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- 住宅ローンとマイカーローンを併用できるかどうか
- 住宅ローンとマイカーローンを併用する際のポイント
- 住宅ローン・マイカーローンの審査に通過しやすくする方法
住宅ローンの返済中に車の購入を検討し、マイカーローンも組みたいと考える方は少なくありません。反対にマイカーローンを返済中に住宅ローンを検討するケースもありますが、「住宅ローンとマイカーローンを同時に利用できるのか」「返済に無理がないか」と不安に感じる人も多いでしょう。実際には併用は可能ですが、年収に対する返済比率や信用情報によっては審査が厳しくなることがあります。
この記事では、住宅ローンとマイカーローンを併用する際の審査の仕組みや注意点、審査に通過しやすくする方法について解説します。ローンの併用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次 ▼
1章 住宅ローンとマイカーローンは併用できるが互いに影響を与える!
住宅ローンとマイカーローンは併用自体は可能ですが、金融機関の審査では返済負担率を重視されるため、互いに大きな影響を与えます。片方の返済負担率が重い場合、新規で申し込むローンの融資額が引き下げられたり、審査に落ちたりします。ここでは、返済負担率の目安や計算方法などについて見ていきましょう。
1-1 審査では返済負担率がチェックされる
住宅ローンやマイカーローンを申し込む際、金融機関が必ず確認するのが返済負担率です。返済負担率とは、手取り年収に対してどのくらいの割合をローン返済に充てているかを示す指標で、借入可能額や審査の通過可否に直結します。返済負担率の目安は30%〜35%以内です。
住宅ローンに申し込む際、既にマイカーローンやカードローンを利用している場合は、その返済額も合算されます。結果として返済負担率が高くなり、住宅ローンの借入可能額が想定より少なくなるケースが少なくありません。
また逆に、住宅ローンを組んだあとにマイカーローンを申し込む場合も、金融機関は住宅ローン返済を含めて返済負担率を計算します。そのため、住宅ローンを返済しているから車は分割で買えないという事態も起こり得ます。
一方で、一部の金融機関では住宅ローンに他のローンをまとめられる商品を提供しており、マイカーローンやフリーローンを住宅ローンに組み込める場合があります。金利は異なるものの一本化できるため、審査の柔軟性が広がり、返済計画を立てやすくなるというメリットがあります。
1-2 返済負担率の計算方法
返済負担率は、年収に占める年間返済額の割合を示すもので、以下の式で算出します。
返済負担率 =(年間返済額 ÷ 手取り年収)×100
年間返済額には、住宅ローンだけでなくマイカーローンやカードローン、教育ローンなどの借入返済額が含まれます。例えば、手取り年収500万円の人が以下のローンを返済している場合を考えてみましょう。
- 住宅ローン:月10万円(年間120万円)
- マイカーローン:月2万円(年間24万円)
合計の年間返済額は144万円となります。この場合の返済負担率は、144万円 ÷ 500万円 × 100 = 28.8% です。
一般的に金融機関は、返済負担率が30〜35%以内であれば審査に通過しやすいとされています。それを超えると返済能力に不安があると判断され、借入可能額の減額や審査落ちの原因となります。
2章 住宅ローンとマイカーローンを併用する際のポイント
住宅ローンとマイカーローンは同時に利用できますが、どちらも高額な借入であるため、計画性を持って組み合わせることが重要です。ここでは、併用を検討する際に押さえておきたいポイントを解説します。
2-1 借りられる金額=返済できる金額ではない
住宅ローンやマイカーローンの審査では、返済負担率の基準を満たしていれば高額の借入が可能になる場合があります。しかし、金融機関が「貸しても良い」と判断する金額と、自分が「無理なく返済できる」金額は必ずしも一致しません。
住宅ローンとマイカーローンを併用する場合、毎月の返済額が増えます。さらに、教育費や生活費、将来の貯蓄なども考慮しなければ、家計が赤字に転じるリスクがあります。借入可能額だけを目安にするのではなく、家計全体の収支を確認し、「余裕をもって返済できる金額」で借入希望額を設定することが重要です。
