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- 催促の電話の頻度に明確な決まりはない
- 催促の電話で禁止されている行為
- 催促の電話をストップさせる方法
借金の返済が滞ると、借入先から催促の電話がかかってくることは避けられません。頻繁にかかってきたりスマホに多くの着信履歴が残っていたりすると、心穏やかではいられないでしょう。
借金返済の催促の電話には対応したくないものですが、放置しているとさらに頻度が増す可能性があります。家族や友人と一緒にいる時に頻繁にかかってくる電話に、疑いの目を持たれるかもしれません。
今回は、催促の電話で禁止されている行為や催促電話をストップさせる方法について解説します。催促電話に悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
目次 ▼
1章 催促の電話の頻度はどれくらい?
「借金返済の催促の電話はどのくらいの頻度でかかってくるのが一般的なのか」「明確な規制はないのか」と疑問に思っている人もいるでしょう。
実際、催促の電話の頻度は法律で定められているのでしょうか?
1-1 頻度や回数に関する明確な決まりはない
催促の電話における頻度や回数を具体的に定めた法律はありませんが、日本貸金業協会では「業務運営に関する自主規制」を設けています。自主規制基本規則には、「催促の連絡を一日4回以上行うことは私生活もしくは仕事の平穏を害する恐れがある」と表示しています。このことからも、1日に3回程度であれば通常の範囲と考えられるでしょう。
一般的に、クレジットカード会社では2日に1回くらい、銀行ローンでは週に1回ほど、消費者金融では毎日かけてくるなど、借入先によっても頻度に違いがあります。
また、日中は仕事でほぼ電話に出られないという場合、朝や夜にかかってくる可能性もあります。これも、深夜早朝など禁止される時間帯でなければ違法にはなりません。
1-2 1日に十数回以上の電話をかけてくるのは違法の可能性がある
ただし、1日に十数回も電話をかけてくるような場合は、違法の可能性があります。
貸金業法では、第二十一条(取立て行為の規制)に、「人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。」と定めています。1日数回程度の範囲を超えてかかってくる催促の電話は、私生活の平穏を害する行為とみなされる可能性があり、貸金業法に違反した貸金業者には罰則が科せられる可能性があります。
もし違法な取り立てを受けている場合には、弁護士や司法書士などの専門家に相談をしましょう。
2章 催促の電話で禁止されている行為
借金返済の催促の電話において、借入先の金融機関に禁止されている行為を4つに絞って解説します。
2-1 規定時間以外に電話をしてくる
貸金業者などが借金返済の催促をする場合、正当な理由を除き夜9時から翌朝8時の間に取り立て行為を行うことは、貸金業法および貸金業法施行規則で禁止されています。
貸金業法第21条(取立て行為の規制)
一 正当な理由がないのに、社会通念に照らし不適当と認められる時間帯として内閣府令で定める時間帯に、債務者等に電話をかけ、(中略)又は債務者等の居宅を訪問すること。
貸金業法施行規則第19条(取立て行為の規制)
内閣府令で定める時間帯は、午後九時から午前八時までの間とする。
ただし曜日については、特に定めはありません。そのため、土日や祝日に電話がかかってきても違法にはあたらず、平日に電話をしても出ない場合、土日祝日に電話がかかってくる可能性があります。
2-2 本人以外に催促の電話をする
催促の電話を行う場合、原則として、本人にのみ連絡をすることが認められています。
本人の家族・勤務先・友人・知人など、本人以外の者に対して借金を支払うよう求める行為は、貸金業法で禁止されています。
貸金業法第21条(取立て行為の規制)
七 債務者等以外の者に対し、債務者等に代わつて債務を弁済することを要求すること。
本人とどうしても連絡が取れない場合でも、本人以外の人にむやみに借金のことを伝えたり支払いを迫ったりする行為は禁止されており、本人の連絡先を確認する程度にとどめることが規定されています。
ただし、ヤミ金のような違法な業者は、貸金業法を守ることなく本人以外に対しても返済を迫る行為を行う可能性があります。このような事態を避けるためにも、ヤミ金には手を出さないことが重要です。
