この記事は約 9 分で読めます。
- 任意整理をしても官報に掲載されることはない
- 官報に掲載されても実際に周りに知られる可能性は限りなく低い
- 官報には掲載されないがブラックリストには登録される
- 借金の総額が大きい場合は官報に掲載されても別の債務整理がおすすめ
自己破産や個人再生をすると、国の法令や公示事項を掲載する「官報」に掲載されます。
同じ債務整理なので「任意整理をした場合も、官報に名前が載って周りにバレるのでは?」と心配に思う方も多いかと思います。
しかし、任意整理の手続きでは官報に掲載されることはありません。
この記事では、官報に掲載される債務整理の種類とデメリットを解説し、どの債務整理が自分に合っているのかを紹介します。安心して債務整理を進めるためにも確認しておきましょう。
目次 ▼
1章 任意整理をしても官報には掲載されない
結論から言うと、任意整理をしても官報に掲載されることはないのでご安心ください。
任意整理は、司法書士や弁護士などの専門家と債権者が直接交渉をして、利息のカットや返済計画の再設定をする手続きです。おおまかな任意整理の流れは以下になっています。
- 専門家に依頼
- 受任通知の送付
- 和解内容の提案・引き直し計算
- 和解案の作成
- 債権者と和解交渉
- 和解成立
- 和解書の取り交わし
手続きの流れを見て分かるように、任意整理は裁判所を通さない手続きなので、官報には掲載されません。
そのため、債務整理をしていることが周囲に知られる可能性は低く、プライバシーを守りながら借金問題を解決したい方や家族に内緒の借金がある方に向いています。
2章 任意整理以外の債務整理は官報に掲載される
任意整理をしても官報には載りませんが、個人再生や自己破産の手続きでは官報に名前が載るので注意が必要です。しかし、任意整理と異なり借金を大幅に減額できるので、借金額によっては選択肢の一つとして考えておくのもよいでしょう。
では、個人再生や自己破産の手続きの特徴を見ていきましょう。
2-1 個人再生
個人再生は、借金を5分の1〜10分の1に減額して原則3年で返済していく手続きです。任意整理と比較して借金を大幅に減額できるので、借金の総額が大きい場合に向いています。
全ての借金が債務整理の対象になるので、多重債務に陥っている場合でも安心して債務整理が可能です。また、持ち家などの財産を残しておけるので手放したくない財産がある方にもよいでしょう。
2-2 自己破産
自己破産は、借金を全てなくす手続きです。税金や罰金などの一部を除いた債務の全額が免除の対象になるため、手続きが完了したら借金の苦しみから解放されます。
ただし、自己破産は債務整理のなかでも効力が強い手続きのため、必要最低限以外の財産は全て失ってしまうので注意が必要です。持ち家や車がある場合は任意整理か個人再生を選ぶのがよいでしょう。
3章 官報に載るとどんなデメリットがある?
官報は国の公報として誰でも閲覧可能ですが、一般の人が日常的に目にするものではないため、周囲に知られるリスクは低いです。とはいえ、官報に名前が載るリスクや将来への影響が気になる方も多いことだと思います。
では、官報に載るとどのようなデメリットがあるのか見ていきましょう。
3-1 ブラックリストに登録される
官報に掲載されると、信用情報機関にも債務整理の情報が登録されます。
債務整理の情報が登録されるとブラックリスト扱いになるため、一定期間クレジットカードの新規発行やローン、借入の審査が通りません。そのため、近いうちに住宅ローンや自動車ローンの利用をしたい方は注意が必要です。
ただし、任意整理の場合でも債務整理をするとブラックリストに登録されてしまいます。官報に掲載されないからといって、ブラックリストを避けることはできないので覚えておきましょう。
3-2 知り合いが発見する可能性がある
官報は、インターネットや図書館などで誰でも閲覧できるため、知り合いに個人再生や自己破産の手続きをした事実が知られる可能性があります。しかし、名前を検索するには法人契約をして有料会員にならないといけないため、インターネット検索でバレる心配はほとんどないでしょう。
また、直近90日以前の官報は無料で閲覧できないようになっているため、今後もし何かのタイミングで債務整理をした噂が流れても遡ってチェックされる可能性は低いです。
よって、知り合いが発見するリスクは限りなくゼロに近いでしょう。それでもバレてしまう不安がある場合は、官報に掲載されない任意整理を検討するのがおすすめです。
3-3 闇金や闇バイトに誘われる可能性がある
官報は、債務整理をした人の住所や名前が掲載されます。そのため、悪質な業者が自己破産や個人再生をした人の情報を確認するために日常的に官報を閲覧しているケースも少なくありません。
なぜなら、債務整理をすると一定期間は借入できないため、お金に困っていると判断して高金利の闇金や危険な仕事をすすめるためです。当然、このような勧誘は法外な利息や違法行為のリスクが高いため、大きなトラブルにつながる恐れがあります。