2-2 同じ金融機関を利用すると金利優遇を受けられる可能性がある
住宅ローンとマイカーローンを同じ金融機関で利用すると、金利優遇を受けられる場合があります。金融機関としても、複数のローンをまとめて利用してもらうことで取引実績が増えるため、優遇措置を設けているケースがあるのです。ただし、優遇が適用されるかどうかは金融機関によって異なるため、事前に比較・検討することが大切です。
2-3 ディーラーローンは金利が高くなりやすい
マイカーローンには、銀行などの金融機関で契約するローンと、自動車を販売するディーラーが提供するローンの2種類があります。ディーラーローンは審査が比較的スピーディーですが、金利が高くなりやすいのが特徴です。
特に住宅ローンとの併用を考えている場合、返済負担率が重くなり、毎月の返済が苦しくなる恐れがあります。低金利の商品を選ぶことが長期的な負担軽減に繋がるため、ディーラーだけではなく複数の金融機関を比較し、家計状況に合ったローンを組むことが大切です。
3章 住宅ローン・マイカーローンの審査に通過しやすくする方法
住宅ローン・マイカーローンの審査に通過しやすくする方法は以下の通りです。
- 頭金・自己資金を用意する
- 勤続年数を重ねる
- 他の借入を見直す
それぞれ詳しく見ていきましょう。
3-1 頭金・自己資金を用意する
審査に通過するためには、借入額をなるべく減らす工夫が大切です。その代表的な方法が、頭金や自己資金を準備することです。
住宅ローンは金額が大きいため、頭金を入れることで借入総額が減り、毎月の返済額も抑えられます。その結果、返済負担率が下がり、金融機関から「無理のない返済計画」と判断されやすくなります。マイカーローンについても同様で、自己資金を充てて借入額を減らせば返済負担率を下げることができ、審査を有利に進められるでしょう。
3-2 勤続年数を重ねる
住宅ローンやマイカーローンの審査では、申込者の返済能力が安定しているかが重視されます。その際、安定性を測る大きな指標となるのが勤続年数です。同じ職場に長く勤めている場合、収入が継続的に得られる可能性が高いと判断され、審査を有利に進められます。
一般的に、勤続年数が3年以上あれば安定しているとみなされやすいのに対し、1年未満の場合は不利になるケースがあります。よって、もし転職を予定している場合は、住宅ローンやマイカーローンの申込みを先に済ませておくか、転職後しばらく勤めてから申請するのが望ましいでしょう。
3-3 他の借入を見直す
住宅ローンやマイカーローンの審査では、全ての借入状況が確認されます。カードローンやリボ払い、クレジットの分割払いなどが多いほど審査は不利になります。
特に高金利の借入は残高が減りにくいため、審査担当者に返済計画に余裕がないと見られやすい傾向があります。そのため、ローンの申込み前に住宅ローンやマイカーローン以外の借入や、リボ払いはできるだけ完済しておくことが大切です。
もし完済が難しい場合でも、返済額を減らすために繰上げ返済を行ったり、不要なカードを解約したりするだけでも審査の印象は改善されます。借入を整理しておくことは、住宅ローンやマイカーローンの審査通過に直結する有効な対策と言えるでしょう。
4章 返済に不安を感じたら専門家に相談しよう
住宅ローンやマイカーローンを併用していると、収入の変化や予想外の支出によって返済が苦しくなるケースもあるでしょう。そのまま放置し長期間にわたって延滞してしまうと、信用情報に事故情報が記録されるだけでなく、財産を差し押さえられるリスクもあります。返済に不安を感じた場合、不利益を被る前に以下のような対応をすることが大切です。
4-1 任意売却を検討する
住宅ローンの返済が難しくなった場合、放置してしまうと最終的には競売にかけられてしまいます。競売では市場価格より安く売却されるケースが多く、残ったローンの返済負担が大きくなりやすいのが難点です。
これに対して任意売却であれば、債権者である金融機関の同意を得たうえで市場に近い価格で家を売却できるため、競売よりも高値で売れる可能性があります。その結果、残債をできるだけ減らし、生活再建に繋げやすくなります。
