給与の差押えに予兆はある?解除方法や回避するための対処法も

司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 登録番号第10262380号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

借金返済の知識
給与の差押えに予兆はある?解除方法や回避するための対処法も

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 この記事を読んでわかること
  • 給与の差押え前に予兆があるかどうか
  • 借金・税金を滞納してから差し押さえられるまでの流れ
  • 給与の差押えの解除方法と回避方法

借金や税金を滞納すると、最終的には給与や財産が差し押さえられる可能性があります。「いきなり口座が凍結されたらどうしよう」と不安に感じる方も多いですが、実際には差押えの前には必ず一定の流れや予兆があります。

本記事では、給与が差し押さえられるまでの流れや予兆、差押えを解除・回避する方法について分かりやすく解説します。早い段階で対応して差押えを防ぎ、生活を守りましょう。

1章 給与の差押え前には基本的に予兆がある

給与の差押えとは、債権者や税務署などが裁判所の手続きを経て、借金の回収(税金の場合は裁判所を通さない)のために給与から強制的に天引きすることを指します。通常の借金であれば差し押さえられる金額は法律で決まっており、手取り額の4分の1までが上限です。

ただし、手取り額が44万円を超える場合は、手取り額の4分の1または33万円を超える部分のいずれか高い方が差押え対象になります。なお、養育費の滞納を原因とする差押えの場合はさらに厳しく、手取り額の2分の1まで差し押さえられる可能性があります。

給与の差押えが行われると、勤務先に裁判所から通知が届くため、会社に借金や税金の滞納が知られてしまいます。また、一度差し押さえられた給与を取り戻すことはできないため、生活に大きな影響を及ぼします。

ただし、こうした給与差押えは突然行われるわけではなく、基本的に予兆があります。裁判所からの訴状や支払督促を受け取って放置した場合にのみ、最終的に差押えが実行されるのです。つまり、通知が届いた段階で適切に対応すれば、差押えを回避できる可能性は十分にあります。

2章 借金を滞納してから差し押さえられるまでの流れ

借金を滞納してから差し押さえられるまでの流れは以下の通りです。

  • 債権者から督促状・催告書が届く
  • 債権者に一括請求を求められる
  • 裁判所から支払督促または訴状が届く
  • 判決が出る
  • 差押えが実行される

それぞれ詳しく見ていきましょう。

2-1 債権者から督促状・催告書が届く

借金の返済が遅れると、まずは債権者から督促状や催告書が郵送されてきます。この段階であれば、分割払いの相談や返済期日の延長など、話し合いによって解決できる可能性があります。

金融機関や消費者金融としても、裁判に持ち込むより自主的に返済してもらえる方が望ましいため、交渉に応じてもらえるケースは少なくありません。しかし、督促状や催告書を無視し続けると、債権者は法的手続きに踏み切り、支払督促や訴訟へと進んでいきます。

2-2 債権者に一括請求を求められる

督促状や催告書を無視して滞納を続けていると、債権者から残っている借金の一括返済を求められることがあります。これは期限の利益の喪失と呼ばれるもので、分割で返済する権利を失い、残高を全てまとめて支払わなければならなくなる措置です。

一括請求が届いた時点で支払える人は少なく、現実的には返済不能に陥るケースがほとんどです。そのため、この段階まで放置してしまうと、債権者は裁判所に申し立てを行い、支払督促や訴訟へと進む可能性が高くなります。

2-3 裁判所から支払督促または訴状が届く

債権者が裁判所に申し立てを行うと、裁判所から支払督促または訴状が届きます。支払督促とは、裁判所書記官がお金の支払いを促す手続きです。債権者の申し立てを受けて、裁判所書記官が簡単な書類審査を行った後、債務者に支払督促を送達します。

債務者がこれを受け取ってから2週間以内に異議を申し立てなければ、督促は確定し、判決と同じ効力を持つことになります。その結果、給与や財産が差し押さえられる可能性が高まります。

