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任意整理とは債権者と交渉し、利息をカットしてもらうことで返済額を減額する手続きです。
自己破産や個人再生のような裁判所で手続きする債務整理とは異なり、借金の元金が減額されることはありません。
しかし、自己破産や個人再生よりも手軽で、リスクが少ないため、任意整理を選択する方は多くいらっしゃいます。
では、この任意整理で「カットされる利息」とは何なのでしょうか?
この記事では、
- 任意整理でカットされる利息
- 任意整理で利息がカットされた事例
- 任意整理で利息がカットされないケース
などについて解説します。
任意整理|利息をカットして借金減額
任意整理とは債権者と交渉し利息をカットしてもらうことで返済負担を軽くします。
裁判所を通さずに手続きできる分、デメリットが少なく任意整理する借金を自分で選べる点がメリットです。
目次 ▼
1章 任意整理でカットされる利息
任意整理でカットされる可能性がある利息は、主に下記の3つです。
- 将来利息
- 経過利息
- 遅延損害金
しかし、任意整理では将来利息はカットされる可能性が高いものの経過利息に関してはついてしまうことが多いです。
それぞれ詳しく解説していきます。
1−1 将来利息
将来利息とは、現時点で残っている借金に対して発生し、完済するまで支払い続ける予定の利息です。
あくまで「今後支払う予定」である将来の利息であり、過去支払ってきた利息は含まれません。
任意整理では、主にこの「将来利息」をカットするべく和解交渉を進めます。
1−2 経過利息
経過利息とは、すでに発生しているが未払いとなっている利息を指します。
任意整理においては、最後に返済をした日から債権者との和解契約を成立する日までに発生した利息が経過利息にあたります。
和解が成立したとしても、経過利息は付いてしまうことが多いです。
1−3 遅延損害金
損害遅延金とは、借金の返済が遅れた際に発生する損害金で、「延滞利息」「遅延利息」とも呼ばれています。
「利息」として認識されていることが多いですが、法律上は返済が遅れたことに対する賠償金です。
遅延損害金は、支払期日の翌日から滞納した分を返済する日まで発生し、請求されます。
なお、遅延損害金は、借金に対する金利とは別で設定・計算されます。法律上の上限である20.0%を設定している金融業者がほとんどです。
2章 過払金利息があれば、借金が大幅減額されることも
過払金利息とは、法律の上限を超えた利息のことです。
これは、1章で紹介した各種利息(まだ払っていない利息)と異なり、過去に返済した利息のうち「払いすぎた利息」のことです。
過払金利息は法外な利息であり、本来支払わなくても良いものなので、債務者へ返還されますが、返還時点で債務が残っていればそこへ充てられます。
もし、借金総額よりも過払金利息が上回る場合には、借金が減額されるどころか、残った分が債務者の元に返還されます。
そのため、過払金利息が多ければ、借金が大幅に減額されるケースもありますし、過払金利息が借金額を上回れば、借金がゼロになる上手元に現金が戻ってくるケースもあります。
なお、完済済みのケースでは、過払金利息は任意整理をしなくても債権者へ請求することで、返還してもらうことも可能です。
過払金利息はなぜ発生する?
