自己破産で官報に載るのは怖くない!掲載理由とタイミングを解説

司法書士山田 愼一

監修者:グリーン司法書士法人   山田 愼一
【所属】東京司法書士会 登録番号東京第8849号 / 東京都行政書士会所属 会員番号第14026号 【保有資格】司法書士・行政書士・家族信託専門士・M&Aシニアエキスパート 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」著者・「はじめての相続」監修など多数

自己破産
自己破産すると官報に載る

この記事は約 8 分で読めます。

 この記事を読んでわかること
  • 官報とは何か
  • 官報に掲載される理由
  • 官報に掲載されるタイミング
自己破産したことがバレてしまうの?

自己破産して官報に掲載されたら自己破産したことがバレてしまうと思っていませんか?確かに官報は誰でも読むことができますが、実際のところ官報から過去の自己破産がバレることは珍しいです。誰でも見ることができるのにどうしてバレないのか、官報の正体から解説していきます。

自己破産については、下記の記事でわかりやすく解説しています。

1章 官報とは

官報とは内閣府が発行している機関紙であり、自己破産をすると氏名や住所が掲載されます。

まずは、官報とは何か解説していきます。
官報とは内閣府が発行している機関紙であり、自己破産をすると氏名や住所が掲載されます。

1-1 官報は国の新聞

官報とは内閣府が発行し、国立印刷局が編集・印刷・配信している国の機関紙です。法令や政府情報を国民に伝えており、行政機関の休日以外は毎日発行されています。官報の歴史は古く、明治16(1873)年7月2日に創刊されました。

1-2 官報の記事

官報の記事の内容は、文書、告知、会社の決算報告です。

官報には政府や省庁などが発表する文書や告知、会社の決算報告などが載っています。政府や省庁などが発表する文書には、法令・政令・条約や大臣の人事、最低賃金などがあります。政府や省庁などからの告知は、高速道路の料金の変更、国家資格の登録者などです。

1-3 自己破産の記事

自己破産したときに官報に載る内容は次のような記事です。個人情報としては名前住所が載ります。

自己破産の記事

1-4 官報を見る方法

官報を見る方法は①インターネット②図書館③購入です。

官報を見る方法は主に3つです。国立印刷局や東京官報販売所では掲示もされています。

①インターネット
官報にはインターネット版があり、PDFで公開されています。直近30日分と一部対象の記事は無料で閲覧できます。それ以外の部分は有料で、官報情報検索サービスに加入する必要があります。非公式ですが、個人情報以外の無料公開分を検索できるサイトもあるようです。
国会図書館のデジタルコレクションでは明治16(1883)年7月2日から昭和27(1952)年4月30日までの官報を見ることができます。
全国官報販売協同組合の官報検索では、目次を無料で検索できます。

②図書館
官報を閲覧したり、官報情報検索サービスを利用したりできる図書館があります。

③購入
官報は誰でも購入することができますが、普通の書店には売っていません。官報の販売所は各都道府県の県庁所在地に1か所あります。東京都と愛知県は例外で、東京は千代田区にあり、愛知県は2か所あります。

定期購入は1ヶ月 3,841円(本体 1,520円+消費税121円+送料2,200円)となっています。

1-5 官報で破産者を検索できる?

1-4で紹介した閲覧方法で自己破産した人を官報で名前検索できるものはありません。個人情報が検索方法の対象外か、官報自体がPDFや画像として公開されているからです。官報情報検索サービスの一部プランでは個人情報部分を検索すること自体は可能です。しかし、プライバシーを侵害する行為や名誉を傷つける行為は利用規約で禁止されており、損害賠償の可能性もあります。悪用は許されません

2章 官報に載せられる理由

大切な個人情報を官報に載せるのは、お金を貸した人(債権者)のためです。
破産は借金を帳消しにします。

これは債権者からすれば、貸したお金がほぼ返ってこないという大変な事態です。そのうえ知らない間に破産されて手続きに参加できないと、返済を全く受けられなくなってしまいます。もちろん破産するときに債権者を調べて連絡しますが、忘れられている債権者がいないとは言い切れません。

そこで官報を使って債権者がいないか日本全国に呼び掛けることにしています。


つまり、自己破産をして官報に載るのは債権者が破産手続きに参加することを保障するためです。決して破産者を吊るし上げるためではありません。

3章 官報に載るのは基本2回

自己破産で官報に載るのは、手続き開始のときと免責決定のときの基本2回です。管財事件という手続きになったときは3回になることもあります。


1章で挙げた例は同時廃止という手続きになった場合の手続き開始の記事です。他の場合も主文や理由の要旨の部分が多少変わる程度で、大きくは変わりません。

4章 官報への掲載を拒否・削除はできない

官報への掲載を拒否することはできません。


自己破産をすれば必ず官報に載ります。なぜなら自己破産したときに官報に載ることは法律で決まっているからです。3章と重複しますが、官報に載るのは忘れられている債権者を探すためです。官報への掲載を自由に拒否できることにすると、債権者が忘れられたままになってしまいます。


