うつ病歴があっても住宅ローンは組める?ローンが払えないときは?

司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

住宅ローン問題
うつ病歴があっても住宅ローンは組める?ローンが払えないときは?

この記事は約 15 分で読めます。

悩む男性
過去にうつ病になった経験があります。これから家を買おうかと思っているのですが、うつ病になったことある人は住宅ローンを組めないと噂で聞きました。本当に組めないのでしょうか……?

司法書士
確かに、うつ病の既往歴は住宅ローンを組む際に影響があります。これは、うつ病に限らず過去に病気に罹ったことがあると、団信保険の審査に通らない可能性があるからです。

悩む男性
もう、一生住宅ローンを組めないのでしょうか?

司法書士
いいえ、完治してから一定期間が経過すれば審査に通る可能性があります。また、病歴があっても審査に通りやすい保険もありますので、諦める必要はありませんよ。

うつ病の既往歴がある場合、住宅ローンを組む場面で影響が出る可能性があります。それは、住宅ローンの審査ではなく、ローン契約時に加入する団信保険(団体信用生命保険)の審査に関係があります。

団信保険とは、住宅ローンの契約者本人が死亡したときや重大な病気に罹って働けなくなったときなど、万が一のことがあったときに、住宅ローンローンの全額を保証する保険です。

住宅ローンの契約では、団信保険の加入が必須なことがほとんどであるため、結果的にうつ病の既往歴が住宅ローンの審査に影響が出てしまいます。

また、本記事を読まれている方の中には、うつ病によりローンが支払えなくなってしまったという方もいらっしゃるでしょう。

そのような方に向けた対処法などについても解説していますので、参考にしてください。

1章 うつ病の既往歴が与える住宅ローンへの影響と対処法

うつ病の既往歴があると、住宅ローンの審査に影響を与えることがあります。しかし、適切な対処法を知ることで、ローンを組む可能性を高めることができます。

1−1 団信保険の審査に通らず住宅ローンが組めない可能性がある

団信保険(団体信用生命保険)は、住宅ローンを組む際に加入が求められる保険です。これは、ローン返済中に亡くなったり、仕事を辞めざるを得なくなるほどの大きな病気になったりと、万が一のことがあった場合に、ローンを弁済してもらうための生命保険です。

この保険は、契約者が健康であることを前提に提供されるものですから、うつ病に限らずがんや心筋梗塞といった大きな病気の既往歴がある場合、この団信保険の審査に通らず、住宅ローンを組めないことがあります。

1−1−1 虚偽の告知をするのは絶対にNG

団信保険の審査を通すために、うつ病の既往歴を隠すことは絶対に避けるべきです。虚偽の告知が発覚すると、保険金が支払われないだけでなく、契約自体が無効になる可能性があります。

うつ病の既往歴を告知する際には、具体的な診断名や治療期間、現在の健康状態などを詳細に記載することが求められますので、正直に申告しましょう。

告知事項の例直近3か月以内の医師の治療、投薬の有無(※)直近3年以内の手術、2週間以上にわたる医師の治療の有無(※)持病の有無直近2年以内の健康診断・人間ドックの結果(※)対象となる病気の例る体の部位具体的な病名心臓狭心症、心筋梗塞、心筋症、不整脈、心臓弁膜症、先天性心臓病脳脳卒中(脳出血・脳梗塞・くも膜下出血)、脳動脈硬化症呼吸器慢性気管支炎、ぜんそく、気管支拡張症、肺結核、肺気腫胃腸胃潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、すい臓炎、クローン病肝臓肝炎、肝硬変、肝機能障害腎臓腎炎、ネフローゼ、腎不全目緑内障、網膜・角膜の病気がんがん、肉腫、白血病、腫瘍、ポリープ代謝異常・免疫疾患高血圧症、糖尿病、貧血症、膠原病、リウマチ、紫斑病精神疾患・認知障害精神病、神経症、統合失調症、てんかん、うつ病、自律神経失調症、アルコール依存症、薬物依存症、知的障害、認知症婦人科系子宮筋腫、子宮内膜症、乳腺、卵巣のう腫

