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返済を続けているのに終わりが見えない借金について、
「早く借金を減らす方法はないものか…」
と悩んでいる方は多いでしょう。
毎月返済しているのにもかかわらず、なかなか終わらないという場合、利息ばかり支払って元金は減っていないことに気づいていないことが原因だろうと考えられます。
そこで、借金を減らす方法を次の3つから章ごとに解説していきます。
- 借金が減らない6つの理由
- 効率的に借金を減らす方法
- 返済能力を超えている場合の3つの解決方法
借金の返済が終わらず悩んでいる方は、減らない理由と早期完済のポイントを押さえ、正しく借金を減らす方法を実践する参考にしてください。
目次 ▼
1章 借金が減らない6つの理由
支払いを続けているのに借金が減らないのは、次の6つの理由が関係していると考えられます。
- 金利の高い借入れが多い
- 複数社からの借入れで利息負担が大きい
- 最低返済額で返済を続けている
- 返済目的の借金を繰り返している
- 遅延損害金を支払っている
- リボルビング払いを利用している
思い当たる項目はないか、まずは確認してみてください。
1-1 金利の高い借入れが多い
「金利」の高い借入れが多ければ、借金はなかなか減りません。
金利は借金の減り方を左右するといえますが、高金利の借入れは毎月の返済額に占める利息の割合を大きくしてしまうからです。
「利息」は、次の計算式で算出します。
利息=利用残高×実質年率÷365(日)×利用日数(借りた日数) |
たとえば年率15%で借りた100万円を、毎月2万円ずつ返済するときには、「完済」するまで次の返済期間と返済総額となります。
借入金額100万円(年率15%・毎月の返済額2万円)
返済期間 | 81か月 |
返済総額 | 1,610,359円 |
総利息額 | 610,359円 |
これに対し、年利13%で借りた場合は以下のとおりです。
借入金額100万円(年率13%・毎月の返済額2万円)
返済期間 | 71か月 |
返済総額 | 1,411,838円 |
総利息額 | 411,838円 |
わずか金利3%の違いでも、このように支払う利息は約20万円、返済期間は10か月異なります。
1-2 複数社からの借入れで利息負担が大きい
借金総額が同じでも、1社の金融会社から借金をするよりも複数社から借りた方が負担する利息は多くなります。
「利息制限法」による「上限利率」は以下のとおりです。
利息制限法による上限利率
借金10万円未満 | 年率20% |
借金10~100万円未満 | 年率18% |
借金100万円以上 | 年率15% |
たとえばA社から120万円を借りれば、利息制限法による上限金利は年率15%で、毎月3万円ずつ返済する場合は次の返済期間と返済総額となります。
A社からの借金120万円(年率15%)
毎月の返済額 | 30,000円 |
返済期間 | 57か月 |
返済総額 | 1,700,763円 |
総利息額 | 500,763円 |
しかしA社・B社・C社それぞれから40万円ずつ借りると、利息制限法による上限金利は年率18%となるため、それぞれ1万円ずつ返済しても完済するまで次の返済期間と返済総額がかかります。
A社からの借金40万円(年率18%) | B社からの借金40万円(年率18%) | C社からの借金40万円(年率18%) | 3社合計 | |
毎月の返済額 | 10,000円 | 10,000円 | 10,000円 | 30,000円 |
返済期間 | 63か月 | 63か月 | 63か月 | 63か月 |
返済総額 | 628,885円 | 628,885円 | 628,885円 | 1,886,655 |
総利息額 | 228,885円 | 228,885円 | 228,885円 | 886,655円 |
このように複数社から借金をすると、1社ごとの金利は低くても、合計すると結局金利が高くなり、負担する利息も増え、返済期間も伸びるため借金がなかなか減らなくなってしまいます。
こちらの記事を参考にして、ご自身の借入について一度返済シミュレーションをしてみてください。
1-3 最低返済額で返済を続けている
毎月、「最低返済額」で返済を続けていると、ほとんどが利息の支払いに充てられることとなり借金はなかなか減りません。
最低返済額を設定するのは債権者です。そして、債権者は利息で儲けています。そのため、利息のみでも返済してもらえればよいという金額で設定されます。
また、返済資金は通常、まず利息、次に元本の順で充てられていきます。そのため、返済額が低いと元本に回せるだけの余裕がなく、利息しか返せていない状況になりやすいのです。
そのため、一見すると毎月の返済額を少なく抑えられているとなりそうですが、その実は利息しか払っていないことになり、借金がなかなか減らない大きな原因となるのです。
