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- 身に覚えのない引き落としの主な原因
- 身に覚えのない引き落としの調べ方
- 身に覚えのない引き落としが不正利用だった場合の対処法
クレジットカードの不正利用被害額は、年を重ねるにつれて右肩上がりに増加しています。社団法人日本クレジット協会の「クレジットカード不正利用被害の発生状況」によると、2023年のクレジットカードの不正利用被害額は540億9,000万円でした。2014年が113億9,000万円だったので、10年で400億円以上の被害が出ていることがわかります。
そのため、不正利用に気が付いた時点でクレジットカード会社に連絡しなければ、さらなる被害を被る恐れがあります。ただ、身に覚えのない引き落としが明細に記載されていた場合でも、不正利用だと断定できないケースもあるでしょう。
この記事では、身に覚えのない引き落としの主な原因や調べ方を解説します。また、クレジットカードの不正利用被害に遭った場合の対処法や支払い義務についても説明しているので、気になる方はぜひ参考にしてください。
目次 ▼
1章 身に覚えのない引き落としの主な原因
身に覚えのない利用明細が記載されていても、「クレジットカード会社に連絡して不正利用ではなかったらどうしよう」「本当に不正利用かどうか確証が持てない」と悩んでいる方がいらっしゃるのではないでしょうか。身に覚えのない引き落としの主な原因は以下の通りです。
- 不正に利用されている
- 利用店舗と運営会社の名称が異なる
- 利用日と支払い日の日付が異なる
- 家族会員が使用している
- 自動継続によって課金されている
それぞれについて詳しく解説しましょう。
1-1 不正に利用されている
身に覚えのない引き落としが明細にある場合、第三者によってクレジットカードが不正に利用されている可能性が考えられます。冒頭でも述べた通り、クレジットカードの不正利用の被害額は年々増加しています。
社団法人日本クレジット協会の「クレジットカード不正利用被害の発生状況」によると、不正利用被害額の90%以上を占めているのは番号盗用による被害です。クレジットカード番号が盗まれるのは、以下のようなケースです。
- 実店舗で利用する際に盗み見られた
- フィッシングサイトにクレジットカードの情報を入力した
- スマホアプリでクレジットカード番号を確認する際に後ろから見られた
コンビニや飲食店などの実店舗で利用する際に、クレジットカード番号やセキュリティコードなどの情報を見られているかもしれません。番号盗用による不正利用被害を抑えるために、券面にクレジットカード番号が記載されていないナンバーレスデザインを採用しているクレジットカードが登場しています。
1-2 利用店舗と運営会社の名称が異なる
利用先によっては店舗名称ではなく、運営会社や親会社の名称がクレジットカード明細に記載されていることがあります。名前が異なっており、利用店舗と運営会社が結びつかなくて身に覚えのない引き落としになるのです。
また、ショッピングモールや商業施設の名前しか記載されていないケースもあります。利用店舗がテナントとして入っているショッピングモールや商業施設の名前を把握していなければ、請求先の検討がつかないでしょう。
なお、海外旅行に行っていなくてもサイトの運営元が海外にある場合、海外利用と記載される可能性があります。出国していないにもかかわらず海外からの請求があると不正利用に感じるかもしれませんが、一度落ち着いて海外サイトの利用がないか確認しましょう。
1-3 日付が異なる
購入手続きが完了したタイミングと明細の日付にズレが生じていると、身に覚えのない引き落としにつながりやすいです。目の前と決済と商品の受け渡しが完了する実店舗の利用ではあまり起こりませんが、ホテルや飛行機の予約サイト、ECサイトでは起こる可能性があります。
予約や購入したタイミング、キャンセル期限が終了したタイミング、利用完了や商品発送完了のタイミングなど、請求されるタイミングが店舗によって異なるからです。
半年前に予約していたホテルや航空券の請求が遅れて届くことによって、不正利用だと勘違いしてしまう人も多いでしょう。また、夏と冬のボーナス時期に支払うボーナス返済を利用している方が、過去の利用履歴を忘れているケースも見受けられます。
1-4 家族会員が使用している
多くのクレジットカードは申し込んだ本人である本会員のほか、生計をともにする家族であれば家族会員としてカードを発行可能です。基本的に家族カードの利用明細は共有されるため、本会員には身に覚えのない引き落としが表示されます。
また、パソコンを共有している家庭では、クレジットカード情報が登録されたまま家族が気づかずに買い物をしていることがあります。毎回入力するのが手間なのはわかりますが、共用のパソコンやタブレットなどの端末にはクレジットカード情報を保存しないようにしましょう。
1-5 自動継続によって課金されている
動画や音楽といったサブスクリプションサービスには、期限を迎えると自動的に課金される自動継続のものが多いです。そのため、自動継続になっていることに気がつかず、請求されているケースが見受けられます。
特に多いのが、無料お試し期間に入会した方の解約忘れです。手続きをするまで更新され続けるので、忘れている場合は早めに解約してください。
2章 身に覚えのない引き落としの調べ方
