うつ病で仕事ができない場合に利用できるサポート制度とは

   司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

借金返済の知識
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 この記事を読んでわかること
  • うつ病で仕事ができないときにすべきことがわかる
  • うつ病になったときに申請できることがわかる
  • うつ病で仕事ができないときに頼れる支援機関がわかる

うつ(鬱)病になってしまった方の中には、通院しながら職場に勤務し続けている人もいれば、仕事ができない状態で収入が途絶えてしまった方もいることでしょう。

うつ病になった方には治療費、生活費、借金などの支払いができずに困っている方もいるかと思います。

軽度のうつなら働くことはできたとしても、重篤化してしまえば仕事ができないため、治療費も支払えず生活費もないといった状況に陥る可能性も否定できません。

ただし、うつ病で仕事ができない状況でもサポートしてくれる制度はありますし、仕事ができない状態になって、万一収入がなくなり借金が増えてしまった場合でも解決方法はあります。

この記事では、具体的なサポート制度や借金解決手段をご説明します。一人で悩み抱え込まないためにも是非一度お読みいただければと思います。

1章 うつ病で仕事ができないならまず行うこと

うつ病は脳のエネルギーが欠乏した状態であり、気分が落ち込んだり憂鬱になったり、様々な意欲が一定期間低下してしまう精神障害の1つです。

早期発見や予防を心掛けていきたいものですが、自分で気づくことが難しい場合もあり、知らない間に仕事ができないほど症状が悪化していることもあります。

比較的軽度で仕事に影響がない程度であればそのまま働き続けることもできますが、うつ病かもしれないと感じたときはまず次のことを行うようにしください。

1-1 症状が出たらまずは医療機関を受診する

症状が出たらまずは医療機関を受診する

うつ病かもしれないと感じられる症状がある場合、まずは病院など医療機関を受診することが必要です。

うつ病になっても、社会復帰できないことはありません。仕事を休むわけにはいかないと受診を後回しにすると、うつ病の症状を重篤化させ仕事ができない状況をつくりやすくなってしまいます。

あらわれている症状や持続期間など、いろいろな基準により診断されるため、自己判断せずに専門医に相談することが大切です。

1-2 無理せず休職する

無理せず休職する

うつ病の症状が悪化したときには、無理に仕事を続けるのではなく勤務先に休職を申請しましょう。

自分が休むとまわりに迷惑がかかると心配し休職は避けたいと考えてしまう方もいるでしょうが、うつ病を治さず仕事を続けても、症状がさらに悪化すれば結局仕事ができない状態になりかねませんし、回復までかなりの時間がかかってしまいます。

社会復帰する上で必要なことだと理解し、休職している期間中にしっかり治療するようにしてください。

1-2-1 勤務先に休職扱いは可能か確認すること

休職可能となる期間や休職中に給与が発生するかは勤務先により異なるため、就業規則の内容を確認しておきましょう。

勤務先によっては、休職している間は給与の減額や不支給といったケースもあります。

1-2-2 休職中は治療に専念する

うつ病は、

  • 休養
  • 精神療法
  • 薬物療法

という3つの方法により治療していきます。

休養を取る上で休職することは欠かせないといえますが、休んでいる期間中にしっかりと心身を休め、治療に専念して社会復帰を目指すことが大切です。

2章 うつ病になったとき申請できる制度

うつ病になったときの公的支援制度

うつ病で仕事ができない状態になったとしても、経済的な支援を受ける制度を利用すれば安心して治療に専念できます。

現金が直接支給されるものもあれば、医療費など減免される間接的なものもあるので、それぞれの制度の内容を確認しておきましょう。

2-1 傷病手当金

病気やケガにより働けなくなったとき、全国健康保険協会から支給されるのが傷病手当金で、支給期間は最長で1年6か月となっていることが特徴です。

医師の指示があれば自宅療養でも手当金は支給されますし、うつ病などの精神疾患もその対象となっています。

2-2 自立支援医療制度

うつ病などは医療機関に継続して通院することが必要となりますが、自己負担しなければならない金額を軽減できるのが自立支援医療制度です。

通常にかかる自己負担の割合を、3割から1割へ軽減できます。

2-3 障害年金

公的年金の加入者が病気やケガで障害状態になり、生活や仕事に支障をきたしている場合に支給されるのが障害年金です。

うつ病の症状の重さにより、1級・2級・3級へと分かれ、等級により支給額は異なります。

2-4 失業手当

うつ病に限らず、失職した方が次に再就職するまでの一定期間において給付されるのが失業手当です。

受給できる期間は90~360日、受け取ることのできる金額は在職中の給与の50~80%など状況により異なります。

うつ病など疾病により求職活動の条件を満たすことができないときには、受給期間を延長することもできます。

2-5 労災保険

労災保険とは、通勤中や業務においてケガや疾病など労働災害が発生したときに補償してもらえる制度です。

うつ病は治療が長引くことが多いため、労災として認定されれば長期に渡り手厚い補償を受けることができるのはメリットといえます。

うつ病を含め精神障害による労災認定は精神障害の発病が仕事による強いストレスによるものと判断できなければならないため容易ではないものの、労災認定されているケースもあるため状況によっては申請も検討してください。

2-6 生活保護

病気やケガなどにより仕事ができない方や、収入が極端に少なく生活に支障をきたしている方などを対象に、最低限の生活を送ることができるように現金を支給する制度生活保護です。