1−2 完治から3年以上経過していれば審査に通る可能性が高い

うつ病が完治し、その後3年以上経過している場合、団信保険の審査に通る可能性が高まります。

多くの保険会社は、完治後の一定期間が経過(3年であることが多い)していることを審査基準としており、医師の診断書や完治証明書を提出することで、審査が通るケースが増えています。

1−3 ワイド団信であれば審査の基準が緩い

ワイド団信は、一般的な団信保険よりも審査基準が緩和されている保険です。健康状態に不安がある人でも加入しやすく、うつ病の既往歴がある場合でも審査に通る可能性が高くなります。

通常の団信保険では審査に通りそうにないような場合には、ワイド団信を取り扱う金融機関を選ぶことも一つの方法です。

なお、ワイド団信は通常の団信保険よりも高い金利が設定されることが多いため、その点は理解しておきましょう。

2章    うつ病で住宅ローンが支払えないとどうなる?

住宅ローンを組んだときには健康であっても、長い人生の中でうつ病を発症し、それが原因で住宅ローンの支払いが困難になることがあるでしょう。

病気が原因で働けなくなったり、収入が減ったりしてしまうのは仕方のないことです。しかし、貸し付けている銀行はそのような事情をすべて汲むわけにはいきません。

ここでは、うつ病で住宅ローンが払えなくなってしまったらどうなるのかについて解説します。

2−1    1か月程度なら待ってもらえる可能性が高い

住宅ローンの支払いが1か月程度遅れるだけれあれば、柔軟に対応してくれる多くの金融機関がほとんどです。期日までに支払えないと分かったら、銀行にしっかりと遅延の理由を説明することで支払い猶予が得られることもあるでしょう。

銀行としても契約を解消するよりも、今後返済の見込みがあるのであれば多少遅れても待った上で支払い続けてもらったほうがよいからです。

なお、金融機関に伝えるときは、今後の見通しなどについても説明することが大切です。

2−2    2か月以上滞納すると最悪の場合競売にかけられるリスクがある

住宅ローンの支払いが2か月以上滞納すると、銀行は法的手続きに移行するため、最悪の場合、住宅が競売にかけられる可能性があります。

以下は、滞納から競売までの一般的な流れです。

  1. 支払い催促:支払いが遅れると、金融機関から催促の連絡が来ます。
  2. 督促状の送付:さらに滞納が続くと、督促状が送られてきます。督促状には、支払い期限や未納額が明記されており、早急な対応が求められます。
  3. 代位弁済:一定期間内に支払いがない場合、保証会社が代位弁済を行い、その後、債権が保証会社に移ります。これ以降、債務者は保証会社からの請求を受けることになります。
  4. 競売手続き開始:代位弁済後も支払いがない場合、住宅が競売にかけられる手続きが開始されます。競売の手続きが進むと、最終的には住宅が強制的に売却されることになります。

このような流れに陥らないためにも、早めに対策を講じることが重要です。支払いが滞る前に金融機関に相談し、適切な支援や猶予を受けることで、競売を回避するようにしましょう。

住宅ローンが支払えないときの対処法については、次章にて解説しています。

【相談するのも辛いときは……】
うつ病のときは、家から出るのも誰かと話をするのも辛いですよね。しかし、何もせずにいると大切な家を失ってしまうリスクがあります。

専門家への相談は本人でなくても大丈夫です。グリーン司法書士法人では、代理のご家族からの相談も歓迎しています。

オンライン相談にも対応していますので、ご自宅から相談することも可能です。

ご状況に合わせて柔軟に対応いたしますので、まずはお問い合わせください。

3章 住宅ローンが支払えない場合の対処法

住宅ローンが支払えない場合には、以下の対処法があります。

  • 傷病手当金や労災保険を受給する
  • 金融機関に相談する
  • 金利の低い住宅ローンに借り換える
  • 加入している保険の補償を利用する
  • 任意売却をする

