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「借金が大きくなって首が回らなくなったから自己破産をしようかと考えているけど、公務員の仕事に影響はないのか…?」
そういったご相談をいただくことがあります。
しかし、ご安心ください。自己破産をしたことによって公務員の仕事を失ったり、自己破産をした経歴が公務員への就職に影響が出たりすることはありません。
とはいえ、職場に自己破産の事実が知られてしまう可能性はゼロではないので、職業柄、自己破産などの債務整理には慎重になりますよね。
この記事では、公務員が自己破産したらどうなるのかについて詳しく解説します。
目次 ▼
1章 公務員が自己破産をしてもクビになることはない
市役所の職員や教員、警察官など一般的な公務員が自己破産をしても解雇されたり懲戒処分にされたりするようなことはありません。
法律上、借金などを理由に解雇・懲戒処分することは認められていないためです。
また公務員の欠格事由は複数ありますが、その中に自己破産は含まれていません。
ただし、公務員であっても、以下の職業の場合、何らかの処分がされる可能性はあります。
- 公証人
- 人事院の人事官
- 都道府県公安委員会
- 証券取引委員会(公正取引委員会)
- 教育委員会
自己破産の手続きをしている間、資格や職を制限されるものがあります。
以下は資格・職業の一部です。
- 弁護士、弁理士、司法書士、税理士、公認会計士などのいわゆる「士業」と呼ばれる資格
- 警備員
- 生命保険募集人
- 建築業を営む者
- 質屋を営むも者
- 貸金業者として登録している者
- 商工会議所や金融商品取引業、信用金庫、日本銀行、労働派遣業など団体企業の役員
- 会社の取締役・執行役員・監査役
2章 公務員が自己破産をすると職場に知られてしまう可能性はある
一般的な公務員であれば、自己破産を理由に解雇・懲戒処分されることはありませんが、職場に自己破産の事実を知られてしまう可能性はあります。
知られてしまう要因としては、主に以下の2つです。
- 共済の借り入れがあると共済組合に通知が行く
- 官報に掲載される
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2−1 共済の借り入れがあると共済組合に通知が行く
公務員の場合、共済組合に加入し、共済組合から借り入れをしているケースがあります。この場合、給与からの天引きで返済をします。
共済組合からの借り入れであっても、自己破産の手続きをすれば、返済はストップされることとなります。
そのため、職場の給与担当が、天引きのストップに気づき、自己破産の事実が知られてしまう可能性があります。
2−2 官報に掲載される
非常に稀なケースですが、自己破産すると官報に情報が掲載されるため、職場の人の目に入り、知られてしまうということもあります。
官報とは、国が発行している機関紙(新聞のようなもの)で、破産の情報や法律の改正の情報、裁判の内容などが掲載されています。
自己破産の手続きをする上で、「破産手続の開始決定が出たとき」と「免責許可が下りたとき」の2回、官報にその旨が掲載されます。
とはいえ、官報を確認するのは金融機関で働く人や、市区町村の税金担当者といった限られた人ですし、すべての情報を細かく見る人はなかなかいないでしょう。
そのため、「官報に掲載されたから、自己破産がバレた」という状況は非常に稀です。
3章 公務員が自己破産をする場合には退職金の取り扱いに注意
公務員の場合、退職金制度があることがほとんどであり、その金額も高額になる傾向があります。
退職金が高額の場合、自己破産の手続きが同時廃止ではなく、より複雑な管財事件として扱われる可能性があるので注意が必要です。
同時廃止・管財事件の違いについてはこちらを御覧ください。
また、退職金がある場合、まだ受け取っていいなくても、自己破産の手続きをする上で退職金の一部ないし全部を破産財団に組み入れなければいけません。(破産財団に組み入れたお金は、債権者への返済に充てられます)
具体的に財団組入れとなる額は以下のとおりです。
横スクロールできます
受け取り時期 | 支払う金額 |
すでに退職金を受け取っている | 預貯金として扱われ、手続き時点で所有する預貯金の全額 ※99万円以下の現金は残すことが可能 |
退職したが、まだ退職金を受け取っていない | 退職金の1/4 |
まだ在職中で退職の予定がない | 仮に手続き時点で退職した場合に支払われる退職金の1/8 |
まだ退職金を受け取っていない場合でも、職場から前借りをして支払うようなことはほとんどなく、手続中に支払うべき金額を積み立てて支払うのが一般的です。
公務員の場合、退職金が数千万円になることもありますので、1/4、1/8であっても支払いが難しくなることもあるでしょう。
退職金は一般に高額になりやすいですし、残したい方も大勢いらっしゃるでしょう。そのような場合にはより適切な対応が必要になるので、必ず専門家に相談するようにしてください。
4章 これから公務員になる場合も就職に影響はない
現在公務員ではなくても、将来的に公務員の職に就こうと思っている方もいらっしゃるでしょう。
そのような場合も、自己破産をした経歴があるからといって、就職に影響が出ることはありません。
公務員の採用条件に「破産者でないこと」というものは通常ないからです。
なお、1章で紹介した「自己破産によって制限がある資格・職業」であっても、制限されるのは自己破産手続き中だけです。自己破産の手続きが終われば、従来どおり職につくことができます。
一定の職業に就くことが制限される(その資格を使って仕事ができなくなる)期間は、正確に言えば「破産管財人が就いている間」です。
専門家に破産手続きを依頼してから免責決定が出るまでではありません。
裁判所に申立てをし、裁判所から破産管財人が選任されてからがスタートです。
個人の自己破産の場合、破産管財人が就く期間は、一般的には2~3か月間で終わることが多いでしょう。
逆に言えば、同時廃止で進む場合は、実際に資格制限がかかる期間はありません。
5章 自己破産したくないときは任意整理も検討しよう
- 自己破産の事実を会社に知られたくない
- 自己破産によって仕事を失う可能性がある職に就いている
- 退職金を失いたくない
などの理由で、自己破産を避けたいという方もいらっしゃるでしょう。
そのような場合には、任意整理も検討しましょう。
任意整理とは、債権者と交渉することによって、利息をカットし、返済額を減額する手続きです。
任意整理であれば裁判所を通すことはないため官報には載りませんし、共済組合からの債権を避けて手続きすれば給与担当者に知られることもありません。
また、自己破産のように退職金が没収されるようなこともありません。
ただし、任意整理はあくまで利息のカットのみですので、自己破産のように借金をなくすことはできません。
借金の額や状況に応じて、どのような債務整理をするべきか専門家に相談するようにしましょう。
6章 自己破産はグリーン司法書士にお任せください!
グリーン司法書士法人では、これまで多くの自己破産を解決してまいりました。
自己破産は大きな手続きですので、不安なことも多いでしょう。
当事務所にご相談いただければ、どんな些細なお悩みでも、わかりやすく丁寧にご説明させていただきます。
なお、初回のご相談は無料です。オンライン相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。
自己破産に関する記事を沢山公開していますので、合わせてご覧ください。
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よくあるご質問
- 自己破産時の職業制限はいつまで?
- 自己破産申請中は一部の職業に就くことを制限されます。
ただし、自己破産の手続きが完了し免責決定された後は職業の制限はなくなります。
自己破産時の職業制限について詳しくはコチラ
- 自己破産は官報のどこに掲載される?
- 自己破産をすると国の新聞である官報の公告部分に掲載されます。
掲載される内容は破産者の氏名および住所です。
自己破産時に掲載される官報について詳しくはコチラ