免責審尋とは?聞かれる内容と受けるときの注意点について解説!

   司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

自己破産
免責審尋とは?聞かれる内容と受けるときの注意点について解説!

この記事は約 10 分で読めます。

自己破産は、全ての借金を免除して新たな再スタートを切ることができる法的手続きです。

借金を重ねてしまい支払い不能になったときに効果的な手段ですが、借金を全額免除という非常に効力が強い手続きの分、誰でも簡単に自己破産ができるわけではありません。

自己破産は、専門家に依頼したら手続きが完了するというわけではなく、裁判所から免責許可を得る必要があります。

自己破産の手続き中に、本当に借金をゼロにしていいのか、裁判所が判断するための「免責審尋(めんせきしんじん)」という手続きがあります。

免責審尋によって、自己破産できるかどうかが決められるため破産者にとっては大切な手続きとなります。

この記事では、免責審尋の内容や注意点について詳しく解説いたします。自己破産を検討している方は、ぜひご参考にしてください。

1章 免責審尋(めんせきしんじん)とは裁判所からの調査質問

免責審尋とは、自己破産の申立人が裁判所によって行われる調査や質問です。

自己破産で免責を受けるためには、専門家や債権者の判断だけでなく裁判官が申立人の借金の返済義務をなくしても良いか判断します。

裁判所が申立人の免責を認めるかどうか判断するために免責審尋を行い、破産理由などを調査します。

1-1 破産者本人が期日に裁判所へ出頭しなければいけない

免責審尋は裁判所内で行われるため、実際に破産者本人が免責審尋に出頭しなければいけません。

免責審尋の期日に、破産者本人が裁判所へ出頭し、質疑応答に答えます。

自己破産をするための重要な手続きとはいえ、裁判所に出頭と聞くと気が重いと感じるかもしれませんが、免責審尋自体は司法書士や弁護士といった専門家が同行することができます。

質問内容もおよそ決まっているため、期日前に専門家と一緒に返答内容を考えておくとよいでしょう。

2章 免責審尋の扱いは自己破産手続きによって異なる

自己破産の手続き

自己破産の手続きは「同時廃止」と「管財事件」の2種類があり、どちらの手続きとなるかによっても免責審尋の扱いが異なります。

どちらで手続きをするかは自分で選ぶことはできず、自己破産の内容や手続きを取るときの財産の所有状況などから判断されます。

自己破産手続きによって、免責審尋の対策が異なるためあらかじめチェックしておきましょう。

2-1 同時廃止の場合

同時廃止は、破産者が財産を持っておらず、生活苦や失業などやむを得ない事情で自己破産を選んだ場合に多い手続きです。

破産は債務者の財産を換価する手続きのため、財産がなければ行うことがありません。

そのため、債務者に財産がないことが明らかであれば、破産手続が開始すると「同時に」手続きが「廃止(終了)」されます。

同時廃止と呼ばれるのはこのためです。

破産手続きが決まった時点で、全ての借金が免除されて、新たな再スタートを切ることができます。

同時廃止が決まった場合は免責手続きに移ります。破産者の破産理由や申立て内容に変更がないか、自己破産が認められない理由(免責不許可事由)がないか調査するために、免責審尋が開かれ、裁判所が直接破産者に事情聴取します。

2-2 管財事件の場合

管財事件の場合

管財事件は、破産者が一定の財産を持っている場合や持っている疑いがある場合、破産者の借り方が不誠実だった場合に多い手続きです。

具体的には、以下の内容の場合は管財事件に該当することが多いです。

  • 財産額が20万円以上
  • 借金額が高額である(目安は1,000万円以上)
  • 法人の代表や個人事業主
  • ギャンブルが原因の借金など、免責不許可事由に関する調査が必要

管財事件になった場合は、破産管財人の選定が必要になり、その分手続きも複雑です。

免責審尋の前に、破産者の財産や配当についての報告を行ったり債権者の意見を聴取する債権者集会が行われます。

この債権者集会が終わらなければ、免責審尋に移れないため同時廃止よりも時間がかかります。

免責審尋自体は、同時廃止と同様に破産者の破産理由や申立て内容の確認をしていきます。また、免責不許可事由についても質疑応答があるため、しっかり反省の色を見せるように誠意を持って対応しましょう。

2-3 新型コロナウイルスの影響により免責審尋がないケースもある

ここ数年に流行している新型コロナウイルスの影響によって、免責審尋がない裁判所もあります。

2023年現在では、新型コロナウイルスによる規制も緩和されてきているため、免責審尋が復活しているケースが多いですが、裁判所によっては債権者集会や免責審尋がない場合や延期にする場合もあります。

通常の流れから変更になっている可能性もあるため、事前に各裁判所の情報をチェックしたり、専門家に問い合わせてみると良いでしょう。

実際にグリーン司法書士法人でも、免責審尋をしないで破産手続きを行なったケースもあります。ぜひご参考にしてください。

3章 免責審尋での質問内容は?

