競売の流れとは?住宅ローン滞納後の競売手続きと回避方法を解説

   司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

住宅ローン問題
競売の流れとは?住宅ローン滞納後の競売手続きと回避方法を解説

この記事は約 10 分で読めます。

不動産が競売にかけられることを回避するためには、手続の流れを把握しておくことが必要といえます。

競売を回避する方法の1つが任意売却ですが、そもそも競売がどのような流れで進むのか把握しておらず、間に合わなかったというケースもあるからです。

そこで、債務を滞納した後の競売までの流れや手続、不動産競売を回避する方法について、次の2つの章に分けて詳しく説明していきます。

  1. 競売の流れ
  2. 競売を回避する方法

競売手続の流れのどこかで、何かできることはないかと探している方は、ぜひこの記事を参考にされてください。

1章 競売の流れ

住宅ローンなど、自宅に抵当権を設定して借りた借金を「滞納」し続けていると、いずれ自宅を差し押さえられて「競売」にかけられます

このとき、たとえば任意売却で競売を回避する場合でも、競売の流れのどのタイミングまでに手続すればよいかなど把握しておくことが必要です。

競売は、「時系列」にすると以下の流れで手続が進みます。

  1. 一括弁済請求(ローン滞納から6か月)
  2. 代位弁済(ローン滞納から7か月)
  3. 競売開始決定(ローン滞納から8~9か月)
  4. 現況調査(競売開始決定から1~2か月)
  5. 期間入札の通知(現況調査から2~3か月(開札日の2日前が任意売却のタイムリミット))
  6. 情報公開(入札期間の2~3週間前)
  7. 入札開始(情報公開後約1週間程度で設定)
  8. 売却許可決定(開札日から1週間程度)
  9. 立ち退き(落札者が代金を支払った時点)

それぞれの「流れ」について説明していきます。

1-1 一括弁済請求

繰り返し督促状が届いてもローンを返済せず、滞納して6か月ほど経つと、「期限の利益」を失います

「期限の利益」とは、ローンを毎月「分けて」支払うことができる権利であるため、喪失すれば「一括弁済」を請求する通知書が届きます。

返済期日を守って返済されなければ契約は解除されるため、残ったローンを一括で返して欲しいと要求されます。

この流れから、従来どおり毎月ローンを支払いながら、家に住み続けることはできなくなってしまいます

1-2 代位弁済

ローン滞納から7か月経過すると、保証会社が債務者に代わって一括で返済する「代位弁済」が手続されます。

代位弁済により、債権は「保証会社」に移ります

これまでは銀行から請求されていた状況から、今度は保証会社から「立て替え」で返済した分を、一括で返してほしいと請求されます。

この一括返済に応じることができなければ、保証会社の申立てにより、「競売」の準備が進んでしまいます。

1-3 競売開始決定

ローン滞納から8~9か月経過すると、代位弁済後のローンが一括返済されないことを理由に、保証会社が裁判所に「競売」を申立てます

それにより、申立てから数週間で債務者のもとに「競売開始決定通知」が届きます

競売開始まで「秒読み段階」であることを意味する通知であるため、はやければ通知が届いて4~5か月後には強制的に家を売却されてしまいます。

1-4 現況調査

競売開始決定から1~2か月経過すると、裁判所の任命した執行官と不動産鑑定士が、競売物件を「調査」するために訪れます。

現況調査は競売基準となる「評価額」の算出に向けて行われますが、室内状況の確認のための「写真撮影」や、住んでいる人や壊れている箇所について簡単な「質問」をされる程度です。

事前に通知された訪問日に立ち会うことが必要ですが、当日都合がつかない場合は、裁判所に連絡して日時を変更してもらえないか交渉することも必要となります。

立ち会わなかったとしても罰則はないものの、執行官が鍵屋を同行させて強制的に鍵を解除し、家の中を確認していきます。

鍵の解除費用も後に「上乗せ」して請求されるため、できる限り立ち会いするようにしましょう。

1-5 期間入札の通知

現況調査から2~3か月経過すると、期間入札に関する以下の内容の「通知」が届きます。

記載されている項目内容
入札期間競売の期間入札方式において入札する期間
開札日入札期間経過後に入札結果(落札者)が決定する日
売却基準価格裁判所が設定するその入札基準となる価格(最低売却価額)