一方、訴状が届いた場合には、裁判所での審理を経て判決が出されます。ここでも放置すれば債権者が勝訴し、高確率で財産を差し押さえられるでしょう。

裁判所からの通知は、差押えに直結する直前のサインです。無視してしまえば差押えはほぼ避けられませんが、届いた時点で弁護士や司法書士に相談すれば、債務整理や和解交渉といった回避策をとれる可能性があります。

2-4 判決が出る

訴訟に発展した場合、裁判所での審理を経て判決が下されます。ほとんどの場合、債権者の請求が認められ、債務者は借金を支払うよう命じられます。

判決が確定すると、債権者は強制執行を申し立てることができ、給与や預金口座の差押えが可能となります。支払督促を放置した場合も、異議申し立てがなければ判決と同じ効力を持つため、結果は同様です。

裁判所からの判決は、差押え実行に直結する決定的な段階です。ここまで放置してしまうと、差押えを避けるのは極めて困難になります。したがって、判決に至る前、支払督促や訴状が届いた段階で対応を取る必要があるでしょう。

2-5 差押えが実行される

判決や支払督促が確定すると、債権者は裁判所を通じて強制執行の手続きを行い、給与が差押えられることになります。給与の差押えは、勤務先に通知が届き、会社を通じて給与の一部が強制的に天引きされる仕組みです。

差し押さえられる金額は法律で上限が定められており、手取り額の4分の1までが基本となります。ただし、手取りが44万円を超える場合は、33万円を超える部分のいずれか高い方が差押え対象です。

一度給与の差押えが実行されると、原則的に差し引かれた給与を取り戻したりすることはできません。さらに、勤務先に通知が届くため、会社に借金や滞納の事実が知られてしまうリスクもあります。

3章 税金を滞納してから差し押さえられるまでの流れ

税金を滞納してから差し押さえられるまでの流れは以下の通りです。

  • 税務署や自治体から督促状が届く
  • 財産・人物の調査が行われる
  • 差押えが実行される

それぞれ詳しく見ていきましょう。

3-1 税務署や自治体から督促状が届く

税金を滞納すると、最初に税務署や自治体から督促状が送られてきます。ここで納付や相談をすれば、延滞金は発生していても差押えに進むことはありません。

しかし、督促状を無視してしまうと延滞金が加算されるだけでなく、税務署や自治体は差押えの準備を進めます。特に税金の滞納は借金と違い、裁判所の手続きを経ることなく差押えが可能です。そのため、督促状に対応しないまま放置すると、借金よりも早いスピードで給与を差し押さえられます。

3-2 財産・人物の調査が行われる

督促状を無視して税金を滞納し続けると、税務署や自治体は債権回収に向けて財産や勤務先の調査を行います。具体的には、銀行口座の預貯金残高や給与額、土地や建物といった不動産、自動車の有無、さらには勤務先の情報まで徹底的に確認されます。

調査の一環として、金融機関への照会や勤務先への在籍確認が行われ、給与が差し押さえ可能かどうかも重点的に調べられます。

これらの調査は、個人情報保護法に抵触することなく、税法に基づいて広く認められているため、滞納者が知らないうちに着実に進められるのが特徴です。この段階に入ってしまうと、給与は差し押さえられる可能性が高いでしょう。

3-3 差押えが実行される

税務署や自治体による財産調査が完了すると、いよいよ差押えが実行されます。借金の差押えと異なり、税金の滞納では裁判所を介する必要がないのが大きな特徴です。そのため、督促状を放置してしまうと、早い段階で給与や預金口座が差し押さえられる可能性があるでしょう。

4章 給与の差押えの解除方法

給与の差押えが実行されてしまうと、生活資金が凍結され大きな支障が生じます。一度差し押さえられた給与や預金を取り戻すことはできませんが、将来的な差押えを止めたり、解除に繋げたりする方法はあります。

4-1 滞納している借金・税金を完済する

給与の差押えを解除する最も確実な方法は、滞納している借金や税金を完済することです。債務がなくなれば差押えを続ける理由がなくなるため、支払いが確認され次第、差押え手続きは取り下げられます。

ただし注意が必要なのは、すでに差し引かれた給与や凍結された預金を取り戻すことはできないという点です。解除できるのはあくまでも今後の差押えに限られ、過去に差し押さえられた金額が返還されることはありません。そのため、完済が可能な場合はできるだけ早めに行動し、差押えが長期化するのを防ぐことが重要です。

