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日本で借金の返済に苦しんでいる場合、自己破産をした後に海外移住で生活をやり直そうと考える人もいるのではないでしょうか。
自己破産の手続き前後に海外移住ができるかは、それぞれ下記の通りです。
自己破産申立て前 | できるが、あまりおすすめできない (海外移住しても、借金はなくならない) |
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自己破産手続き中 | 法律で海外移住や移動が制限される(管財事件の場合) 移動の制限はないが住所変更時に裁判所へ届出が必要(同時廃止の場合) |
自己破産後(免責決定後) | 海外移住や移動に一切の制限がなくなる (クレジットカードを所有できない問題は残る) |
上記の表のように、自己破産のタイミングで海外移住を考えるのであれば、自己破産の手続き後がおすすめです。
ただし、自己破産の手続き後は信用情報機関でブラックリストに登録されているので、免責後5~7年はクレジットカードの作成はできません。
本記事では、自己破産の手続き前後に海外移住はできるのか、海外移住する際のリスクや注意点などをわかりやすく解説していきます。
自己破産による生活への影響に関しては、下記の記事で詳しく解説しています。
目次 ▼
1章 自己破産手続き前の海外移住がおすすめできない理由
結論から言うと、自己破産手続き前の海外移住は以下の4つの理由からあまりおすすめできません。
- 借金成立には時効の援用が必要だから
- 海外移住の費用を捻出できないから
- 財産を差し押さえられる可能性があるから
- 連帯保証人に迷惑がかかるから
「海外逃亡してしまえば、自己破産をしなくても借金をチャラにできる」とお考えの人もいるかもしれませんが、現実的には難しく上記のように渡航費用すら捻出できない可能性が高いです。
それぞれ理由を詳しく解説していきます。
1-1 借金の時効成立には時効の援用が必要だから
借金には時効がありますが、自動的に時効が成立するわけではありません。
借金の時効を成立させるには、時効が成立した後に時効の援用と呼ばれる手続きが必要です。
また、時効の成立前に債権者が裁判を起こすと時効が中断されますし、判決後は時効が10年に延長されてしまいます。
海外移住した後に、自分の借金について裁判を起こされているのか判決が出ているかを調べるのは難しいでしょう。
1-2 海外移住の費用を捻出できないから
借金の返済が滞ると、信用情報機関に事故情報が登録されてしまいます。
事故情報を登録されてしまうと、クレジットカードによる支払いや新たに借金をすることができなくなります。
現実的に考えて、自分の借金の返済すら難しい人が新たな借金をせずに海外移住の費用を捻出するのは難しいでしょう。
1-3 財産を差し押さえされる可能性があるから
借金に担保がついている場合には、債務者の所在が不明でも差し押さえられてしまいます。
「海外移住してしまえば、自分の財産は没収されないはず」と考えている人はご注意ください。
1-4 連帯保証人に迷惑がかかるから
借金に連帯保証人がついている場合、債務者である自分が海外へ逃亡すると借金の返済義務を連帯保証人が負わなければなりません。
連帯保証人も借金の返済が難しい場合には、連帯保証人まで自己破産しなければならないケースもあり非常に迷惑がかかります。
このように、自己破産手続き前に海外に逃亡するのは得策ではありません。
一方で、自己破産の手続き中も海外移住や移動が制限される場合があります。次の章で詳しく見ていきましょう。
2章 自己破産手続き中は海外移住や移動が制限される場合がある
自己破産の手続きは同時廃止と管財事件に分けられますが、管財事件の場合は海外移住や移動が制限される場合もあります。
ただし、自己破産手続き中でも海外移住のためのパスポートは問題なく作成できます。
自己破産手続き中の海外移住やパスポート作成について、詳しく確認していきましょう。
2-1 管財事件の手続き中に移動する場合は裁判所の許可が必要
自己破産のうち管財事件の場合には、長距離の移動をする際に裁判所の許可が必要になります。
債務者の居所がわからなくなり、自己破産の手続きに支障がでることを防ぐためです。
管財事件の場合には、旅行など移動が必要な場合には裁判所に申請し許可を得る必要があります。
管財事件では破産管財人が債務について確認する三者面談や債権者集会もあるので、これらの手続きが完了するまでは許可が降りない可能性が高いです。
破産管財人によって財産の調査や債務者が所有している財産の分配が必要と判断されると、同時廃止ではなく管財事件になります。
具体的には、以下に当てはまる場合は管財事件となる可能性が高いです。
- 財産額が20万円以上
- 法人の代表や個人事業主
- 債務額が5,000万円以上
- 免責不許可事由に関する調査が必要
なお、管財事件かを最終的に判断するのは裁判所です。
そのため、上記に当てはまらないケースでも管財事件となってしまう可能性もあります。
2-2 同時廃止の手続き中は住所変更時に報告が必要
同時廃止は管財事件と異なり、移動に制限がかかりません。
ただし、破産開始手続き開始から免責許可が降りるまでの3ヶ月程度の期間内に住所を変更する場合には、裁判所への届出が必要です。
同時廃止の場合、法律上は移動に制限がかかりませんが、現実的に考えて破産手続中の海外移住は難しいでしょう。
2-3 自己破産手続き中でもパスポートは作れる
管財事件、同時廃止といった自己破産の種類に関わらず、パスポートの新規作成や更新は自己破産の手続き中でも問題なく行えます。
また、自己破産をしたからといってパスポートに記録が残ることはないので、ご安心ください。
自己破産手続きの中でも管財事件に該当する場合、海外への移住や移動、旅行が制限される恐れがあります。
次の章では、自己破産による免責が決定した後の海外移住について詳しく解説していきます。
3章 自己破産手続き後は海外移住や移動に制限がなくなる
自己破産手続き中は海外移住や移動が制限される可能 性がある一方で、自己破産の手続きが完了し免責が決定した後は海外への移住や移動に制限がなくなります。
また、自己破産をしたことはパスポートなどにも記録されないので、海外移住をした後に過去に行った自己破産がバレる可能性も低いでしょう。
自己破産をすると信用情報機関のブラックリストに登録されてしまいます。
ブラックリスト登録後の5~7年間程度はクレジットカードの作成や新たな借入をすることができません。
現金ではなくクレジットカード中心の国に移住しようとする場合、海外での生活そのものが不便になるリスクがあります。
対策としては、家族カードを利用する、デビッドカードやプリペイドカードを活用するなどを検討しておきましょう。
まとめ
自己破産の手続き前後に海外移住を考えている場合には、手続きが完了し免責が決定してから海外に行くのが良いでしょう。
自己破産の手続き後は海外移住や移動に一切の制限がなくなります。
パスポートに自己破産の記録が残る心配もありませんが、自己破産後は5~7年間クレジットカードの作成ができない点に注意が必要です。
自己破産完了までには、数ヶ月から1年以上かかるケースも多いので、海外移住を考えているのであれば早めに手続きをするのが良いでしょう。
自己破産の手続きをスムーズにしたいのであれば、司法書士や弁護士などの専門家への相談もご検討ください。
グリーン司法書士法人では、自己破産を始めとした債務整理に関する相談をお受けしています。
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よくあるご質問
- 自己破産をしても海外に行ける?
- 自己破産の手続き完了後は海外移住や移動に一切の制限がなくなるため、旅行も移住も可能です。
ただし、自己破産後はクレジットカードを作れないので海外での生活や旅行に困る可能性はあります。
自己破産と海外移住について詳しくはコチラ
- 自己破産中・後でもパスポートを作れる?
- 自己破産手続き中・後でも海外移住のためのパスポートは問題なく作成できます。
自己破産とパスポートについて詳しくはコチラ