2-3 電話口で脅迫・恫喝行為をする
催促の電話口で、脅迫したり怒鳴ったりする行為は禁止されています。
相手に不安や恐怖を与え、精神的な圧力をかける行為であり、貸金業法第二十一条および貸金業の業務運営に関する自主規制に違反する行為です。
貸金業法第21条(取立て行為の規制)
貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たつて、人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。
貸金業の業務運営に関する自主規制
第 8 節 取立て行為に関する規則 第 69 条
協会員は、取立て行為を行うにあたり、定められる法及び関連する法律を遵守するとともに、以下に掲げる行為は法第 21 条第 1 項に定める「威迫」及び「その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動」に該当する恐れがあること、また、この規則第 70 条、第 71 条及び第 72 条を留意し必要な社内態勢整備に努めなければならない。
(以下省略)
⑴ 大声をあげたり、乱暴な言葉を使うなど暴力的な態度をとること。
(以下省略)
ただし、これらの行為についてはどの程度で違法と主張できるのか、判断しづらい面があります。自分で違法かどうか判断ができないようなケースでは、スマホの録音機能などを利用して会話を録音し専門家に相談すると良いでしょう。
また、相手がヤミ金業者で明らかな脅迫・恫喝行為に困っている場合は、ヤミ金問題に強い弁護士に相談されることをおすすめします。
2-4 他社で借金をして返済するように促す
借金返済の催促を行う中で、「他の金融業者から借りてすぐ返済するように」など、返済のためにお金を借りるよう促すことは、貸金業法で禁止されている行為です。
貸金業法第21条(取立て行為の規制)
六 債務者等に対し、債務者等以外の者からの金銭の借入れその他これに類する方法により貸付けの契約に基づく債務の弁済資金を調達することを要求すること。
これらの発言は、債務者にさらなる借金を重ねさせ多重債務に陥らせる危険な行為です。催促の際にこのように強制をされても、従うことのないように気をつけましょう。
3章 催促の電話をストップさせる方法
借金返済の催促の電話は、支払いをして延滞が解消されるまで継続されます。複数の貸金業者で借り入れ延滞している場合、各々の会社が催促の電話をかけてくるため、電話に出ないでいると催促の電話の着信履歴でいっぱいになってしまうでしょう。
返済ができず催促を受けている場合、どうやって電話をストップさせればよいのでしょうか。対策として、以下の2つがあります。
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- 返済スケジュールや回数について借入先に相談する
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- 司法書士や弁護士に債務整理の相談をする
3-1 返済スケジュール・回数について相談する
いつどのようにいくら返済できるか予定をたて、「○日に給与が入る予定なので、△円を返済できる。」「△円を×回に分けて返済したい。」など、1か月以内に返済できる予定があれば金融機関に伝えましょう。
日本貸金業協会の「業務運営に関する自主規制基本規則」には、1か月以内に返済予定を示し、かつ給与など確実な収入が見込まれる場合は取り立てをしないようにと定めています。
単に「必ず返済します。」という漠然とした約束ではなく、1か月以内の入金予定やその根拠を明確にすることで、催促の電話が止まる可能性が高くなります。
ただし、すべての催促の電話が必ず止まるというわけではありません。日本貸金業協会に加入していない貸金業者など、規則を守る義務がない場合もあります。
3-2 司法書士・弁護士に債務整理の相談をする
1か月以内に返済できる見込みがない、完済できるまで返済を継続できそうにないといった場合は、司法書士や弁護士に債務整理の相談をしましょう。
司法書士や弁護士に債務整理の依頼をすると、「受任通知」が債権者宛に発送されます。受任通知とは、債務整理の依頼を受けた司法書士や弁護士などの専門家が、代理人になったことを債権者に対して知らせる通知です。介入通知や債務整理開始通知などと呼ばれることもあります。
