融機関や銀行からの借入金
  • 未払いの請求書(買掛金)
  • 未払いの税金・社会保険料
  • 従業員の給与
  • リース契約料

その他、事務所や店舗の賃貸契約を結んでいる場合は未払いの賃料や現状回復費用なども整理が必要になります。

1-2 事業閉鎖と廃業・倒産・清算の違い

事業閉鎖と廃業・倒産・清算は、どれも事業継続が不可能なときに使われます。混同されやすい言葉ですが、意味や詳しい内容は異なるため、ここで意味を整理しておきましょう。

事業閉鎖とは、事業の一部を辞めるときに使われます。一方、廃業は事業全体を完全に辞めることを指しますが、事業閉鎖と廃業はほぼ同義と考えてよいでしょう。

倒産は、財政状態が厳しくなって経営継続ができなくなることを指します。しかし、倒産したからといって必ずしも事業を完全に辞めるとは限りません。倒産には、事業を終了する「清算型」と事業を立て直して継続する「再建型」の2種類があります。

清算とは、事業を閉鎖するときや法人を解散するときに借金を整理することです。具体的には、解散後の財産関係を整理し、債権者への弁済を行って残った財産を株主や出資者へ分配します。

2章 事業閉鎖で残った借金を整理する方法

事業閉鎖後も借金が残るのは、めずらしいことではありません。

借金の取り扱いは法人と個人事業主・自営業で異なります。法人の場合、借金は基本的に法人の責任です。しかし個人事業主・自営業の場合は、事業の借金であっても個人の借金として扱われます。

ここでは、法人の場合と個人の場合に分けて整理の方法を解説します。

2-1 【法人の場合】法人破産

法人破産は、支払不能や債務超過に陥った法人が、裁判所の関与のもと資産を処分して債権者へ可能な範囲で弁済する手続きです。

資産処分や分配は裁判所から選任された管財人が行います。

法人破産を決断したら、上記の優先度に関わらず、特定の債権者のみに返済しないようにしましょう。「ここまでお世話になったから」「売掛金がかさんでしまい迷惑をかけたから」など何かしら理由があったとしても、特定の債権者へ返済する行為は「偏頗弁済(へんぱべんさい)」と判断され、法人破産手続きが認められないことがあります。

法人破産の場合には、破産が完了すると法人は法的に消滅します。さらに、法人の消滅とともに債務も全て消滅します。しかし、いわゆる経営者保証で融資を受けている場合、債務は連帯保証人である経営者が返済義務を負うことになるのです。

法人の債務は1,000万円超におよぶ高額になることも珍しくないため、法人破産の際は連帯保証人になっている経営者自身も同時に自己破産を検討するケースが一般的です。

法人破産について申請方法や費用について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

2-2 【個人事業主・自営業・経営者が連帯保証人の場合】個人の債務整理

個人事業主や自営業の場合は、事業の借金であっても個人の借金と同一として扱われます。そのため、返済が難しいなら債務整理を検討しなければなりません。

また、経営者が融資の際に連帯保証人になっている場合も、債務の金額や状況に応じて自己破産以外の債務整理が有効になる可能性があります。

債務整理には、主に次の3つの方法があります。

  • 任意整理
  • 個人再生
  • 自己破産

それぞれ詳しい内容を見ていきましょう。 

2-2-1 任意整理

任意整理は裁判所を介さずに債権者と直接交渉し、将来発生する利息のカットや分割払いなど返済条件の見直しを行う方法です。

手続きは比較的簡単で、スピーディに進められるのがメリットである一方、債権者が交渉に応じなければ成立しないというデメリットもあります。また、あくまで利息カットが中心になるため、元金から大きく借金を減らすことはできません。