「クレジットカードを使った記憶がない日の請求がある」「知らない店舗で引き落とされている」と、身に覚えのないクレジットカードの請求で悩んでいる方もいるでしょう。
身に覚えのない引き落としがある場合にクレジットカード会社に連絡しても、調査結果の回答までに2週間以上を要するケースがあります。そのため、不正利用の被害に遭っているかどうかを早く確かめたい場合は、以下のような方法で調べる必要があります。
- クレジットカードの利用明細を確認する
- レシートや領収書と照らし合わせる
- クレジットカード会社のサイトで不正利用が多い店名をチェックする
- 家族カードが不正利用に使用されていないか確認する
- 自治体の消費生活センターに相談する
それぞれの調べ方について説明しましょう。
2-1 クレジットカードの利用明細を確認する
クレジットカード会社の利用明細に記載されている利用日や利用金額をチェックして、「どこでどんなものの購入に使ったか」を思い出してください。決済完了メールやスケジュール帳を見返すと、どこで購入したかを思い出せるかもしれません。
また、クレジットカード控えが残っていれば、自身で購入したことが明らかになります。財布やゴミ箱を見て、クレジットカードの控えがないか確認しましょう。
2-2 レシートや領収書と照らし合わせる
レシートや領収書を残しているのであれば、クレジットカードの利用明細と照らし合わせてみましょう。店舗名称と会社名称の違いによって身に覚えのない請求になっている場合は、この方法で原因を突き止められるかもしれません。
実店舗で発行されたレシートや領収書のほか、オンラインショップや予約サイトの領収書も残しておくことで、より正確に調べられます。不正利用かどうかをすぐに判断したい方は、必ずレシートや領収書を残しておくようにしましょう。
2-3 クレジットカード会社のサイトで顧客からの問い合わせが多い店名をチェックする
クレジットカード会社によっては、身に覚えのない請求に関する問い合わせが多い利用先を公開しています。
店舗名称と会社名称が異なる利用先、自動継続によって支払いが完了する利用先、海外利用と表示される利用先などが掲載されているので、確認しておきましょう。楽天カードが公開している顧客からの問い合わせが多い利用先の一例は以下の通りです。
- AMAZON.CO.JP
- コミックシーモア
- ソフトバンクまとめて支払ご利用
- トレンドマイクロ
- Yahoo!JAPAN
掲載されている利用先と請求先の名称が一致した場合、不正利用の可能性は低いと言えます。落ち着いてクレジットカード控えやスケジュール帳を確認して、どのタイミングで何を購入したのか明確にしましょう。
2-4 家族カードが不正利用に使用されていないか確認する
家族に使用履歴を聞いて心当たりがない場合は、家族カードが不正利用の被害に遭っているかもしれません。家族会員分の利用明細やクレジットカードの控えを用意して、不正に利用されていないか確認しましょう。
ここまで紹介した方法で確認できない場合は、クレジットカード会社に連絡して不正利用の被害に遭っていないか調査してもらいましょう。例えばJCBカードでは、不正利用の疑いがある場合に会員専用ページのMyJCBから24時間問い合わせが可能です。
また、ショッピングやキャッシングのカード利用をMyJCBから一時的に制限できるため、不正利用の被害を食い止められます。ただ、調査結果の回答には2~3週間かかるため、不正利用の被害に遭っていないことが確認できるまではクレジットカードを使用できない点に注意が必要です。
3章 3ステップで解説!身に覚えのない引き落としが不正利用だった場合の対処法
身に覚えのない引き落としが不正利用であることが発覚したら、直ちに行動してこれ以上の被害を受けないようにする必要があります。ただ、「不正利用の際に何をすべきかわからない」「パニックになっていて自分では考えられない」という方もいるでしょう。
そこでここでは、身に覚えのない引き落としが不正利用だった場合の対処法を解説しています。4ステップに分けているので、落ち着いて冷静に対処してください。
STEP① クレジットカード会社に連絡して利用を停止する
第三者によって不正に利用されている可能性が高い場合は、すぐにクレジットカードに連絡して利用できないようにしましょう。利用停止を依頼することによって、今後の不正利用被害を防止できます。
また、クレジットカード会社が定めている期限よりも遅いと補償の対象外になるため、速やかな連絡が大切です。クレジットカード会社によってはスマホアプリやWebサービスから利用停止の手続きを進められるので、確認しておいてください。
なお、不正利用被害の申告ではクレジットカード番号や利用先、金額が必要になるため、事前に準備しておくと手続きをスムーズに進められます。
STEP② 警察に被害届を提出する
クレジットカード会社へ連絡して利用できないようにしたら、次は警察に被害届を提出しましょう。被害届を提出する際は、不正に利用された日付や店舗、金額などを伝えます。
被害届を提出すると受理番号が交付され、警察に届け出た証拠になります。受理番号を受け取ったら、クレジットカード会社に共有しておきましょう。
STEP③ クレジットカード会社の指示に従ってカードを再発行する
クレジットカードの利用を停止して使えない期間が長いと困るという方は、クレジットカード会社の指示に従って再発行の手続きを進めましょう。ほかにも複数枚のクレジットカードを持っていて再発行が不要な場合は、そのまま解約することも可能です。
