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住宅ローン借入当初は問題なく支払えると思っていても、長く支払いを続けていると返済が苦しいと感じることがあるかもしれません。「住宅ローンは払えないけどどうしても住み続けたい」と考える人は少なくないでしょう。ローンの支払いができないからと放っておいてもよいことはありません。自宅に住み続けたい場合の対処法や、その際の相談先を解説します。
- 住宅ローンが払えないけれど住み続けたい場合の対処法
- 住宅ローンが払えない場合の相談先
目次 ▼
1章 住宅ローンが払えないとどうなるのか?
住宅ローンが支払えなくなった理由は、収入の減少や家族の病気、教育費の増加など、さまざまあるでしょう。しかし、住宅ローンが払えない状況になったら、そのまま放置せずに早めに対処することが大切です。住宅ローンを滞納し完済の見通しが立たなくなると、どのようなことが起きるのか考えていきましょう。
1−1 競売の可能性が高くなる
住宅ローンを滞納し、それが続くと自宅が競売にかけられる可能性が高くなります。住宅の競売とは、住宅ローンの返済ができなくなった場合に、債権者(住宅ローンの融資会社)が裁判所に申立をすることによって、家を強制的に売却して債務を回収することです。1度の滞納で、すぐに競売にかけられるということはまずありません。しかし、滞納が始まってから競売にかけられるまでには流れがあり、住み続けるためには早めの対処をする必要があります。
住宅が競売にかけられるまでの流れと期間については、下記の記事で詳しく解説しています。
1−2 連帯保証人に迷惑をかける
住宅ローンを契約するとき、親族などに連帯保証人になってもらうことが少なくありません。住宅ローンの延滞を放置すると、連帯保証人にも電話や郵送で督促がされるなど迷惑をかけることになります。最終的には、連帯保証人の土地や財産が差し押さえられる可能性があります。
2章 自宅に住み続けたい場合の対処法
住宅ローンが払えないけど、現在の自宅に住み続けたいと希望する方は多くいらっしゃいます。そこで、自宅に住み続けたい場合の具体的な対処法をご紹介します。
2−1 収支の見直しをする
収支の見直しをしても大きくは変わらないと考えがちですが、1つずつ見直すと減らせるものが見つかることがあります。見直しの例として、次のようなものがあります。
- スマートフォンの料金プランの見直しや、格安SIMへの乗り換え
- 不要なサブスクリプションの解約
- 電気、ガス、水道など公共料金の節約
- 保険の見直し
- 自動車の売却・カーシェアへの切り替え
ご自身だけで見直すのではなく、ご家族と一緒に検討すると、その後の節約についても協力を得られる可能性が高くなるでしょう。
2−2 金融機関へ相談する
毎月の住宅ローンの支払いがきついと感じたら、まずは住宅ローンを借り入れている金融機関に相談しましょう。早めに相談することで、返済スケジュールの調整や返済の一時的な猶予など、金融機関側も柔軟に対応しやすくなります。このような対策を取ることで、家を失わずに住み続けられる可能性が高まります。
2−3 住宅ローンの借り換えを検討する
住宅ローンを契約したときの金利が借り換え後の金利より大幅に高い場合は、借り換えることによって返済額の軽減が見込めます。ただし、借り換えには手数料がかかります。借り換え前後の金利差だけでなく手数料も考慮に入れて、返済額の軽減が得られるかどうか慎重に検討する必要があります。また、延滞が生じてからの借り換えは難しいため、金融機関へは早めに相談しましょう。
2−4 保険や支援制度を確認する
住宅ローンを払えない理由が病気やケガなどの場合、団体信用生命保険やご自身が加入している医療保険などで対応できる可能性があります。まずご自身が加入している保険を確認をしてみましょう。また、要件が合えば自治体で行っている支援制度を利用できる可能性もあります。
2−5 リースバックやリバースモーゲージなどの利用を検討する
「リースバック」とは、自宅を売却した後に買主と賃貸借契約を結び、売却した家に賃料を支払って住み続けるというものです。一方、「リバースモーゲージ」とは、金融機関から自宅を担保にして資金を借り入れし、その自宅に継続して住み続けるというシステムです。
リースバック・リバースモーゲージともに、メリットがある一方デメリットも存在します。利用条件なども含め、充分な知識と検討が必要になります。
2−6 任意整理や個人再生を検討する
住宅ローン以外にも借り入れがある場合、任意整理や個人再生の手続きが有効です。債務整理手続きについては、司法書士などの専門家にご相談ください。
2−6−1 任意整理