ある程度の返済能力があり、借金の額がそれほど高額でない場合に向いている方法です。

任意整理について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

2-2-2 個人再生

個人再生は、裁判所へ申し立てを行い、3〜5年の期間で分割返済する再生計画を策定する手続きです。

元金を含む借金総額の5分の1〜10分の1に減額できるため、少なくても安定収入がある場合は、今の生活基盤を維持しながら返済が可能です。

ただし、個人で保有している資産が多い場合は減額できる割合が低くなるため、返済負担が重くなる可能性はあります。

2-2-3 自己破産

負債額が大きすぎる場合や、経済的に困難で返済のめどが立たない場合は自己破産手続きをとることになります。

裁判所へ自己破産の申し立てを行い、保有する財産を金銭に換えて債権者へ公平に分配し、それでも残った借金を帳消しにできる方法です。

借金をゼロにして新たに生活を立て直せる方法ではありますが、税金や社会保険料などの非免責債権の支払い義務は残ります。

3章 事業閉鎖するときの流れ(法人の場合)

事業を閉鎖する際には、いくつか重要な手続きが必要です。手続きにはそれぞれ期限があるため、遅れることのないように注意しましょう。なお、ここで言及するのは法人が事業閉鎖する場合です。

個人事業主の場合もおおむね同じ流れですが、法人のように登記を行う必要はありません。必要な書類や帳簿を整理して確定申告し、債務を整理したあとは「事業の開業・廃業等届出書」を提出すれば事業閉鎖となります。

STEP1 事業閉鎖を決定する

はじめに事業を終了させる日の目安を決定し、従業員と取引先などに説明します。廃業に伴う解雇は30日前には従業員へ通知しなければなりません。

また、株式会社の場合は株主総会を開き、解散決議を得る必要があります。解散決議が認められたら、会社の資産処分や解散に関する登記を担う「清算人」も同時に選任します。清算人は通常、その会社の代表取締役や取締役の一人が選ばれることがほとんどです。

STEP2 解散登記を申請する

解散決議後、清算人から法務局へ「解散登記」を申請します。この手続きは事業閉鎖した日から2週間以内に行わなければなりません。

STEP3 債権者へ事業閉鎖を通知する

続いて、事業閉鎖を官報公告します。官報広告とは、債権者へ事業閉鎖を通知して債権の申し出を促すための手続きです。特に、株式会社では官報公告が義務付けられています。

官報広告の後、債権者は2か月以内に債権を申し出る必要があります。

STEP4 清算手続きをする

官報公告のあと債権を申し出た債権者に対して、清算人は会社の資産を売却して負債を返済します。その際に財産目録や貸借対照表を作成し、税務署へ確定申告も行います。

STEP5 法務局で清算結了登記を申請する

清算が完了したら法務局で清算結了登記を行います。登記が完了すれば、正式に法人としての活動は終了します。

法人の廃業について手続きの流れやかかる費用についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

4章 事業閉鎖しても残る借金を整理できそうにない場合の対処法

借金返済の負担が大きくなって資金繰りが厳しいものの、事業閉鎖を選んでも借金を整理できる見込みがない場合もあります。

ここでは、借金は残るができれば事業閉鎖は避けたいときの対処方法について見ていきましょう。

4-1 事業の再建で新たなスタートを切る

事業を立て直して再建を目指すのならば、債権者に相談してリスケジュールを行いましょう。

リスケジュールとは返済計画を見直すことです。返済期間の延長や元金返済を据置することで毎月の返済金額を減額し、キャッシュフローを立て直します。

滞納が続いているとリスケジュールを認めてもらえない場合もあるため、事業再建を目指すなら早めに融資担当者へ相談するのをおすすめします。

4-2 会社の売却を検討する

会社に赤字や借金がある状態だとしても、事業に将来性があるなら売却できる可能性があります。

借金だけでなく従業員もそのまま引き継げる可能性が高いため、従業員の生活を守る手段として有効です。ただし、会社売却には失敗の可能性もあります。タイミングを逃したり経営統合がうまくいかないなどの失敗例もあるため、M&Aの専門家へ相談して慎重に進めましょう。

5章 事業閉鎖の際に残った借金整理にお悩みの方はグリーン司法書士法人へご相談ください

事業閉鎖で清算後に借金が残るケースは多いものです。法人の債務ならば法人破産でゼロになりますが、経営者が連帯保証人になっている場合や自営業・個人事業主の場合は、残った借金をどう返済していけばよいか途方に暮れてしまうかもしれません。

自力で返済できない事業の借金返済にお悩みの方は、グリーン司法書士法人へご相談ください。債務整理を含め、あなたに最適な借金整理方法をご提案いたします。

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