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- 会社に借金をしていても退職は可能だが支払い義務は残る
- 退職後は借用書や規約に従って返済しなくてはいけない
- 会社からの借金が払えない場合は差押えになる可能性がある
- 差押えになると転職先にバレるので早めの債務整理がおすすめ
急なお金が必要になったとき、会社の福利厚生による「従業員貸付制度」を利用したことがある方もいるのではないでしょうか。従業員貸付制度とは、会社からお金を借りられる制度のことです。
「会社に借金をしている状態で退職はできないのでは?」と不安に感じていると思いますが、会社に借金をしていても退職は可能なのでご安心ください。
この記事では、会社に借金がある状態で退職する際に注意すべき点と、返済が難しい場合の対処法を解説します。会社からの借金が払えるか不安な方は参考にしてください。
目次 ▼
1章 会社に借金をしていても退職は可能!
会社から借金をしている状態だと「完済するまで退職したらいけないのかな……」と不安に感じる方も多いかと思います。しかし、会社に借金をしていても退職は可能です。
日本国憲法によって職業選択の自由が定められているため、従業員が退職を希望している場合は、退職を認めなければいけません。もし「借金が残っているのに退職するのか」と借金を理由に退職をさせてもらえない場合は、強制労働とみなされて労働基準法に抵触します。
そのため、会社に借金をしている場合でも法律上は退職できるのでご安心ください。
1-1 会社に借金がある理由は?
会社によっては、福利厚生の一環として「従業員貸付制度」を設けている場合があります。従業員貸付制度とは、簡単に言うと会社からお金を借りられる制度のことです。
例えば、医療費や介護費で急にお金が必要になった場合や、住宅購入の初期費用などさまざまな理由で利用できます。
従業員貸付制度は、銀行や金融機関よりも利息が低く、返済条件も融通が効くケースが多いです。そのため、従業員によって利用しやすい借入方法といえるでしょう。
2章 退職しても会社からの借金は返済義務がある
会社に借金をしていても退職できますが、退職したからといって借金がなくなるわけではありません。当然ですが、退職しても会社からの借金は返済する義務があります。
また、従業員貸付制度の規約によっては、退職後に一括返済を求められるケースもあるため注意が必要です。退職後の借金の返済は、基本的に規約に従わなければいけないので、再度確認しておきましょう。
2-1 借用書に従って返済しなければいけない
借用書がある場合は、借用書に従って返済しなければいけません。例えば、借用書に一括返済と記載があれば、一括返済する義務が生じるので注意が必要です。
借用書に一括返済などの記載がなければ、今まで通りの返済方法で問題ありません。重要なのは、借用書にどう記載されているかです。
2-2 借金の分割払いの承諾を得られない場合もある
借用書がない場合、退職後に借金の分割払いを希望しても承諾を得られない場合があります。この場合は、会社が一括返済を求めているか、退職金から借金を返済させたいケースが多いです。
特に、退職者が経済的な事情で回収を望めない場合や、返済期間が長期になると判断した場合は、一括請求を求める可能性が高いので注意しましょう。もし、借金がすぐに払えない場合は、会社と再度交渉をして返済方法を決める必要があります。
3章 会社からの借金が払えないと差押えになる可能性がある
分割払いの承諾を得られず、会社からの借金が払えないと差押えになる可能性があります。差押えになると、退職者の財産から強制的に回収になるので、さらに経済的負担を強いられるでしょう。
「差押えだなんで大袈裟な……」と思うかもしれませんが、借用書通りに借金を返済しないと、会社が訴訟(裁判)を起こしてくる可能性があります。裁判で判決が確定すると、いつ差押えられてもおかしくない状態となってしまうので注意しましょう。
ここからは、会社からの借金が払えない状態から差押えになるまでの流れを解説します。
3-1 一括返済を求められる
退職後に会社への借金が返済できない場合、会社から一括返済を求められる可能性があります。
次の仕事が見つかっていない場合や、経済的に苦しい状況が続いている場合、一括返済の要求に応じることは大変難しいでしょう。退職してから滞納しないためにも、退職前に会社としっかりと話し合って、分割払いの計画を立てたり、返済の期間を延長してもらうなどの対策が大切です。
もし、どうしても一括返済を求められる場合は、司法書士や弁護士などの専門家に相談して、会社との交渉を依頼する方法も検討しましょう。