2010年6月以前、利息制限法で定められている上限を超える金利(年利15.0〜20.0%)で貸付をする貸金業者が多くありました。
利息上限法の上限を超えても、一定の条件をクリアすれば出資法の上限(年利29.2%)までは合法的に設定ができたからです。
しかし、2010年6月18日の法改正によって、このようなグレーな金利が撤廃され、利息制限法の範囲内でしか貸付ができなくなりました。
一方、法改正後も、過去に貸し付けた分の金利が改正後の金利に変更されたわけではありません。 つまり、2010年6月以前の借金については、利息制限法の上限を超えた金利のまま返済し続けているということです。その上限を超えた金利を「過払金利息」と言います。
3章 任意整理の利息カット事例
それでは、ここでグリーン司法書士法人が解決した事案の中から、実際に各種の利息等がカットされたケースを具体的に紹介します。
ケース① 将来利息がカットされた事案
- 債務者 Aさん
- 債務状況 5社300万円
- 可能原資 45000円
5社のうち、1社(元本額60万円)につき、債権者から将来利息を3パターン提案された。
- 月額1万円で、将来利息10%
- 月額12000円で、将来利息6%
- 月額15000円で、将来利息2%
他の債権者への返済状況と総合的に検討し、2番の案を受けて可能原資内での任意整理が完了した。
このケースでは、債権者からの提案で将来利息の減免が提案されました。月額を増やすことにより、将来利息を完全にゼロとまではいかずとも、非常に低利率にすることができる場合があります。
このケースで1番の案だと110回以上の分割になりましたが、3番では57回と、返済回数も大きく異なります。債務者が早期に借金から解放されるという観点からも、将来利息のカットというのは非常に重要なことと言えます。
ケース② 経過利息がカットされた事案
- 債務者 Bさん
- 債務状況 9社550万円
ある債権者(債務額32万円)につき、元本額のみで分割和解に応じてくれました。
分割和解をする場合、一般的には和解時点までの利息・損害金は免除されないことが多いです。
この事案では、返済回数を23回と短くしたことが、このような結果となった一因であると考えられます。
ケース③ 遅延損害金がカットされた事案
- 債務者 Cさん
- 債務状況 1社 60万円
- 可能原資 2万円
訴訟提起をされていたので、1社だけでも任意整理をした事案です。訴訟されているだけあり、長年(このケースでは8年間)放置していたため、元本20万円に対して損害金が40万円近く発生していました。結果的には債権者からの提案により、総額48万円で分割和解となり、損害金が半分近くもカットできました。
このケースでは、純粋に債権者からの提案によりこのような解決ができました。
訴訟されているケースでは、利息損害金を満額取られ、かつ分割回数もそこまで柔軟に応じてくれないことが非常に多いのですが、時にはこのような優しい担当者に巡り合うこともあります。
ケース④ 元本がカットされた事案
- 債務者 Bさん
- 債務者情報 9社550万円
ケース②と同じ事案ですが、別の債権者(総額40万円)につき、元本額33万円のところ、一括返済をすることで元本までカットされ、30万円の返済で解決できました。
このケースでは、一括返済をすることで経過利息だけでなく元本も一部カットしていただけました。一括返済という特殊な事情があれば、元本までも一部カットしてキリのよい金額で和解するという交渉も通りやすいです。
もっとも、債務整理をする人が一括返済できるというのはそれ自体で特殊なケースです。本件では、たまたま多額の相続財産を得たため、一括返済ができました。
その他、過払い金が出たようなケースでも一括返済の可能性が出てくるでしょう。まとまった金額が準備できた場合には、それを有効に活用すれば返済総額を減らしやすくなります。
4章 任意整理で利息がカットされない可能性が高い9つのケース
任意整理は、あくまで債権者との交渉が成立することで叶うものであり、交渉に応じてもらえるかどうかは、債権者次第です。
そのため、ケースによっては任意整理で利息がカットされないこともあります。
利息がカットされない可能性が高いケースは具体的に以下のとおりです。
- 取引期間が短い
- 一度も返済していない
- 金利が低い
- 借金総額が少ない
- 返済能力が乏しい
- 家や車のローンが残っている
- 任意整理が2回目である
- 専門家に依頼せず自身で交渉する
- そもそも会社の方針で任意整理に応じない
具体的に見ていきましょう。
4−1 取引期間が短い
金融会社との取引期間、つまり借金をしてからの期間が短いと、利息カットの交渉には応じてもらえない可能性があります。
貸金業者は借金の利息によって収益を得ているため、取引期間が短く、利息をほとんど支払っていない人の利息をカットしてしまうとただの「貸し損」になってしまうからです。
また、返済回数が一回きりなど、極端に取引回数が少ない場合には、「最初から返済する意思がなかったのでは?」と詐欺を疑われる可能性もあり得ます。
4−2 一度も返済していない
取引期間が短い場合の極端なものですが、一度も借金を返済していない場合も、任意整理に応じてもらえない可能性があります。
