過払い金が戻ってこない8つのケース|請求できる条件とは?

   司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

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過払い金が戻ってこない8つのケース|請求できる条件とは?

この記事は約 12 分で読めます。

悩む女性
悩む女性
CMで、過払い金の請求ができるというのを見たのでその司法書士事務所に相談に行ってみました。しかし、請求できないと言われたんです。なぜなのでしょうか・・・?
司法書士
司法書士
過払い金を請求するには条件があります。「2010年6月以前の借り入れであること」と「完済から10年が経過していないこと」です。この2つを満たしていない場合には請求することができません。
悩む女性
悩む女性
その2つは満たしていました。他にも、請求できないケースはありますか?
司法書士
司法書士
そもそも、貸付時の利息が利息制限法の範囲内であった場合、過払い金は発生しません。その他にもクレジットカードのショッピング利用のみだった場合や、借入先が銀行だった場合には請求できないこともあります。

利息制限法を超える利息を支払い続けていた場合、債権者に払いすぎた利息を「過払い金」として請求することができます。

とはいえ、CMや広告で「過払い金が返ってくる」とよく耳にするかも知れませんが、すべての人が請求できるものではありません。

過払い金が請求する条件として

  1. 2010年6月以前の借り入れであること
  2. 完済から10年が経過していないこと

が挙げられます。

また、そもそも利息制限法の範囲内の利息で貸し付けられている場合には、過払い金は発生しません。

その他にも、クレジットカードのショッピング利用しか借り入れがない場合や、借入先が銀行だった場合には過払い金の請求ができない可能性があります。

この記事では、過払い金が請求できないケースなどについて解説しています。ぜひ参考にしてください。

1章 過払い金を請求できる条件

過払い金を請求できる最低条件は以下の2つです。これを満たしていない場合には請求できませんので、理解しておきましょう。

  • 2010年6月以前の借り入れであること
  • 完済から10年が経過していないこと

それぞれ詳しく解説します。

1−1 2010年6月以前の借り入れであること

そもそも過払い金の正体は、利息制限法を超えて課された金利による「払いすぎた利息(グレーゾーン金利)」です。

2010年6月以前は、利息制限法で定められている金利の上限(※)を超えても、出資法の上限(年利29.2%)の範囲であれば、合法的に金利を設定することができました。これを「グレーゾーン金利」と言います。

しかし2010年6月に貸金業法が改正されて以降、このグレーゾーン金利が完全に撤廃され、利息制限法の範囲内での貸付しか認められなくなりました。

そのため、グレーゾーン金利が発生しない2010年6月以降に結んだ契約に基づいた借入れには過払い金は発生しません。つまり、「2010年6月以前の借り入れであること」が過払い金発生条件の1つになります。

(※)「利息制限法における金利の上限」とは以下の通りです。

借金額法律上の上限金利
10万円未満年20.0%
10万円以上100万円未満年18.0%
100万円以上年15.0%

1−2 完済から10年が経過していないこと

過払い金の時効は、完済をしてから10年です。そのため、完済した日から10年以上が経過している場合、過払い金の請求権は消滅しているため、請求することはできません。

例えば、2005年1月に借入れをして、2012年4月に完済している場合には2022年4月で10年が経過し、時効を迎えているため、請求することはできません。

一方、2005年1月に借入れをして、2015年4月に完済している場合には、2022年4月時点でまだ7年しか経過していないので、過払い金が発生している場合には、2025年4月まで請求できます。

2章 過払い金が戻ってこないケース

1章で解説した条件を満たしていても、過払金が戻ってこないケースがあります。具体的には以下のとおりです。

  • 貸金業法改正後に借り入れをしていた
  • 利息制限法の範囲内で借り入れをしていた
  • 借り入れ先が銀行や信用金庫だった
  • ショッピング利用しかしていない
  • 過払金を超える残債があった
  • 借入先がすでに倒産している
  • 借入先が闇金だった
  • 完済から10年以上経過している

それぞれ詳しく見ていきましょう。

2−1 貸金業法改正後に借り入れをしていた

1章でも解説した通り、2010年6月に貸金業法が改正されて以降、過払い金の原因となるグレーゾーン金利は撤廃されました。

そのため、貸金業法改正後に借り入れをしたものについては、過払い金が発生していない可能性が高いでしょう。

2−2 利息制限法の範囲内で借り入れをしていた

貸金業法の改正前であっても、利息制限法の範囲内で貸付をしていた良心的な貸金業者も少なからず存在していました。

利息制限法の範囲内であれば、そもそも過払い金は発生していませんので、請求することは不可能です。

2−3 借り入れ先が銀行や信用金庫だった

銀行や信用金庫、労働金庫などは、2010年6月以前から利息制限法の上限を守って貸付を行っていました。

そのため、銀行からのカードローンや住宅ローンなどは過払い金が発生していない可能性が非常に高いでしょう。

2−4 ショッピング利用しかしていない

クレジットカードのショッピング利用のみの場合、過払い金の請求はできません。

ショッピング利用は法律上、借金ではなく割賦販売法に基づく「立替金」として取り扱われ、利息が発生しないためです。

当月締め・翌月払いの一般的なショッピング利用はもちろん、分割払いやリボ払いであっても、過払い金の対象にはなりません。

一方、クレジットカードに付帯しているキャッシングサービスを利用した借り入れは、借金として扱われますので、過払い金が発生している可能性があります。

2−5 過払い金を超える残債があった

過払い金が発生していたとしても、それを超える残債がある場合には、手元にお金が戻ってくることはありません。

例えば、300万円の借金があり、請求できた過払い金が200万円だったとします。その場合、過払い金の200万円は借金の返済に充てられることになります。つまり100万円の借金が残り、手元にお金は戻ってこないということです。