3-2 裁判を起こされる
一括返済を求められても返済ができない場合は、債権者である会社が訴訟(裁判)を起こし、裁判所がその請求を認めたら強制執行が可能になります。
通常、裁判所から返済すべきだと判決が出されるため、指示に従って返済しなければいけません。
3-3 強制執行となり差押えになる
裁判で判決がでても、返済できない場合は強制執行となり差押えになります。裁判所が財産を差し押さえて、借金の残り分を強制的に回収する流れです。
差押えの対象になる財産には、預貯金や給料、不動産などがあります。借金の金額によって差し押さえの対象は変わりますが、基本的には預貯金や給料が対象になります。
もし、転職先が見つかって新しい会社に所属している場合は、新しい会社の給料を差し押さえられる可能性があります。できる限り、差押えになる前に専門家に相談をして借金問題を解決しましょう。
4章 退職後に会社からの借金が払えない場合は債務整理を検討しよう
退職後に会社からの借金が払えない場合は、債務整理を検討しましょう。債務整理は、消費者金融の借金に利用するイメージがあるかもしれませんが、会社からの借金に対しても利用できます。
債務整理では、借金を減額したり免除したりできるので、今後の返済負担を軽減することができます。債務整理は大きく分けて3つの方法があるので、それぞれ特徴を見ていきましょう。
4-1 【分割払いで返済したい場合】任意整理
任意整理とは、債権者と専門家が直接交渉をして返済条件を見直す手続きです。交渉が成功すると、利息をカットしたり分割払いに変更したりと返済負担が軽減できる可能性があります。
また、任意整理は裁判所を通さない手続きのため、ほかの債務整理と比較して手軽なのがメリットです。周りにもバレにくいので、家族に内緒で借金問題を解決したい方にもよいでしょう。
ただし、任意整理は元金を減額できる可能性は低いので注意が必要です。支払い能力があることを前提とした手続きのため、元金の返済が難しい場合はほかの債務整理を検討しましょう。
4-2 【返済する借金を減額したい場合】個人再生
個人再生とは、借金を5分の1から10分の1に減額し、原則3年で返済する手続きです。借金を大幅に減額できるので、退職後の収入が限られている方でも無理のない範囲で返済を続けられるでしょう。
また、個人再生は「住宅資金特別条項」が用意されているので、持ち家を失わずに債務整理できるのがメリットです。借金問題を解決したいけれど、マイホームを手放したくない方に向いていると言えるでしょう。
ただし、個人再生は債務整理のなかでも手続きが非常に複雑です。そのため、早い段階で専門家に相談して一緒に進めていくのがおすすめです。
4-3 【借金の返済が不可能な場合】自己破産
自己破産とは、全ての借金の返済義務をなくす手続きです。会社からの借金だけではなく、別の借金がある状態でも全額返済しなくてよくなります。
多重債務に陥っていたり、とても借金が完済できる借金額ではない場合におすすめです。ただし、効力が強い反面デメリットも多く、必要最低限の財産以外は全て失うので注意しましょう。
失う財産には、持ち家や車、貴金属やブランド品といった贅沢品などが挙げられます。洗濯機や掃除機、冷蔵庫など生活に必要なものは残せるのでご安心ください。
本当に自己破産すべきか自分で判断するのは難しいため、まずはお気軽にお問い合わせください。
5章 前の会社に借金していると転職先にバレる?
結論から言うと、差押えになった場合は転職先にバレてしまいます。なぜなら、給料を差押える場合、裁判所から転職先に対して「債権差押通知」という書類が届くからです。
この債権差押通知が届くと、給料の一部が強制的に回収に充てられるだけではなく、転職先に借金を滞納して給料を差し押さえられたことがバレてしまいます。
新しい職場で心機一転したにもかかわらず、いきなり借金が発覚するのだから、新しい職場の信頼関係に影響を及ぼす可能性も十分に考えられるでしょう。
迷惑をかけないためにも、転職が決まっている場合は早めに借金問題を解決しましょう。
6章 会社からの借金を返済できない場合は早めの相談を!
会社からの借金が残っていても退職は可能ですが、退職後も借金の返済義務が続くので注意しましょう。また、会社によっては一括返済を求められる可能性があるため、逃げるように退職するのではなく、退職前によく話し合っておくことも大切です。
もし会社からの借金を返済できない場合は、専門家に相談をして債務整理を検討するのもよいでしょう。借金問題を早めに解決して、前向きに新しい生活を送りましょう。
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