「一度も返済をしていない=一度も利息を払っていない」ということです。
取引期間が短い場合と同様に、詐欺を疑われてしまう可能性も否めません。
4−3 金利が低い
国の教育ローンや奨学金のような、金利の低い借金の場合、任意整理に応じてもらえない可能性があります。
そもそも、低金利かつ長期間の借り入れは、任意整理をしてもほとんど意味がありません。むしろ条件が悪化する可能性があります。
国の教育ローンや奨学金、住宅ローンなどは独自の減免制度を用意していることも多いので、まずは国・銀行に相談してみましょう。
4−4 借金総額が少ない
借金総額が少ない場合、「利息をカットしなくても返済できるのではないか?」と債権者に判断される可能性があります。
具体的には、年収の3分の1以下の借金の場合、任意整理に応じてもらいにくい傾向にあります。
もし、任意整理に応じてもらうことができたとしても、利息を全額カットしてもらうことは難しいかもしれません。
4−5 返済能力が乏しい
任意整理では、ほとんどの場合、利息カット後の借金を5年程度で完済することを前提に和解契約をします。
そのため、任意整理時に収入がない方や、収入が少ない方など、返済能力がない場合には、そもそも利息カットどころか、任意整理に応じてもらえない可能性があります。
具体的には、年収の3倍以上の借金の場合、応じてもらえない傾向にあります。
このようなケースでは、任意整理をする前にまず仕事を見つける、ダブルワークなどで収入を増やすといった対策が必要となります。
4-6 家や車のローンが残っている
住宅ローンや自動車ローンは、そもそもの契約が低い利率となっていることから、これらを任意整理したとしても利息のカットは応じてもらえないことがほとんどです。
そもそも、これらの債務は次のような理由で任意整理に適していないと言えます。
- 金額が高額すぎる(特に住宅ローン)
- もともとが超長期の分割になっている(住宅ローンだと30年以上の場合もある)
- もともとの利率が低いため、任意整理をすると逆に利率が上がる
- 自動車ローンの整理をすると自動車が引き揚げられる
したがって、住宅ローンなどの支払いが厳しい場合は、それ以外の借金の整理をするか、各種ローンについて借り換えなどの手法を検討することになります。
4−7 任意整理が2回目である
2回目以降の任意整理は交渉をする上で不利に働く可能性があります。
任意整理に回数制限はなく、2回目・3回目だからといって「絶対にできない」ということはありません。
しかし、1回目の任意整理で交わした和解契約を守れなかった場合、「また契約違反をして返済してもらえないのではないか」という印象を持たれてしまいます。
そのため、2回目以降の任意整理については利息のカットに応じてもらえない可能性があります。
4−8 専門家に依頼せず自身で交渉する
任意整理の交渉が、自身で行うことも不可能ではありません。しかし、慣れない人が交渉すると失敗する可能性が上がります。
また、個人による交渉にはそもそも応じない貸金業者・金融会社も少なくありません。
任意整理をする場合には、司法書士や弁護士などの専門家に依頼するようにしましょう。
4-9 そもそも会社の方針で任意整理に応じない
貸金業者・金融会社によっては、会社の方針としてそもそも任意整理に応じていないところもあります。
この場合、どれだけ条件が揃っていても和解を成立させるのは困難です。
なお、グリーン司法書士法人のような債務整理を専門にしている事務所では、債権者ごとの和解条件をリスト化しています。
不安な場合は債務整理を専門とする専門家に相談するようにしましょう。
5章 任意整理で利息をカット交渉はグリーン司法書士法人にお任せください!
任意整理での利息カットを成功させるには、専門家によるサポートが重要です。
グリーン司法書士法人は、任意整理を始めとした債務整理を専門としている司法書士事務所です。
任意整理の交渉はもちろん、万が一利息カットができなかった場合にも、ご相談者様に適した債務整理方法を提案させていただきます。
初回の相談料は無料です。お気軽にご相談ください。
グリーン司法書士法人オンラインの任意整理費用
初回相談料 | 0円 |
着手金 | 0円 |
基本料金(1社) | 19,800円(税込21,780円)~ |
過払い金返還成功報酬 | 取り返した額の20%(税込22%)※裁判での回収の場合25%(税込28%) |
減額成功報酬 | 減額報酬はいただきません |
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よくあるご質問
- 任意整理をするといくらかかる?
- 任意整理を司法書士や弁護士に依頼した際の費用相場は5~10万円程度です。
弁護士:8~10万円
司法書士:5~8万円
上記のように、司法書士の方が費用相場が安いので費用を抑えたい人は司法書士への相談がおすすめです。
任意整理の費用相場について詳しくはコチラ
- 任意整理はいつから支払いがストップする?
- 任意整理を司法書士や弁護士に依頼すると債権者に対して受任通知を送付してもらえます。
受任通知を債権者が受け取った後は債務者本人への取立てがストップします。
取立てがストップし支払いをしなくてすむ期間中に任意整理の準備をしていきましょう。
任意整理の流れについて詳しくはコチラ