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年金から借金の返済をするのが難しく、滞ってしまうこともあるでしょう。
通常、借金返済の滞納を続けると給料や資産を差し押さえられてしまいます。
年金受給者の多くは年金以外の収入源が無いので、これが差し押さえられてしまうと、生活が厳しくなってしまうでしょう。
しかし、安心してください。借金滞納による年金の差し押さえは、法律によって原則禁止されています。
ただし、場合によっては年金であっても差し押さえられてしまうこともありますので、注意が必要です。
この記事では、借金の滞納と年金の関係について詳しく解説します。
借金の差し押さえに関しては、以下の記事でも紹介しているので、ご参考にしてください。
目次 ▼
1章 借金の滞納で年金を差し押さえることはできない
借金の滞納をしていたとしても、公的年金が差し押さえられることはありません。
その理由などについて詳しく解説します。
1−1 法律上公的年金の差し押さえは認められていない
法律上、公的年金の差し押さえは認められていません。
法律では「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」が保障されており、国民年金および厚生年金の2つの年金を差し押さえてしまうと、最低限度の生活ができる保障がなくなるからです。
なお、法律で差し押さえが禁止されているのは「年金を受け取れる権利」であり、すでに振り込まれた年金は「預貯金」として差し押さえの対象になります。
- 66万円未満の現金
- 生活に欠かせない、家具家電、衣類、寝具、台所用品、畳、建具など
- 1ヶ月生活するのに必要な最低限の食料や燃料
- 仏像や位牌など礼拝や祭祀に必要なもの
1−2 私的年金は差し押さえられる可能性がある
前述したように、公的年金は差し押さえ禁止財産とされていますが、保険会社が提供するような私的年金については禁止されていません。
借金を滞納した場合、支払われる私的年金の一部は差し押さえられる可能性があります。具体的には、年金額の4分の1までの範囲です。
なお、以下の年金や基金については、差し押さえ禁止財産に該当するため、借金を滞納しても基本的に差し押さえられることはありません。
- 確定給付企業年金
- 確定拠出年金
- 厚生年金基金
- 国民年金基金
1−3 年金以外の財産が差し押さえられる可能性がある
公的年金は差し押さえ禁止財産ですが、「年金暮らしだから、財産は一切差し押さえられない」というわけではありません。
年金以外の以下のような財産は差し押さえの対象となります。
- 給料の4分の1
- 預貯金
- 家や土地などの不動産
- 自動車
- 現金
2章 公的年金でも差し押さえられるケース
公的年金でも、差し押さえられるケースがあります。
具体的には以下のとおりです。
- 年金が銀行口座に預けられている
- 法的に認められた機関から年金を担保にして融資を受けている
- 公租公課を滞納している
ここでは、上記それぞれの詳細と対処法について解説します。
2−1 年金が銀行口座に預けられている
1章でもお話しましたが、法律で差し押さえが禁止されているのは「年金を受け取れる権利」だけです。
そのため、すでに振り込まれた年金については、差し押さえられる可能性があります。
とはいえ、生活するのに欠かせない年金を預貯金だからといって差し押さえられてしまうと困りますよね。
その場合には、裁判所に「差し押さえ禁止債権の範囲の変更申立て」をしましょう。裁判所に申立てが認められれば、差し押さえを禁止する範囲を広げ、銀行口座の預金についても差し押さえを禁止してもらえます。
2−2 法的に認められた機関から年金を担保にして融資を受けている
公的年金を担保に融資を受けられる機関が2つあります。
- 福祉医療機構
- 日本政策金融公庫
上記の機関から融資を受け、返済を怠ると、年金を差し押さえられる可能性があります。
なお、年金を担保にできるのは、上記の2つだけです。
その他のところで年金を担保にすると言われた場合、それは違法な貸付となりますので、決して利用しないようにしてください。
2−3 税金や保険料を滞納している
国や自治体に納める税金や保険料といった公租公課を滞納している場合、公的年金であっても差し押さえられる可能性があります。
公租公課とは、以下のものを指します。
- 所得税
- 住民税(県民税、市民税)
- 健康保険料
- 社会保険料
- 固定資産税・不動産取得税
- 法人税
- 消費税
上記のような公租公課を滞納したことによる差し押さえは、裁判所を通さず、行政機関によって行われるもので、一度決定した場合、阻止することは非常に困難です。滞納額を一括返済するくらいしかないでしょう。
不安がある場合には、各市区町村の税務課などに担当しましょう。
3章 年金の差し押さえを防ぐためには債務整理をしよう
借金を滞納した場合、年金が差し押さえられることはなくても、すでに振り込まれた年金やその他の財産については差し押さえられてしまう可能性があります。
借金の返済が難しい場合には、債務整理も検討しましょう。
債務整理には、主に以下の3つの方法があります。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
どの債務整理が適しているかは、借金の状況などによって異なりますので、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
3−1 【任意整理】利息をカットして返済額を減額する
任意整理とは、債権者と交渉することで利息をカットし、返済額を減額する手続きです。
手続き後は利息カット後の借金を、原則3〜5年で返済するため、一定の収入があることが条件となります。(年金であっても収入とみなされるケースがほとんどです)
減額は小さいですが、家などの財産を失ったり、連帯保証人に請求されたりすることを避けることができ、債務整理の中でも最もリスクが少ない手続きです。
3−2 【個人再生】借金を大幅に減額し、3年で返済する再生計画を立てる
個人再生とは、裁判所に申し立てることで、借金を5分の1〜10分の1程度に減額し、原則3年で返済する再生計画を立てる手続きです。
手続き後、減額した借金を原則3年で返済するため、一定の収入があることが条件となります。(年金であっても収入とみなされるケースがほとんどです)
家などの財産を失うことなく、借金を大きく減額することが可能です。
3−3 【自己破産】裁判所への申立で借金の返済義務を免除する
自己破産とは、裁判所に申立てることで、すべての借金の返済義務を免除してもらう手続きです。
なお、税金や保険などの公租公課については免除されません。
借金がすべてなくなる分、家などの資産を失うリスクがあります。
4章 債務整理ならグリーン司法書士法人にお任せください
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よくあるご質問
- 年金が差し押さえられるケースとは?
- 年金が差し押さえられるケースは、下記の通りです。
・年金が銀行口座に預けられている
・法的に認められた機関から年金を担保にして融資を受けている
・税金や保険料を滞納している
年金の差し押さえについて詳しくはコチラ
- 年金は差し押さえられない?
- 法律では「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」が保障されており、公的年金は差し押さえ禁止財産とされています。
年金の差し押さえについて詳しくはコチラ