受任通知には、必ず次のことが記されています。
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- 債務整理を開始すること
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- 依頼者(債務者)への連絡は控え、司法書士・弁護士に連絡を行うこと
受任通知を受け取った貸金業者は、これまでのように債務者に直接連絡をすることは貸金業法で禁止されています。そのため、取り立て行為をすぐに止める効力があります。
貸金業法第21条(取立て行為の規制)
九 債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士、弁護士法人若しくは弁護士・外国法事務弁護士共同法人若しくは司法書士若しくは司法書士法人(以下この号において「弁護士等」という。)に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。
債務整理を依頼し催促の電話が止まると、精神的なプレッシャーや焦りから解放されます。
専門家のアドバイスを受けながら、返済や催促の電話に追われていたこれまでの生活を立て直し、債務整理の手続きを着実に進めていくことができるでしょう。
4章 借金の自力返済が難しいなら債務整理を検討しよう
借金を自力で返済することが困難な場合は、「債務整理」を検討してみましょう。債務整理とは、債権者との交渉や裁判所での手続きを経て、借金の減額や免除などを受けられる手続きです。
債務整理の主な種類には、任意整理・個人再生・自己破産の3つがあります。
4-1 任意整理
「任意整理」とは裁判所の関わりなく、将来発生する利息のカットや長期分割払いなどについて、債権者と交渉し和解を目指す手続きです。今より楽に、毎月の返済ができるようになります。
裁判所を通す手続きではないため、自宅や車などを手放す必要はありません。連帯保証人がいる借金だけ手続きしないなど、手続きを行う債権者を選ぶこともできます。
借金総額が大きく減る手続きではありませんが、かかる時間や費用面でも手軽にできる手続きです。
4-2 個人再生
「個人再生」とは、大幅に減額してもらった借金を原則3年間で完済する再生計画案を作成し、裁判所に提出して認可をもらう手続きです。
具体的には、借金の元本を5分の1から10分の1程度に減額できます。再生計画どおりに完済すると、減額した分の借金について支払義務がなくなります。
また、個人再生の大きな特徴として、住宅ローン返済中の自宅がある人は、マイホームを処分することなく手続きができるというメリットがあります。
任意整理では返済できない多額の借金がある場合や、自宅など処分したくない財産がある場合に個人再生は大変有効な手続きです。
4-3 自己破産
「自己破産」とは、支払不能な状態である場合に、税金の滞納分などを除いた借金の返済義務を免除してもらう手続きです。
原則的に返済義務がなくなるという大きなメリットがある一方で、自宅などの高価な財産を手元に残しておくことはできません。
しかし自己破産は、返済不可能な借金を抱える人に経済的リセットを行うことで、再スタートの機会を提供できる手続きといえるでしょう。
まとめ
催促の電話は、延滞を続けている限り止まることはありません。しかし、法律で禁止されている取り立て行為も多く、過度な電話や脅迫まがいの言動に悩む必要はありません。
まずは、現状を冷静に整理し、返済スケジュールの相談や債務整理の検討など、取れる対策を一つずつ実行していきましょう。
司法書士や弁護士に債務整理を依頼すれば、催促の電話は法的に止めることができます。精神的な負担を減らし、生活を立て直す第一歩として、専門家への相談を検討してみてください。
「もう電話が鳴るのが怖い」という毎日から抜け出すためにも、早めの行動が何より大切です。
グリーン司法書士法人では、これまで7,000件以上の債務整理相談を受任・解決してきた実績があり、安心してご相談・ご依頼いただけます。初回のご相談は無料で、オンライン相談も可能です。
借金問題は、ご相談が早ければ早いほど、解決のための選択肢が多く選びやすいといえます。お一人で悩まず、ぜひお気軽にご相談ください。
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