また、個人情報が流出していると、第三者によってクレジットカードを再発行されるリスクがあります。第三者による再発行が不安な方は、本人申告の手続きを進めて対策しましょう。
本人申告とは、個人情報の流出によって第三者に不正に利用される恐れがある時に利用することで、クレジットカードやローンの審査を適切に行ってもらいやすくなる制度です。本人申告では、今後の借入を防止したい意思を信用情報機関に伝えられます。
4章 不正利用に支払い義務はある?引き落とし済みの場合も合わせて解説
「不正利用の被害に遭ったらその分の金額は支払う必要があるのか知りたい」「すでに引き落とされている月の支払い分は返ってくるのか」と疑問を抱いている方も多いでしょう。
そこでここでは、不正利用被害による請求への支払い義務の有無を解説します。
4-1 基本的に支払い義務はない
クレジットカードには不正利用時の補償が付帯しているため、基本的に支払い義務はありません。それぞれのクレジットカード会社が定めている期限以内に不正利用の疑いがある旨を届け出て、第三者による不正利用が認められれば請求は取り消されます。各クレジットカード会社が定めている補償期間は以下の通りです。
クレジットカード会社 | 補償期間 |
---|---|
セゾンカード | 連絡した日を含めて61日前までさかのぼった利用 |
三井住友カード | カードの利用停止の手続きをした日の60日前までの利用が対象 |
JCBカード | 該当の明細が記載されたカード利用代金明細の通知後60日以内 |
また、すでに引き落としが完了していても、クレジットカード会社が定める期間内であれば補償の対象です。約2カ月が補償期間の目安になりますが、クレジットカード会社ごとにカウントし始める時期が異なる点に注意しておきましょう。
4-2 支払い義務が発生するケース
基本的に第三者の不正利用による請求への支払い義務はありませんが、以下のような補償適用外のケースでは返済する必要があります。
- クレジットカード会社が定める期間を過ぎた
- 利用者の故意または重大な過失によって不正利用の被害に遭った
- 会員の家族や同居人などの関係者が不正に利用した
- クレジットカード会社の調査に協力しなかった
- 会員規約に違反していた
上記のケースでは、自身で購入していなかったとしても支払わなければなりません。なお、重大な過失に該当するのは、ETCカードを抜き忘れて車内に放置したり、他人にIDやパスワードを伝えたりしていたケースです。
5章 不正利用の被害に遭って返済が苦しくなったら弁護士・司法書士に相談しよう
基本的には支払い義務がないものの、クレジットカードの不正利用でも返済が必要なケースがあります。また、自分で使用したにもかかわらず忘れていることがあるかもしれません。
不正利用被害や利用を忘れたことに返済額が大きくなると、家計が苦しくなる方もいらっしゃるのではないでしょうか。もし返済できないまま数か月にわたって滞納し続けると、強制解約のリスクがあります。
返済が厳しい場合はそのままにせず、弁護士や司法書士に相談しましょう。グリーン司法書士法人では、自己破産や個人再生といった債務整理の相談を承っております。オンライン相談にも対応しておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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まとめ
不正利用や利用店舗と運営会社の名勝の相違、自動継続による課金など、身に覚えのない引き落としの原因はさまざまです。不正利用の被害に遭っているかどうかの確認が遅くなると補償期間が終わってしまうため、早めに確認する必要があります。
クレジットカード会社に問い合わせると回答までに2〜3週間要します。そのため、以下のような方法で調べて早めに確認することが大切です。
- クレジットカードの利用明細を確認する
- レシートや領収書と照らし合わせる
- クレジットカード会社のサイトで不正利用が多い店名をチェックする
- 家族カードが不正利用に使用されていないか確認する
もし不正利用被害に遭っていた場合は、すぐにクレジットカード会社に伝えましょう。それぞれのクレジットカード会社の期限内に連絡しておけば、支払い義務は生じません。
しかし、期間を過ぎていたり重大な過失があったりするケースでは、クレジットカードの補償が適用されません。もし不正利用の被害に遭ったものの補償が適用されずに返済が厳しくなったら、弁護士や司法書士に相談しましょう。
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よくあるご質問
- 残高があるのに引き落としされない理由は?
- 残高があるのに引き落としが行われない理由は、下記の通りです。
- クレジットカードの利用明細を確認する
- レシートや領収書と照らし合わせる
- クレジットカード会社のサイトで不正利用が多い店名をチェックする
- 家族カードが不正利用に使用されていないか確認する
- 自治体の消費生活センターに相談する
- 身に覚えのない引き落としが発生する理由とは?
- 身に覚えのない引き落としが発生する理由は、不正利用以外にも下記のものが考えられます。
- 不正に利用されている
- 利用店舗と運営会社の名称が異なる
- 利用日と支払い日の日付が異なる
- 家族会員が使用している
- 自動継続によって課金されている