知らないうちに犯罪に加担させられる可能性もあるため、もし勧誘があっても決して誘いに乗らずに市区町村の窓口や警察庁など信頼できる機関に相談しましょう。
4章 任意整理は官報には載らないがブラックリストには登録される
任意整理は、専門家と債権者の間で交渉をするため官報に載ることはありません。しかし、債務整理をして借金を減額している以上は、金銭面での事故・延滞情報になるためブラックリストに載ってしまいます。
ブラックリストに載ると、クレジットカードの利用や借入などが制限されるため、生活に影響が及ぶ可能性があるので注意しましょう。
では、ブラックリストに登録されるとどのような影響があるのか解説します。
4-1 事故情報に登録されたときの影響
事故情報としてブラックリストに登録されると、以下のことが制限されます。
- クレジットカードの作成・利用
- カードローンの新規借入
- スマートフォン・携帯電話の分割購入
- 賃貸契約の審査に通りにくくなる
- 住宅ローンや自動車ローンに通らない
基本的に、後払い制度や借入は利用できなくなるので注意しましょう。ブラックリストが消えるまでは、計画通りに返済を続けて生活再建を目指すことが大切です。
4-2 完済から約5年間登録される
任意整理は、完済から約5年間でブラックリストが消えます。その後は、クレジットカードの審査やローンの審査にも通りやすくなるため、生活に制限がかかることも少なくなるでしょう。
ただし、ブラックリストが消えたタイミングは本人に通知されることはありません。解除されたかどうかを確かめるには、自分で信用情報機関に開示請求する必要があります。
信用情報機関の種類 | 請求方法 | 手数料 |
---|---|---|
日本信用情報機構(JICC) | インターネット 郵送 | インターネット:1,000円 郵送:1,300円 |
シー・アイ・シー(CIC) | インターネット 郵送 | インターネット:500円 郵送:1,500円 |
全国銀行個人信用情報センター(KSC) | インターネット 郵送 | インターネット:500円 郵送:1,679円~1,800円 |
また、どの信用情報機関も免許証やマイナンバーカードなど本人確認書類が必要です。シー・アイ・シー(CIC)のみ本人確認書類が2点必要なので注意しましょう。
5章 官報に掲載されても別の債務整理を選んだ方がよいケース
個人再生や自己破産の手続きでは官報に掲載されるので、万が一バレたときのことを考えると気になってしまうのではないでしょうか。しかし、借金問題が深刻な場合は、官報に掲載されるリスクを取ってでも別の債務整理方法を選んだほうがよいケースもあります。
ここからは、個人再生や自己破産がおすすめなケースを解説します。
5-1 元金の総額が大きい
任意整理は、利息や遅延損害金のカットはできますが、元金の減額が難しいので借金の総額が多い場合は返済の負担が大きく残る可能性があります。
そのため、元金の総額が大きい場合は、借金を大幅に減額できる個人再生や全ての借金をなくす自己破産を選ぶのがおすすめです。また、ブラックリストを消すには借金の完済が必要なため、長期的に返済を続けるのであれば、別の債務整理を選んで早めに借金問題を解決するほうがよいでしょう。
5-2 利息をカットしても完済が厳しい
利息をカットしても完済が厳しい場合は、個人再生や自己破産がおすすめです。任意整理は、原則3~5年で完済しなくてはいけません。そのため、残った元金を3~5年で完済できない場合は、任意整理では難しいと判断できます。
個人再生も原則3年で返済する必要がありますが、借金を5分の1〜10分の1に減額するため返済負担が大幅に異なります。完済を目指すためにも、借金額が大きい場合は別の債務整理を検討しましょう。
5-3 返済を続けられる収入がない
失業や病気などで返済を続けられる収入がない場合は、自己破産を検討するのも一つの方法です。任意整理は元金の返済が必要なため、安定した収入がないと返済の負担が続くので完済が難しい可能性があります。
裁判所より支払い能力がないと判断された場合、自己破産によって借金の支払い義務がなくなるため、無収入や低収入でも生活再建がしやすいメリットがあります。将来的な返済の見込みがない場合には、任意整理以外の方法が現実的といえるでしょう。
6章 官報に載るのを防ぎたいなら任意整理がおすすめ!
借金問題を解決したいけれど、官報に名前が載るのは避けたい方には任意整理がおすすめです。官報に掲載された場合でも周りにバレるリスクは限りなくゼロに近いですが、どうしても不安な方にとっては任意整理はさらに安心できるでしょう。
ただし、任意整理で元金はカットできないため、借金が膨らんでいると選択肢が取りにくい手続きです。そのため、任意整理で借金問題を解決したい方はできるだけ早めに相談するようにしましょう。
お気軽にお問い合わせください!
借金返済のご相談はグリーンへ