さらに言えば、このような「返済の仕組み」を多くの債務者が正しく認識しないまま、「低額で助かった」とばかりに返済した気になっていることが根本的な原因なのです。
1-4 返済目的の借金を繰り返している
借金を返すために別の金融会社からお金を借りるなど、返済目的の借金を繰り返せば「多重債務」に陥り、借金はなかなか減らなくなってしまいます。
A社の借金を返済するためにB社からお金を借りれば、遅れずA社に返済ができたことで順調にお金が回っていると錯覚しがちです。
しかし今後はA社とB社の2社に返済することになるため、毎月の返済額が増えます。
返済額が増えると当然、行き詰まる可能性も高くなります。B社の返済ができなくなったときに新たにC社からお金を借りる…という借金のサイクルが常態化すれば、借金は増える一方でいつまで経っても減ることはありません。
多重債務になると、全ての会社を最低返済額でしか返せない状況にもなりかねません。そうなるともう自力での完済はほぼ不可能でしょう。
1-5 遅延損害金を支払っている
借金の返済日を守らず、1日でも滞納すれば「遅延損害金」が発生し、借金が減らない理由をつくってしまいます。
遅延損害金とは、返済が遅れたことに対する損害の賠償であり、次の計算式で算出できます。
遅延損害金=借入額(元金残高)×遅延損害金の年率÷365日×滞納日数 |
遅延損害金の年率は20%で設定されていることが多いです。
仮に元本100万円の借金の返済を忘れ、30日間滞納してしまったときには、次の遅延損害金が発生します。
100万円×20%÷365×30=約16,440円 |
借金100万円を利息制限法による上限年率15%で30日借りたときの利息は12,480円のため、別途上記の遅延損害金が発生すると、利息損害金だけで3万円近い金額になります。逆に言えば、これ以上の金額を返さないと元本は減りません。
現在の家計から3万円以上を安定して返済に充てることはできますか?
1-6 リボルビング払いを利用している
「リボルビング払い」とは「リボ払い」ともいわれる決済方法ですが、利用すると借金は長期化しやすくなります。
毎月の支払いを一定金額に固定する返済方法であり、借入残高に応じて返済回数も変動することとなります。
毎月の返済負担を軽減させることができる反面、返済額を低く設定しすぎれば利息ばかり支払うこととなってしまいます。
リボ払いの仕組みをよく理解しないまま、単に「返済額が低くなるから」という理由で利用するのは絶対にやめましょう。
2章 効率的に借金を減らす方法
借金がなかなか減らないことに悩んでいるのなら、効率的に借金を減らす方法を実践していきましょう。
そのために考えられる方法は次の6つです。
- 毎月の返済額を増やす
- カードローンのリボ払いをやめる
- クレジットカード利用は抑える
- 家計の見直しと管理を徹底する
- 借金を一本化する
- 借金返済目的の借金はしない
それぞれの方法について説明していきます。
2-1 毎月の返済額を増やす
まずは単純に、毎月の返済額をなるべく多くしましょう。
借金総額が多い場合、毎月の返済額のほとんどは利息に充てられることとなり、元本はほとんど減りません。ここで返済額を増やせば、弁済金を元金にもそれだけ多く充てることができるため、借金が減りやすくなります。
ボーナスが支払われたときなどは、まとまった金額を毎月の返済とは別で支払うことにより、元金を大きく減らすことができるでしょう。
また、副業などで毎月の収入を増やすことや、家計の支出を見直すことで、浮いた分を返済に充てて借金を減らすこともできます。
家計の見直しの中で不要な保険を解約し、返戻金があればそれを返済に充てることもできるでしょう。
2-2 カードローンのリボ払いをやめる
「リボ払い」は毎月の支払金額が一定になることはメリットですが、借金総額を把握しにくい状態をつくり、長期化させます。
リボ払いの仕組みを正しく理解せず、完済しないうちにどんどんカードを使うため、上限に引っ掛かって利用停止となった時点でようやく気付く…という方が非常に多いです。
そして、そこで気づいた時点ではもう自力解決には手遅れなのです。
カードローンを利用するときにはリボ払いをやめるようにし、一括で返済が厳しい場合でも分割返済で決済するようにしましょう。
2-3 クレジットカード利用は抑える
借金を効率的に減らしたいなら、そもそもクレジットカードの利用は控えたほうがよいといえます。
先に述べたとおりリボ払いは借金を長期化させることになりますが、分割払いも同じです。
特に複数枚クレジットカードを所有し、すべて利用してしまえば借金総額や毎月の返済額が把握しにくくなり、想像以上に利息負担が大きくなります。
クレジットカード利用はできるだけ控えるようにし、どうしても必要な場合は1枚のみの使用にとどめる、1~2か月は使わないように決めるなど、最小限の利用に抑えましょう。
2-4 家計の見直しと管理を徹底する