4-2 自己破産を行う

借金による給与の差押えを解除する方法の一つに、自己破産があります。自己破産が認められると借金の返済義務が免除されるため、債権者が差押えを続ける根拠がなくなり、給与差押えも解除されます。借金が多く、返済や和解が難しい場合には有効な手段です。

ただし、税金の滞納については自己破産で免責されないため、差押えを止める効果はありません。そのため、自分の差押えが借金によるものか、税金によるものかを確認したうえで、適切な対応を取ることが大切です。

5章 給与の差押えを回避する方法

給与の差押えは、一度実行されてしまうと取り戻すことができません。そのため、差押えを防ぐには実行される前に行動することが何よりも重要です。ここでは、差押えを回避するための代表的な方法を紹介します。

5-1 債権者や役所に相談する

給与の差押えを回避するためには、まずは債権者や役所に相談することが大切です。借金を滞納している場合、金融機関や消費者金融に事情を伝えれば、分割払いの再設定や返済猶予などの柔軟な対応を受けられるケースがあります。裁判や差押えに進むよりも、債権者にとっても話し合いで解決できる方が望ましいため、早い段階での相談が効果的です。

税金を滞納している場合も同様に、税務署や自治体に相談することで分納や猶予制度を利用できる可能性があります。たとえすぐに全額を納められなくても、誠実に対応する姿勢を示すことで差押えに至るのを防げることがあります。

給与の差押えには必ず予兆があり、督促状や催告書が届いた段階で行動すれば回避できる余地は十分に残されています。放置するのではなく、まずは債権者や役所に連絡を取り、現実的な解決策を探りましょう。

5-2 債務整理を行う

借金の返済が難しく、将来的に給与の差押えが避けられないと感じる場合には、弁護士・司法書士に相談して債務整理を検討するのが有効です。債務整理にはいくつかの方法があり、それぞれ状況に応じて差押えを回避できる可能性があります。

任意整理では、利息や将来利息をカットし、返済額を減らすことで生活に無理のない返済計画を立て直せます。個人再生は、裁判所を通じて借金を大幅に減額できる債務整理方法で、マイホームを残したまま手続きを進められます。自己破産は、借金をゼロにする代わりに一定の財産を手放す必要がありますが、差押えを含めた強制執行も停止され、生活の再建に繋がります。債務整理を行えば信用情報に影響は残りますが、給与の差押えという最悪の事態を防ぎ、生活を立て直せるでしょう。

6章 支払いに遅れるようになったら弁護士・司法書士に相談しよう

給与の差押えは、督促状や裁判所からの通知などの予兆があります。放置すると給与が差し押さえられる可能性があるため、「このままでは支払いが厳しい」と感じた時点で早めに行動することが重要です。

弁護士・司法書士に相談すれば、任意整理や個人再生、自己破産といった債務整理の選択肢から、自分の状況に合った方法を提案してもらえます。専門家のサポートを受けることで、督促や差押えの不安から解放され、生活を立て直すための道筋を早期に見つけられるでしょう。

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まとめ

給与の差押えは、督促状や裁判所からの支払督促、税務署からの通知など、必ず予兆を経て実行されます。しかし、通知を無視し続ければ最終的に給与が差し押さえられ、生活に大きな支障をきたします。

借金や税金を滞納した場合でも、早い段階で債権者や役所に相談したり、債務整理を検討したりすることで差押えを回避できる可能性は十分にあります。

「支払いに遅れが出ている」「このままでは給与が差押えられるかもしれない」と感じたら、放置せずに弁護士や司法書士に相談しましょう。専門家の助言を受けることで、差押えを未然に防ぎ、生活を立て直しやすくなります。

グリーン司法書士法人では、給与の差押えや借金問題に悩む方からのご相談を受け付けています。任意整理・個人再生・自己破産など、状況に応じた解決方法をご提案し、生活を守るための再スタートをサポートします。差押えの予兆を感じたら、一人で抱え込まずにぜひご相談ください。

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