住宅ローンを除外して手続きを行うことができるので、住宅ローン以外の借金を整理することができます。住宅ローン以外の借金の返済が軽くなることで、住宅ローンの返済が継続できるようになることを目指します。
2−6−2 個人再生
裁判所に申立を行い、住宅ローン以外の借金を大幅に減額してもらう手続きです。個人再生には「住宅資金特別条項」という特則があり、これを利用することで自宅を手放すことなく借金の整理を行うことができます。住宅ローン以外にも借金があり、それによって住宅ローンの支払いが圧迫されているという方に最適な方法です。
3章 自宅を売却して引っ越しする場合
さまざまな解決方法を探り、任意整理や個人再生も検討してみたがそれでも解決できないという場合には、自宅を売却することになるかもしれません。
自宅の売却価格が住宅ローンの残債を上回っている場合(アンダーローン)は、通常の不動産売却が可能です。反対に売却価格の方がローンの残債より低い場合(オーバーローン)は任意売却がよいでしょう。また、任意売却をしても借金が残り、返済できない場合は、自己破産を行うことで解決することが可能です。
3−1 通常の不動産売却をする
売却額が住宅ローンの残高よりも高いアンダーローンの状態なら、売却代金で住宅ローンを完済することができます。この場合は、通常の不動産売却がよいでしょう。通常の不動産売却は、任意売却に比べて高い価格で売却することが可能です。ただし、不動産売却にかかる平均的な期間は、およそ6ヶ月とされており、築年数やエリアによっても売れやすさに違いがあります。売却することが決まったら、早めに不動産会社に相談しましょう。
3−2 任意売却をする
任意売却とは、住宅ローンの支払いができなくなった場合に、競売にかけられる前に一般市場へ売りに出し不動産を売却する方法です。手続きには、住宅ローンを借りている金融機関の承諾が必要になります。また、任意売却では、売却代金の中から引越し費用を捻出できる可能性があります。
3−3 自己破産をする
任意売却後に借金が残って支払えない場合、自己破産手続きをすることができます。裁判所の決定を受けると、非免責債権(税金や年金など)以外のすべての借金が免責になります。ただし、免責不許可事由(浪費やギャンブルなど)があると、免責が認められない可能性があるため注意が必要です。
4章 住宅ローンが払えない場合の相談先は?
住宅ローンの支払いができなくなった場合、どこに相談すればよいかと不安になるかもしれません。相談先を下記にまとめてみました。
なお、相談の時期については、支払いが難しいと感じたら早目の相談をするのに越したことはないでしょう。具体的には、1〜3の相談先はできれば滞納前に、4〜5については滞納する前後での相談が可能でしょう。
4−1 金融機関へ返済猶予(リスケジュール)の相談をする
住宅ローンの借り入れをしている金融機関へ、リスケジュールの相談をします。住宅ローンの返済計画の見直しは、主に次の4パターンがあります。
- 借入期間の延長
- 返済額の一定期間減額
- 元金返済据置
- ボーナス返済分の見直し
借入返済期間を延長する「期間延長」、一定の期間に限って支払いを減額する「返済額の一定期間減額」、一定期間は元金の支払いをせずに利息のみを払う「元金返済据置」では、月々の返済を減らすことができます。ボーナスでの返済が高額で苦しいと感じている場合には、「ボーナス返済分の見直し」によって楽になるかもしれません。
ただし、リスケジュールを行うと返済期間が延びる分、金利が発生して、返済総額が増えるといったデメリットもあります。また、住宅ローンを長期で滞納してしまうと、リスケジュールの相談は難しくなることを念頭に置いておく必要があります。極力早めに、遅くても滞納3ヶ月目までには相談するようにしましょう。
4−2 別の金融機関でローンの借り換えができないか相談する
住宅ローンの借り入れをしている金融機関に相談したけれど対応してもらえなかった場合は、別の金融機関へ借り換えの相談をしましょう。金利が高い時期に住宅ローン契約をしていた場合は、別の金融機関でローンの借り換えをすることによって、返済額の軽減が見込めます。ただし、手続きには手数料が発生するため、借り換えは誰にでもメリットがあるというわけではありません。元々低金利で借りている場合は、費用倒れになってしまう可能性もあります。
借入で発生する費用の種類には、既存ローンの解約時と新規ローンの借入時において各々次のようなものがあります。
【既存ローンの解約】
・繰上返済手数料
・保証会社事務手数料
・抵当権抹消費用
【新規ローンの借入】
・保証料
・印紙代
・抵当権設定費用
借り換えをするとメリットがある人の目安は次のとおりです。
- 借り換え前後の金利差が年利1%以上ある
- 1,000万円以上住宅ローンの残高がある
- 残りの返済期間が10年以上ある