なお、過払い金の請求後に残った債務に対する利息は、利息制限法の範囲内の金利に引き直しされることになります。

2−6 借入先がすでに倒産している

借入先の貸金業者がすでに倒産している場合には、過払い金を請求することはできません。請求しようにも、請求する相手がいなければ請求することは不可能だからです。

過払い金請求が認められるようになって以降、多くの貸金業者が倒産に追い込まれました。

金融庁の貸金業者関係資料集によると、2000年に3万社ほどあった貸金業者は、2012年には約2,300社と大幅に減っています。

ただし、倒産後に、他社に吸収合併されているケースでは、過払い金の請求ができる可能性があります。詳しくは、専門家に相談してみると、できるかどうか確認してくれるでしょう。

2−7 借入先が闇金だった

闇金業者からの借り入れについては、過払い金の請求という話とは別問題です。

そもそも、違法な金利で貸付を行っている闇金に対しては、借金を返済する必要はありませんし、すでに返済しているものについては利息だけでなく元金についても返還を求めることが可能です。

とはいえ、法律を盾に戦うのは危険です。もし、闇金から借り入れをしてしまった場合には、弁護士や警察に相談するようにしましょう。

2−8 完済から10年以上経過している

1章でも解説した通り、過払い金は完済から10年経過すると時効が成立します。そのため、完済から10年以上経っている借金については、過払い金を請求することができません。

3章 過払い金が戻ってくるまでの流れ

過払い金を請求してから、戻ってくるまでの流れは以下のとおりです。


STEP①取引履歴の確認
STEP②利息の引き直し計算
STEP③貸金業者へ過払金の返還請求
STEP④貸金業者と交渉
STEP⑤過払金の受け取り

なお、過払い金が発生している可能性がある場合には、司法書士や弁護士などの専門家に相談してみましょう。

専門家は、借金の状況を確認し、過払い金の請求に可・不可を提示してくれますし、可能な場合には貸金業者への請求手続きをすべて担ってくれます。

ここでは、過払い金請求の流れについて解説しますので、参考にしてください。

3−1 STEP① 取引履歴の確認

まずは、過払い金がそもそも発生しているのか、どの程度金額なのかを確認するため、借入や返済履歴など、過去の取引内容を確認します。

確認方法は、貸金業者に取引履歴を取り寄せることで行います。

3−2 STEP② 利息の引き直し計算

取引履歴を取り寄せたら、その内容をもとに利息の引き直し計算を行い、過払い金の有無やその金額を確認します。

過払い金は、最後の返済日から10年以内に請求する必要がありますので、時効を迎えている部分がないかどうかの確認も必要です。

引き直し計算をするためのソフトなどもありますが、正確な金額を知るためには専門家に依頼することをおすすめします。

3−3 STEP③ 貸金業者へ過払金の返還請求

引き直し計算で過払い金を算出したら、内容証明郵便にて貸金業者に過払い金返還請求書を送付します。

内容証明郵便とは、郵便局が「いつ・誰が・どのような内容の文書を送ったか」を証明してくれるサービスです。

3−4 STEP④ 貸金業者と交渉

貸金業者が過払い金請求書を受け取ると、貸金業者からその内容に関する連絡がきます。

請求書の内容について交渉を行い、双方が納得すれば和解となり、合意書を取り交わし、終了です。

しかし、交渉を行ったものの、相手方が納得できないと反論してきた場合には、過払い金返還訴訟を起こすこともあります。

裁判になった場合には、半年から1年程度時間を要しますので注意が必要です。また、引き直し計算が正確であれば、裁判所に判決として請求内容を認めてもらえることがほとんどであり、結果的に請求した金額の満額を返還してもらえる可能性が高いでしょう。

ただし、訴訟を起こすには、高度の法律知識が必要になりますので、専門家に相談することをおすすめします。

3−5 STEP⑤ 過払金の受け取り

交渉にて和解に至った場合、または訴訟にて返還を認める判決を受けた場合には、あらかじめ設定した返還期日までに口座に過払い金が支払われます。

ただし、過払い金がを上回る借入がある場合には、そちらの返済に充てられることになりますので、手元にお金が戻ってこないことは理解しておきましょう。

4章 無料過払い金診断OK!過払い金請求はグリーン司法書士法人までご相談ください

「過払い金が発生しているかも?」と思ったら、ぜひグリーン司法書士法人までご相談ください。

当事務所では、無料の過払い金診断を行っています。

「過払い金は発生してる?」「返還請求はできる?」といったご相談も歓迎です。

過払い金が発生している場合には、返還請求まで対応いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

過払い金に関する記事を沢山公開していますので、合わせてご覧ください。

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よくあるご質問

過払い金は何年前までさかのぼって請求できる?
過払い金の時効は、完済をしてから10年です。そのため、完済した日から10年以上が経過している場合、過払い金の請求権は消滅しているため、請求することはできません。
過払い金の時効について詳しくはコチラ
過払い金が戻ってこないケースとは?
過払い金が戻ってこないケースは、主に下記の通りです。
・貸金業法改正後に借り入れをしていた
・利息制限法の範囲内で借り入れをしていた
・借り入れ先が銀行や信用金庫だった
・ショッピング利用しかしていない
・過払い金を超える残債があった
・借入先がすでに倒産している
・借入先が闇金だった
・完済から10年以上経過している
過払い金が戻ってこないケースについて詳しくはコチラ
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