官報に載った記事を後から削除する方法もありません。ただし、もし掲載された情報に間違いがあれば訂正することは可能です。

5章 「官報に載ってバレた」はレアケース

「官報に載ったのを見られて自己破産したことがバレた」というのは非常に珍しいケースです。というのも実際に官報を見ている人は少ないからです。官報を見ているのは区役所などの税金担当者や、金融機関・信用情報機関で働く人など一部の限られた人たちです。確かに官報は誰でも見ることができますが、だからといって見る人が多いわけではありません。


さらに官報はほぼ毎日発行され、日本全国の様々な内容が掲載されています。破産だけに限っても年間数万件あります。その中から知り合いを探すのであれば、毎日官報の破産情報を全て手作業でチェックすることになります。これは大変な作業です。そこまでして知り合いが破産しているか調べる人はなかなかいないでしょう。


官報が誰でも見ることができるものである以上、官報から自己破産したことがバレる可能性は0ではありません。しかし実際に見ている人は少なく、見たとしてもたくさんの記事の中から探し出すのは大変です。官報からはまずバレないと言っていいでしょう。

6章 破産者情報の悪用はしてはいけない

官報の破産者の情報をまとめ地図上に表示する破産者マップが以前話題になりました。自己破産をしたら直接官報を見られることはなくても、このようにネットで公開されてしまうのではないかと不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここからは官報以外から破産したことがバレる可能性について解説していきます。

6-1 破産者マップは削除された

破産者マップは現在閉鎖されています。個人情報保護法違反だからです。個人情報保護委員会が破産者マップに対し運営停止命令を出しましたが、この命令に従わないと罰金や懲役の可能性もあります。既に公開されている情報とはいえ、さらに拡散させることは名誉棄損やプライバシーの侵害にもなりかねません。

実際に破産者マップの運営者を訴える動きもありました。また、弁護士や司法書士など様々な人が法整備や制度の変更などの対策を政府に求めています。


自己破産は毎年数万件行われています。その情報を集めてサイトにまとめるのはそれだけでも大変です。そのうえ破産者マップは違法であることが明確になり、名誉棄損やプライバシーの侵害で訴えられる可能性もあります。今後新しくサイトを開設するのは難しいでしょう。

6-2 破産者名簿は気にする必要なし

自己破産をすると「破産者リスト」のようなものに氏名が掲載されると考えている人もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、破産者名簿は存在するものの一般公開はされておらず、気にする必要はほとんどありません。

破産者名簿から自己破産をしたことがバレる可能性がない理由は、下記の通りです。

  • 免責決定が下りなかったときにだけ載るから
  • 一般公開されないから

破産者名簿は自己破産の手続きをしたものの免責許可を受けられなかった人のみ記載されるようになりました。
自己破産の手続きをするとほとんどの人が免責を受けられるため、そもそも破産者名簿に氏名が掲載される可能性は低いです。

また、破産し者名簿は身分証明書を作るためのものであり、一般公開はされません。
本人および代理人のみが破産者名簿を取得できるため、破産者名簿から自己破産したことがバレる可能性はまずないでしょう。

まとめ

自己破産をすると官報に載ります。これは避けられません。
しかし官報を見ている人はごく一部の人で、官報からバレることは非常に珍しいです。破産者マップのように、官報の情報が本来の目的とは異なる利用がされたこともありますが、これは法律違反であり許されません。
自己破産は生活再建のための制度であり、有効な手段です。大阪債務整理・自己破産相談センターでは、自己破産に関するご相談は無料、着手金もかかりません。不安も含めて一度専門家に相談し、生活を立て直すための一歩を踏み出しましょう。

自己破産に関する記事を沢山公開していますので、合わせてご覧ください。

アクセス数が多いキーワード:自己破産 条件

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よくあるご質問

自己破産をするとどんな情報が官報に載る?
自己破産をすると、氏名と住所が官報に掲載されます。
他には、破産手続きが開始されたことが記載されています。
官報について詳しくはコチラ
自己破産をするといつ官報に載るの?
自己破産をすると、①手続き開始時と②免責決定時に官報に氏名と住所が掲載されます。
ただし、自己破産が管財事件の場合には3回官報に氏名と住所が掲載去れる場合もあります。
詳しくはコチラ
官報はどこで見られる?
官報を見る方法は、主に下記の3つです。
①インターネット
②図書館
③購入
官報を見る方法について詳しくはコチラ
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