うつ病で働くことができず、他に利用できる公的制度もない上に親族などからの援助も頼れないという場合、生活保護の支給を受けることができる可能性が高いといえます。

生活保護を受給している間は医療費の自己負担もないため、安心して治療に専念できます。

3章 うつ病で仕事ができないとき頼りたい支援機関

うつ病で仕事ができない状況となり、今の状況を変えたいけれど誰に相談すればよいかわからず、一人で抱え込んでしまっているケースもめずらしくありません。

そのようなとき、次に挙げる支援機関を頼り、相談してみることを是非検討してください。

3-1 精神保健福祉センター

うつ病を含む精神疾患で悩む方をサポートすることをメインとして、都道府県ごとに設置されているのが精神保健福祉センターです。

精神疾患に特化しているため、心の問題や病気を抱えている本人だけでなく、その家族や関係者などの相談も受け付けています。

3-2 就労移行支援事業所

病気や障害のある方の中で、一般企業に就職を希望する方を対象に障害福祉サービスを提供しているのが就労移行支援事業所です。

事業所により支援内容は異なるものの、主に仕事やメンタル部分での相談、自己管理の方法などの支援を行っています。

うつ病で悩む方は、専門医による診断書があればサービスの利用が可能です。

3-3 地域障害者職業センター

うつ病だけでなく、障害のある方それぞれのニーズに応じて、職業の評価・指導・訓練など専門的な職業リハビリテーションサービスを提供しているのが地域障害者職業センターです。

都道府県ごとに設置されており、事業主の雇用管理に関した相談や支援も行っていますので、うつ病で仕事ができないことによる悩みが大きい方は相談してみるとよいでしょう。

3-4 障害者就業・生活支援センター

仕事やそれに伴う日常生活で支援が必要な障害のある方を対象に、相談に応じてくれるのが障害者就業・生活支援センターです。

就労だけでなく金銭管理や住居のことまで、多岐に渡り相談を受け付けていることが特徴といえます。

3-5 借金問題を抱えている場合の相談先

  • 鬱病により仕事ができず収入がなくなった
  • 収入が激減してしまった

という理由で、借金が返済できなくなったり借金を増やしてしまったりという方もいます。

返済しなければならないことはわかっていても、収入が途絶えて返すことができないという場合、弁護士や司法書士など専門家に債務整理について相談することをおすすめします。

債務整理には任意整理や自己破産など種類があり、うつ病で悩む方の状況によって選ぶ解決方法は次のように異なります。

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3-5-1 毎月一定の収入があるなら任意整理

将来利息のカットなど、返済金額を減額してもらうように借入先と交渉し、毎月の返済負担を楽にする方法が任意整理です。

裁判所を通さず手続できる上に、財産を手放す必要もなく比較的手軽に行うことができます。

社会復帰を目指す上でも毎月の返済を軽減させることは望ましいため、うつ病でも毎月一定の収入があるのなら任意整理で完済を目指すとよいでしょう。

ただし生活保護で受け取った金銭を返済に充てることはできません。この場合は次の自己破産を検討することになります。

任意整理についての詳しい解説はこちら

3-5-2 安定した収入が見込めないなら自己破産

うつ病により借金をしたものの、休職や退職などで安定した収入が見込めず、返済もできないといった状況の場合には任意整理による手続は難しいと考えられます。

任意整理は返済義務をなくす方法ではないため、借入先と交渉で決めた金額を毎月返済し続けなければなりません。

このような場合には、裁判所に申立てを行い借金の支払いを免除してもらう自己破産を検討すべきです。

うつ病やその他精神疾患などを理由に自己破産できないといった定めもないですが、うつ病を抱えた個人が単独で手続するにはハードルが高すぎるため、専門家にまずは相談してみましょう。

自己破産についての詳しい解説はこちら

4章 うつ病から社会復帰に向けて行うべきこと

うつ病の方の中には経済的に不安を抱え、仕事ができない状態でも働かなければならないと焦ってしまう方もいることでしょう。

一般枠で就労をしていた方の中でうつ病の症状が重くなったときには、精神障害者保健福祉手帳を取得し障害者枠による就労も検討できます。

心身の状態が落ちついた後で借金問題を法律的に解決させることも十分可能ですので、まずは治療を受けながらゆっくりと休養し、社会復帰へ向けて体調を整えていきましょう。

まとめ

うつ病で仕事ができないことに悩みを抱え、収入も途絶えてしまえばこれからどうすればよいのか不安で仕方がなくなるものでしょう。

もっとも、うつ病の方を支援する制度や相談できる機関はいろいろありますので、活用できる制度や機関をうまく頼って療養と治療に専念することから始めましょう。

うつ病で収入がないものの、借金ばかりが増え返済が厳しい状態のときには、債務整理という方法もあります。

なお、うつ病で悩みを抱えた状態でどの債務整理がよいか判断することや、自らが手続することは簡単ではありません。

もしうつ病による借金問題で悩んでいるのなら、グリーン司法書士法人グループに気軽に相談してみることをおすすめします。

借金返済に関する記事を沢山公開していますので、合わせてご覧ください。

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よくあるご質問

うつ病で休職後から仕事復帰に向けてやることは?
まずは治療を受けながらゆっくり休養し、心身の回復に努めましょう。
回復が難しく一般枠での就職が難しい場合には、精神障害者保健福祉手帳を取得し障害者枠による就労も検討できます。
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うつ病で仕事ができないときに頼るべき機関は?
精神保健福祉センターや就労移行支援事業所、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなどです。
各相談先で相談できる内容や支援内容が異なりますので、自分が相談したいことに合わせて相談しましょう。 うつ病が原因で借金を抱えて困っている場合には、債務整理に詳しい司法書士や弁護士などに相談するのも良いでしょう。
うつ病で仕事ができないとき頼りたい支援機関について
精神病で働けなくなったら、どんな手当がもらえる?
うつ病など精神病で働けないときは、下記の手当がもらえる可能性があります。
・傷病手当金
・自立支援医療制度
・障害年金
・失業手当
・労災保険
・生活保護
働けないときの手当について詳しくはコチラ

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