なお、競売を取り下げたい場合には、通知書に記載された開札日までに手続しなければなりません。

そのため、後で説明する「任意売却」による競売取り下げにおいては、開札日前日までにすべての手続を完了させることが必要です。

1-6 情報公開

入札期間の2~3週間前には、「裁判所」のホームページに競売物件の「情報」が細かく掲載されます。

自宅の住所はもちろんのこと、外観や室内などの写真も掲載されるため、周囲に競売物件であることを知られる可能性があります

1-7 入札開始

裁判所のホームページに競売物件として情報が掲載された後は、通知書に記載された「期間」で入札が開始します。

この「入札開始」により、競売物件を購入したい方や業者などが、裁判所に購入希望額を提示していきます。

1週間程度の入札期間を経て、入札金額を確認する「開札」となり、最も高い金額を提示した方が「落札者」となります。

1-8 売却許可決定

開札日から1週間後には、落札者が競売物件を購入することについて、「許可」するか否か裁判所で「審査」を行います。

その結果、売却の「許可」が決定すれば、落札者は1か月以内に競売物件の代金を納めることが必要です。

なお、「売却許可決定」から1週間は、債務者から不服申立てが可能とされていますが、正当な理由のない申立ては認められません。

落札者が競売物件の代金を支払った時点で、不動産の「所有権」が落札者へと移転し、債務者は住む権利を失います。

ただ、「正当な理由」として認められるケースはそれぞれの事情によるため、該当する可能性がある場合や気になることがあれば専門家に相談することをおすすめします。

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1-9 立ち退き

落札者が代金を支払うと、所有権が債務者から「落札者」へと移転されます。

第三者の所有する不動産になった以上は、その家に住み続けることは許されず、「立ち退き」を求められます

退去を拒み自宅に居座り続けたとしても、落札者が裁判所に「引渡命令申立て」を行い、確定すれば自宅引き渡しを命令されます

引き渡し命令後に居座り続けたとしても、強制執行により鍵が交換され、家財道具も一式運び出されます。

最終的には無理やり追い出されることになり、運び出された家財も1か月間の保管期間後、引き取りがなければ「処分」されてしまいます。

競売で不動産が落札されれば引き続き住むことはできないため、その前に取り下げてもらうか、引っ越し準備をすることが必要です。

2章 競売を回避する方法

競売の流れを理解した上で、「回避」する方法として次の2つが挙げられます。

  1. 一括弁済
  2. 任意売却

それぞれどのような方法か説明していきます。

2-1 一括弁済

「一括弁済」とは、債務を一度に「まとめて」返すことです。

債務を完済すれば競売の根拠である抵当権も解除されるため、家を強制的に売却される「理由」がなくなります

ただ、一括弁済ができる経済状況であるのなら、そもそもローンを滞納することはなかったはずです。

そのため実際には、債務を一括弁済して競売を取り下げてもらうことは難しいと考えられます。

期限の利益を喪失していないのであれば、滞納解消に向けた「任意整理」なども検討できるでしょう。

2-2 任意売却

「任意売却」とは、住宅ローンが返済できなくなったとき、銀行や保証会社など債権者と交渉して家を売る方法です。

競売のように裁判所を通すことなく、「一般市場」で不動産を売却します。

そのため、通常の不動産売却と大きな差はない印象を受けやすいものの、実際には債権者と交渉が必要になるなど時間がかかります。

任意売却で競売中止を申請するため、競売開始の通知から4か月程度で迎えるタイムリミットまでに準備を進め、​債権者と交渉する​ことが必要です。

そこで、次の2つのタイミングごとの任意売却について説明していきます。

  1. 競売開始決定前
  2. 競売開始決定後

競売開始決定前

任意売却で競売を回避したい場合、「競売開始決定前」に債権者と交渉することにより、開始決定を猶予してもらうことができます。

猶予してもらえる期間は、債権者によって異なるものの、多くは2~6か月程度です。

その間に任意売却による買い手が見つかれば、競売を申立てられることを回避できます。

競売開始決定後

任意売却で競売を回避したい場合、たとえ「競売開始決定後」であっても、債権者から「承諾」を得ることができれば可能です。

ただし、開始決定が出された後にその手続を止めるのではなく、競売と任意売却を「同時並行」で進めることになります。

開札日前日までに任意売却がまとまり、物件引き渡しが可能であれば競売を取り下げてもらえるでしょう。

しかし開札日前日までに任意売却による買い手が見つからなければ、競売の「落札者」の同意がなければ、債権者でも競売の取下げができなくなります。

そのため競売開始決定後の任意売却は、残された時間が少ない状態であるため、できる限りはやく頼れる「専門家」に相談することが必要です。

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まとめ

不動産が競売にかけられることを回避するためには、手続の「流れ」を把握しておくことが必要といえます。

競売回避の方法として任意売却が挙げられますが、開札日前日までに手続を完了させなければ、競売を取り下げることはできません。

そのため競売がどのような流れで進むのか把握していなければ、間に合わなくなる可能性があるといえるでしょう。

そもそも競売で強制的に家を売られると、売却価格は相場よりかなり低くなるため、住宅ローンなどを滞納しているのならできるだけ早く「任意売却」を手続することをおすすめします。

任意売却は専門的な知識が必要であるため、専門家を頼ったほうが安心といえますが、グリーン司法書士法人グループなら滞納した住宅ローン問題解決に詳しい不動産業者と提携しています。

抱える不安や問題をスピーディーに解決することにつながるため、まずはグリーン司法書士法人グループの無料相談をご利用ください。

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よくあるご質問

競売の流れとは?
競売の流れは、下記のように進みます。
・一括弁済請求
・代位弁済
・競売開始決定
・現況調査
・期間入札の通知
・情報公開
・入札開始
・売却許可決定
・立ち退き
競売にかかる期間は?
ローン滞納から8~9ヶ月程度で競売開始が決定され、そこから4~5ヶ月程度で現況調査が完了し入札が開始されます。
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