4-2 金融機関に相談する
住宅ローンやマイカーローンの返済に不安を感じたら、まずは契約している金融機関に相談することが大切です。返済が滞ってからでは選択肢が限られてしまいますが、早めに事情を伝えれば、返済期間の延長や一時的な返済猶予などの対応を検討してもらえる可能性があるでしょう。
また、条件の良いローンに借り換えるという方法もあります。借り換えによって金利を下げられれば、毎月の返済額や総返済額を軽減でき、家計の負担を大きく減らすことが可能です。将来の選択肢を広げるためにも、返済が厳しいと感じた段階で早めに行動することが大切です。
4-3 債務整理を検討する
返済の見通しが立たない場合には、債務整理を検討する必要があります。債務整理の主な内容は以下の通りです。
- 任意整理:将来利息のカットや分割払いの交渉を行い、月々の返済負担を軽減する。
- 個人再生:借金を大幅に減額し、原則3〜5年で分割返済していく。住宅ローン特則を利用すれば、家を手放さずに再生計画を立てられる可能性もある。
- 自己破産:一定の資産を処分する代わりに、借金の返済義務が免除される。
債務整理を行うことで、返済の負担を大幅に減らしたり、場合によってはゼロにしたりすることが可能です。ただし、信用情報に記録されるため、一定期間は新たなローンやクレジットカードの利用が制限されます。
また、債務整理の手続きは複雑で、個人で行うのは現実的ではありません。専門知識を持つ弁護士・司法書士に依頼することで、自分に合った解決策を提案してもらえるだけでなく、煩雑な手続きを代行してもらえます。
グリーン司法書士法人では、借金に悩む方の状況に合わせた債務整理のサポートを行っています。返済に行き詰まって手遅れになる前に、まずはお気軽にご相談ください。
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まとめ
住宅ローンとマイカーローンは併用自体は可能ですが、どちらか一方の借入がもう一方の審査や返済負担に大きく影響します。特に住宅ローンは金額が大きく審査も厳しいため、マイカーローンの有無や返済額が審査に直結する点に注意が必要です。
また、借入可能額と返済可能額は必ずしも一致しません。審査に通ったとしても、生活費や将来の出費を考えたうえで無理のない返済計画を立てることが重要です。
もし返済に不安を感じた場合は、放置せずに早めに対応することが大切です。金融機関への相談によって、返済条件の変更や借り換えなどの選択肢が広がる可能性があります。また、返済の見通しが立たない場合は、弁護士・司法書士といった専門家に相談することで、任意整理や個人再生など適切な解決策を検討できます。
グリーン司法書士法人では、住宅ローンやマイカーローンを含む債務整理の相談に幅広く対応しています。状況に応じた最適な方法を提案しますので、返済に悩んでいる方はぜひお気軽にご相談ください。
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住宅ローンとマイカーローンに関してよくある質問
住宅ローンとマイカーローンに関してよくある質問への回答を掲載しています。
- 住宅ローンとマイカーローンはひとつにまとめられますか?
一部の金融機関では、住宅ローンにマイカーローンや教育ローンなどをまとめられる商品を取り扱っています。このような商品を利用すれば、返済が管理しやすくなるだけではなく、通常のマイカーローンより低金利で借りられるケースもあります。ただし、どの金融機関でも利用できるわけではないため、事前に確認が必要です。
- 住宅ローンを多めに借りることは可能ですか?
住宅購入費用以上に借りることは基本的に認められていません。住宅ローンはあくまで住宅取得資金として使途が限定されているためです。ただし、諸費用のような住宅取得に付随する一部の資金であれば、住宅ローンに含められる場合もあります。
- 住宅ローンとマイカーローンはどちらを先に組んだ方が良いですか?
基本的には 住宅ローンを先に組む方が有利です。住宅ローンは金額が大きく審査が厳しいため、すでにマイカーローンなどの借入があると返済負担率が高くなり、希望額を借りられなかったり審査に落ちたりするリスクがあります。