それぞれ詳しく解説します。

3−1   傷病手当金や労災保険を受給する

うつ病で働けない場合、傷病手当金や労災保険を受給することができます。これにより、一定期間の生活費を補填することができ、住宅ローンの支払いに充てることが可能です。

傷病手当金は、病気やけがで仕事を休まざるを得ない場合に、健康保険から支給される給付金で、給与の約6割が支給されます。支給期間は最長で1年6か月となっており、この間に治療に専念しつつ、住宅ローンの支払いを継続することが可能です。

労災保険は、仕事中や通勤中に発生した事故や病気に対して支給される保険で、多くの場合感知するまで給与の約8割が支給され、こちらも収入の減少を補うために利用できます。

ただし、どちらも支給までに1か月程度ラグがあるため、その間は貯蓄などから住宅ローンを支払う必要があります。

3−2    金融機関に相談する

住宅ローンが支払えないと分かったら、早めに金融機関に相談し、返済計画の見直しや支払い猶予を申し出ましょう。多くの金融機関は、返済条件の変更や一時的な支払い猶予に応じてくれます。

相談する際は、支払えない事情と今後の見込みについて丁寧に説明することが大切です。

3−3 金利の低い住宅ローンに借り換える

現在のローンよりも金利が低い住宅ローンに借り換えることで、毎月の返済額を減少させることができます。これにより、支払い負担を軽減し、ローンの返済を続けやすくなるでしょう。

ただし、借り換えには費用がかかります。具体的には以下のとおりです。

既存ローンの解約に際しかかる費用
繰上返済手数料繰上げ返済する際に支払う手数料。5,000円〜30,000円程度が目安。
保証会社事務手数料一括払いしている保証料を返金してもらうための手数料。10,000円程度が目安。
抵当権抹消費用住宅ローンに設定されている抵当権を抹消する際にかかる登録免許税。
費用は不動産1つにつき1,000円。建物と土地がある場合は合計2,000円。
新規ローン契約に際しかかる費用
事務手数料住宅ローンの手続きに際し、銀行に支払う手数料。支払額の決定方法は「定型型」「定率型」の2つがあり、一定の金額を支払う「定型型」の場合の相場は3〜5万円。借入額に応じて変動する「定率型」の場合の相場は借入金額の2.2%。(1,000万円のとき、22万円)
保証料保証会社に支払うお金。前払い型と金利上乗せ型の2つがあり、「前払い型」の場合はローンの金額によって数十万〜100万円程度になる。「金利上乗せ型」二場合は、借入れのローン+0.7%程度。
印紙代住宅ローンの契約書を交わす際にかかる税金。借入額によって変動し、2,000円〜20,000円程度です。
抵当権設定費用不動産に抵当権を設定する登記申請にかかる登録免許税。住宅ローンの借入額の0.4%。借入れが2,000万円なら、8万円。