家計の見直しと管理を徹底して行い毎月支払う「固定費」を削減できれば、借金の返済に充てることができる金額は増えるため、借金を効率的に減らすことができます。
特に見直しが必要な固定費として、次の「費用」が挙げられます。
- 携帯電話代や光回線料金など通信費
- 生命保険・損害保険などの保険料
- 動画や音楽配信サービスなどサブスクリプション利用料
利用するつもりで契約したけれど使っていない場合や、過剰なサービスが付帯されている場合など、「プラン変更」や「解約」で負担を削減できます。
食費や光熱費なども見直せば削減できる場合があるため、毎月の収入と支出をしっかりと記録し、浪費している費用はないか洗い出して見直しましょう。
2-5 借金を一本化する
複数社から借金をしている場合、金利の低い「おまとめローン」などで一本化すると、返済管理がしやすくなり利息負担も抑えることができます。
ただし、もともとの借金よりも金利の高い「おまとめローン」を利用すると、借金総額は上がってしまいます。
また、「おまとめローン」は複数の借入れを一本化させることを目的とする金融商品のため、追加の借入れはできなくなり審査も厳しめです。
ただし、おまとめローンで借金を一本化した後で、お金が急に必要になっても、おまとめローンから借入れはできません。何より、そういう状況になってしまうとおまとめローンを利用した意味が消し飛びます。注意してください。
2-6 借金返済目的の借金はしない
借金を返済する目的で別の金融会社からお金を借りるという「自転車操業」は、多重債務者に見られがちではあるものの、借金返済のための借金は借金総額を増やすだけです。
手元のお金が少なくなり、借金返済ができなくなってしまう切羽詰まった状況では、他社からも借入れしたくなるかもしれません。
しかし借金の繰り返しは身持ちを崩す行為であり、「借金を減らすどころか増やすだけ」と心に留めておいてください。
現在、すでに複数社の借金を「おまとめローン」などで一本化した方は、その一社だけに返済を集中させ全体の借金を少しずつ減らしていきましょう。
3章 借金総額が返済能力を超えているか判断する基準
収入に対する毎月の返済額が大きければ、すでに「返済能力」を超えている可能性が高いといえます。
返済能力を超えていると判断できる「目安」として考えられるのは、次の3つです。
- 毎月借金を返済すると生活費に充てるお金がない
- 家賃や公共料金など固定費の支払いが遅れがち
- 食費を削らなければ生活が苦しい
一般的に返済能力を超えており、自力で完済することが難しいといわれるのは、「借金総額が年収の3分の1を超えている」場合です。
4章 返済能力を超えている場合の3つの解決方法
借金の返済負担を大幅に軽くしたい、自力返済が難しい場合は債務整理をご検討ください。
債務整理には、下記の3種類があります。
- 任意整理:債権者と借金減額や利息カットの交渉をする
- 個人再生:裁判所にて手続きを行い借金を大幅に減額してもらう
- 自己破産:裁判所にて手続きを行い、借金の返済義務を免除してもらう
それぞれ詳しく見ていきましょう。
4-1 任意整理
「任意整理」とは、債権者に借金減額などの交渉を行って、無理なく返済できるように見直してもらう手続です。
債権者に対する交渉で和解できれば、将来利息は免除され、元金を3年に分けて返済していきます。
将来利息のカットで借金の返済総額を抑えることができ、借金も減りやすくなります。
4-2 個人再生
「個人再生」とは、裁判所に借金返済が困難な状況であることを認めてもらうことで、借金を5分の1程度まで圧縮してもらい3年で返済するための手続です。
まだ住宅ローンの返済が終わっていない持ち家を所有していても、手放さずに手続できることがメリットといえます。
4-3 自己破産
「自己破」」とは、借金が返済できない支払不能状態であることを裁判所に認めてもらうことで、借金を免除してもらう手続です。
どれほど多くの借金を抱えていたとしても、自己破産により借金が免除されれば新たなスタートを切ることができます。
まとめ
借金の返済を続けているのに支払いが終わらないという場合、早く借金を減らす方法はないのか悩んでしまうものでしょう。
多くは毎月の返済のほとんどを利息に充てていることで借金が長期化していると思われますが、できるだけ毎月の返済額を増やすなど、元金を減らすことが重要です。
しかし自力で何とか借金を減らすために努力したいけれど、収入の減少や膨れ上がりすぎた借金で、どうにもならない場合もあります。
この記事で色々と解決策を提案してきましたが、現実的には返済に本腰を入れた直後の3か月くらいは非常に苦しい生活になるでしょう。そこが耐えられる状況であれば、強い意志をもって是非自己解決に向かっていただきたいところです。
自己解決できない場合には、一人で悩みを抱え込まずに、気軽にグリーン司法書士法人グループへ相談してみてください。
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