借り換えの費用は、借入金額にもよりますが、およそ40~50万円程度です。また、手数料以外にも新たな銀行の審査も必要になります。
住宅ローンの借り換えは、手続きに時間がかかります。現在借り入れをしている金融機関にリスケジュールの相談をしても対応してもらえない場合は、その後時間を置かずに相談するのがよいでしょう。
4−3 保険や支援制度が利用できないか相談する
住宅ローンの契約時には、多くの場合団体信用生命保険も同時に加入することを求められます。ご自身の契約の有無を確認し、加入していた場合は保障が適用されるかどうか確認してみましょう。ローンを払えない原因が病気などの場合、健保の傷病手当金や、民間の医療保険でも保険金を受け取れる可能性があります。
また、経済的に困窮している場合には、心身や家庭などの課題を抱える失業者や多重債務者などを対象にした「生活困窮者自立支援制度」などの支援を受けられる可能性があります。お住まいの地域の、福祉保健センター生活支援課(区役所など)で相談・申込ができます。
4−4 リースバック・リバースモーゲージを扱う会社へ相談する
リースバックやリバースモーゲージの相談も、早いに越したことはありません。しかし、滞納後に長く放置した状態でなければ、相談は可能です。
リースバックとリバースモーゲージについて、その違いを下記の一覧で比較してみましょう。
リースバック | リバースモーゲージ | |
---|---|---|
資金 | 自宅を売却した資金(自己資金) | 自宅を担保に借りている状態 |
自宅 | 所有権はなく借家に住んでいる状態 | 所有権はご自身のまま |
メリット |
|
|
デメリット |
|
|
「リースバック」では、家の所有権はなくなりますが、引き続き住み続けることができ、固定資産税などの維持コストも不要になります。買い戻し特約をつけておくことで、後に住宅を買い戻すことも可能です。相談先は、リースバックを取り扱う不動産仲介会社か、リースバック会社(事業者)になります。
「リバースモーゲージ」は、契約者が亡くなった後に、担保となっている自宅を売却することで借入金を返済します。この制度では、毎月の返済が利息分のみになり、返済負担の軽さが大きなメリットです。リバースモーゲージは融資であり、金融機関で申し込む商品です。そのため、相談先はリバースモーゲージを取り扱っている金融機関になります。
4−5 住宅ローン以外にも借金がある場合は司法書士へ相談する
住宅ローン以外にも借金がある方には、債務整理が有効な場合があります。中でも住宅に住み続けたい方に有効な、任意整理と個人再生について2章で触れています。ご相談は早めをおすすめいたしますが、滞納後でも長く放置してしまう前にご相談ください。
それぞれの手続きの特徴は、下記のとおりです。
任意整理 | 個人再生 | |
---|---|---|
手続きするための条件 | 安定的な収入と返済意思があること | 安定的な収入と返済意思があることに加え破産に準ずる経済状態であること |
借金減額の程度 | 和解以後の将来利息のカット | 総額の5分の1まで減額可能 |
手続きにかかる期間 | 3〜6ヶ月ほど | 6〜12ヶ月ほど |
手続き後の返済にかかる期間 | 3〜5年程度 | 原則3年 |
専門家に対する費用 | 1社あたり5〜6万円程が目安 | 30〜60万円ほどが目安 |
残すことのできる財産 | 財産を手放す必要なし | 財産を手放す必要なし |
保証人に対する影響 | 基本的に迷惑はかからない | 支払い義務が移行する |
信用情報への影響 | 約5年は事故情報として登録 | 約5年は事故情報として登録 |
官報掲載の有無 | 掲載なし | 掲載される |
どちらの手続きを行うかについては、ご自身の状況にあった手続きを選択することになります。グリーン司法書士法人では、ご状況やご事情を丁寧にお伺いしたうえでどちらの手続きが向いているのかをご提案させていただきます。
初回相談は無料なので、ご自身の状況が任意整理か個人再生のどちらを選択するのがよいのか気になる場合はお気軽にお問い合わせください。
5章 まとめ
「住宅ローンが払えないけど住み続ける方法はないの?」とお悩みの方は少なくありません。その多くは、何らかの事情による収入の減少に起因しています。住宅ローンの支払いが難しいと感じたら、滞納したまま放置してはいけません。早めに金融機関に相談しましょう。
住宅ローンの支払いだけでなく他の借金問題も抱えてお悩みの場合は、債務整理や借金問題に詳しいグリーン司法書士法人グループにご相談ください、お一人お一人の状況に合う最適な解決方法を提案させていただきます。
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