一部例外として、免責審尋がない場合もありますが、原則は自己破産を選択するのであれば免責審尋は避けて通れません。

免責審尋で裁判官に悪い印象を与えないためにも、免責審尋の期日に困らないように質問内容を把握しておくのがよいでしょう。

免責審尋での質問内容は、主に以下の項目を聞かれることが多いです。

  • 本籍地や住所、氏名など破産者に関する基本事項の確認
  • 提出した書類に間違いがないか
  • 破産した理由について
  • 破産した原因や破産したことに対してどう思っているか
  • 破産制度に対しての理解

ギャンブルや浪費などが原因で自己破産する場合は、心から反省しているかどうかも許可が降りるかどうかの判断材料になります。

例え、騙されてつくってしまった借金だとしても、真摯に対応するようにしましょう。

また、自己破産をするにあたって、破産申立てに至った事情を記載した「陳述書」と呼ばれる書類を作成する必要があります。

この陳述書と免責審尋での回答が異なる場合、裁判官に指摘される可能性が高いです。必ず本当のことを書くようにしましょう。

3-1 あらかじめ返答内容を考えておくのがベスト

免責審尋で聞かれる内容はほとんど決まっているため、あらかじめ専門家と一緒に返答内容を考えておくようにしましょう。

ここで、回答内容と申立書類と食い違った場合や、反省の色を見せない態度や言動を取ってしまった場合は破産手続きが取れなくなる可能性もあります。

実際のところ、嘘をつかずしっかり真面目な受け答えをしていれば、免責審尋が原因で破産許可が降りないケースはほとんどありません。

再スタートのチャンスを不意にしないためにも、期日までに準備をしておきましょう。

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4章 免責審尋を受けるときの注意点

免責審尋は、決められた期日に地方裁判所内にて行われます。

平日に行われることが多いので、平日は仕事をしている方は必ず休みを取っておきましょう。

当然ですが、絶対に遅刻は許されないので注意しましょう。遅刻をしてしまうと、裁判官の印象が悪くなり免責許可の判断に不利に働いてしまいます。

また、無断欠席をした場合も免責許可が降りない可能性があります。万が一、感染症にかかったり事故などでどうしても行けなくなってしまったら必ず専門家に連絡をしましょう。

4-1 服装や持ち物など準備するもの

服装については特に指定はありませんが、免責許可を決める大切な場ということもありTPOに沿った服装を心がけましょう。

アクセサリーや時計などの華美な装飾やカジュアルな服装は避けた方が無難です。Tシャツやサンダルだからといって免責許可が降りないということは考えにくいですが、印象が良くないのは確かです。

服装に迷った場合は、ジャケットやブラウスなどのオフィスカジュアルのような服装が好ましいといえます。女性の破産者はヒールの高さにも注意しましょう。

また、裁判所によっては事前に出頭カードを配布しているので、出頭カードを持っている場合は記載しておきましょう。

そのほかには、裁判所から届いた呼出状や身分証明書、認め印を持っておくと万が一にも安心です。

もし専門家なしで手続きを進めた場合は、提出書類も必ず持って行きましょう。

5章 免責審尋の当日の流れ

免責審尋自体の所要時間は10分〜15分程度と短めです。

免責審尋が行われる前に、受付の時間があるため早めの行動を心がけましょう。

電車やバスで向かう場合は、もし遅延しても慌てることがないように当日は時間に余裕を持っておくことが大切です。

ここで到着時間を過ぎてしまうとパニックになってしまい、免責審尋のために準備した回答が飛んでしまう可能性もあります。

聞かれたことをしっかりと答えられるように、落ち着いて行動できるようにしましょう。

6章 免責審尋後の流れ

免責の許可が降りるかどうかは免責審尋のみで判断されるわけではなく、提出した資料や管財人からの報告も含めて、総合的に判断されます。

そのため、免責審尋が終わってすぐに結論が出るわけではなく、1週間程度で免責許可・不許可の決定が通知されます。

裁判所によって免責決定までの期間が異なるため、結果が来るまで待ちましょう。

6-1 問題なければ裁判所からの免責許可決定

免責が決定したかどうかは、破産者に書面で通知します。専門家に依頼して自己破産の手続きを取った場合は、担当した専門家が免責決定正本を受領します。

また、免責許可決定から約2週間後に、官報に免責されたことが公告されます。官報の破産者の欄に自分の名前が載ってしまうので、自分の目で確認してしっかり反省しましょう。

官報に載った翌日から約2週間後、正式に免責許可決定が確定となります。

これで自己破産の手続きが全て終了となり、借金の苦しみから解放されます。

7章 自己破産の手続きは専門家に相談を!

自己破産は、借金を重ねてしまって返済不能に陥った場合の最終手段です。

全ての借金を免除するということは、それだけの理由が必要であり、効力が非常に強い手続きだということを覚えておきましょう。

無事に自己破産の手続きを完了させるためには、専門家と一緒に進めることが大切です。自己判断で進めてしまうとスムーズに免責許可が降りず、かえって時間と費用がかかってしまう可能性があります。

借金の返済が苦しくなった時点で、まずは自己破産すべきどうかをご相談ください。

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よくあるご質問

免責審尋では何が聞かれる?
免責審尋で聞かれることは、主に下記の通りです。
・本籍地や住所、氏名など破産者に関する基本事項の確認
・提出した書類に間違いがないか
・破産した理由について
・破産した原因や破産したことに対してどう思っているか
・破産制度に対しての理解
免責審尋について詳しくはコチラ
免責審尋の読み方は?
免責審尋(めんせきしんじん)と読みます。
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