上記のように、ローンの借換えには、借入額にもよりますが、合計で30〜40万円程度はかかります。

なお、住宅ローンの借り換え時にはローン借り換え時にかかる諸費用も借り換え後の住宅ローンに上乗せすることが可能です。

諸費用を含めても借り換え後の総支払額が下がるのであれば検討してみるのもよいでしょう。

ただし、うつ病で休職している場合には、ローンの審査に通ること自体が難しい可能性があります。借り換える場合には家族名義でローンを組むなど工夫が必要です。

3−4    加入している保険の補償を利用する

住宅ローンの返済を支援する保険や収入が減少したときに保証してくれる保険に加入しているのであれば、率先して利用しましょう。

保険の内容はさまざまですが、よくあるものは以下のとおりです。

  • 住宅ローン返済支援保険:病気や怪我で収入が減少した場合に、一定期間のローン返済を支援する保険です。これにより、収入減少時でもローンの支払いを続けることが可能です。通常、住宅ローンの契約時に加入します。
  • 就業不能保険:病気や怪我で働けなくなった場合に、毎月の生活費を補償する保険です。これにより、収入が途絶えた場合でも生活費を確保しつつ、ローンの支払いを維持できます。
  • 所得補償保険:病気や怪我で収入が減少した場合に、所得の一部を補償する保険です。これにより、収入減少時にも一定の所得を確保し、ローン返済に充てることができます。

単体で保険に入っていなくても、生命保険や医療保険などに上記のような特約がついていることもあります。まずは自身が加入している保険の内容を確認してみましょう。

3−5    任意売却をする

どうしても住宅ローンの返済が困難な場合、任意売却を検討することも一つの方法です。

任意売却とは、金融機関の合意を得た上で住宅を売却し、売却代金でローンの一部または全部を返済する方法です。

滞納を続けると最終的には競売にかけられますが、任意売却であれば競売よりも高額で売却できる可能性があり、債務者にとっても有利な選択肢となることがあります。

任意売却を行う際には、専門の不動産業者や司法書士に相談し、手続きを進めるようにしましょう。

なお、任意売却によって得た売却代金は、ローン残債の一部または全額を返済するために充てられます。その残債についても金融機関と交渉することで、分割払いなどに対応してもらえることがほとんどです。

払えない場合には、自己破産で解決することも可能です。住宅は失うものの、必ず最後は解決しますので、安心してください。

4章    住宅ローン以外にも借金があるなら債務整理も検討しよう

住宅ローン以外にも借金がある場合、債務整理して住宅ローンの支払いができるようにしましょう。債務整理には「個人再生」「任意整理」「自己破産」の3つがあります。

それぞれ詳しく解説します。

4−1    個人再生

個人再生は、裁判所を通じて借金を大幅に圧縮し、残りの借金を3〜5年で返済する手続きです。

住宅ローン特則を利用することで、住宅ローン以外の借金を対象に整理することができ、住宅を手放さずに済むことができます。

住宅ローン特則を利用することで、住宅を守りながら借金の圧縮が可能となり、経済的な再スタートを切ることができます。

ただし、代位弁済から6か月以内の申立てが必要なので、すでに代位弁済されているという方は急ぐ必要があります。

フラット35など保証会社が付かない住宅ローンについては、6か月期限がないので、比較的に個人再生が使いやすいと言えるでしょう。

4−2    任意整理

任意整理は、裁判所を通さずに債権者と交渉し、利息・遅延損害金のカットや返済条件の変更を行う手続きです。

住宅ローン以外の借金が対象となりますが、他の借金の返済額を減らすことで住宅ローンの支払いを続けやすくなります。

利息が高額で返済が苦しいという方は、任意整理がおすすめです。

4−3   自己破産

自己破産は、裁判所に申し立てることで全ての借金を免除してもらう手続きです。

ただし、住宅ローンを含む全ての借金が対象となり、財産は原則として処分されます。家を失うことにはなりますが、借金で首が回らない状態の方は、再スタートを切ることが可能です。

傷病手当金など補償を受けることもできず、今後も借金の返済見込みが立たないような場合には自己破産を検討しましょう。

5章 住宅ローンの支払いにお困りの方はグリーン司法書士法人にご相談ください

住宅ローンの支払いでお困りの方は、一人で抱えず専門家に相談することが大切です。

グリーン司法書士法人でには、グループに不動産会社を有していますので包括的なサポートが提供できます。早めの相談が、問題解決への第一歩となりますので、お気軽にご相談ください。

初回相談は無料で、オンライン相談にも対応しています。ご相談者様それぞれのケースに応じた最適なアドバイスを提供可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。

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